「考える力」を高めるゲームを開発しています(ビジネスゲーム開発日誌 Vol.45)

クリティカル・シンキングやロジカルシンキングに代表される「考える力」は、新入社員研修で伝えられることも多くなりました。

今や、それなりの規模の企業の新入社員であれば一度は「イシュー」や「MECE」、「ピラミッド・ストラクチャー」という用語を耳にしたことがあると思います。

私自身は幸いなことに新入社員の頃から企画提案を仕事としてきたので、お客様にダメ出しをされながら、こういった思考の技術を使う機会に恵まれました。

学んだことは実践を通じて初めて磨かれ、自分のものにすることが出来ます。

皮肉なことに、いきなり現場に放り込まざるを得ないベンチャー気質の企業の方が、新入社員研修で学んだことを早期から活かす機会に恵まれているように感じます。

一方で、そのような企業はいきなり現場に放り込むが故に、営業活動や開発活動を通じてお客様に迷惑をかけたり、組織の育成体制の未熟さが周囲に伝わったりします。最悪の場合、せっかく採用した若手社員の退職に繋がるので、組織としてはあまり望ましくないやり方であることも確かです。

例えて言うなら、「荒れ地に種を撒いて、自然と発芽した人を残す」やり方と言えるでしょう。荒れ地に種を撒いて、放っておいても発芽する人はもちろんいますが、発芽せずに潰れてしまう人はその何倍もいます。

そうした叩き上げの環境で育ち、成果を出してきた人は得てして「荒れ地に種を撒く」やり方を肯定してしまう傾向があると感じています(私もその傾向があるかもしれません)。

現実的に、多くの人にとっては「種から苗木をつくり、大樹に育てる」やり方が適しているのでしょう。

1つ問題があるとすれば、大事に育てられる分だけ、クリティカル・シンキングやロジカルシンキングといった「考える力」を使わなくても、何となく働けてしまう。その中で知らず知らずの内に成長がストップし、「大事に水をやりすぎて、根腐れを起こす」といった事態になることも、ままあります。

当社は2022年4月に新入社員2名が入社し、2か月間のトレーニング期間と4か月の実践期間を経て、戦力として活躍していただけるまでになりました。

先輩社員の手厚い指導のもとで十分な成果を出しつつあり、営業の初期対応やサポートは私も驚くほど出来るようになりました。しかし、順調に育っているからこそ、見落としていることもあったようです。

見落としていたことは、実践を通じた「考える力」「考えたことをまとめて表現する力」の一層の強化でした。

6か月間で、自ら提案書を書いた機会は各々1回ずつ。お客様の課題整理や提案書作成は、先輩社員や専門の研修部員の仕事となっていました。ともすれば、「考える力」をそんなに使わなくとも、何となく働ける状態になっていた可能性があります。

せっかく「考える力」のある2人を採用したのに、「考える力」を磨き、発揮する機会を奪っているのではないか。そんな危機感を覚え、お客様の課題を整理する、提案書を書くという活動を、しばらくの間、私が直接見るように体制を変更しました。

私自身の目で見てみるとよく分かるのですが、お客様の言葉を表面的に受け取って真の課題に向き合っていなかったり、比較的安易に「ゲームを使えば大丈夫」という論理の通らないソリューションになっているときもありました。

「丁寧に育てる」方針はこの6ヶ月間、非常によく機能していた一方、次の6ヶ月も同じように育てていたら、場合によっては才能の芽を潰していた可能性もあります。

そういう意味では、「非常に良いタイミングで次のステップに成長の機会を押し上げることが出来たな」と感じています。

同じように「もっと考える力を磨いてあげたい」と感じる人事の方は多いようです。

「考える力」を高めるゲームを開発

ある企業から依頼を受け、日本全体・学生全体の「考える力」を実践的に高めるゲームの開発をしています。

名称は、『THINK IMPACT』。オンライン・オフラインどちらでも開催可能で、一度に6~108名で実施できるツールです。

主に大学の授業や比較的若手を対象とした研修での活用を想定しています。

既にテストを行い、一定の成果も得られたと感じています。リリース準備を進め、可能であれば体験の場を提供したいと感じています。

「荒れ地に種を撒いて、芽が出るのを待つ」のではなく、本ツールが「種から苗木をつくり、大樹に育てる」と同時に、「大事に水をやりすぎて、根腐れを起こす」のを防ぐツールにもなってくれたらいいな、と感じています。

是非、楽しみにお待ちください。

執筆者プロフィール

福井 信英

富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。

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