プロジェクトマネジメントとは?その意味とプロジェクトマネジメントの要諦
- 最終更新日:2023-12-26
プロジェクトマネジメントとは何か。
その意味と注目されている背景、プロジェクトマネジメントの要諦(コツ)について、分かりやすく解説します。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクト(目標を達成するための計画)の管理を意味する言葉です。
一般的にプロジェクトが目指す目標は高い位置にあり、多くの関係者の協働・役割分担のもとにプロジェクトに取り組みます。関係者は同じ部門内のメンバーに限りません。タスクフォース的に各部門から適任者が集まり、プロジェクトに取り組むこともあります。
つまり、プロジェクトとは、高度な目標を達成するために必要なメンバーが集い、協働する取り組みであり、だからこそ、プロジェクトマネジメントを行う立場・役割を担う人(プロジェクトマネージャー)が必要になります。
※プロジェクトマネジメントと言えば、システム開発におけるプロジェクトマネジメントをイメージされる方が多いと思われますが、プロジェクトマネジメントはシステム開発に限定されるものではありません。
プロジェクトマネジメントが注目されている背景
今、私たちを取り巻くビジネス環境は激流のように変化を続けています。
原材料の調達コストや物流コストの高騰、主力商品の需要の低下、技術的・価格的競争力を持った競合の台頭。様々な要因によって既存事業の収益性が落ちる中、どのようにして状況を改善していくのかは、多くの企業に共通する課題です。
新規事業の立ち上げや、コスト改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)やリスキリングの推進など、課題解決のアプローチは企業の個別具体的な状況によって違いはあれども、全て難度の高い取り組みです。まさに、プロジェクトとして取り組むべきものと言えます。
このような背景から、プロジェクトを成功に導くための手法としてのプロジェクトマネジメントに注目が集まっています。
プロジェクトマネジメントの要諦
スコープ管理
プロジェクトが目指す高い目標の達成に向けて、やるべきことは無数に考えられます。
ゆえに、プロジェクトを行う上では、プロジェクトスコープ(やるべきことの範囲)を管理することが極めて重要です。スコープが甘い(プロジェクトの関係者間でスコープの合意形成が十分にできていない)状態にあるプロジェクトは進路の定まらない帆船のようなものです。
あれもほしい、これをすべきだ、などのステークホルダーの要望に右往左往し、プロジェクトのリソースを無駄に浪費し、プロジェクトを失敗へと導きます。
もちろん、プロジェクトにおいて、スコープの調整(プロジェクト途中でのスコープの変更)は起こり得るものですが、基本的にはスコープの調整が起きないように、関係者間でスコープについて話し合いを重ね、認識を揃えておく必要があります。
スコープを定めるためのWBS作成
WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトで取り組むタスクや成果物の一覧表です。縦軸にタスク(作業内容)を記入し、横軸には担当者・開始日・終了日・期間・進捗などを記入します。
WBSは、明確な成果物が見えているプロジェクトでは成果軸で、そうでない場合はプロセス軸で作成を進めますが、いずれの場合においても大切なことは、関係者と一緒にWBSを作成するプロセスを経ることです。
そうすることで、プロジェクトのスコープを明確にできます。
逆に、このWBS作成をプロジェクトマネージャーの独断や想像で行ってしまうと、後々のスコープ調整が起こりやすくなるので注意が必要です。
QCD(品質・費用・納期)管理
- プロジェクトの成果物の品質(Quality)
- プロジェクトに必要な予算(Cost)
- プロジェクトの納期(Delivery)
このQCDは製造業の生産管理に置いて知られる言葉ですが、このQCDはどのような仕事においても必要な管理項目です。プロジェクトマネジメントにおいても例外ではありません。
プロジェクトマネジメントとは、QCDの3つのゴールを達成することに他なりません。
品質管理
成果物の品質が基準を満たしているかをチェックすることはもちろん、プロジェクトの取り組み(様々なタスク)が成果物の品質を満足するように設計・計画されているかを管理します。
予算管理
予算管理では、予め設定していた予算が、実際にはどのぐらい使われているのかについて、タイムリーに正しい情報を押さえておくことが肝要です(担当者がタイムリーな報告をしない、間違った金額・大雑把な金額が報告されるなどのケースが起こりがちです)。
納期管理
WBSをもとに具体的なスケジュールを作成します。一般的にはガントチャート(WBSをスケジュールの一覧性の観点で最適化させた作業計画表)を用います。ガントチャートでスケジュールの遅延を早期発見することで、迅速なリカバリー対応を行いやすくなります。
コミュニケーション管理
プロジェクトとは大人数の協働作業であり、プロジェクト内のコミュニケーションの巧拙がプロジェクトに大きな影響を及ぼします。
WBSやガントチャートなどのプロジェクト管理ツールの活用、報連相のフォーマットの統一などの仕組みを整えることに加えて、プロジェクトメンバー間の関係性を良好にするためのチームビルディング、情報共有を円滑にするための心理的安全性の向上などの取り組みも大切です。
プロジェクトマネジメントを身に付ける方法
自己学習
プロジェクトマネジメントの知識は、書籍の形で流通しており、自己学習に向いています。
例えば、PMBOKに関する書籍から知識をインプットすることは比較的容易に取り組むことができます。PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントの知識が体系的にまとめられたものです。
1987年にPMI(Project Management Institute|PM協会)より発表されて以来、プロジェクトマネジメントの世界標準として改訂を重ねています(2021年に第7版が発行されています)。
プロジェクトマネジメント研修
プロジェクトマネジメントのような型がある知識や技術については、まずは集中的に型を学ぶことが大切です。この観点において、業務から離れて、研修の場でプロジェクトマネジメントの習得に励むことが推奨されます。
その上で、研修カリキュラムとしては、座学一辺倒ではない内容が良いと言えます。実践(あるいはロールプレイングや演習)を交えたカリキュラムを設計することで、より実務に活きるプロジェクトマネジメントの知識を得ることができます。
OJT
プロジェクトマネジメントには型があれども、複雑な現実の前には、その型が通用しないこともままにあります。身も蓋もない話にはなりますが、とにかく経験を重ねること。それがプロジェクトマネジメントのスキルを向上させる近道です。
組織におけるリーダー人材の育成と同じように、長い目で、プロジェクトマネージャーをOJTで育成していく必要があります。
この記事の著者について
執筆者プロフィール
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
監修者プロフィール
亀井 直人
鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。
- 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
- PMP(Project Management Professional)
- NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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