SDGsとは何か?その意味と背景、私たちや企業にできること
- 最終更新日:2024-10-02
SDGs(Sustainable Development Goals|持続可能な開発目標)とは2015年9月の国連サミットで採択された文書「Transforming Our World:2030 Agenda for Sustainable Development」の中に記されている国際目標です。
誰一人取り残さない(leave no one behind)のスローガンのもとに、193か国の国連加盟国が、2016年~2030年の15年間でSDGsの17の目標と169のターゲットの達成を目指しています。
本稿では、このSDGsの意味や背景を解説しつつ、SDGsについて、私たち(一人ひとりの個人)や企業(様々な形態の組織)ができることをご紹介します。
SDGsとは
SDGsが必要とされる背景
地球の限界
人間活動による地球システムへの影響を客観的に評価する方法の一例に地球の限界(プラネタリーバウンダリー)という研究があります。
この研究によると、地球の変化に関する各項目について、人間が安全に活動できる範囲内にとどまれば人間社会は発展し繁栄できるが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされるとされています。
その上で、「気候変動」「生物圏の一体性」「土地利用変化」「生物地球化学的循環」については、人間が安全に活動できる境界を越えるレベルに達していると指摘されています。
参考:平成29年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(概要)|環境省
国際環境シンクタンクのグローバル・フットプリント・ネットワーク(Global Footprint Network)が発表する2022年のアースオーバーシュートデー(その年に地球が再生できる生物資源を、人類がすべて使い果たしてしまった日)は7月28日でした。
これは地球が1年間に生み出す生物資源を、人類が8カ月足らずで使いきってしまっていることを意味します。私たちは、地球の自然の回復力を超える資源を使っていて、このままでは地球で人間が生活できなくなってしまいます。
貧困の問題
- あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる(End poverty in all its forms everywhere)
このSDGsの1番目の目標は、2015年9月の第70回国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に明記されている通り、全ての問題の根源であると捉えられています。
“このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する”
参考:SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
なぜ、貧困は全ての問題の根源であると捉えられているのでしょうか。それは、第一に貧困とは「外部からの助けなくしては変えることが極めて難しい」からです。
親の貧困というものは、お金だけでなく、子どもの文化資本(学習習慣や生活習慣)や社会関係資本(家族、コミュニティなどでの他人との繋がり)にも影響を及ぼすことが分かっています。つまり、貧困は世代間で連鎖するものであり、だからこそ、当事者の努力の範囲を超えた極めて困難な課題となります。
第二に、貧困は当事者だけの問題ではなく、私たち全体の問題になるからです。
貧困が蔓延することで税収が減ると個人が負担する社会保障費が増加します。格差が拡がることで社会が不安定になり、人々の生活環境が脅かされます。
もちろん、自分自身が貧困に陥ることもあり得ます(自然災害や紛争、ウイルスの蔓延などによる直接的・間接影響によって、生活が困窮するリスクは高まっています)。
SDGsの歴史
SDGsが制定されたのは2015年ですが、SDGsは急に生まれたわけではありません。SDGsが生まれる背景となる歴史(象徴的な出来事)をご紹介します。
- 1972年:人間環境宣言
ストックホルム(スウェーデン)で国連人間環境会議(環境問題に関する世界初の国際会議)が開催。人間環境の保全と向上に関し、世界の人々を励まし、導くため共通の見解と原則が必要である考えのもとに「人間環境宣言」が採択されました。
- 1987年:持続可能な開発
「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書「Our Common Future」の中で「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のこと指すものとして「持続可能な開発」という言葉が誕生しました。
- 1992年:地球サミット
リオデジャネイロ(ブラジル)で、国連環境開発会議(地球サミット)が開催。国連に加盟しているほぼすべての国々(約180カ国)が参加し、「環境と開発に関するリオ宣言」「アジェンダ21(環境保護行動計画)」「気候変動枠組み条約」「生物多様性条約」「森林に関する原則声明」の5つの宣言・条約が採択されました。
- 1995年:COP1
ベルリン(ドイツ)にて、第1回国連気候変動枠組条約締約国会議が開催。「2000年以降に適切な行動をとることができるような目標を定めるべく検討を開始し、COP3(1997年)までに検討を終えることの決議(ベルリン・マンデート)が採択されました。
- 1997年:京都議定書
第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)にて京都議定書(温暖化に対する国際的な取り組みのための国際条約)が採択されました。この中で定められた削減目標は世界初の取り決めとなり、国際社会が協力して温暖化対策に取り組む一歩になりました。
- 2000年:MDGs
ニューヨーク(アメリカ)で開催された国連ミレニアム・サミットの中で、MDGs(ミレニアム開発目標:Millennium Development Goals)が採択されました。MDGsでは、2015年までに達成すべき目標として、開発途上国の貧困・教育・健康・環境などを改善するための8つのゴールと21のターゲットが掲げられています。
- 2006年:ESG投資
国連主導でESG投資の世界的なプラットフォーム「国連責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)」が発足。署名機関は財務情報に加えて、ESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)に関する視点をその投資プロセスにおいて取り入れることなどが求められるようになりました。
- 2015年:SDGs
国連サミットの中で全会一致でSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が採択されました。SDGsでは、MDGsの後継として2030年までに達成すべき持続可能な開発目標(17のゴールと169のターゲット)が定められています。
SDGsの原則・特徴
我々の世界を変革する(Transforming Our World)。
この大きな目的に向かって、地球規模(世界中の国々の協力)で取り組むSDGs。その根底に流れるシンプルで力強い原則や特徴を知ることは、私たちがSDGsに貢献する活動を継続していく上で大きな指針になります。
SDGsの5つの主要原則
- 普遍性
国内実施と国際協力の両面で率先して取り組む。
- 包摂性
誰一人取り残さない。国内実施、国際協力のあらゆる課題への取組において、人権の尊重とジェンダー平等の実現を目指し、子供、若者、高齢者、障害者、難民、国内避難民など、脆弱な立場におかれた人々一人一人に焦点を当てる。
- 参画型
脆弱な立場におかれた人々を含む誰もが持続可能な社会の実現に貢献できるよう、あらゆるステークホルダーの参画を重視し、全員参加型で取り組む。
- 統合性
経済・社会・環境の三分野の全てに、複数のゴール・ターゲットの相互関連性・相乗効果を重視しつつ取り組む。 - 透明性と説明責任
取組状況を定期的に評価し、公表・説明する。
参考:SDGsとは:農林水産省
SDGsの特徴
- 発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、取組の過程で地球上の誰一人として取り残さない(no one will be left behind)。
- SDGsの目標(ゴール)とターゲットは「統合され、不可分のもの」であり、環境・経済・社会の持続可能な開発の三側面のバランスがとれ、統合された形で達成する。
- 持続可能な開発のキーワードとして、人間(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、連帯(Partnership)の「5つのP」を掲げる。
SDGsとサステナビリティの関係性
サステナビリティとは、環境・社会・経済の持続可能性に配慮する考え方です。
1987年、環境と開発に関する世界委員会(WCED)が公表した報告書「Our Common Future」の中で提唱された持続可能な開発(Sustainable Development)の課題を通じてサステナビリティという言葉が広く認知されるようになりました。
<Our Common Future の内容抜粋>
第1章 未来への脅威
今日、酸性雨、熱帯林の破壊、砂漠化、温室効果による気温の上昇、オゾン層の破壊等、人類の生存の基盤である環境の汚染と破壊が地球的規模で進行している。この背後には、過度の焼畑農業による熱帯林破壊に見られるような貧困からくる環境酷使と、富裕に溺れる資源やエネルギーの過剰消費がある。
第2章 持続可能な開発に向けて
いまや人類は、こうした開発と環境の悪循環から脱却し、環境・資源基盤を保全しつつ開発を進める「持続可能な開発」の道程に移行することが必要である。成長の回復と質の改善、人間の基本的ニーズの充足、人口の抑制、資源基盤の保全、技術の方向転換とリスクの管理、政策決定における環境と経済の統合が主要な政策目標である。
SDGsとは、サステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性に配慮する考え方)を実現するための具体的な計画(目標と期限の設定)であると捉えられます。
<ご案内>
サステナビリティについての詳細は下記の記事をご覧ください(サステナビリティの意味と意義、サステナビリティに関する企業の取り組み事例を分かりやすくご紹介します)。
SDGsが目指すもの
SDGsの17の目標と169のターゲット
SDGsには17の目標(ゴール)があります。
- SDGs1「貧困をなくそう」
- SDGs2「飢餓をゼロに」
- SDGs3「すべての人に健康と福祉を」
- SDGs4「質の高い教育をみんなに」
- SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
- SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」
- SDGs7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
- SDGs8「働きがいも経済成長も」
- SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
- SDGs10「人や国の不平等をなくそう」
- SDGs11「住み続けられるまちづくりを」
- SDGs12「つくる責任つくる責任」
- SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
- SDGs14「海の豊かさを守ろう」
- SDGs15「陸の豊かさも守ろう」
- SDGs16「平和と公正をすべての人に」
- SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
そして、これらの目標毎に、幾つものターゲットが定められています(17の目標は抽象的な内容であるのに対して、ターゲットで定められている内容は具体的です)。
このSDGsの17の目標と169のターゲットの詳細は下記の解説記事をご覧ください(アイコンをクリックいただくと当該ページへ遷移します)。
SDGs17の目標の理解に役立つ「SDGsウェディングケーキモデル」
SDGsの17の目標を理解する上では、ストックホルム・レジリエンスセンターが提唱する「The SDGs wedding cake」のモデルが参考になります。
このモデルは、ウェディングケーキを模しており、土台にあるBIOSPHERE(生物圏(環境))の上にSOCIETY(社会)があり、さらにその上にECONOMY(経済)が位置付けられており、
“SDGsの目標(ゴール)とターゲットは「統合され、不可分のもの」であり、環境・経済・社会の持続可能な開発の三側面のバランスがとれ、統合された形で達成する”
というSDGsの特徴や、三側面の位置関係や相関関係が上手く表現されています(日本語版のSDGsのアイコンで表現すると下記のようになります)。
ECONOMY:経済に関する「SDGsの17の目標」
SOCIETY:社会に関する「SDGsの17の目標」
BIOSPHERE:生物圏(環境)に関する「SDGsの17の目標」
SDGs17の目標の理解に役立つ「5つのP」
SDGsの17の目標を理解する上では、SDGsの特徴の一つである「5つのP」で17の目標を整理することも有効です。
“持続可能な開発のキーワードとして、人間(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、連帯(Partnership)の「5つのP」を掲げる”
People:人間に関する「SDGsの17の目標」
Prosperity:繁栄(豊かさ)に関する「SDGsの17の目標」
Planet:地球に関する「SDGsの17の目標」
Peace:平和に関する「SDGsの17の目標」
Partnership:連帯に関する「SDGsの17の目標」
SDGsのビジネスチャンス
SDGsビジネスの意義
2017年、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の中で「SDGs 達成により、2030年までに少なくとも12 兆ドルの経済価値、最大3億8000万人の雇用が創出される可能性がある」というレポートが発表されました。
SDGsでビジネス、と言うと「SDGsを金儲けの道具にするなんて信じられない」という意見を耳にすることがありますが、ビジネスというものは目標達成の手段に過ぎません。
その上で、「人が集まり、組織として長期的に活動し続ける」「他社と手を取り、より大きなことを成す」などのビジネスの特性は、SDGsを達成する手段としても有効に機能します。
経済と環境の好循環をつくるための産業政策である「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」がそうであるように、目標達成のためには技術革新を必要とするケースが少なくないからこそ、そういった新分野のビジネスに挑戦する企業は歓迎されるべきと考えることができます(もちろん、SDGsというトレンドを利用しただけのSDGsウォッシュなビジネスが好ましくないことは言うまでもありません)。
ちなみに、すでに日本におけるSDGsの認知率は86%を超え(電通調査)、サステナビリティに対する企業や消費者の意識も高まっています。企業のIRでサステナビリティの取り組みを公表するのは当たり前になっており、ソーシャルグッド(社会善)なブランドを支持する消費者も増えています。
今後も、ソーシャルグッドなビジネスが受け入れられる土壌が育っていくことで、ソーシャルグッドなビジネスが常識となり、ソーシャルグッドという言葉が必要なくなる日(サステナブルであることがビジネスの大前提となる日)が到来するのかもしれません。
SDGsウォッシュにならないために
SDGsの認知が拡大する中で、企業がSDGsに取り組むインパクトは増加し続けています。
SDGsに取り組むことは効果的なPRであり、リスク対策(SDGsに取り組まないことによって起きる悪影響への対策)となります。
このように、企業がSDGsに取り組むことが必然となりつつある今、時に、自社のSDGsの取り組みが、意図せずにSDGsウォッシュになってしまっていることも起こり得ます。SDGsウォッシュと見なされないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。
SDGsウォッシュを回避するヒントと、参考になる企業事例をご紹介します。
SDGsと密接に関係するキーワード
SDGsとカーボンニュートラル
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラル。
このカーボンニュートラルは、SDGsの17の目標の中のSDGs13「気候変動に具体的な対策を」と深い関連があります。
人が使用する化石燃料(石油や石炭)の燃焼によって生じる二酸化炭素などの温室効果ガスが地球温暖化の進行スピードを急激に速めた結果、気候変動が生じ、世界規模で自然災害の深刻化(猛暑や大規模干ばつ、集中豪雨や大型台風など)を招いています。
この気候変動問題を解決するための目標がSDGs13「気候変動に具体的な対策を」であり、その具体的な対策として、カーボンニュートラルが位置付けられています。
<ご案内>
カーボンニュートラルについての詳細は下記の記事をご覧ください(カーボンニュートラルの基礎知識と企業の取り組み事例・私たちにできることをご紹介します)。
SDGsとサーキュラーエコノミー
サーキュラーエコノミーとは気候変動や生物多様性、廃棄物や汚染などの環境・社会の課題に対応するための経済システムです。
これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型のリニアエコノミー(原材料→生産→消費→廃棄物という一方通行の流れの経済システム)は、世界的な人口増加・経済発展に伴い、環境・社会問題が深刻化し続ける中で限界を迎えています。
だからこそ、サーキュラエコノミー(原材料→生産→消費→リサイクル)の循環構造の中で「資源・製品の価値の最大化」「資源消費の最小化」「廃棄物の発生抑止」を目指そうとする動きが活性化しています。
このサーキュラーエコノミーという言葉自体は比較的新しいものの、その中身は、すでに社会で広く取り組まれている、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3Rの延長線上にあるものです。
サーキュラーエコノミーは、SDGsの中では、SDGs12「つくる責任つかう責任」と深い関連があります。経済システムに参加する企業(つくる側)と消費者(つかう側)の両者の責任を持った行動が、サーキュラーエコノミーへの移行スピードを加速させます。
<ご案内>
サーキュラーエコノミーについての詳細は下記の記事をご覧ください(サーキュラーエコノミーの基礎知識と企業の取り組み事例・私たちにできることをご紹介します)。
SDGsとエシカル消費
「消費は投票である」という言葉をご存知でしょうか。
私たち消費者は、安さや品質、安全性、見栄えの良さなど、さまざまな基準で商品を選んでいます。その商品を選んで買うということは「これが欲しい」と商品に対して投票しているようなものです。
そして、私たちの消費行動には投票と同じように社会を変える力があります(環境に良い商品が多くの消費者から選ばれることで、その商品が広く流通し、社会を良くしていきます)。
この考え方を実践するものが「エシカル消費」です。
<ご案内>
エシカル消費についての詳細は下記の記事をご覧ください(エシカル消費の意味や背景について解説をしつつ、具体的に私たちにできることについてご紹介します)。
SDGsについて企業ができること
私たちプロジェクトデザインは、2016年3月にSDGsゲーム「2030SDGs」を一般社団法人イマココラボと共同開発して以来、SDGsゲームの開発やSDGs研修の提供を継続する中でSDGsの知見を深めてまいりました。
この知見をもとに、SDGsについて企業ができることとして、様々な業界業種や企業規模のSDGsの取り組み事例をSDGsの17の目標毎にご紹介します。
日本においてSDGsの認知度は年々高まり続けており、いよいよSDGsの実践が問われる段階になってきました。これから具体的にどのようなSDGsアクションを起こすべきかを検討されている方々のお役に立てれば何より嬉しく思います。
SDGsについて私たちができること
「一人ひとりの個人にできることは小さい」。
それは紛れもない事実です。個人が起こしたSDGsに貢献する行動は、例えるならば、大海に小さな石を投げるようなものです。
しかし、勇気ある個人の起こした行動(小さな石)は水面に波紋となって広がり、その波紋が重なり合うことで、やがて周囲を巻き込み変化を促す大きな渦となります。
これから「SDGsについて、私たちにできること」についての行動例をご紹介します。勇気を出して、自分の歩幅で(無理のない範囲で)初めの一歩を踏み出してみませんか?
募金・寄付をする(SDGs1,2,5,6,9,10,15,16)
募金や寄付は、個人ができる強力なアプローチです。様々なSDGsの目標達成に貢献することができます。
- ユニセフ(国連児童基金)
ユニセフは世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する国連機関です。保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援、アドボカシーなどの分野で支援活動をおこなっています。
- 国境なき医師団
国境なき医師団は民間で非営利の医療・人道援助団体です。紛争や自然災害、貧困などにより危機に直面する人々に独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けています。
- UNDP(国連開発計画)
UNDPではSDGsの目標達成に向けてシグネチャー・ソリューションという6つの分野横断的な開発アプローチを実施しています。その分野の一つに「女性のエンパワーメントとジェンダー平等の実現」が位置付けられています。
- WFP国連世界食糧計画(国連WFP)
国連WFPは女性と子どもの栄養強化、小規模農家の生産性向上と損失削減、国やコミュニティによる気候に関する災害への備えと対応支援、学校給食支援による人的資本の強化に取り組んでいます。
- 赤い羽根共同募金
赤い羽根共同基金では子ども家庭、障がい児・者、高齢者、災害、地域福祉の5つの分野を設けて、それぞれの分野ごとの社会課題解決に取り組む事業や活動に対する助成をしています。
- ウォーターエイド
ウォーターエイドは1981年に設立された水・衛生専門の国際NGOです。給水設備や衛生設備の設置、設備を長く維持管理していくための体制づくり、設備の修理や水源管理のための研修、適切な衛生環境を保つための衛生教育などを実施しています。
- 日本財団
日本財団は、よりよい社会を作るため、日本において寄付文化が根付くための活動をしています。日本の子どもたちの支援や災害復興支援、などプロジェクトごとに寄付を募っています。
- TABLE FOR TWO International
TFTでは、東アフリカに位置するウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ケニア、マラウイと 東南アジアのフィリピンの6か国で、学校給食プログラムと菜園・農業生産性向上プログラムの支援を行っています。
- Learning for All
Learning for Allは子どもの貧困の本質的解決に取り組んでいます。学習支援の観点では、地域や学校と協力して無償の「学習支援拠点」を設置し大学生教師たちが、学習遅滞を抱えた子どもたちに寄り添って勉強を教えています。
- 国連ウィメン日本協会
国連ウィメン日本協会は国連で唯一女性と少女の課題と取り組むUN Women(国連女性機関)の日本国内委員会で、日本はもちろん世界中の女性と少女がエンパワーし、いきいきと生きられることを目指して活動しています。
- JICA(独立行政法人国際協力機構)
「世界の人びとのためのJICA基金」では、日本国内の特定非営利活動法人もしくは公益法人が実施する開発途上国・地域の人びとの貧困削減や生活改善・向上に貢献する活動の支援に、寄附金を役立てています。
- 緑の募金
「緑の募金」という“寄付によるボランティア”を通して、NPO・ボランティア団体や学校が行う“汗によるボランティア”(植林や下草刈り、間伐等)や、“知恵によるボランティア”(子どもたちへの森林環境教育等)を応援することができます。
- ワールド・ビジョン・ジャパン
ワールド・ビジョン・ジャパンでは開発援助・緊急援助・アドボカシーの3本柱の活動を行っています(個人の方は寄付の用途を指定する形での支援が可能です)。
- 日本赤十字社
日本赤十字社は「人の命を尊重し、苦しみの中にいる者は、敵味方の区別なく救う」ことを目的とし、世界192の国と地域に広がる赤十字・赤新月社のネットワークを生かして活動する組織です。
フェアトレード製品を選ぶ(SDGs1,8,10,17)
フェアトレードは公平・公正な貿易の仕組みです。
開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入する継続的な活動を通じて、立場の弱い現地の生産者や労働者の収入を改善する形で、SDGsの目標達成に貢献することができます。
(1)国際フェアトレード認証ラベル
その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。またこのラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。
(2)国際フェアトレード原料調達ラベル(FSIラベル)
FSIラベルは主に複合材料製品に使用されますが、タブに記載されている原料が、フェアトレードとして調達されていることを示しています。例えばミックスナッツ製品に「カシューナッツ」タブのあるFSIラベルが表示されている場合、カシューナッツのみがフェアトード認証原料であり、その他のナッツは認証原料ではありません。
参考:認証ラベルについて|フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイト
製品を見る際にフェアトレードラベルが付いていないかを確認すること。そして、可能であればフェアトレード製品を選ぶことを実践してみましょう。
自分や家族の健康に気を付ける(SDGs3)
新型コロナウイルス感染症では感染者の増加に伴う医療資源のひっ迫が問題視されたように、限られた医療資源を有効活用する観点で、私たち一人ひとりで健康でいることはとても重要です。
- 感染予防のためにマスク着用や手指衛生(手洗い、手指消毒)を心がける
- 健康診断をきちんと受ける
- 食生活の改善や運動の習慣化に取り組む
そういった健康への配慮の積み重ねによって、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」に貢献することが可能です。
教育プログラムに参画する(SDGs4)
文部科学省では、企業や団体が出前授業・施設見学・資料提供等の教育プログラムを子供たちに提供できる土曜学習応援団への参画を募っています。
<教育プログラムについて>
- 教育プログラムを受ける対象
未就学児、小中高学生、特別支援学校生 - 教育プログラム開催時間
平日の授業や放課後、土曜日、日曜日、祝祭日、夏休みなどの長期休暇など - 教育プログラムの内容
理科実験、キャリア教育、環境、ものづくり、礼儀・道徳、プログラミング、スポーツ、社会・地理、食育、金融、文化・伝統、国際理解など
- 教育プログラムを受ける対象
参考:企業等による教育プログラム|学校と地域でつくる学びの未来
こういった機会を活用することで、自分たちが持っている実社会でのスキルやノウハウを子どもたちに教えていくことができます。
ジェンダー平等について学ぶ(SDGs5)
「社会や文化による男性像・女性像」を何の疑いもなく信じている私たち一人ひとりの意識が変わることで、ジェンダー平等に近づくことができます。
学校教育の現場では男女平等を推進する教育・学習が進んでいる一方で、そういった教育を受けていない人は自分自身でジェンダー平等について学ぶことが重要です。自分がいかにジェンダー平等について知らなかったかを知ること。
その上で、
- お子さんに対して家庭内教育の中でジェンダー平等を実践する
- 夫婦間での役割分担(家事負担割合)について話し合う
- ジェンダー平等の観点で自身の職場での発言や振る舞いを見直す
などの、ジェンダー平等に向けて自分ができる小さな行動を起こすことをお勧めします。
エネルギーを節約する(SDGs7)
二酸化炭素の排出量を減らす観点では、エネルギー消費を抑えることも効果的です。
一つの家庭の中で電気・ガス・ガソリンなどのエネルギーを節約する効果は微々たるものですが、地域や国全体に節約の動きが広がることで大きな効果を生み出します。エネルギー白書2022によると最終エネルギー消費(産業活動や交通機関、家庭など、需要家レベルで消費されるエネルギーの総量)に占める家庭部門の割合は15.8%に達しています(詳細はこちら)。
近年、電力会社が電力需要のひっ迫に伴う節電の呼びかけを行うことが増えていることからも、各家庭がエネルギー節約に協力することの影響力の大きさを感じ取ることができます。
- 電気はこまめに消す
- コンセントは使わないときは抜いておく
- エアコンの設定温度を調整する
- 自動車での移動の一部(近距離の移動など)を電車や自転車に切り替える
など、取り組みやすい内容からエネルギー節約を始めることが推奨されます。
災害に備える(SDGs11)
- 防災グッズを用意しておく
- 食糧や飲料水を備蓄しておく
- 災害発生時の家族間の連絡手段や避難場所を決めておく
- ハザードマップを確認しておく
- 自治体が開催する防災訓練に参加する
などの災害が起きた時の備えをしておくこと。そういった個人や家庭での努力が、自身が住むまちの災害に対する強靱さ(レジリエンス)にも影響します。
3R活動に取り組む(SDGs12,13)
Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の3R活動を推進することには資源を有効活用する観点で大きな意味があります。以下に幾つかの取り組み内容をご紹介します(気軽に取り組めるものから小さく始めてみることをお勧めします)。
- 買い物はエコバックを使う
- マイ箸・マイスプーンを持参する
- 外出中に出たゴミは持ち帰る
- エシカル消費(※)を実践する
※エシカルとは「倫理的な」「道徳的に正しい」という意味を持つ言葉です。エシカル消費とは人や社会、地球環境に配慮した消費行動を指しています。
日々の生活の中でCO₂の削減に取り組む(SDGs13)
環境省の発表では、CO₂の部門別排出量(2020年度確報値)の中で家庭部門の占める割合は15.9%。全体で4番目に高い位置にあります。
<CO₂の部門別排出量(※)>
- 産業部門:34.0%
- 運輸部門:17.7%
- 業務その他部門:17.4%
- 家庭部門:15.9%
- エネルギー転換部門:7.5%
- 非エネルギー起源CO₂:7.4%
※発電及び熱発生に伴うエネルギ-起源のCO₂排出量を、電力及び熱の消費量に応じて、消費者側の各部門に配分した排出量
参考:環境省_2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について
ゆえに、家庭の中でCO₂排出量を減らす工夫をすることには大きな意味があります。以下の項目の中で自分ができそうなものから、順番に取り組むことを推奨します。
- 冷暖房機器の使用を必要最小限に留める
- お風呂の残り湯を洗濯に活用する
- 車の運転頻度を減らす(自転車で代用)
- 家電製品のコンセントをこまめに外す
- エコバッグを常用する
- 照明をこまめに消す
パートナーシップの輪を広げる(SDGs17)
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の観点で自分が起点・ハブとなり、自身が所属する会社や団体・地域コミュニティとパートナーシップ(協力関係)を築き、SDGsの取り組みを進める。
これも私たちにできることの一つです。
例えば、私たちプロジェクトデザインでは「SDGsについての理解・実践」を支援するツールとして様々なSDGsゲームをご提供しています。これらのゲームを活用することであなたの所属先やコミュニティでSDGsの取り組みを進めやすくなります。
参考:SDGsゲーム
この記事の著者について
執筆者プロフィール
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
監修者プロフィール
福井 信英
富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。
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