カーボンニュートラルとは?意味・背景・企業の取り組み事例をわかりやすく解説します

カーボンニュートラルとは何か? 

その言葉の意味と背景にあるもの、そして、カーボンニュートラルの達成に向けた企業の取り組み事例をわかりやすく解説します。

Contents(目次)

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルの定義

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」を均衡させることを意味します。

“カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています”

参考:カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル|環境省

カーボンニュートラルの理解に役立つ、カーボン・マップ

カーボンニュートラルの理解を進める上では、カーボンの循環構造を知ることが近道です。

そこで本稿では、私たちプロジェクトデザインが開発した「カーボン・マップ」を用いながら、カーボンの循環構造についてわかりやすく解説します。

カーボンの循環構造

カーボン・マップでは、ストックとフローの概念でカーボンの循環を表現しています。ストックとは、カーボンが貯蔵されている状態です。人間社会・大気中・森林にカーボンが貯蔵されています(下図参照)。
次に、人間社会を起点にフローの流れを追っていきたいと思います。人間社会では化石燃料の消費によって二酸化炭素が大気中に排出されます。そして、排出された二酸化炭素は新たに大気中に蓄積されます(下図参照)。
大気中に蓄積されている二酸化炭素は、自然環境によって吸収されます。吸収された二酸化炭素は森林に固定・蓄積されます(下図参照)。
そして、森林は化石燃料(木資源)として人間社会に貯蔵されます。(下図参照)。
以上がカーボンの循環構造です(まとめると下図のイメージになります)。

カーボンは人間社会・大気中・森林にストック(貯蔵・蓄積・固定)されていて、ストックされているカーボンは排出・吸収・活用されることによって地球上を循環している。

このカーボンの循環構造(カーボンの量や動きの変化)をカーボン・マップとして目に見えるようにすることで、

  • 私たちは圧倒的なスピードで大気中の温室効果ガスを増やしていること
  • カーボンニュートラルを実現できるまで温室効果ガスは増え続けること
  • 温室効果ガスの排出量削減の取り組みは「待ったなし」であること

などに対して、誰もが腹落ちさせること(実感を伴った理解)ができるようになり、カーボンニュートラルを自分事として捉えやすくなります。

カーボンニュートラルとSDGsの関係性

SDGs(Sustainable Development Goals|持続可能な開発目標)とは2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。

誰一人取り残さない(leave no one behind)のスローガンのもとに、193か国の国連加盟国が2016年~2030年の15年間でSDGsの17の目標と169のターゲットの達成を目指しています。

このSDGsの17の目標とカーボンニュートラルは密接に関わりがあります。

特に関係が深いものが、SDGs13「気候変動に具体的な対策を」です。気候変動が起きる要因には自然の要因と人為的な要因があると言われますが、主に問題視されているのは人為的な要因です。人が使用する化石燃料(石油や石炭)の燃焼によって生じる二酸化炭素などの温室効果ガスが地球全体の温度を高くする一方で、二酸化炭素を吸収する役割を担う森林が森林伐採や森林火災によって破壊される状況が続いています。

つまり、気候変動対策としては、温暖化の原因となるCO₂(温室効果ガス)の排出量を減らす取り組みが必要があり、このSDGs13の取り組みはカーボンニュートラルの取り組みと方向性が完全に一致しています。

その他、SDGs7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」やSDGs12「つくる責任 つかう責任」などの様々なSDGsの目標とカーボンニュートラルは関係しています。

ご興味がある方はSDGsの17のそれぞれの目標についての記事をご覧ください(下記のアイコンをクリックすると当該記事をご覧いただけます)。

カーボンニュートラルと脱炭素の違い

カーボンニュートラルを実現した社会が「脱炭素社会」と呼ばれているように、カーボンニュートラルと脱炭素は、ほぼ同義の言葉として扱われています。

その上で、「温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて実質ゼロにする」カーボンニュートラルと違い、脱炭素という言葉には「温室効果ガスの排出量をゼロにする」意味が含まれるケースがあります。

また、カーボンニュートラルという言葉が「カーボンニュートラルの達成」「カーボンニュートラルの実現」というようにゴールそのもの(温室効果ガスの排出量と吸収量が均衡した状態)を指す際に使われる一方で、脱炭素という言葉は「脱炭素化」「脱炭素経営」「脱炭素ドミノ」というようにゴール達成に向けた活動(カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み)の名称に使われる傾向があります。

カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違い

カーボンニュートラルもカーボンオフセットも「温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする」点においては同じですが、アプローチが違います。

カーボンニュートラルが「温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて実質ゼロにする」アプローチであるのに対して、カーボンオフセットは「温室効果ガスの排出量を減らす努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスを埋め合わせる」アプローチです。

カーボンオフセットの詳細な定義は下記の通りです。

“カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です”

参考:カーボン・オフセット|地球環境・国際環境協力|環境省

また、国内のカーボンオフセットに関連する出来事を見ても分かるように、カーボンオフセットとカーボンニュートラルは密接に関わり合っています。

    • 2008年4月
      「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」に基づいて、適切かつ透明性の高いカーボン・オフセットを普及するため、カーボン・オフセットフォーラム(J-COF)を設立
       
    • 2008年11月
      カーボン・オフセットに用いる温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、信頼性のあるものとするため、国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減・吸収量を認証する「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を創設
       
    • 2011年4月
      「カーボン・ニュートラル等によるオフセット活性化検討会」が設置され、我が国におけるカーボン・ニュートラルのあり方や、カーボン・オフセットの取組活性化に向けた方策を検討
       
    • 2011年9月
      「カーボン・ニュートラル認証制度」が創設されるとともに、カーボン・オフセットについても「我が国におけるカーボン・オフセットの取組活性化について(中間取りまとめ)」が公表
       
    • 2012年5月
      カーボン・オフセット認証主体の多様化を契機にして、別の体制で実施されていた「カーボン・ニュートラル認証制度」と「カーボン・オフセット認証制度」を1つの制度として統合し「カーボン・オフセット制度」の運営開始
       
    • 2013年4月
      J-VER制度及び国内クレジット制度が発展的に統合した、J-クレジット制度が開始
       
    • 2013年12月
      「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)の見直しに関する検討会」が開催
       
    • 2014年3月
      「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)第2版」が策定

カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの違い

「環境・社会・経済」の観点から、将来に渡って世の中(地球・世界)を持続可能なものにするための活動を続ける、サステナビリティ。

このサステナビリティにおける具体的なテーマ・アクションに、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーが位置付けられています。

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるためにデカップリング(経済成長と温室効果ガスの排出量の切り離し)への挑戦をするカーボンニュートラル。原材料→生産→消費→リサイクルの循環構造の中で「資源・製品の価値の最大化」「資源消費の最小化」「廃棄物の発生抑止」を目指すサーキュラーエコノミー。

それぞれに言葉の定義は違いますが、【経済】と【環境・社会】とのトレードオン(トレードオフを乗り越えて両立させること)の実現を目指す方向性は同じであり、それぞれが互いに密接に関わり合っています。

例えば、サーキュラーエコノミーの活動によって廃棄物を減らすことで(廃棄物の原材料としての活用が増えることで)焼却処分による温室効果ガスの「排出量を減らす」ことに繋がり、カーボンニュートラルの実現にも近づきます。

カーボンニュートラルの背景

待ったなしの地球温暖化対策

なぜ、私たちはカーボンニュートラルを達成する必要があるのでしょうか?

その背景には、地球温暖化の進行を主因とする自然災害の深刻化(猛暑や大規模干ばつ、集中豪雨や大型台風など)があります。

人が使用する化石燃料(石油や石炭)の燃焼によって生じる二酸化炭素などの温室効果ガスが地球全体の温度を高くする一方で、二酸化炭素を吸収する役割を担う森林が、森林伐採や森林火災によって破壊される状況が続いています。

地球の平均気温がどのぐらい上昇しているかについては、以下の動画が参考になります。

1880年からの平均気温の変化を時系列で追うことで、気温上昇のペースが徐々に上がっていることに気付かされます(特に、1980年以降の変化が顕著です)。

なお、人間活動が及ぼす温暖化への影響については、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、かつては「可能性がある」というレベルの認識でしたが、2013年時点において「可能性が極めて高い」というレベルの認識に改められています。

<人間活動が及ぼす温暖化への影響についての評価>

    • 第1次報告書|First Assessment Report1990(FAR)
      気温上昇を生じさせるだろう
      人為起源の温室効果ガスは気候変化を生じさせる恐れがある。
       
    • 第2次報告書|Second Assessment Report:Climate Change 1995(SAR)
      影響が全地球の気候に表れている
      識別可能な人為的影響が全球の気候に表れている
       
    • 第3次報告書|Third Assessment Report:Climate Change 2001(TAR)
      「可能性が高い」(66%以上)
      過去50年に観測された温暖化の大部分は、温室効果ガスの濃度の増加によるものだった可能性が高い
       
    • 第4次報告書|Forth Assessment Report:Climate Change 2007(AR4)
      「可能性が非常に高い」(90%以上)
      温暖化には疑う余地がない。20世紀半ば以降の温暖化のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加による可能性が非常に高い
       
    • 第5次報告書|Fifth Assessment Report:Climate Change 2013(AR5)
      「可能性が極めて高い」(95%以上)
      温暖化には疑う余地がない。20世紀半ば以降の温暖化の主な要因は、人間の影響の可能性が極めて高い

参考:IPCC 第5次評価報告書の概要 -WG1(自然科学的根拠)-

また、2021年08月09日に公開された第6次評価報告書第I作業部会報告書(自然科学的根拠)の中でも、「気候の現状」は下記のように評価されています。

“A.1 人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている”

“A.2 気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものである”

“A.3 人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既に影響を及ぼしている。熱波、大雨、干ばつ、熱帯低気圧のような極端現象について観測された変化に関する証拠、及び、特にそれら変化を人間の影響によるとする原因特定に関する証拠は、AR5 以降、強化されている”

参考:IPCC AR6/WG1報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要

1.5℃目標の達成するために、私たちに残されたカーボンバジェット

カーボンバジェット(炭素予算)という言葉があります。

これは、人間活動による地球の気温上昇を一定のレベルに抑える場合に想定される温室効果ガスの累積排出量(過去と将来の排出量の合計)の上限値を表す言葉です。

2015年に開催されたCOP21のパリ協定で努力目標として掲げられた「1.5℃目標」。この目標を達成するために私たちに残されたカーボンバジェットは、2020年時点でわずか8%未満(現在の排出量換算で10年未満)です。

二酸化炭素の排出量の多い国の共通項

人の活動によって増加した主な温室効果ガスには幾つかの種類がありますが、二酸化炭素の占める割合が全体の76%を占めています。

<人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合>

    • 二酸化炭素:76.0%
    • メタン:15.8%
    • 一酸化二窒素:6.2%
    • フロン類等:2.0%

参考:気象庁 Japan Meteorological Agency

この二酸化炭素に関して、世界各国ではどの程度の量を排出しているのでしょうか? その答えを知る上では下図が参考になります。

全体の約3割を排出している中国を筆頭に、アメリカ14.1%、インド6.9%、ロシア4.9%と続き、日本は世界第5位の位置にいます(全体の3.2%)。

上位はG20の国々が占めている状況です。

日本における二酸化炭素排出量の実態

日本国内では「どこで」二酸化炭素が多く排出されているのでしょうか?

環境省の発表する二酸化炭素の排出量のデータによると、最も多いのが産業部門(工場など)の34.0%。そして、運輸部門(自動車等)の17.7%、業務その他部門(商業・サービス・事業所等)の17.4%と続きます。

<CO₂の部門別排出量(※)>

    • 産業部門:34.0%
    • 運輸部門:17.7%
    • 業務その他部門:17.4%
    • 家庭部門:15.9%
    • エネルギー転換部門:7.5%
    • 非エネルギー起源CO₂:7.4%

※発電及び熱発生に伴うエネルギ-起源のCO₂排出量を、電力及び熱の消費量に応じて、消費者側の各部門に配分した排出量

参考:環境省_2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

カーボンニュートラルの達成に必要な技術

再生可能エネルギーの普及

再生可能エネルギーとは、永続的に利用できるエネルギーを意味します。

資源が有限な化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を由来とする化石エネルギーとは違い、自然を由来とする再生可能エネルギーは資源が枯渇することがありません。また、発電・利用時にCO2を排出することもありません。

この再生可能エネルギーの普及を進めることは、CO2の排出量削減に直結するため、カーボンニュートラルを達成する観点で必要不可欠であると言えます。

ネガティブエミッション技術の開発

ネガティブエミッション技術とは、大気中の温室効果ガスに含まれるCO2を回収・吸収・貯留・固定する技術の総称です。

再生可能エネルギーの普及や様々な活動によってCO2の排出量を減らすことはできても、完全にゼロにすることは困難を極めます。そこで、排出されたCO2を回収するネガティブエミッション技術に注目が集まっています。

CO2除去テクノロジーの開発に10億ドルの投資を行うことをコミットしているマイクロソフトのように、世界各国の機関や企業がネガティブエミッションの技術開発に注力していくことが求められています。

“地球の CO2 問題の解決には現時点で存在しない新たなテクノロジも必要となります。これが、マイクロソフトの取り組みの大部分が CO2 除去テクノロジの開発の促進と加速への投資に充てられている理由です。マイクロソフトが新たに設立した Climate Innovation Fund は、今後 4 年間にわたり 10 億ドルを新規テクノロジに投資し、この問題解決に従事する世界中の人々に資金へのアクセスを拡大していくことにコミットしています。これが必要な投資のごく一部であることは理解していますが、これに触発され、多くの政府機関や企業が同様の投資を行なうようになることに期待しています”

参考:2030 年までにカーボンネガティブを実現|News Center Japan

カーボンニュートラルの達成に向けた国の動き

2050年カーボンニュートラル

温暖化という地球規模の問題に立ち向かう上では世界の団結が大前提となることは言うまでもありません。

世界の国々は国連の下に集い、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)を含めた様々なレベルの交渉を継続しています。2015年にフランスのパリで開催されたCOP21では、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。

そして、

  • 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)
     
  • 今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること

などのパリ協定の合意に基づき、120以上の国・地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げました。日本では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを2020年10月に政府が宣言しています。

※年限付きのカーボンニュートラルを表明している国は、COP25終了時点(2019年12月)は121カ国だったものが、COP26終了時点(2021年11月)には150カ国以上に拡大しています。

経済と環境の好循環を作るためのグリーン成長戦略

かつて、地球温暖化への対応は経済成長の制約・コストと見なされる向きがありましたが、MDGs(ミレニアム開発目標:2001~2015)の取り組みやSDGs(持続的開発目標:2016~2030)の取り組み、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)の普及などの国際的な潮流の中で、地球温暖化への対応は成長機会として捉えられるようになっています。

日本においても、地球温暖化対策を積極的に行うことで産業構造や社会経済の変革を実現する「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。

これは、経済と環境の好循環をつくるための産業政策です。

“2050年カーボンニュートラルの実現は、並大抵の努力では実現できず、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を、大きく加速することが必要です。そのため、グリーン成長戦略に基づき、予算、税、金融、規制改革・標準化、国際連携など、政策を総動員します。これにより大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった企業の前向きな挑戦を後押しし、産業構造や経済社会の変革を実現します”

参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました(METI/経済産業省)

このグリーン成長戦略の中で、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「産業として成長」と「温室効果ガスの排出削減」を両立する観点で重視されている分野は以下の通りです。

  • エネルギー関連産業
    ①洋上風力・太陽光・地熱産業(次世代再生可能エネルギー)
    ②水素・燃料アンモニア産業
    ③次世代熱エネルギー産業
    ④原子力産業
     
  • 輸送・製造関連産業
    ⑤自動車・蓄電池産業
    ⑥半導体・情報通信産業
    ⑦船舶産業
    ⑧物流・人流・土木インフラ産業
    ⑨食料・農林水産業
    ⑩航空機産業
    ⑪カーボンリサイクル・マテリアル産業
     
  • 家庭・オフィス関連産業
    ⑫住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業
    ⑬資源循環関連産業
    ⑭ライフスタイル関連産業

各産業分野では「現状の課題」「今後の取り組み」「2050年までの成長戦略の工程表」が定められており、それを実現するために、国はあらゆる政策と政策ツール(予算、税制、金融、規制改革・標準化、国際連携など)を総動員しています。

例えば、予算については、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に10年間で2兆円の基金を造成しています。2050年カーボンニュートラルは極めて困難な課題であり、これまで以上に野心的なイノベーションへの挑戦が必要だからこその枠組みです。

“2050年カーボンニュートラル目標に向けて、令和2年度第3次補正予算において2兆円の「グリーンイノベーション基金」(以下「基金」という。)を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に造成しました。本基金では、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策であるグリーン成長戦略において実行計画を策定している重点分野のうち、特に政策効果が大きく、社会実装までを見据えて長期間の取組が必要な領域にて、具体的な目標とその達成に向けた取り組みへのコミットメントを示す企業等を対象として、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援していきます”

参考:グリーンイノベーション基金 (METI/経済産業省)

デカップリング(経済成長と温室効果ガスの排出量の切り離し)への挑戦

「経済と環境の好循環」とは、分かりやすく表現すると「GDPの上昇と温室効果ガスの排出量削減」と言い換えることができます。

つまり、GDPが上昇しながら温室効果ガスの排出量削減ができているならば好循環が起こっているということです。これをデカップリング(経済成長と温室効果ガスの排出量の切り離し)といいます。

図. カップリングとデカップリングの違い

例えば、ドイツ、スウェーデン、イギリスでは1990年以降、デカップリングを実現できている一方で、メキシコやトルコではGDPと温室効果ガスの排出量が共に上昇する、カップリング(経済成長と温室効果ガス排出量の連動)の状態にあります。

参考:The decoupling of emissions and growth is underway. These 5 charts show how|World Economic Forum

ちなみに、日本では2013年まではカップリングの傾向にありましたが、それ以降はデカップリングの傾向にシフトしています(主な理由は太陽光発電による再生可能エネルギーの利用)。

カーボンニュートラルの達成に向けた企業の取り組み事例

住友林業

住友林業では、事業の礎である森林経営と木造建築、木の価値をさらに深める取り組みにより、脱炭素社会の実現に貢献しています。

“日本は国土面積の約7割を森林が占める、いわば森の国だ。しかし実態を見ると、その4割に及ぶ人工林の多くは十分な手入れがなされていない。森林は「植え、育て、活用し、また植える」という循環可能な資源としての価値に加えて、二酸化炭素(CO2)の吸収・固定、生物多様性保全、水源涵養、土砂災害防止といった多面的機能を持っているが、現状のままではこうした機能の低下が懸念される。また、若い木は成熟した木に比べ多くのCO2を吸収するが、伐採が滞り森林が高齢化するとCO2の吸収量も落ちていく。森林を適切に維持していくには年々力を失ってきた林業の再生が必要であり、国としても2010年、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を制定して木の積極活用を促している。森林、木を事業の柱とする住友林業は、森林維持と木材利用のこうした課題に本業で応えるため、2011年、商業・教育・事務所といった非住宅分野の施設を木造化・木質化する“木化”の取り組みを開始し、多くの実績を積み上げている”

“そもそもなぜ建築物の木化が温室効果ガス(GHG)排出削減に寄与するのか。まず木造は、鉄骨や鉄筋コンクリート造の建築物に比べて躯体部分の材料を製造する際のCO2排出が少なくなる。また、木は生長過程で大気中にあるCO2を吸収し、固定しているため、木材を建築資材として活用すればそれだけCO2排出を抑制できることになる。加えて、解体した際は木材をバイオマス発電の燃料として使えるので、化石燃料の削減につながり、脱炭素に向けて効果的なインパクトを与えられる”

参考:住友林業×脱炭素|住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~|現在の取り組み|住友グループ広報委員会

yuni

yuniでは布団の回収・再生サービス「susteb(サステブ)」を通じて、社会課題を解決するCSV活動に取り組んでいます。

“サステブは、ご自宅の布団を回収し、リサイクルするサービスです。回収された布団は、洗浄・滅菌されたあと、新しい座布団などの中材や軍手などに生まれ変わります。資源を回収し、再生し、有効活用した商品づくりをすることで、限りある資源を循環させ、持続可能な社会を目指します”

参考:サステブ|家にいながら、不要な布団を回収してもらえる

三井不動産

三井不動産では「グループ全体の温室効果ガス排出量を2030年度までに40%削減(2019年度比)、2050年度までにネットゼロ」という目標を掲げ、行動計画を推進しています。

  • 行動計画01:新築・既存物件における環境性能向上
    ZEB/ZEH水準の環境性能を標準化(新規物件)、計画的なリニューアルによる物件の省エネ性能向上・オンサイトでの再生可能エネルギーの創出を積極的に推進(既存物件)
     
  • 行動計画02:物件共用部・自社利用部の電力グリーン化
    2030年度までに全国の保有物件の共用部および自社利用部の電力をグリーン化
     
  • 行動計画03:入居企業・購入者の皆様へのグリーン化メニューの提供
    グリーン化メニューの提案を通し、入居企業や購入者の方々の脱炭素に向けた取り組みをサポート
     
  • 行動計画04:再生可能エネルギーの安定的な確保
    既存のメガソーラー事業(0.8億kwh/年)に加え、2030年度までに総発電量3億kwh/年※(総出力:約17.5万kW)のメガソーラー開発を目指す。(合計3.8億kwh/年)
     
  • 行動計画05:建築時のCO₂排出量削減に向けた取り組み
    建築時CO₂排出量を正確に把握するツール整備に加え、建設会社等に削減計画書の提出を義務化することで、サプライチェーン全体でのCO₂排出量削減を促す。

参考:脱炭素社会実現への取り組み|ESG/サステナビリティ|三井不動産

イオン

イオンでは2018年に策定した「イオン 脱炭素ビジョン」に基づき、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、省エネ・創エネの両面から店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みをグループを挙げて進めています。

また、家庭部門での脱炭素化に社会の大きな期待が寄せられている中、同社では脱炭素型ライフスタイルをサポートする商品・サービスを展開しています。

“イオンは、お客さまの生活を豊かにする事業を軸とする企業集団として、“脱炭素化”という大きな目標を達成するために、私たち一人ひとりが日々のくらしの中でできることをお客さまとともに考え、取り組んでいきたいと考えています。そこで、脱炭素型住宅(ZEH)の新築・住宅リフォームや、電気自動車(EV)の購入など、脱炭素型ライフスタイルへの転換を検討されているお客さまをサポートする商品や金融サービスの展開を強化します”

参考:イオン 脱炭素ビジョン|イオンのサステナビリティ|イオン株式会社

イーレックス

イーレックスは日本の脱炭素社会の実現に向けて、バイオマス発電の普及を通じて日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合を高めていくことを使命に掲げています。

現在5基のバイオマス発電所を所有する日本有数のバイオマス発電事業者として、着実に、力強く事業を推進しています。

“バイオマス発電所の建設地には、いくつかの立地条件があります。十分な敷地面積はもちろん、バイオマス燃料を輸送する大型船が停泊可能な水深の深い港が近くにあること。また、バイオマス燃料の搬送が容易であることや、送電線の空き容量があることも重要です。また、事前に環境への影響を調査・予測・評価を行い、深刻な公害や自然破壊を防ぐことを目的に「環境アセスメント(環境影響評価)」を行います。何年もかけて、地域にお住まいの皆さまの理解と安心を得られるように説明会を開催したり、地方公共団体などの意見を取り入れながら、手続きを進めていきます。建設にあたっては、地元企業や発電事業に理解のある事業者とのパートナーシップも重要です。当社の理念「共創の輪」の下、企業単体での事業推進ではなく、様々なパートナー企業と協働することで、互いにメリットをもたらすwin-winの関係を築くこととで事業を着実に実行し、成長することができるからです”

参考:日本の脱炭素社会の実現に向けて|イーレックス

日本ハム

日本ハムではライフサイクルアセスメント(製品やサービスに対する、環境影響評価の手法)を実施しています。主に個別の商品の製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用までの各段階における環境負荷を明らかにし、その改善策をステークホルダーと共に議論し検討しています。

“商品がお客様の手にわたり、消費されるまでには、原料(お肉、小麦等)の調達・生産・加工に始まり、商品パッケージの廃棄・リサイクルまでに大きく分けて5つの段階があります。これらの5段階でどれだけの環境負荷が発生しているのかを計算し、評価する「ライフサイクルアセスメント」の手法を利用した「カーボンフットプリント(炭素の足跡)」に取り組んでいます”

参考:ライフサイクルアセスメントの実施|気候変動|日本ハム株式会社

トヨタ自動車

トヨタ自動車ではカーボンニュートラル実現に貢献することを通じて、人と自然が共生する持続的な社会の構築を目指し、「トヨタ環境チャレンジ2050」における気候変動への対応として、「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」「新車CO2ゼロチャレンジ」「工場CO2ゼロチャレンジ」を策定し、2015年に取り組みを開始しています。

  • ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ
    【トヨタ環境チャレンジ2050】
    ライフサイクル全体でのCO2排出ゼロを目指す
    【2030マイルストーン】
    ライフサイクルでのCO2排出量:2013年比25%以上削減
     
  • 新車CO2ゼロチャレンジ
    【トヨタ環境チャレンジ2050】
    2050年グローバル新車平均CO2排出量の90%削減(2010年比)を目指す
    【2030マイルストーン】
    新車平均CO2排出量:35%以上削減
     
  • 工場CO2ゼロチャレンジ
    【トヨタ環境チャレンジ2050】
    2050年グローバル向上CO2排出ゼロを目指す
    【2030マイルストーン】
    グローバル工場からのCO2排出量:2013年比35%以上削減

参考:気候変動|ESG(環境・社会・ガバナンス)に基づく取り組み|サステナビリティ|トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

住友化学

住友化学では気候変動問題を社会が直面する喫緊の課題の一つと捉え、この問題の解決に向けて総合化学メーカーとして培ってきた技術力を活かし、「リスクへの対応」と「機会の獲得」の両面から積極的に取り組んでいます。例えば「機会の獲得」の観点では、Sumika Sustainable Solutions(SSS)認定製品の拡販を推進しています。

“気候関連の機会に対する指標として、Sumika Sustainable Solutions(SSS)を活用しています。SSSとは、気候変動対応、環境負荷低減、資源有効利用の分野で貢献するグループの製品・技術を自社で認定し、その開発や普及を促進する取り組みです。2021年度までに認定製品の売上収益を5,600億円とすることを目標としてきましたが、これを達成しました。そして新たに、2030年度の目標を2021年度比2倍以上となる1兆2,000億円に設定しました”

参考:気候変動の緩和と適応|環境| 住友化学株式会社

メルカリ

メルカリではサステナビリティの取り組みのテーマの一つに「循環型社会の実現/気候変動への対応」を掲げ、ポジティブインパクトの拡大/循環型社会の実現に挑戦しています。

“メルカリの中でも最も取引量が多い衣類カテゴリーのみを対象に今回初めてポジティブインパクトを算出しました。その結果、お客さまがメルカリで取引したことによって、2021年は約48万トンのCO2の排出を回避できたことがわかりました。これは東京ドーム200杯分の容積*2のCO2排出量に相当します。また、直近3年間において排出を回避できたCO2量は衣類カテゴリーだけでも合計約140万トンに及び、事業成長とともに循環型社会の実現に着実に貢献することができていると考えています”

参考:循環型社会の実現/気候変動への対応|株式会社メルカリ

佐川急便

佐川急便は、CNG(天然ガス)トラックやハイブリッドトラック、電気自動車といった環境対応車の導入、モーダルシフトの推進やエコ安全ドライブによる燃料消費の抑制など事業活動の合理化・効率化を通じてCO2排出量の削減に努め、脱炭素社会の実現に貢献しています。

<取り組み事例>

  • 環境対応車の導入(業界に先駆け1990年代から導入を開始)
    「環境対応車」とは従来のガソリン車やディーゼル車に比べ、排気ガスに含まれる大気汚染物質(窒素酸化物・粒子状物質等)や地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出が少なく、地球環境への負荷が小さい車を指します。佐川急便では2021年度末で15,799台の環境対応車を保有しており、その割合も年々増加しています。
     
  • サービスセンターの設置(全国約340カ所で1,500台相当のトラック使用を抑制)
    佐川急便ではトラックを使わない「環境にやさしい集配」にも積極的に取り組んでいます。サービスセンターを拠点にして台車や自転車などを使った集配を行うことでトラックの使用を抑えることができ、CO2の排出抑制に大きく貢献しています。
     
  • モーダルシフトの推進(列車や船でお荷物を運びCO2排出量をトラックの10分の1に)
    トラックによる長距離貨物輸送を、大量輸送が可能でCO2排出量が少ない列車や船の輸送などに切り替える「モーダルシフト」。佐川急便ではCO2排出量抑制とつながるモーダルシフトを積極的に推進しています。

参考:【佐川急便】脱炭素社会の実現に向けて|環境|サステナビリティ

ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ

ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブでは、「新たなクラブの可能性」として、SDGsを戦略機軸にした事業の高度化・差別化に積極的に取り組んでいくことを2021年4月30日に宣言。

山梨県全域をホームタウンとして取り組んできた「地域貢献活動」や「社会連携」によって築いてきた絆を基盤に、地域との共生を目指しています。

“ヴァンフォーレ甲府は、山梨県唯一のプロサッカーチームとして、Jリーグに加盟しています。山梨県民をはじめ、スポンサー企業の皆様、サッカー、スポーツを愛する多くの皆様からのご支援ご協力をいただいて、クラブが成り立っております。そのご支援に応えるべく、Jリーグの公式戦はもちろんのこと、一般社団法人と連携し病院や施設の訪問、大学との提携、サッカー教室、幼稚園・保育園の巡回、地域イベントへの参加、介護予防事業、エコ活動など様々な地域交流活動に力を注ぎ「地域に根差したクラブづくり」を進めて参りました。この先も地域の方々に「夢と希望」を与え、地方都市の強みを活かした魅力ある個性的なクラブづくり、そして山梨の誇り、地域のシンボルとなれるよう邁進し、ヴァンフォーレ甲府を地域の“重要無形文化財” にするために4つの重点ターゲットを設定いたしました”

例えば、重点ターゲットの一つに定めている「環境」においては、CFP(カーボンフットプリント)の算定を実施し、CO2の「見える化」を行っています。

“東京都市大学伊坪徳宏研究室、一般財団法人グリーンスポーツアライアンスと「スポーツ団体を対象とした環境評価の枠組み構築と活用」の共同研究を行いました。スポーツ団体を対象にCFP(カーボンフットプリント)の算定を実施し、CDP気候変動の質問事項を活用し、東京都市大学伊坪徳宏研究室がスポーツ団体に則した質問書を作成し、ヴァンフォーレ甲府が回答することで「見える化」を行いました。今後、この評価システムを基にCO2排出量の削減に向けた具体的な取り組みを行う予定です”

参考:SDGsへの取り組み|クラブ|ヴァンフォーレ甲府公式サイト

クニエ

クニエではサプライチェーンネットワーク最適化実現を支援する「サプライチェーンネットワーク・リデザイン」サービスを2023年2月8日より提供開始します。ビジネスと環境対策とのトレードオンの実現を支援するサービスです。

“従来のサプライチェーンマネジメント(SCM)は、サプライヤーや工場、物流ルート、販売倉庫など、サプライチェーンネットワークは大きく変わらない(あるいは変える必要がない)前提で行われており、サプライチェーンネットワーク上を流れるモノの生産や物流の無駄を極力排除し、サプライチェーン運用コストを最小に抑えつつ、顧客の要求納期内での供給を実現することを目的としてきました。

しかし、今日においては供給に影響を与える要因が多様化し、調達、生産、物流とさまざまな領域がボトルネックになるなど、既存のサプライチェーンネットワークでは供給リスクに十分に対応できない場合が多くなっています。加えて、経営・事業戦略の変更や、サプライチェーン全体でサステナビリティーへの配慮が求められるなど、サプライチェーンネットワークそのものを再設計する必要性が増大しています。

その一方、サプライチェーン全体を見渡して分析する機能や組織がない事などから、現サプライチェーンネットワークのパフォーマンス評価や、それら評価に基づくネットワークの見直しについて、十分に検討・実施できているケースは多くありません。

そこでクニエは、不確実性が高く、持続性を考慮する必要に迫られる状況下で柔軟な対応が可能になる、サプライチェーンネットワーク再設計に関わるコンサルティングサービスを提供することとしました”

参考:「サプライチェーンネットワーク・リデザイン」サービス提供開始~損益、リスク、GHG/ESG、4観点でのサプライチェーンネットワーク最適化を実現~|クニエ

企業がカーボンニュートラルの達成を目指す理由

カーボンニュートラルの達成を目指す過程では、相応のコスト増が避けられない中、なぜ企業は力強く歩みを進めているのでしょうか?

そこには「地球のため、社会のため」という大義だけではない理由があります。キーワードはビジネスチャンスとリスク管理(カーボンニュートラルの達成を目指さないことによるリスクの回避)です。

ビジネスチャンスとしてのカーボンニュートラル

ビジネス創出のチャンス

地球温暖化対策を積極的に行うことで産業構造や社会経済の変革を実現する「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」がそうであるように、今、地球温暖化に対応することは、企業にとってビジネス創出のチャンスです。

投資先に選ばれるチャンス

  • 投資先の企業に対して「2050年までの脱炭素化と整合的な事業計画の策定」を求めた
  • 同時に、気候変動に取り組む企業数を倍増させる
  • 企業の取り組みが期待以下の場合には、積極的に議決権を行使する

これは米国のブラックロック社(世界最大手の資産運用会社)の発表内容です。

年金・保険系の機関投資家は顧客(国民)から受け取った資金を数十年間の運用を行った後に償還する必要があり、この数十年間という時間軸は気候リスクが生じる時間軸と整合しています。だからこそ、資産運用会社は、投資先の企業が「気候リスクを正しく把握して対応しているかどうか」を適切にチェックする必要があります。

この構造を企業視点で見てみると、企業がカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを進めることは、投資(や融資)を受けるチャンスを拡大できる状況があるということです。

リスク管理としてのカーボンニュートラル

生活者に選ばれなくなるリスク

カーボンニュートラルやSDGsなどのキーワードは、すでに生活者層に広く認知されている状況があります(マス層向けのTV番組でも特集が組まれることもめずらしくありません)。

また、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを進める国や自治体・企業や団体の努力もあり、環境負荷の少ない製品やサービスが普及し、生活者からの支持を得ています。

そのような状況下において、企業としてカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを行わないことは、製品やサービスが生活者に選ばれなくなるリスクを孕んでいます。

取引先に選ばれなくなるリスク

カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みは企業単独で行うものもあれば、他社との連携のもとに行われるものもあります。

例えば、メーカーでは、CO2排出量を削減するために自社が関わるサプライチェーン全体に協力を要請しています。脱炭素化の取り組みでリーダーシップを発揮しているAppleの例を見ても分かるように、企業としてカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを行わないことは、自社が取引先に選ばれなくなるリスクを孕んでいます。

“グローバルサプライチェーンに対して、温室効果ガスの排出に対処するための新たな措置を取ること、および脱炭素に向けた包括的なアプローチを取ることを求めました。Appleは、100パーセント再生可能電力で事業を行うなど、主要な製造パートナーのApple関連事業を脱炭素化する取り組みを評価し、年ごとの進捗状況を追跡します”

参考:Apple、グローバルサプライチェーンに対して2030年までに脱炭素化することを要請 – Apple (日本)

求職者に選ばれなくなるリスク

カーボンニュートラルやSDGsに代表される社会への貢献を重視する価値観は、働く人の価値観にも影響を与えています。

「仕事を通じて、社会に貢献できることを実感できるかどうか」は、多くの求職者にとって大きな関心事になっている今、企業としてカーボンニュートラルの達成(やSDGsの目標達成)に向けた取り組みを行わないことは、自社が求職者から選ばれなくなるリスクを孕んでいます。

私たちがカーボンニュートラルの達成に向けてできること

家庭の中でのCO₂の排出を減らす

環境省の発表では、CO₂の部門別排出量(2020年度確報値)の中で家庭部門の占める割合は15.9%。全体で4番目に高い位置にある家庭におけるCO₂排出量を減らす工夫をすることには大きな意味があります。

  • 再生可能エネルギーのプランを取り扱っている電力会社に切り替える
  • エアコン(冷暖房機器)の使用は適切な温度設定にする
  • お風呂の残り湯を洗濯に活用する
  • 家電製品のコンセントをこまめに外す
  • 照明をこまめに消す
  • 車の運転頻度を減らす(公共交通機関や自転車を使う)

など、自分が無理なくできるものから取り組むことをお勧めします。

3R(Reduce、Reuse、Recycle)活動

私たちの身の回りにあるモノは、それが作られる(原材料の調達・製造・輸送・販売に至る)プロセスの中で直接的・間接的に炭素を排出しています。

ゆえに、ごみを減らす(Reduce:リデュース)、中古品を購入する(Reuse:リユース)、再生利用する(Recycle:リサイクルすることで、炭素の排出量を抑えることに貢献できます。

<3R活動の例>

  • 買い物はエコバックを使う
  • マイ箸・マイスプーンを持参する
  • 外出中に出たゴミは持ち帰る
  • フリーマーケットを利用する
  • ごみのリサイクルに協力する

環境への配慮が見られる商品やサービスを使う

商品やサービスを購入する際に環境に配慮するマークの付いたものを選ぶ。

それだけでも間接的にCO₂削減に貢献することができます。「環境ラベル等データベース」をチェックして、どんなマークがあるのかを事前に調べておくこともお勧めです。

<環境ラベルの例>

    • エコマーク
    • グリーンマーク
    • バイオマスマーク
    • グリーン・エネルギー・マーク
    • 間伐材マーク
    • エコリーフ環境ラベル
    • カーボン・ニュートラルラベル
    • カーボン・オフセット認証ラベル

参考:環境省_環境ラベル等データベース

カーボンニュートラルクイズ

「このカーボンニュートラルに関連する用語の意味って何だっけ?」と思った際に、短時間で分かりやすく用語の意味を知ることのできるコンテンツ。

それが「3分でわかる!カーボンニュートラルクイズ」です。

用語の意味を理解するに留まらず、その用語を “活きた知識” へと昇華するためのクイズコンテンツをご提供します。

カーボンリサイクルとは?

「カーボンリサイクルとは【〇〇〇】を資源として捉え、分離・回収して多様な製品や燃料として再利用(リサイクル)することで、CO2の排出を抑制する取り組みである」。

この【〇〇〇】に当てはまる言葉として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

    1. CH4(メタンガス)
    2. CO2(二酸化炭素)
    3. N2O(一酸化二窒素)
  1. <正解・解説>
    カーボンリサイクルとは?企業の取り組み事例をご紹介します(3分でわかる!カーボンニュートラルクイズ)

SBTとは?

突然ですが問題です。SBTの正式名称として、正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

    1. Science Based Targets
    2. Science Based Transforming
    3. Sustainable Based Targets
  1. <正解・解説>
    SBTとは何か?企業が取り組む意義とSBT認定の事例をご紹介します(3分でわかる!カーボンニュートラルクイズ)

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のご案内

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」

ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。

こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。

このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために私たちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。

ゲームを通して生み出したいこと​

このゲームが実現したい未来は、まさにカーボンニュートラル社会の実現。そこに向けて、私たちプロジェクトデザインは、まずできることから一歩を踏み出そうとしています。

しかし、私たちだけの取り組みには限界があります。共に取り組む仲間を増やし、足並みを揃えていく必要があります。私たちプロジェクトデザインの理念に「志ある行動者たちを結びつけ、高めあい、社会を取り巻く問題を解決する」というのがあります。

カーボンニュートラルの実現に向けて一緒に取り組んでいきましょう!

この記事の著者について​​

執筆者プロフィール

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

監修者プロフィール

株式会社プロジェクトデザイン 竹田

竹田 法信(たけだ のりのぶ)

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー・株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住。

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