SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の企業の取り組み事例・私たちにできること

  • SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
    気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる(Take urgent action to combat climate change and its impacts)

本稿では、このSDGs13の理解を深め、実際に企業が取り組みを進めている事例を知り、私たちにできることを考えていきます。

Contents(目次)

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」とは?

気候変動が起きる要因と気候変動の影響

気候は天気・気温・降水量・風などの気候要素によって熱帯雨林気候や温暖湿潤気候などの気候区分に分類されます(日本は北は亜寒帯から南は亜熱帯まで様々な気候区分に属しています)。

気候変動では、地球温暖化の進行を主因とする自然災害の深刻化(猛暑や大規模干ばつ、集中豪雨や大型台風など)が懸念されています。これは地球全体で起きていることであり、事実、日本国内においても自然災害の影響は年を追うごとに大きくなっています。

2020年の世界各地の異常気象による気象災害の状況は以下の通りです(環境省まとめ)。

  • 北極圏
    ・北極圏の海氷面積の年間最小値が史上2番目の小ささを記録
  • 北米
    ・カリフォルニア州などで大規模な森林火災が発生。8500棟を超える建物が損壊
    ・8月、カリフォルニア州デスバレーで過去80年間の世界最高気温54.4℃を観測
  • ヨーロッパ
    ・6月、ベルホヤンスクで北極圏観測史上最大気温となる38℃を観測
    ・ルーマニア・ベラルーシ・ドイツ・チェコなどで記録的な少雨
  • アジア
    ・日本を含むアジア各地で大雨による災害が発生
    ・7月、中国の長江流域での継続的な大雨で家屋約2万9千戸が損壊、約220万人が避難
    ・5月、サイクロン「アンファン」によってインド・バングラデシュで計129人が死亡
  • 南米
    ・アルゼンチンなどで記録的な少雨により深刻な干ばつが発生
  • アフリカ
    ・4~5月、東部で広範囲の大雨による洪水が発生

参考:環境省_令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

気候変動が起きる要因には自然の要因と人為的な要因があると言われますが、主に問題視されているのは人為的な要因です。人が使用する化石燃料(石油や石炭)の燃焼によって生じる二酸化炭素などの温室効果ガスが地球全体の温度を高くする一方で、二酸化炭素を吸収する役割を担う森林が森林伐採や森林火災によって破壊される状況が続いています。

地球温暖化の問題解決のためのアプローチ

地球温暖化の問題を解決するための最も重要なアプローチは温暖化の原因となるCO₂(温室効果ガス)の排出量を減らすことです。

この地球規模の問題に立ち向かう上で世界の団結が大前提となることは言うまでもありません。世界の国々は国連の下に集い、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)を含めた様々なレベルの交渉を継続しています。

COPにおける象徴的な出来事は環境省のまとめが参考になります(下記参照)。

  • COP3(1997年|日本・京都開催)
    日本が議長を務め、先進国の拘束力のある削減目標を明確に規定した「京都議定書」に合意することに成功し、世界全体での温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出した。
  • COP15(2009年|デンマーク・コペンハーゲン開催)
    交渉官レベルでは実質的な議論の進展が得られず、状況を打開するために閣僚レベルでの協議や首脳による直接の協議・交渉も実施され、その成果として「コペンハーゲン合意」が作成され、締約国会議全体として「同合意に留意する」ことを採択した。
  • COP16(2010年|メキシコ・カンクン開催)
    先進国・途上国両方の削減目標・行動が同じCOP決定の中に位置付けられ、日本が目指す次期枠組みの基盤となるカンクン合意が採択。さらにカンクン合意には緑の気候基金という新たな基金の設立、技術メカニズムの設立などが明記されるとともに、発展途上国向けの気候変動適応計画の策定や、途上国における森林減少・劣化対策等(REDD+)といった途上国支援に関連した事項が盛り込まれる等、重要な前進となった。
  • COP21(2015年|フランス・パリ開催)
    気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」が採択。パリ協定には世界共通の長期目標として2℃目標の設定や、すべての国による削減目標の5年ごとの提出・更新、各国の適応計画プロセスと行動の実施、先進国が引き続き資金を提供することと並んで途上国も自主的に資金を提供すること、共通かつ柔軟な方法で各国の実施状況を報告・レビューを受けること、「二国間クレジット制度」を含む市場メカニズムの活用等が位置づけられている。先進国、途上国を問わず、歴史上初めてすべての国が国情に応じて自主的に参加することを実現化した公平な合意として、これまでの歴史を塗り替える大きな転換点となった。

参考:環境省_気候変動の国際交渉|世界中で何が起こっているの? ~地球温暖化対策の国際交渉の概況~

また、

  • 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)
  • 今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること

などのパリ協定の合意に基づき、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています(カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します)。

日本では、2020年10月に政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

地球温暖化の問題解決の道のりは果てしなく、まだまだ道半ばではありますが、上述の経緯を見るだけでも世界レベルでの協働が着実に前進していることが分かりますし、その前進を自分自身を含めた世界中の人々が支えている事実は誇るべきことです。

その上で、誇りを自信に変えて、これからはもっと一個人や一企業の立ち位置からSDGs13に貢献していくことが重要になるのだと思います。

SDGs13を構成する5個のターゲット

13.1|全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。

13.2|気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。

13.3|気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

13.a|重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。

13.b|後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の企業の取り組み

積水ハウス

積水ハウスは1999年に「環境未来計画」を業界に先駆けて発表。以来、人にも地球にもやさしい、永く住み継がれていく住環境の創造を目指してきました。2008年には環境省から業界初のエコ・ファースト企業として認定されています。

“住まいの快適性・経済性・環境配慮を高いレベルで実現させる戸建住宅 ZEH「グリーンファースト ゼロ」の2020年度実績は91%でした。これは2019年度の日本全体の ZEH 比率13.9%を大きく上回っています。2013年の発売以来の累積棟数は、日本最多の60,843棟(2021年3月末時点)となりました。

当社は脱炭素宣言を行った翌年の2009年に、具体的な取り組みとして、太陽電池や燃料電池を標準採用するZEHの前身ともいえる「グリーンファースト」を発売。国が ZEHの定量的な概念を初めて公開した2012年度の末時点で、すでに当社の販売する戸建住宅の83.8%を占め、累積棟数は4.5万棟を超えていました。この設計・販売経験を持つ当社は、ZEHに進化させた「グリーンファースト ゼロ」についても発売開始初年度から49%と高い実績を挙げるなど、業界に先駆けZEHの推進を開始しました。

第5次エネルギー基本計画に定められた「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上でZEHの実現を目指す。」という政府目標に対し、2019年度時点で大手ハウスメーカー全体の実績は47.9%であり、概ね達成しています。当社の住宅業界を牽引してきたZEHの取り組みは、この目標達成に大きく貢献しています”

参考:報告書ダウンロード|サステナビリティ・ESG経営|積水ハウス

※ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略語です。家庭で消費するエネルギーと創るエネルギーとをバランスさせることで、エネルギー収支をゼロ以下にする家を意味します。

三菱UFJモルガンスタンレー証券

三菱UFJモルガンスタンレー証券では、2001年2月から、炭素のクレジット化をはじめとする気候変動対策に係るコンサルティングサービスを通じて、開発途上国の持続可能な発展に貢献するプロジェクトを推進。人材育成の取り組みにも主体的に関わっています。

“低炭素社会への転換は、地球温暖化を防止し、持続可能な社会を実現するうえで、きわめて重要な取り組みです。そうした取り組みを担うスペシャリスト(環境人材リーダー)を養成するために、人材育成に取り組んでまいりました。慶應義塾大学大学院で2009年度に開講した「低炭素社会デザインコース」の制度設計に関与、2011年春から同コースは「環境イノベータコース」として再構築され、「環境ビジネスデザイン論」を担当しております”

参考:環境人材の育成| 環境戦略アドバイザリー|三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

ダイキン工業

ダイキン工業では、製品性能における省エネ化や地球温暖化係数が小さく安全な冷媒への転換など、あらゆる面で環境負荷の低減に取り組んでいます。

“当社の主力商品であるエアコンは、使用時のCO2排出量が特に大きいため、インバータをはじめとした省エネエアコンや低温暖化冷媒を用いたエアコンを世界中で普及させることに注力しています。2020年度に温室効果ガス排出量を6,000万t-CO2抑制という目標に対し、2018年度に6,700万t-CO2抑制と目標を上回り、2020年度は7,000万t-CO2抑制を達成”

参考:環境負荷を低減する製品・サービスの開発と普及促進|ダイキン工業

参考情報

本稿ではSDGs13「気候変動に具体的な対策を」についての事例をお届けしてまいりました。もっと多くの事例を知りたい方、SDGs17の目標単位で様々な事例を知りたい方は下記の記事をご覧ください。

具体的でわかりやすい!SDGs17の目標毎の企業のSDGsの取り組み例

様々な企業のSDGsの取り組みをSDGs17の目標毎に分類しました。具体的にSDGsの取り組みを進めていく上で、参考になる情報があれば何よりです。

詳しく見る

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」について私たちにできること

日々の生活の中でCO₂の削減に取り組む

環境省の発表では、CO₂の部門別排出量(2020年度確報値)の中で家庭部門の占める割合は15.9%。全体で4番目に高い位置にあります。

<CO₂の部門別排出量(※)>

  • 産業部門:34.0%
  • 運輸部門:17.7%
  • 業務その他部門:17.4%
  • 家庭部門:15.9%
  • エネルギー転換部門:7.5%
  • 非エネルギー起源CO₂:7.4%

※発電及び熱発生に伴うエネルギ-起源のCO₂排出量を、電力及び熱の消費量に応じて、消費者側の各部門に配分した排出量

参考:環境省_2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

ゆえに、家庭の中でCO₂排出量を減らす工夫をすることには大きな意味があります。以下の項目の中で自分ができそうなものから、順番に取り組むことを推奨します。

  • 冷暖房機器の使用を必要最小限に留める
  • お風呂の残り湯を洗濯に活用する
  • 車の運転頻度を減らす(自転車で代用)
  • 家電製品のコンセントをこまめに外す
  • エコバッグを常用する
  • 照明をこまめに消す

パートナーシップの輪を広げる

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の観点で自分が起点・ハブとなり、自身が所属する会社や団体・地域コミュニティとパートナーシップ(協力関係)を築き、SDGsの取り組みを進める。

これも私たちにできることの一つです。

例えば、私たちプロジェクトデザインでは「SDGsについての理解・実践」を支援するツールとして様々なSDGsゲームをご提供しています。これらのゲームを活用することであなたの所属先やコミュニティでSDGsの取り組みを進めやすくなります。

・参考:SDGsゲーム

SDGsクイズ:「気候変動に具体的な対策を」編

【問1】 どの国が対象?

“●●の国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。”

これはSDGs13のターゲット13.1の内容です。この「●●の国々」に当てはまる内容として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • 途上国
  • 先進国
  • 世界
  • 全て

正解は「全ての国々」です。気候変動に伴う災害は地球規模に起こるものです(気候変動に国境はありません)。全ての国々が対策を講じる必要があります。

【問2】 年間1,000億ドルの共同動員は実現されている?

“重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる”

このSDGs13のターゲット13.aの内容にある「2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメント」は実現されているのかどうかに関して、正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • 実現されている
  • 実現されていない

正解は「実現されていない」です。

“事務総長は、今こそ緊急事態モードに移る時だと述べ、化石燃料への補助金を廃止し、石炭の利用を段階的に廃止し、炭素に価格をつけ、脆弱なコミュニティーを守り、1,000億ドルの気候変動対策資金のコミットメントを果たすよう呼びかけました”

参考:COP26、気候に関する「妥協」協定とともに閉幕するも、国連事務総長は「不十分」と指摘(UN News記事・日本語訳)|国連広報センター

監修者プロフィール

竹田 法信

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。

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SDGsの17の目標

SDGsは17の目標と169のターゲットで構成されます。SDGsは壮大すぎてどこから手を付ければ良いかが分かりづらい面がありますが、それぞれの目標に分けて見ていくことで、自分たちがどのようなSDGsの取り組みをすべきかのヒントが浮かび上がってきます。是非、以下のアイコンからSDGsの1~17の目標の解説記事をご覧ください。

※現在は、SDGs1~7、13・14を公開中です(順次公開してまいります)。