SDGs2「飢餓をゼロに」の企業の取り組み事例・私たちにできること

  • SDGs2「飢餓をゼロに」
    飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する(End hunger, achieve food security and improved nutrition and promote sustainable agriculture)

本稿では、このSDGs2の理解を深め、実際に企業が取り組みを進めている事例を知り、私たちにできることを考えていきます。

Contents(目次)

SDGs2「飢餓をゼロに」とは?

飢餓とは何か、飢餓は何故起きるのか

飢餓とは、どのような状態を指すのか? 国連世界食糧計画(WFP)では以下のように飢餓の状態を定義しています。

“飢餓とは、身長に対して妥当とされる最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なエネルギー(カロリー数)を摂取できていない状態を指します”

現在、飢えに苦しむ人々は世界で8億1100万人に達している状況です。国連人口基金(UNFPA)が発表している「世界人口白書2021」によると、2021年の世界人口は78億7500万人。約10人に1人が飢えに苦しんでいることが分かります。

ところで、飢餓は何故起きるのでしょうか?

その最も大きな要因は戦争や紛争です。実に、世界で飢えに苦しむ人びとの6割は戦争や暴力にさらされた地域で暮らしていると言われます。命は助かっても、家や財産、仕事が奪われることによって飢餓に陥りやすくなります。

生活基盤を破壊するという面では地震・台風・洪水・干ばつなどの自然災害の被害も同様です。自然災害の規模や頻度は気候変動の影響で深刻化の一途にある点は看過できません(だからこそ、SDGsに取り組む必要性があります)。

さらに、新型コロナウイルス感染症による経済的な影響も無視できるものではありません。観光産業のように、産業によっては深刻な経済的損失を被る形となり、そこで働く人々が貧困・飢餓に陥るケースが増えています。

もちろん、絶対的貧困状態(生きていく上で必要最低限の生活水準に達しておらず、衣食住もままならない状態)にある人々にとって飢餓は常に付きまとう問題であることは言うまでもありません。

・参考:飢餓の大惨事|World Food Programme

SDGs2を構成する8個のターゲット

2.1|2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2 |5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3|2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4|2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5|2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a|開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b|ドーハ開発ラウンドのマンデートに従い、全ての農産物輸出補助金及び同等の効果を持つ全ての輸出措置の同時撤廃などを通じて、世界の市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c|食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

SDGs2「 飢餓をゼロに」の企業の取り組み

井関農機

「農家を過酷な労働から解放したい」という想いから始まった井関農機は1926年(大正 15 年)設立の農業機械メーカーです。

世界のコメ生産量はアジアで全体の8割が生産されていますが、アジアの都市化に伴う農業の人手不足が課題となっています。井関グループでは日本で培った稲作技術を活かし、各地域に適した農業機械の提供を通して、アジア農業の機械化による生産性向上に貢献しています。

また、農地集積・規模拡大による生産性向上・農業従事者の減少・高齢化による人手不足などの課題を抱えている日本農業に対しても、ロボットトラクタなどのスマート農機やデータを活用したスマート農業の促進などで貢献しています。

参考:SDGsへの取り組み|井関農機

日清食品

「カップヌードル」「チキンラーメン」「日清のどん兵衛」などの日本有数の即席麺メーカーである日清食品では、災害発生時の被災地支援や貧困支援を目的としたインスタントラーメンの無償提供を行っています。

2022年3月9日、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて近隣諸国に避難している人々に対してインスタントラーメン10万食を無償提供すると発表したことも話題になりました(同時に国連WFP協会に対して1億1500万円の寄付も決定しています)。

参考:日清食品グループのサステナビリティ | 日清食品グループ

コークッキング

コークッキングは食品ロスを減らすために、まだおいしく安全に食べられるのに店頭では売り切るのが難しい食事を安価でレスキュー(購入)できるフードシェアリングアプリ「TABETE」を運営しています。

参考:食品ロスについて|TABETE – 自分にも、お店にも、地球にも。食品ロスを削減するフードシェアリングサービス

参考情報

本稿ではSDGs2「飢餓をゼロに」についての事例をお届けしてまいりました。もっと多くの事例を知りたい方、SDGs17の目標単位で様々な事例を知りたい方は下記の記事をご覧いただければと思います。

具体的でわかりやすい!SDGs17の目標毎の企業のSDGsの取り組み例

様々な企業のSDGsの取り組みをSDGs17の目標毎に分類しました。具体的にSDGsの取り組みを進めていく上で、参考になる情報があれば何よりです。

詳しく見る

SDGs2「 飢餓をゼロに」について私たちにできること

募金・寄付をする

飢餓の問題は貧困問題と密接に関わっているため、募金や寄付を通じた支援によってSDGs2の目標達成に貢献することができます。

  • WFP国連世界食糧計画(国連WFP)
    国連WFPは女性と子どもの栄養強化、小規模農家の生産性向上と損失削減、国やコミュニティによる気候に関する災害への備えと対応支援、学校給食支援による人的資本の強化に取り組んでいます。
  • ユニセフ(国連児童基金)
    ユニセフは世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する国連機関です。保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援、アドボカシーなどの分野で支援活動をおこなっています。
  • TABLE FOR TWO International
    TFTでは、東アフリカに位置するウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ケニア、マラウイと 東南アジアのフィリピンの6か国で、学校給食プログラムと菜園・農業生産性向上プログラムの支援を行っています。

食品ロスの問題解決に取り組む

食品ロス(まだ安全に食べられるのに捨てられてしまう食べもの)やフードロス(生産・収穫された食べ物のうち、消費者に届く前に廃棄になってしまう食べ物)は私たち消費者が取り組むことのできる問題です。

例えば、近年では消費者と生産者を直接結ぶサービスが増えてきています。そういったサービスを利用して、店頭には並ばない規格外の野菜や果物(通常は廃棄されるもの)を購入することで食品ロスを減らすことができます。もちろん、食品を無駄にしない(不要な食品は買わない・買った食品を廃棄しない)ことも重要です。

そういった一人ひとりの取り組みが積み重なることで、食品の輸入量を抑えることができ、食品を本当に必要とする人に食品を届けやすくすることに貢献できます。

パートナーシップの輪を広げる

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の観点で自分が起点・ハブとなり、自身が所属する会社や団体・地域コミュニティとパートナーシップ(協力関係)を築き、SDGsの取り組みを進める。

これも私たちにできることの一つです。

例えば、私たちプロジェクトデザインでは「SDGsについての理解・実践」を支援するツールとして様々なSDGsゲームをご提供しています。これらのゲームを活用することであなたの所属先やコミュニティでSDGsの取り組みを進めやすくなります。

・参考:SDGsゲーム

SDGsクイズ:「飢餓をゼロに」編

【問1】 撲滅するのは何?

“2030年までに、●●を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする”

これはSDGs2のターゲット2.1の内容です。この「●●を撲滅」に当てはまる内容として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • 貧困を撲滅
  • 飢餓を撲滅
  • 飢饉を撲滅
  • 災害を撲滅

正解は「飢餓を撲滅」です。

飢饉という言葉と間違える方もいらっしゃると思いますが、飢饉は「何らかの要因により人々が飢え苦しむこと」を指します。具体的には「特定地域における死亡率を急激に上げる極端な食料不足の事態」を指し、日本においては「江戸四大飢饉」が知られています。

【問2】 飢えに苦しむ人々の人数は?

“2022年現在、飢えに苦しむ人々は世界で●億●●●●万人に達している状況です”

この文中にある「●億●●●●万人」に当てはまる内容としてて正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • 7億1100万人
  • 7億5500万人
  • 8億1100万人
  • 8億5500万人

正解は「8億1100万人」です。

【問3】WFPとは?

国連WFPの「WFP」の正式名称として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • World Financial Programme
  • World Fund Programme
  • World Food Programme
  • World Food Plan

正解は「World Food Programme」です。日本語だと「世界食糧計画」を意味します。

監修者プロフィール

長瀬 めぐみ

岐阜県高山市出身、富山県滑川市在住。実家が100年以上続くお菓子屋を営んでおり、幼少期より観光や地域産業が身近な環境で育つ。高校時代、同級生が家業を知らない現実にショックを覚え、地域創生に関心を持ち始める。短大卒業後、すぐにUターン。まちづくりのNPOで子どもの教育支援や大学のない中山間地域へ若者を誘致するインターンシップ、農業支援などの取り組みで4年間で延べ600人以上の学生と関わる。様々な活動の中で、地域が元気になるためには、地元の若者が育つ仕組みと地域の大人が楽しんで地域に参画する土壌づくりの必要性を感じ、公立高校で学校と地域をつなぐコーディネーターなども務めた。体験から気づき、意識・行動変革をもたらすゲームコンテンツに魅力を感じ、全国に広めたい!とプロジェクトデザインに参画。地元飛騨が大好き。

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SDGsの17の目標

SDGsは17の目標と169のターゲットで構成されます。SDGsは壮大すぎてどこから手を付ければ良いかが分かりづらい面がありますが、それぞれの目標に分けて見ていくことで、自分たちがどのようなSDGsの取り組みをすべきかのヒントが浮かび上がってきます。是非、以下のアイコンからSDGsの1~17の目標の解説記事をご覧ください。

※現在は、SDGs1~7、13・14を公開中です(順次公開してまいります)。