SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の企業の取り組み事例・私たちにできること

  • SDGs11「住み続けられるまちづくりを」
    包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する(Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable)

本稿では、このSDGs11の理解を深め、実際に企業が取り組みを進めている事例を知り、私たちにできることを考えていきます。

Contents(目次)

SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals|持続可能な開発目標)とは2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。

誰一人取り残さない(leave no one behind)のスローガンのもとに、193か国の国連加盟国が2016年~2030年の15年間でSDGsの17の目標と169のターゲットの達成を目指しています。

SDGsのことについて、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

SDGsが必要とされる背景と歴史、SDGsの原則。そして、人(私たち一人ひとりの個人)と組織(企業や自治体)がSDGsを自分事として捉えるきっかけとなるような情報をお届けします。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」とは?

社会インフラ(電気・水道・ガス・交通・金融・病院・学校など)が整備され、住居・商業施設・公共施設が集まり、社会経済活動の基盤の役割を担っている都市は、人々に対して安心安全で快適な生活環境を提供しています。

より良い生活を求めて人々が都市部に移住することは自然なことであり、事実、世界の都市人口は年々増加傾向にあり、すでに農村人口よりも多い状況にあります。

“2018年現在、55%の世界人口が都市部に暮らしている。1950年には、30%に過ぎなかった都市部人口は、2050年には68%に達すると予測されている”

“世界の農村人口は、1950年来、緩やかな増加を続け、現在34億人に達したが、数年でピークに達し、2050年には31億人程度になると予測されている。アフリカとアジアで世界の農村人口の90%を抱えている”

参考:国際連合「世界都市人口予測・2018年改訂版 [United Nations (2018). 2018 Revision of World Urbanization Prospects.]」概要| 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター|JIRCAS

※都市人口の増加は、「純粋な人口増加」と「農村から都市への人口移動」の両方に起因しています。

都市人口が増加する中においても「住み続けられるまちづくり」を実現する上では、スラム(極貧層が居住する地区)の問題や大気汚染の問題、自然災害の問題や地域の過疎化問題など、幾つもの問題に向き合う必要があります。

「住み続けられるまちづくり」を実現する上での問題

スラムの問題

治安が悪い、衛生状態が良くない、住居が災害に弱い、十分なインフラが整備されていない、公共サービスが行き届かない、などの多くの問題を抱えるスラム(極貧層が居住する地区)。

国際連合人間居住計画(UN‒Habitat)の調査によると、実に10億人もの人々がスラムや不法居住地で暮らしている状況です。

“現在、世界人口の20%にあたる16億人が不適切な住宅で暮らしており、そのうち10億人がスラムや不法居住地で暮らしています”

参考:世界都市報告書2020 持続可能な都市化の価値 主な調査結果とメッセージ|UN-HABITAT

人々がスラムに暮らす理由は、貧困です。

農村部から職を求めて都市部に移ったものの仕事が見つからなかった人々や、都市部に居住していたが失職をきっかけに収入源が途絶えてしまった人々にとって、スラムが唯一の住居の選択肢になっています。

大気汚染の問題

交通網が発達した都市、工業化が進んでいる都市においては、自動車や工場から出る煙(に含まれる大気汚染物質)が大気汚染の問題を深刻化させます(2016年には深刻な環境大気汚染が原因で420万人が死亡したことが報じられています)。

“大気汚染は、私達が社会活動を行うことに伴って引き起こされます。その主な原因としては、工場などが生産活動を行う際に大気汚染物質が排出される場合と物流や人流など自動車の使用によって大気汚染物質が排出される場合があります”

参考:大気汚染の原因|大気汚染の現状と対策|大気環境の情報館|大気環境・ぜん息などの情報館|独立行政法人環境再生保全機構

“2016年、全世界の都市人口の91%は、粒状物質(PM 2.5)について世界保健機関(WHO)が設定した大気環境ガイドラインの基準値を満たさない空気を吸っているほか、その過半数が安全基準の2.5倍以上の大気汚染にさらされています。2016年には、深刻な環境大気汚染が原因で、420万人が死亡したものと見られています”

参考:SDGs報告2018 | 国連広報センター

今後も都市人口が増加し続けることが予測される中において、大気汚染の問題も拡大し続けることは想像に難くありません。

自然災害の問題

多くの人口を抱える都市にとって、地震・火災・洪水・台風などの自然災害に備えることは重要な問題です。都市としては、自然災害による被害を最小限に留め、いち早く復旧する強靭なインフラを構築することが求められています。

この “強靭さ(レジリエンス)” という言葉が何を指すのかについては、SDGs11のターゲット11.bの内容が参考になります。

“2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う”

この「仙台防災枠組2015-2030」の中で定められている4つの優先行動で言及されているように、災害に対する強靭さとはハードを整えればそれでよいということはなく、ハード・ソフトの両面での対策が重要であることが分かります。

災害リスクの理解
災害に備えるためには、過去の災害や、防災に関する知識・教訓等を学び、理解することが重要です。また、様々なネットワークや手段を活用し、防災に関する情報収集と共有を進めることが求められています”

災害リスクを管理する災害リスク・ガバナンスの強化
災害対策では、行政と地域がそれぞれの役割を理解し、計画とスケジュールを正しく管理することで、災害のリスクを減らすことができます。あらゆるステークホルダーが防災に参加し、互いに連携する必要があります”

靭性のための災害リスク削減への投資
重要施設の耐震化や防潮堤・避難施設の建設といったハード対策と、防災計画の策定や防災教育といったソフト対策への事前投資は、災害から私たちの命・環境・資産を守り、災害後の復旧・復興を迅速に進めることを可能にします。 このような防災への事前投資は、災害後の投資と比べて費用対効果が高いとされ、都市の災害対応力を強化するためにも積極的に進める必要があります”

効果的な災害対応への備えの向上と、復旧・復興過程における「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」
ハード・ソフトの両面からあらゆるステークホルダーの災害対応能力を向上させることは防災の鍵となります。特に災害後の復旧・復興過程は、災害の経験と教訓を取り込み、都市全体の災害対応能力を強化する「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」を行う重要な機会となります”

参考:「仙台防災枠組」推進に向けた取り組み|防災環境都市・仙台

地域の過疎化問題

地域から都市部への人口移動は都市の発展をもたらす一方で、地域の過疎化を進め、地域の経済・社会・環境に負の影響を与えています(以下例)。

  • 消費者の減少に伴う地域の商店の廃業
  • 働き手の減少に伴う工場の閉鎖
  • 税収減少に伴う行政サービスの低下
  • 利用者の減少に伴うバス路線の減便や廃止
  • 農業の後継者不足による耕作放棄地の増加
  • 里山の荒廃による獣害の増加
  • 住民の減少による空き家の増加

また、地域の過疎化は、地域だけの問題に留まりません。都市部へも影響を及ぼしています。

“過疎地域の集落は、農林水産物の供給を通じて都市を含めた日本全体にとっての食料生産の重要な担い手であると同時に、農地・森林などの維持によって都市を含めた地域全体の環境を保全する重要な役割を担っている。また、都市的な生活では見失われがちな「人と人がつながる共同体を重視した暮らし方」「自然と折り合い、自然とともに暮らす生活と技術」を伝承してきている。このように、「地域環境」「食料供給」「生活文化」の視点に立って過疎地域の集落の機能と価値を改めて評価し、その集落での暮らしを持続させることが、都市にとっても大きな意味をもっていると認識する必要がある”

参考:過疎地域等における今後の集落対策のあり方に関する中間とりまとめ(案) 

この地域の過疎化は日本においても重要な問題であり、2014年から「地方創生」の取り組みがスタートしています。

“地方創生とは、少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目指すものです”

参考:地方創生とは?:財務省北陸財務局

現在は「地方創生SDGs」という形で、SDGsの理念に沿った形での地方創生の取り組みを重視しています。具体的な取り組み例としては2018年から開始している「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」が有名です。

“持続可能なまちづくりや地域活性化に向けて取組を推進するに当たっては、SDGsの理念に沿って進めることにより、政策全体の全体最適化、地域課題解決の加速化という相乗効果が期待でき、地方創生の取組の一層の充実・深化につなげることができるため、SDGsを原動力とした地方創生を推進します”

“地方創生を深化させていくためには、中長期を見通した持続可能なまちづくりに取り組むことが重要です。地方公共団体によるSDGsの達成に向けた取組は、地方創生の実現に資するものであり、その取組の推進に向け、地方創生分野における日本の「SDGsモデル」の構築を進めています。地方公共団体によるSDGsの達成に向けた優れた取組を提案した60都市を「SDGs未来都市」として選定しました。また、その中で特に先導的な取組20事業を「自治体SDGsモデル事業」として選定し、これらの取組を支援するとともに、成功事例の普及展開等を行い、地方創生の深化につなげていきます”

参考:地方創生SDGs|地方創生SDGs・地方創生SDGs官民連携プラットフォーム・「環境未来都市」構想(内閣府)

 

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」のターゲット​

11.1|2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

11.2|2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

11.3|2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

11.4|世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

11.5|2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

11.6|2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

11.7|2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

11.a|各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。

11.b|2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

11.c|財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の日本における達成状況

SDGsの達成・進捗状況を知る上では、Sustainable Development Report 2023 のデータが参考になります。

本レポートによると、SDGs11の日本における達成状況は「Challenges remain(課題が残る)」、進捗状況は「Moderately improving(適度に改善している)」です。

<SDGs11の達成状況>

  • Dashboards:Challenges remain
  • Trends:Moderately improving

参考:Sustainable Development Report 2023

具体的には、下記の指標において「Challenges remain」と評価されている状況です。

  • Annual mean concentration of particulate matter of less than 2.5 microns in diameter (PM2.5の年間平均濃度)
  • Population with rent overburden(住宅費の合計が可処分所得の 40 % 以上を占める世帯に住んでいる人口の割合)

また、Satisfaction with public transport(公共交通機関の満足度)の指標では「Significant challenges remain」と評価されています。

日本は世界的に交通インフラが高度に発達していると評されるものの、現地に住む人の満足度は必ずしも高くはない現実があります(例えば、地方においては電車やバスの不採算路線の廃止により、交通の便が悪化する問題が起きています)。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の企業の取り組み事例

大和ハウス工業

大和ハウス工業では、同社が過去に開発した郊外型住宅団地(ネオポリス)等を再耕する「リブネスタウンプロジェクト」を推進しています。

“私たちが直面している少子高齢化や人口減少、空き家問題という社会課題。多くの人が暮らす街や住まいも、時間を経て成熟し、これまで当たり前と思ってきた暮らしに大きな変化が訪れる現在。今までも、これからも、お客さまと共にあり続けるために私たちが出来ること。当社が過去に開発した郊外型住宅団地(ネオポリス)等を再耕する「リブネスタウンプロジェクト」はそこに暮らす人々と共に考え、街と暮らしに寄り添い続けたい。未来に向かって輝き続ける街の価値を築いていきたいという想いが詰まっています。私たち大和ハウスグループにできるすべてをもって、今こそ街の再耕へ”

参考:リブネスタウンプロジェクト|大和ハウス工業

ヤフー

ヤフーでは、住民がいつでもどこでも災害情報にアクセスできるように、各自治体と連携したタイムリーな災害情報の提供に努めています。

“災害協定では、災害時にタイムリーな災害情報を住民の方に伝えることを目指し、各自治体との協定締結を進めています。自治体から発せられる災害に関する注意喚起、自治体が指定する避難所や避難場所等の情報、その他さまざまな災害に関する情報にアクセスできるよう、ヤフーが集約・整理して提供します。また、災害時に自治体の運営するウェブサイトがアクセスの集中により閲覧しづらい状況になることを防ぐため、キャッシュサイトを公開し、負荷軽減を実現します”

参考:災害協定によるタイムリーな災害情報の提供|ヤフー株式会社

プロジェクトデザイン

プロジェクトデザインでは、SDGsと地方創生の共通点・対話・協働を理解し、SDGsや地方創生に関する具体的なアクションに繋げるビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」を開発・提供しています。

“地方創生の活動とSDGsの本質(SDGsで重要とされる考え方)には共通点があります。「SDGs de 地方創生」では、この共通点への気づきを促し、「地域の人々の日々の営みがSDGsに貢献し得ること」や「自分起点で周囲を巻き込んでいく感覚がSDGsの実践には大切であること」を学べます”

参考:ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」|株式会社プロジェクトデザイン

ファミリーマート

ファミリーマートは「指定公共機関」として、防災業務計画の策定をはじめ、災害予防・応急対策・復旧などにおいて重要な役割を果たしています。

“ファミリーマートが日本全国に持つ物流網を活かして組織的な輸送力や緊急支援物資の提供を行い、また店舗においては地域住民の避難拠点としての役割を果たすことが可能です。そのため、すべての都道府県と災害時の物資支援協定を締結しており、災害時の支援要請については24時間365日お受けし、社内の関係各部署担当者からなる「災害物資支援チーム」が敏速に対応します。

もし、局所的にサプライチェーンが寸断される事態が発生した場合でも、全国の物流網を活かして社会・生活インフラとしての使命を果たすべく、原材料の調達や店舗への配送を近隣の拠点がサポートします

参考:災害対策・被災地支援|サステナビリティ|ファミリーマート

参考情報

本稿ではSDGs11「住み続けられるまちづくりを」の事例をお届けしました。より多くの事例を知りたい方、SDGs17の目標単位で様々な事例を知りたい方は下記の記事をご覧ください。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」について私たちにできること

災害に備える

  • 防災グッズを用意しておく
  • 食糧や飲料水を備蓄しておく
  • 災害発生時の家族間の連絡手段や避難場所を決めておく
  • ハザードマップを確認しておく
  • 自治体が開催する防災訓練に参加する

などの災害が起きた時の備えをしておくこと。そういった個人や家庭での努力が、自身が住むまちの災害に対する強靱さ(レジリエンス)にも影響します。

パートナーシップの輪を広げる

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の観点で自分が起点・ハブとなり、自身が所属する会社や団体・地域コミュニティとパートナーシップ(協力関係)を築き、SDGsの取り組みを進める。

これも私たちにできることの一つです。

例えば、私たちプロジェクトデザインでは「SDGsについての理解・実践」を支援するツールとして様々なSDGsゲームをご提供しています。これらのゲームを活用することであなたの所属先やコミュニティでSDGsの取り組みを進めやすくなります。

・参考:SDGsゲーム

SDGsクイズ:「住み続けられるまちづくりを」編

【問1】何を改善するのか

“2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、●●●を改善する”

これはSDGs11のターゲット1の内容です。この中の「●●●を改善する」に当てはまる内容として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • スラムを改善する
  • 生活環境を改善する
  • 格差を改善する

正解は「スラムを改善する」です。世界では10億人もの人々がスラムや不法居住地で暮らしている現状があります。

【問2】公共共通手段への便利なアクセスが可能な世界の都市住民の割合

“2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する”

これはSDGs11のターゲット2の内容です。2019年時点において、公共交通手段への便利なアクセス(※)が可能な世界の都市住民の割合として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  • 半数
  • 75%
  • 85%
  • 95%

※便利なアクセスとは、バス停留所/小規模輸送システムから徒歩で500メートル以内、鉄道駅またはフェリー乗り場から1,000メートル以内に暮らしていること

正解は「半数」です。

日本の都市部では公共交通手段がかなり整備されているように感じますが、世界規模で見ると、都市であっても、公共交通機関へのアクセスが不便な状況にある住民が多いことが分かります。

参考:SDGs報告2021|国連広報センター

ちなみに、路面電車をはじめとする公共交通の活用による中心市街地活性化を行っている日本の事例としては富山県富山市が有名です。

“この計画では、富山駅の南北一体的なまちづくりを進めることで、中心市街地全体の回遊性の向上や、民間事業者やNPO法人などの関係者の連携強化による更なる賑わいの創出など、多くの市民がまちなかに集い、賑わいが中心市街地全体に広がるような取り組みを行うこととしております。また、公共交通の利便性が高く、医療機関や商店街、文化施設が集積するなど、高齢者にやさしい環境であるこの中心市街地が、高齢者がいつまでも元気に自立して暮らし、住民同士の交流が活発な、富山市版CCRC(生涯活躍のまち)と言えるまちとなるよう、目指すべき都市像を「人が集い、人で賑わう、誰もが生き生きと活躍できるまち」とし、その実現に向けて各種事業に取り組みます”

参考:富山市 富山市中心市街地活性化基本計画

下図のイシューマップ(※)をご覧の通り、富山市の取り組みは、公共交通の活用による中心市街地活性化を起点として様々な好影響を生み出すことが期待されています。

 

<公共交通の活用による中心市街地活性化を起点とした影響例>

  • 公共交通の活用による中心市街地活性化→車依存の減少→環境負荷の低減
  • 公共交通の活用による中心市街地活性化→外出機会の増加→健康増進→社会保障費用の減少→税収の増加
  • 公共交通の活用による中心市街地活性化→外出機会の増加→消費増加→産業活性化→雇用の増加→人口流入→消費増加(以下ループ)
  • 公共交通の活用による中心市街地活性化→民間投資→地価アップ→税収の増加

※イシューマップとは、難しいと思われがちなシステム思考をシンプルに実施するフォーマットを意味します。SDGs17領域上に課題を配置することで、あなたの捉えている世界の偏りが確認でき、視野が広がります(参考:SDGs de 未来構想|issue+design)。

この記事の著者について​​

執筆者プロフィール

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

監修者プロフィール

長瀬 めぐみ

岐阜県高山市出身、富山県滑川市在住。実家が100年以上続くお菓子屋を営んでおり、幼少期より観光や地域産業が身近な環境で育つ。高校時代、同級生が家業を知らない現実にショックを覚え、地域創生に関心を持ち始める。短大卒業後、すぐにUターン。まちづくりのNPOで子どもの教育支援や大学のない中山間地域へ若者を誘致するインターンシップ、農業支援などの取り組みで4年間で延べ600人以上の学生と関わる。様々な活動の中で、地域が元気になるためには、地元の若者が育つ仕組みと地域の大人が楽しんで地域に参画する土壌づくりの必要性を感じ、公立高校で学校と地域をつなぐコーディネーターなども務めた。体験から気づき、意識・行動変革をもたらすゲームコンテンツに魅力を感じ、全国に広めたい!とプロジェクトデザインに参画。地元飛騨が大好き。

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