サーキュラーエコノミーとは何か?企業の取り組み事例と、私たちにできること

サーキュラーエコノミーとは何か。その意味や目的、そして、サーキュラーエコノミーに関する企業の取り組み事例と私たちにできることを分かりやすくご紹介します。

Contents(目次)

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーの定義

サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、気候変動や生物多様性、廃棄物や汚染などの環境・社会の課題に対応するための経済システムです。

原材料→生産→消費→リサイクルの循環構造の中で「資源・製品の価値の最大化」「資源消費の最小化」「廃棄物の発生抑止」を目指すことで、GDP(国内総生産)と資源効率性を共に高めることを可能とします。

“循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです”

参考:環境省_令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行

リニアエコノミーから、サーキュラーエコノミーへ

サーキュラーエコノミーが必要とされる理由は、それが資源を無駄なく循環させることで環境負荷を減らすことと、経済成長の両立を目指すモデルであるからです。

これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型のリニアエコノミー(原材料→生産→消費→廃棄物という一方通行の流れの経済システム)はGDP(国内総生産)を主要な評価指標とする、経済活動と環境負荷の関係が正相関となる社会経済システムです。そのため、世界的な人口増加・経済発展に伴い、環境・社会問題が深刻化し続ける中で限界を迎えている状況にあります。

<環境・社会問題の例>

  • 気候変動
  • 生物多様性の損失
  • 海洋ごみ問題
  • 食品ロス問題
  • 都市鉱山(再資源化)の問題
  • 資源・食糧・エネルギーの需要増加

そのような背景から、経済システムを根本から見直す機運が高まる中で、サーキュラーエコノミーへの移行が進んでいます。

サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラル

「環境・社会・経済」の観点から、将来に渡って世の中(地球・世界)を持続可能なものにするための活動を続ける、サステナビリティ。このサステナビリティにおける具体的なテーマ・アクションとして、サーキュラーエコノミーと、カーボンニュートラルが位置付けられています。

原材料→生産→消費→リサイクルの循環構造の中で資源・製品の価値の最大化資源消費の最小化廃棄物の発生抑止を目指すサーキュラーエコノミー。

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるためにデカップリング(経済成長と温室効果ガスの排出量の切り離し)への挑戦をするカーボンニュートラル。

それぞれに言葉の定義は違いますが、【経済】と【環境・社会】とのトレードオン(トレードオフを乗り越えて両立させること)の実現を目指す方向性は同じであり、それぞれが互いに密接に関わり合っています。例えば、サーキュラーエコノミーの活動によって廃棄物を減らすことで(廃棄物の原材料としての活用が増えることで)焼却処分による温室効果ガスの「排出量を減らす」ことに繋がり、カーボンニュートラルの実現にも近づきます。

※カーボンニュートラルについて詳しい情報を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

サーキュラーエコノミーとSDGs

サーキュラーエコノミーとSDGsにはどのような関連があるのでしょうか?

具体的なSDGsとの関連性をご紹介します(サーキュラーエコノミーという経済システムを実現させることは、SDGsの17の目標と169のターゲットを達成することにも繋がります)。

・SDGs9「産業と技術革新の基盤を作ろう」
このSDGs9のターゲットに「9.4|2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う」があります。「資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入」という部分がサーキュラーエコノミーに密接に関連しています。

参考:SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の企業の取り組み事例・私たちにできること

 

・SDGs12「つくる責任、つかう責任」
SDGsの17の目標の中で、特にサーキュラーエコノミーと関連が深いのがSDGs12(持続可能な消費と生産の実現を目指すゴール)です。このSDGs12のターゲットには「12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利⽤を達成する」「12.5 廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」などが設定されています。

参考:SDGs12「つくる責任つかう責任」の企業の取り組み事例・私たちにできること

 

・SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
異常な気候変動(干ばつ、集中豪雨、大型台風など)は温室効果ガスの排出増加に伴う地球温暖化の影響だと考えられています。オランダのサーキュラーエコノミー推進団体のCircle Economyが発表した「Circularity Gap Report 2021 (循環性ギャップレポート 2021)」では、サーキュラーエコノミーは2019年の温室効果ガス排出量の39%にあたる228億トン(CO2換算)を削減し、気候崩壊を防ぐことに大きく寄与すると試算しています。

参考:SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の企業の取り組み事例・私たちにできること

 

・SDGs14「海の豊かさを守ろう」
サーキュラーエコノミーは環境保護に関するSDGsの目標とも関連性が高いと言えます。サーキュラーエコノミーでは設計段階から廃棄物を出さないこと、そして3原則の1つである「自然システムを再生する」ことを目指しているため、ごみによる海洋汚染と海の生態系を保護する点で深く関わっています。

参考:SDGs14「海の豊かさを守ろう」の企業の取り組み事例・私たちにできること

 

・SDGs15「陸の豊かさも守ろう」
「陸域⽣態系の保護、回復、持続可能な利⽤の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに⼟地の劣化の阻⽌・回復及び⽣物多様性の損失を阻⽌する」というSDGs15の内容も環境保護という観点でサーキュラーエコノミーと関連します。持続可能な資源の原料調達を行い、自然システムを再生することで生態系を守ることができます。

参考:SDGs15「陸の豊かさも守ろう」の企業の取り組み事例・私たちにできること

 

このように、サーキュラーエコノミーの実現は、様々なSDGsのゴール達成に繋がります。

企業にとってのサーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーは儲かるのか?

企業がサーキュラーエコノミーへの取り組むを力強く進める上で、その取り組みにどれぐらいの経済合理性が見込めるのかは大きく関心が向くところです。

この観点において、PwCが発表した「新たな価値を目指して サステナビリティに関する消費者調査 2022」の調査結果が参考になります。

“欧米では、サステナブルな選択肢が明確で、かつ豊富にある。その結果、消費者の問題意識が刺激されるとともに、ストレスなくサステナブルな購買ができる環境が生まれている。実際、本調査において、サステナブルな商品の購入経験がない人が、「身近に売っていない」ことをその理由に挙げた割合は、日本では19%であるのに対し、米国は13%、英国は5%だった。英国やフランスでは、NGOや小売、食品メーカー、IT企業などが協働し、食品の生産過程の環境負荷を示すラベルを開発し始めている。消費者が一目でわかるように、環境負荷の低いものから高いものへ順にA(緑)、B(黄緑)、C(黄)、D(オレンジ)、E(赤)のラベルで表示する方法である。米国の大手小売も、サステナビリティに積極的に取り組むサプライヤーの商品に特別なラベルを付している。日本でも、メーカーと小売が手を取り合い、サステナビリティ市場を育てていくことが必要であろう”

参考:新たな価値を目指して サステナビリティに関する消費者調査2022|Consumer Markets: PwC

これは調査結果の一部に過ぎませんが、この断片的な内容だけでも、欧米のサステナビリティ市場が日本の大きく先を行っていること、そして、消費者を変える(市場を大きくする)ために企業同士が手を取り合っていることが読み取れます。

本調査でも言及されている通り、日本のサステナビリティ市場は黎明期であるものの、欧米のように市場が大きくなる兆しがあります。そのことを踏まえると、サステナビリティの果実を得るためには、消費者の目覚めを待つのではなく、消費者を変えるべく企業の側から動くことが肝要であると捉えられます。

※本調査では他にも興味深いデータ・考察が数多く示されています。ぜひ調査結果を直接ご覧ください。

サーキュラーエコノミーの3原則

企業がサーキュラーエコノミーの取り組みを進める上では、エレン・マッカーサー財団(サーキュラー・エコノミーへの移行を推進することを目的に2010年に設立された団体)が掲げる3つの原則が参考になります。

・サーキュラーエコノミーの3つの原則

1. Design out waste and pollution:廃棄物や汚染を生み出さない設計GHG排出、有害物質、水・大気の汚染や交通渋滞など経済活動による人の健康や自然環境への負荷を低減する
2. Keep products and materials in use:製品や原材料を使い続ける設計によって製品・部品・素材の耐久性向上、リユース、再製造やリサイクルを進め、製品と原材料を捨てずに最大限利用可能な範囲で使い続けること
3. Regenerate nature:自然のシステムを再生する再生可能エネルギーの活用や土壌への養分還元など、非再生資源の使用を避け、再生可能資源を活用する。

※企業の循環性評価のための枠組み「Circulytics」では、この3つの原則のいずれか1つ以上に該当し、かつ他の2つに逆行しないこととされています。

参考:循環型の事業活動の類型について(P10)|経済産業省・環境省

この3原則の中で、最もサーキュラーエコノミーの本質を表しているのが、1つ目の「Design out waste and pollution:廃棄物や汚染を生み出さない設計」です。

3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))では「廃棄物を減らす、廃棄物にせずに繰り返し使う、廃棄物を資源として利用する」というように廃棄物が出ることを前提とする中で、サーキュラーエコノミーでは廃棄物を出さない設計を原則としています。

下図に示されるようにサーキュラーエコノミーの循環の流れの中に「廃棄物」はありません。

ちなみに、3Rとサーキュラーエコノミーはそもそもの目的が異なります。

3Rが廃棄物・環境対策を目的とするのに対して、サーキュラーエコノミーは経済と環境・社会とのトレードオンを目的とします。

つまり、サーキュラーエコノミーには廃棄物・環境対策という目的と、サステナブルなビジネスモデルへの転換という2つの目的があります。

サーキュラーエコノミーのビジネスモデル

企業がサーキュラーエコノミーに関する取り組みを進めていく上で、もう1つ参考になる情報をご紹介します。

それは、経済産業省が公表している「循環経済ビジョン2020(概要)」に掲載されている、設計・生産・利用・廃棄の各段階における循環性の高いビジネスモデル例です。

事業活動を実施するに当たり、設計・生産・利用・廃棄のあらゆる段階において、その業態に応じた循環型の取り組みを選択することが推奨されています。

<設計段階のビジネスモデル例>

    • リデュース設計(軽量化等)
    • リユース・リサイクルに適した設計(易解体設計やモノマテリアル化)
    • 長期使用可能な製品・サービス設計(耐久性、アップグレード性、修理可能性の確保)
    • オーダーメード型の製品設計による余剰機能の削減
    • 再生材などの環境配慮型素材の積極利用


<生産段階のビジネスモデル例>

    • 生産工程の最適化による生産ロス(端材等)の削減や端材・副産物の再利用
    • IoT等を活用し、需要に応じた供給を徹底することによる販売ロスの削減


<利用段階のビジネスモデル例>

    • リース方式によるメンテナンスまで含めた製品の有効活用
    • IoTによるサービス化を通じた資産の運転効率や稼働率の向上、長期利用の実現(PaaS/MaaS)
    • シェアリング等を活用した遊休資産の有効活用
    • 中古品のリユースやカスケード利用


<廃棄段階のビジネスモデル例>

    • 製品自主回収等を通じたリサイクルの推進
    • 産業廃棄物の削減・リサイクルの徹底
    • 廃棄物の性状に応じた最適なリサイクル手法の選択

参考:循環経済ビジョン2020(概要)資料4-1|経済産業省

サーキュラーエコノミーに関する企業の取り組み事例

日本政策投資銀行

日本政策投資銀行では、貸付人であるDBJとの「対話」を通じて、お客さまのサステナビリティ経営の高度化を動機付ける最適なSPTsの設定と、SPTsとして掲げた目標の達成に向けたご支援をする「DBJ-対話型サステナビリティ・リンク・ローン」を提供しています。

“サステナビリティ・リンク・ローンとは、Loan Market Association等が策定した「サステナビリティ・リンク・ローン原則」及び環境省が策定した「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」に基づき、借入人のサステナビリティ戦略と整合した目標(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット/SPTs)の達成状況と融資条件を連動させるインセンティブを付けることで、借入人及び社会の持続可能な成長を企図するファイナンス手法です”

参考:DBJ-対話型サステナビリティ・リンク・ローン|金融サービス|日本政策投資銀行(DBJ)

資生堂・積水化学工業・住友化学

資生堂・積水化学工業・住友化学の3社は、プラスチック製化粧品容器を回収し、分別することなく資源化、原料化を経て、容器として再生する一連の循環モデル構築に向けた取り組みを開始しています。

“化粧品容器は、中身の保護、使いやすさ、デザイン性が重視されるため、多種多様なプラスチックから作られていますが、それらの分別は難しく、プラスチック資源として循環利用する際の課題となっています。そこで、3社は互いの強みを生かして、プラスチック製化粧品容器の回収から再生までの新たな仕組みを構築することにしました。

資生堂は、店頭を通じたプラスチック製化粧品容器の回収スキームの構築と、化粧品容器への再生ポリオレフィンの活用に取り組みます。

積水化学は、使用済みプラスチックなどの可燃性ごみを分別することなくガス化し、微生物の力でエタノールに変換する“BRエタノール技術”を用いて、プラスチックの原料であるエタノールへの資源化を行います。

住友化学は、資源化したエタノールを原料にエチレンを製造する技術を用いて、従来の化石資源を原料とした製品と同等の品質を持つ再生ポリオレフィンを提供します。

3社が企業の垣根を超えて連携するとともに、関連する業界や企業にも参加を働きかけ、サーキュラーエコノミーの実現を目指します”

参考:資生堂、積水化学、住友化学の3社協業によるプラスチック製化粧品容器の新たな循環モデル構築に向けた取り組みを開始|積水化学工業株式会社

トヨタ自動車

トヨタ自動車では、限られた資源を有効に使うため、使い終わったクルマに使われているものが再びクルマを生産するときの材料として使用できるようにリサイクル技術の開発を進めています。

“トヨタでは、使用済みのクルマをリサイクルしやすくするために、解体するときに部品を取り外しやすい設計にしています。現在、トヨタではクルマ1台の重さにして、約99%がリサイクルされています”

参考:循環型社会・システム構築チャレンジ|トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

アダストリア

グローバルワークやニコアンドなどのブランドを展開するアダストリアでは、事業による環境負荷を低減させ、ファッションの世界をサステナブルにするための様々な取り組みを進めています。

“⽇本国内の衣料品の3R(リユース/リサイクル/リペア)率は30%未満とされ、多くが使⽤後、循環せずに可燃ごみとして廃棄されています。こうした状況をお客さまとともに改善していくため、私たちは不要になった衣料品を回収しリサイクルする「Play Cycle!」を2016年から継続して行っています”

“残ってしまった、着られることのない”倉庫の服”をシンプルでロスの少ない黒染めの手法によって新たに蘇らせるアップサイクリングブランド「FROMSTOCK(フロムストック)」を展開しています。FROMSTOCKは2019年に開催した、企業の垣根を越えて在庫廃棄問題について議論しあうオープンイベント「For Fashion Future」で発案され、事業化しました”

参考:ファッションロスのない世界 |サステナビリティ| 株式会社アダストリア

コークッキング

コークッキングでは、フードシェアリングサービス「TABETE」を通じて、食品ロス問題解決に貢献しています。近年では地方自治体と手を取り合いながら、活動範囲を拡大しています。

“TABETEを運営する株式会社コークッキングは、武蔵野市と「武蔵野市における食品ロス削減に向けた連携協定」を締結し、締結式を実施いたしました。 本協定では、武蔵野市とコークッキングが相互の資源を活かし、飲食店の食品ロスの削減及び食品ロスの削減に対する市民意識の向上を図ることを目的とします”

参考:武蔵野市と「食品ロス削減に向けた連携協定」を締結|TABETE – 自分にも、お店にも、地球にも。食品ロスを削減するフードシェアリングサービス

イワタ

寝具メーカーのイワタでは、自然素材を使った商品開発から、長寿命設計、メンテナンス、リサイクル、アップサイクリング(廃棄物や端材などの創造的再利用)、国産木材・竹材の活用にいたるまで、柔軟なアイデアで一貫した循環型のものづくりを行っています。

“イワタではサーキュラーエコノミー(循環型経済)を導入し、「1. 廃棄物や汚染を生み出さない設計を行う」「2. 製品と原料を使い続ける」「3. 自然システムを再生する」という三原則に基づいた持続可能なものづくりを進化させます。具体的には、再利用・再資源化しやすい素材を使って、人と自然にやさしい商品開発や設計を実現。長く快適に使っていただけるように日干しや水洗いなど、ご家庭でのメンテナンスをしやすくし、経年劣化による修理や仕立て直しが必要な場合には熟練した技術者が承ります”

参考:わたしたちの想い|株式会社イワタ【IWATA】    

リコー

事務機器・光学機器メーカーのリコーは、製品の回収・リサイクルだけでなく、小型・軽量化によって使用資源の量を減らし、リサイクルしやすい製品設計を推進しています。

“リデュース・リユース・リサイクルや長期使用を考慮した製品設計はコメットサークルの考え方に基づき「リサイクル対応設計方針」( 現在の環境適合設計方針 ) を策定し推進してきました。例えば、リユースを想定した強度設計、解体・分別性の向上、 包装材を減らすための強度設計、交換部品やキーパーツの長寿命化などさまざまな技術開発とノウハウを確立してきました。環境適合設計の例として「プラスチック成形部品へグレード表示」「相溶性ラベルの使用」「隠しネジ/隠し爪位置表示」「解体・分別性の向上」があります”

参考:製品を作る段階での資源の有効活用【事例】 -循環型社会の実現-|リコーコーHP

ユニ・チャーム

ユニ・チャームは、誰もが「使い捨てが当たり前だ」と思っていた使用済み紙オムツを回収し、独自の再生テクノロジーでパルプを繰り返し使って新しい紙オムツを作ることにより、資源循環のサイクルを回しています。

“ユニ・チャームが世界で初めて実現した紙おむつの循環型リサイクルモデルです。まず、紙おむつを細かく砕いて洗い、素材別に分けます。この段階では、まだ汚れやにおいが残っています。そこでこのあと、パルプにはオゾン処理、高分子吸水材(SAPサップ)と呼ばれる吸収材には酸を使った特別な処理を施して再生します。こうして安全できれいな状態に戻った素材を再び使い、新しい紙おむつを作ります”

参考:研究ノート① ユニ・チャームが実現した紙おむつの循環型リサイクル|ユニ・チャーム   

プロジェクトデザイン

プロジェクトデザインは、“Made in 富山”にこだわり、地元・富山県の豊かな森の恵みから丁寧に香りを抽出し、精油を生成・販売する「アロマセレクト」を運営しています。アロマセレクトでは間伐材を使用した精油を抽出。森を守る木こりさんと共に健やかな森を保つための山の管理にも貢献しています。

“アロマセレクトの精油の原材料は、育林のために下草として刈られ廃棄される樹木や、枝打ちで廃棄される樹木です。精油を抽出するための植林や栽培などは一切行わず、山の管理者の方と協力しながら精油の原材料を仕入れています。

現在では木工や建材として国産の木を使うことは少なくなりましたが、精油としてアップサイクルすることでこれからも木に寄り添い続ける事は出来ます。「この山からこんなにいい香りの樹木が採れる」「山には宝が眠っている」そんな発見や驚きを感じていただきたい…。山や自然に敬意を払い、全ての工程に真心を込めたかけがえのない香りをお届けいたします”

参考:アロマセレクト|未来のために

ピリカ​

ピリカは、Material Circulator(アップサイクルを通じて、サーキュラーエコノミー市場の開拓を目指すプロジェクト)の中で、海洋ごみとして問題視されている牡蠣パイプと人工芝を回収し、アップサイクルした三角コーンと2種類のかごの試作に成功しました。

試作品は日本最大規模のスポーツ施設を運営するJ-GREEN堺などに寄贈。今後は、プラスチックメーカー等へ素材の活用や、共同商品企画を目指します。

“ピリカは、資源回収から再資源化ペレットの生成、試作品の製造までの一連のプロセスを外部パートナーと共に担当・実現しました。今回、再資源化の対象となった資源ごみは、瀬戸内海に漂流・漂着・堆積している現存量約1,600万本と推定された牡蠣パイプと、ピリカで実施した2020年度マイクロプラスチック調査で全体個数の20%を占めており、年間25tが海洋流出していると推定されている人工芝です”

参考:牡蠣パイプと人工芝のアップサイクル製品の試作に成功|株式会社ピリカ/一般社団法人ピリカ

<ご案内>
海洋ごみ問題に関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(海洋ごみ問題の基礎知識と企業の取り組み事例・私たちにできることをご紹介します)。

パナソニックグループ

パナソニックグループは「循環型モノづくりの進化」と「サーキュラーエコノミー型事業の創出」に挑むことをコンセプトに掲げ、資源の有効活用と顧客価値の最大化に取り組んでいます。

例えば、同社では、既存事業のサーキュラーエコノミー型事業への転換を進めており、2023年度は6事業から10事業へと拡大させています(下記参照)。

<サーキュラーエコノミー型事業創出の実績>

  1. 冷凍冷蔵ショーケースのサブスク事業
  2. 医療向けクーラーボックスのサブスク事業
  3. あかりEサポート事業
  4. PCサブスク事業での電池管理事業
  5. 所有建物の有効活用
  6. セルロース混合樹脂の事業展開
  7. ローソン様とのリファービッシュ事業
  8. 家電サブスク事業(noiful)
  9. 工場廃材の部材への活用
  10. 乾電池の紙パッケージ採用

参考:私たちの取り組みサーキュラーエコノミー|Panasonic GREEN IMPACT 

サーキュラーエコノミーに関して私たちにできること

3R活動に取り組む​

Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の3R活動を推進することには資源を有効活用する観点で大きな意味があります。以下に幾つかの取り組み内容をご紹介します(気軽に取り組めるものから小さく始めてみることをお勧めします)。

  • 買い物はエコバックを使う
  • マイ箸・マイスプーンを持参する
  • 外出中に出たゴミは持ち帰る
  • エシカル消費(※)を実践する

※エシカルとは「倫理的な」「道徳的に正しい」という意味を持つ言葉です。エシカル消費とは人や社会、地球環境に配慮した消費行動を指しています。

サーキュラエコノミーに貢献する企業の製品・サービスを利用する

サーキュラエコノミーに貢献する企業の製品やサービスを積極的に利用することで、間接的にサーキュラーエコノミーに貢献することができます。

食品や衣料品、生活家電や日用品。私たちが消費者として何かを買ったり使ったりする際に、その製品・サービスを提供している企業に目を向けてみて、環境や社会への配慮をしている企業かどうかを見極める。

そういった行動を一人ひとりの消費者が実践することは、多くの企業のサステナビリティの意識を変容させ、サーキュラーエコノミーを実現を早めることにも繋がります。

ESG投資

サーキュラーエコノミーに貢献している企業へ投資を行い、その活動を支援することも、私たちにできることの一つです。環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)の3つの要素を十分考慮している企業への投資を「ESG投資」と呼びます。

サーキュラーエコノミーの移行には、企業が資源循環に関する取り組みを進めることはもちろん、事業の推進力となる資金を供給・循環する投資家や金融機関の果たす役割も重要です。

また、私たちの日常生活の中で、環境に配慮した企業の商品・サービスを選ぶことも間接的な「投資」になります(劣悪な労働環境で、資源循環を考えず生産された商品に「NO」の意思を示すことにも繋がります)。「消費は投票である」という意識を持って購買することは、私たちが行動できる第一歩と言えるでしょう。

サーキュラーエコノミー・クイズ

突然ですが問題です。3R(Reduce,Reuse、Recycle)活動と、サーキュラーエコノミーの活動の違いの説明として正しいものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  1. 【3R】環境負荷を抑えながら経済成長する経済活動
    【サーキュラーエコノミー】ごみ問題の解決手段としての環境活動
     
  2. 【3R】ごみが発生することを前提とする 
    【サーキュラーエコノミー】ごみを出さないことを前提とする
     
  3. 【3R】個人や企業など誰にでも実践できる
    【サーキュラーエコノミー】大企業しか貢献できない

<正解>
選択肢2(【3R】ごみが発生することを前提とする、【サーキュラーエコノミー】そもそもごみを出さないことを前提とする)が正解です。

サーキュラーエコノミーは、3R政策や日本の「循環型社会」の単なる延長ではありません。3Rや循環型社会は、廃棄物の中でもまだ使えそうなものを資源として再利用することでごみの発生を抑制し、廃棄物を適切に処理して環境負荷をできる限り抑えます。すなわち、廃棄物や汚染が出る前提の政策なのです。

しかし、サーキュラーエコノミーは「そもそも廃棄物と汚染を発生させない」ことを前提にしています。モノやサービスを最初に設計する段階から、廃棄物と汚染を生み出さないプランを考え、資源の価値を保ちながら循環させます。

選択肢1(【3R】環境負荷を抑えながら経済成長する経済活動、【サーキュラーエコノミー】ごみ問題の解決手段としての環境活動)は、3Rとサーキュラーエコノミーの内容が反対です。正しくは「3Rはごみ問題の解決手段としての環境活動であるが、サーキュラーエコノミーは環境負荷を抑えながら経済成長する経済活動」です。

選択肢3(【3R】個人や企業など誰にでも実践できる、【サーキュラーエコノミー】大企業しか貢献できない)は「サーキュラーエコノミーは大企業しか貢献できない」という内容が正しくありません。サーキュラーエコノミーは中小企業や個人でも実践できます。

この記事の著者について

執筆者プロフィール

氷見 優衣

神戸大学国際人間科学部環境共生学科の3年生(2023年時点)。高校生の時に参加したワークショップで体験型のゲームコンテンツを通した社会課題の解決や参加者全員が主体的に生き生きと議論できる「場づくり」に魅せられる中で、体験型ゲームの開発元であるプロジェクトデザインと出会う。2022年の8月より、同社の長期インターンシップに参加。大学で学んでいる知識を活かし、環境問題や社会課題、SDGsをテーマにした記事の執筆に取り組む。ジブリ映画が大好きで、趣味は絵を描くことと、カフェ巡り。

監修者プロフィール

株式会社プロジェクトデザイン 竹田

竹田 法信(たけだ のりのぶ)

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー・株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住。

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