ロジカルシンキングの基本とフレームワーク、論理的思考力を鍛える方法

ロジカルシンキングとは何か。

ロジカルシンキングの意味、ロジカルシンキング基本とフレームワーク、論理的思考力を鍛える方法について、分かりやすく解説します。

Contents(目次)

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは論理的思考です。

抜け漏れや矛盾が生じないように、かつ、論理の飛躍が生じないように、論理的に(筋道に沿って正しい順序で)考えること。それがロジカルシンキングです。

文章を書く上でライティングという “書くスキル” があるように、物事を考える上でも “考えるスキル” というものがあり、ロジカルシンキングは代表的な “考えるスキル” です。

また、ロジカルシンキングの巧拙に先天的な才能は関係ありません。誰もが、トレーニングによって磨くことのできるビジネススキルです。

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ロジカルシンキングの類語である「クリティカルシンキング」についてご興味のある方は下記の記事をご覧ください。

ロジカルシンキングの基本

ロジックツリーやピラミッドストラクチャーなどのフレームワークは便利ですが、一朝一夕に使いこなせるものでもありません。

そこで本稿では、ロジカルシンキングのフレームワークを上手く活用する上での土台となる、ロジカルシンキングの基本を解説します。

空・雨・傘

「空を見て、雨が降ると思い、傘をさす」。

誰もが日常の中で無意識的にやっているであろう、この一連の動作の中にロジカルシンキングのエッセンスが詰まっています。


  • 空を見ることは、今の状況という事実(ファクト)を知ることを意味します。
      

  • 雨が降ると思うのは、空という事実に対する解釈です。
     

  • 傘をさすのは、雨という解釈から導いた結論(対策や行動)です。

この事実→解釈→結論の論理展開は、論理的思考の障害となる「事実と解釈の混同」を防ぐという意味において極めて重要です。

演繹法と帰納法

演繹法は、一般論やルールを用いて「〇〇ならば△△である」「△△ならば□□である」という論理を繋げていき、結論を導く思考法です。

演繹法で有名なものとしては、アリストテレスが提唱した三段論法が挙げられます。

<アリストテレスの三段論法>

  • 大前提:すべての人は死すべきものである
  • 小前提:ソクラテスは人である
  • 結論 : ソクラテスは死すべきものである

演繹法では正しい一般論やルールを用いることが重要です。決して正しいとは言えない一般論を用いたり、自身の個別具体的な経験を一般化して用いるのは、論理が破綻・飛躍する原因になります。

帰納法は、観察事項(個別具体的な経験や観察によって得られたデータ)から共通項を抽出して結論を導く思考法です。

経験則というものが一定の説得力を持つように、帰納法によって導かれた結論には納得感が生まれやすい特徴があります。その上で、より納得感のある結論を導く上では、正しいデータを用いること・十分な数の観察事項を挙げることが重要になります。

MECE(ミーシー)

MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は、直訳すると「互いに重複せず、全体として網羅的」。つまり、「漏れなくダブりなく」考えることを意味します。

ロジカルシンキングにおいては、要素分解する(分けて考える)際に、要素の漏れがないようにすること、要素間の重複がないようにすることが極めて重要です。

「高度な計算ができたとしても、計算式に間違いがあれば間違った結果が導かれる」ように、ロジカルシンキングによって導いた結論も、その過程で要素の漏れや要素間の重複があると、結論の妥当性に疑義が生じます。

MECEの切り口の例

  • 属性
    年齢/性別/居住地/家族構成/職業/収入
     
  • プロセス
    業務プロセス/購買プロセス/サプライチェーン/バリューチェーン
     
  • 分類
    商品カテゴリー/顧客カテゴリー
     
  • 分割
    地域/年代/規模
     
  • 因果関係
    原因と結果/根拠と主張

So What? / Why So?

ロジカルシンキングでは「結論と根拠」や「問題と課題」などの論理構造を考えていく中で、正しい論理に到達することを目指します。この時に重要になるのが、論理の正しさを検証することです。

現実のビジネスシーンにおいては、

  • 来期の戦略はどうあるべきか?
  • 新しい取り組みに着手すべきか?
  • 営業部の現状の問題と課題は何か?
  • 売上目標を達成するための有効な打ち手は何か?

などの抽象度の高い問いの答えを導くためにロジカルシンキングのアプローチを採ることが多いものですが、(抽象度が高いゆえに)考えることが無数にある中、正しい論理をつくることは一朝一夕にはできません。

考えた結論に対して、Why So?(それは何故?)という問いを投げかけることで、適切な根拠を考える。その一方で、集めた根拠に対してSo What?(だから何?)という問いを投げかけることで適切な結論を考える。

このSo What? / Why So? の問いかけを繰り返すことでこそ、正しい論理にたどり着くことができます。

ロジカルシンキングのフレームワーク

ロジカルシンキングの基本を押さえた後は、フレームワークの活用です。ロジカルシンキングの2つのフレームワークをご紹介します。

ロジックツリー

ロジックツリーは、論点を頂点に置き、分解・細分化していくことで問題の構造を明らかにするフレームワークです。

このロジックツリーは、主に分析や検討の際に使われます(ロジックツリーで考えていくことで問題の原因や問題解決策を検討しやすくなります)。

ロジックツリーの種類

  • 問題の原因を究明するWhyツリー
    原因究明したい問題を頂点に置き、「なぜ?」と掘り下げる
     
  • 問題解決のアプローチを探るHowツリー(Issue ツリー)
    解決したい問題を頂点に置き、「どのように?」と掘り下げる
     
  • 要素分解して選択肢を洗い出すWhatツリー
    選択肢を洗い出したいテーマを頂点に置き、「何がある?」と掘り下げる 

  • 目標に対するアクションプランを作るKPIツリー
    数値目標を頂点に置き、「アクションプランを数値に落とすと?」と掘り下げる

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、複数の根拠を積み上げて結論を導くフレームワークです。

このピラミッドストラクチャーは、主に提案や説明の際に使われます(根拠のある主張を伝えることで相手側の納得感を得やすくなります)。

ピラミッドストラクチャーの例

“例として「導入するサーバーはD社のサーバーにすべきである」の理由付けとして、

    • 競合に比べて最も安い見積りである
    • サポート面でも実績がある
    • 業界スタンダード仕様で柔軟性がある

といった理由をツリー上に構成したものが、ピラミッドストラクチャーの形をしています。コンサルタントの報告書は、このピラミッドストラクチャーの方法で全体が構成されています”

参考:帰納法に演繹法?ロジカルシンキングの3つの手法とは [ロジカルシンキング] All About

論理的思考力を鍛える方法

まずは、知識をインプットする

どんなスキルであっても、まずは知識をインプットすることがスキルを身に付けるための第一歩になります。それは論理的思考力も例外ではありません。

今時は、論理的思考(ロジカルシンキング)を学ぶための教材はたくさん用意されています。参考書籍を読むも良し。オンラインでロジカルシンキング講座を受講するも良し。自身の学習スタイルにフィットする手段を選びましょう。

とにかく実践する

業務でロジカルシンキングを実践する

これが、論理的思考力を鍛える上で最も適した方法です。

職種や仕事内容によって、ロジカルシンキングの活用度合いには差はありますが、誰もが取り組む一般的な業務の中でもロジカルシンキングを実践する余地は十分にあります。

例えば、資料作成。企画書・提案資料・会議資料・報告書(あるいは、メールの文章でも構いません)。どんな資料であっても、資料の目的を達成するためにロジカルに情報を整理して見せることは重要です。「結論ファーストの構成にする」「要点を箇条書きでまとめる」などの工夫をする余地は常にあります。

※ピラミッドストラクチャーやロジックツリーを活用するだけがロジカルシンキングではありません。論理的に考えてアウトプットを出す全ての取り組みがロジカルシンキングです。

日常でロジカルシンキングを実践する

日常生活の中でもロジカルシンキングを実践することは可能です。

  • 通勤中に目にする広告のキャッチコピーを分析する
  • SNSのトレンド情報を見て、流行る理由を考察する
  • 任意のニュースから、その後に起き得る展開を予想する
  • 商品を購入した際に、その商品価値を考えてみる
  • TVCMを見て、CMの訴求ポイントを考察する

情報が溢れる今の時代、意識さえ向ければ、至るところにロジカルシンキングを実践する題材が見つかります。

ロジカルシンキング・クイズ

突然ですが問題です。

お父さんは猫を飼いたいのだが、犬派の家族が反対している状況において、お父さんがロジカルシンキング力を発揮するアプローチとして最も適切なものは次の選択肢のどれでしょうか?

<選択肢>

  1. かわいい猫の動画を家族に見せる
  2. 猫が犬よりも費用対効果の面で優れていることを家族に説明する
  3. 家族を猫カフェに連れていく

<正解>

猫が犬よりも費用対効果の面で優れていることを家族に説明する(選択肢2)が正解です。家族が説得されるかどうかは別として、費用対効果という数値を使って伝えることはアプローチはロジカル(論理的)です。

かわいい猫の動画を家族に見せる(選択肢1)は猫のかわいさ頼みな時点で全くロジカルではありません。かわいい猫の動画を見た家族は「きゃあ!かわいい!!」と一瞬反応するかもしれませんが、次の瞬間には「まぁ、でも、犬の方がかわいいよね」と言うはずです。

家族を猫カフェに連れていく(選択肢3)は家族の感情に訴えかけるものであり、ロジカルの対極にあるアプローチであると言えます。

ちなみに、ロジカルシンキングはビジネスシーンで有効な考え方です。家庭やプライベートにおいては、ロジカルさよりも感情や直感が優先されるシチュエーションが多くあります。

この記事の著者について​

執筆者プロフィール

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

監修者プロフィール

亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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