社会人基礎力とは?おすすめの鍛え方をご紹介

社会人基礎力とは何か。

社会人基礎力に関する基礎知識と、社会人基礎力のおすすめの鍛え方をご紹介します。

Contents(目次)

社会人基礎力とは

社会人基礎力とは、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を意味する言葉です。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。

社会人基礎力の3つの能力(12の能力要素)​

1. 前に踏み出す力(アクション)

前に踏み出す力とは、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力。指示待ちにならず、一人称で物事を捉え、自ら行動するための能力を指しています。

<能力要素>

  • 主体性:物事に進んで取り組む力
  • 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
  • 実行力:目的を設定し確実に行動する力

2. 考え抜く力(シンキング)

考え抜く力とは、疑問を持ち、考え抜く力。論理的に答えを出すこと以上に、自ら課題提起し、解決のためのシナリオを描く、自律的な思考力です。

<能力要素>

  • 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
  • 計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
  • 創造力:新しい価値を生み出す力

3. チームで働く力(チームワーク)

チームで働く力とは、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力。グループ内の協調性だけに留まらず、多様な人々との繋がりや協働を生み出す力です。

<能力要素>

  • 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  • 柔軟性:意見・立場の違いを理解する力
  • 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
  • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

社会人基礎力が支持される理由

「成功にはパターンがないが、失敗には幾つかのパターンがある。だからこそ、失敗するパターンを避けることが成功へと繋がる」。

これは起業(広義には何かしらの挑戦を必要とする物事全般)で語られる言葉であり、一つの真実として世間に広く受け入れられている考え方です。

社会人基礎力の定義に際しても、社会人として活躍する条件(成功パターン)ではなく社会人として当たり前にできないと困る条件(失敗パターン)に着目した背景があり、だからこそ、社会人基礎力には説得力が宿り、ビジネスや教育の現場から支持されるに至ったのだと考えられます。

“必要不可欠な最低限の条件である必要条件と、そこにさらにこういうものがあったらいいですねという十分条件を分けて議論しようということになりました。必要条件に限定し、最低限これがないと困る条件に絞りました。一緒に仕事するのはつらい人はどういう人かを絞りこんでいくと、結果は「なんだ、3つじゃないか」となったのでした。

まず、「今の若者は指示待ち型が多くて困る」と皆さんがおっしゃる。そこで「前に踏み出す力」が必要ですねとなり、次に「マニュアル人間が多くて困る」、もっと臨機応変に自分の頭で考えることが必要だということから「考え抜く力」が出てきました。さらに、自分なりに行動して前へ踏み出し、自分なりに考えて工夫をしても、社会には一人だけで完結できる仕事はまずありませんから、「チームで働く力」がないと困る。この3つの力があれば、多少の欠点があっても職場で一緒に仕事ができますねということです”

参考:第4回 「社会人基礎力」の概念はなぜ生まれたか。 学生、大学、企業はどう変わるべきか。|人事のプロを支援するHRプロ

社会人基礎力のおすすめの鍛え方

社会人基礎力のおすすめの鍛え方​(個人編)

自己分析

社会人基礎力の3つの能力(12の能力要素)における自分の得意・不得意を分析すること。その上で、どの能力を優先的に伸ばすべきかを検討すること。これが、個人の側から社会人基礎力を鍛える第一歩になります。

他己分析

社会人基礎力が発揮される対象は実務であり、実務の評価は他者が行うものです。ゆえに、過度に自己分析の内容に依存せずに他者(上司や同僚)から意見をもらうことも大切です。

評価面談の場で自身が伸ばすべき能力についてフィードバックを求めるのも良し。1on1の際に自己分析したことを相談してみるのも良し。あるいは、良質な関係性が築かれている場合はランチや雑談の中で意見を求めるのも良いでしょう。

書籍・インターネットコンテンツによるインプット

かつて、門外不出・秘中の秘とされてきた専門スキルやノウハウも、今の時代は書籍や動画コンテンツとして世の中に公開されています。そういったコンテンツから知識をインプットすることでも社会人基礎力を鍛えることは十分に可能です。

実務(アウトプット)を通じたPDCAサイクルを回す

能力やスキルというものは実践を通じて磨かれるものである以上、実務を通じたPDCAサイクルを回すことが社会人基礎力の鍛え方として最も効率的です。

ただし、実務では個人の能力向上よりも、成果・目標達成が優先されるものなので、組織に依存せずに、個人の側が “意識的” に実務を通じた能力向上に努める必要があります。

自身の能力向上に繋がる実務を任せてもらえるように、評価面談の場で、能力向上の目標・計画について上司と合意形成を図ることを基本としつつも、日々の業務の中でも意識しさえすれば、自身の能力を伸ばす実務の機会を獲得できるものです。

社会人基礎力のおすすめの鍛え方​(企業編)

新入社員研修

社会人基礎力は、その名の通り、社会人に必要とされる基礎能力です。これから社会人としてのキャリアを歩み始める新入社員が研修で優先的に学ぶべき学習テーマになり得ます。

OJT(日々の業務の中でのトレーニング)

社会人基礎力は実務の中で磨き込むものである以上は、OJTで社会人基礎力を伸ばしていくことが最も効率的です。その上で、OJTは機能不全に陥りがちなため、OJTを上手く機能させるための入念な準備が必要不可欠になります。

管理職研修

「OJTとは名ばかりで、蓋を開けると、ただただ実務を振っているだけで教育要素が皆無。その理由は、OJTの教育担当者が教え方を知らなかったから」。

冗談のような話ですが、OJTが機能不全に陥るパターンとしては決してめずらしいものではありません。このようなケースにおいては、管理職研修やリーダー研修を通じて、教育する側に必要なスキル・スタンス・マインドを身に付けてもらうことが極めて有効です。

人生100年時代の社会人基礎力​とは

2006年に経済産業省主催の有識者会議によって提唱された社会人基礎力は、2018年に人生100年時代の社会人基礎力としてアップデートされました。

“これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力” と定義される人生100年時代の社会人基礎力。

社会人基礎力の3つの能力(12の能力要素)の内容はそのままに、能力を発揮するにあたって3つの視点(目的・学び・組み合わせ)でバランスを図ることが、人生100年時代において自らのキャリアを切り拓く上で必要であると位置付けられています。

<補足>
コンピューターにおける【OSとアプリ】の関係に喩えるならば、業界業種や職種毎の専門スキルは【アプリ】であり、このアプリを動かすために必要な【OS】が社会人基礎力(やキャリア・オーナーシップ、成果を出すマインド)という位置づけになります。

そして、変化の激しい人生100年時代を生きる働き手には【OS:社会人としての基盤能力】と【アプリ:業界業種・職種のスキル】の両方を常にアップデートしていくことが求められています。

3つの視点と、問いの例

  • 目的(どう活躍するか)
    -組織や家庭との関係でどんな自分でありたいか?
    -どんな自己実現や社会貢献をしたいか?
    -自己実現するためにどのような行動が必要か?
    -これまでの経験を踏まえて自らが社会に提供できる価値は何か?
     
  • 学び(何を学ぶか)
    -自らが付加価値を生み出すための学びは何か?
    -強みを伸ばし、弱みを克服する学びは何か?
    -社会や技術の変化に対応するための学びは何か?
    -持続的に活躍し続けるために必要な学びは何か?
     
  • 組み合わせ(どのように学ぶか)
    -多様な人と出会い、視野を広く持ち、多様な機会を得ているか?
    -多様な人との関係性を構築し、価値の創出に向けて組み合わせているか?
    -多様な人との関係性を活用し、活躍の場や活動の領域をより広げているか?

3つの視点の問いの答えを見つける方法

興味のあることをやってみよう

自分はどう活躍したいのか?(どんな自己実現や社会貢献をしたいのか?)
活躍するために、何をどのように学ぶべきか?

これらの【3つの視点】の問いの答えに至るには、実際に興味のあることをやってみることが近道です。やってみる中で自身の適性が分かるようになり、自分のキャリアを考えやすくなり、何をどのように学ぶべきかの方針(キャリアの進路)が見えてきます。

例えば、近年では副業(複業)を許可する企業が増えてきていること、副業マッチングサービスが普及していることもあり、副業は身近にものになりつつあります。この新たな機会を活用するのも良いでしょう。

仕事という形に囚われる必要はない

興味のあることは、仕事である必要はありません。リクルートワークス研究所が提唱する「ワーキッシュアクト」のように自己実現・社会貢献できることは仕事の外にも様々にあるのだという認識のもとに、興味のある方向へ歩みを進めることをおすすめします。

“我々は、こうした本業の労働・仕事以外の活動に「誰かの困りごとや手助けしてほしいという気持ち」(労働需要)に力を貸している性質がある点に注目する。また、家事などのシャドーワークのように義務的ではなく、何らかの報酬(金銭報酬・心理報酬・社会的報酬など、様々)があることにも注目する。

こうした本業の労働・仕事以外で何らかの報酬を得るために誰かの何かを担う性質がある活動のことを「ワーキッシュアクト」(Workish act)と名づけた。Workish actは、2つの言葉で表現される。

・Work-ish:何か社会に対して機能・作用をしているっぽい
・act:(本業の仕事以外の)様々な活動

この場合の「ワーキッシュ」は単に「仕事っぽい」という意味ではなく、機能する・作用するといった英語の意味を採用している。「アクト」は言葉のとおり「活動」であるが、舞台で演じる役という意味もある。

今後の社会で人が仕事だけでなく、様々な「役を演じる」可能性があることも含めて表現した。こうしたワーキッシュアクトにはゆるやかに共通する特徴がある。特に大きなポイントになるのが、すべての参加者が崇高な社会理念や意識を持って実施しているわけではないという点だ。「自分が楽しいからやる」「自分が得をするからやる」という当たり前のきっかけが、人々が活動を行う第一歩になっている”

参考:労働供給制約の突破口、ワーキッシュアクトとは何か|研究プロジェクト|リクルートワークス研究所

<ワーキッシュアクトの例>

  • 副業
  • 町内会や自治会などの地域活動
  • 趣味・娯楽などのコミュニティ活動
  • 子ども教育活動への参画
  • 農作業や自然保全活動
  • スポーツ・芸術活動への参加
  • 公共空間の清掃活動
  • 地域の安全に関する活動(消防団や交通安全活動)
  • まちおこしの活動
  • プロボノ活動(専門性を活かしたボランティア)
  • 災害からの復旧・復興支援

この記事の著者について​

執筆者プロフィール

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

監修者プロフィール

亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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