コミュニケーション研修とは?その内容を目的別・種類別にご紹介!

コミュニケーションは組織の血液であると言われるように、コミュニケーション(対人関係における情報や感情のやり取り)は、目標に向かって協働する組織において欠かすことができません。

コミュニケーションの滞り(血の巡りの悪い状態)は、コミュニケーションコストの増加、チームのパフォーマンス低下、経営と現場の対立、社内外の協働や連携の失敗など、様々な問題を生み出します。

このコミュニケーションに起因する問題を改善するものが、コミュニケーション研修です。

ただ、コミュニケーション研修についてはテーマが幅広く、何を学べば良いのかが分かりづらいという声をよく耳にします。そこで本稿では、コミュニケーション研修の内容を目的別・種類別に整理してご紹介します。

Contents(目次)

コミュニケーション研修の内容(目的別)

初めに、「〇〇な問題を改善したい」という目的別にコミュニケーション研修の内容をご紹介します。

コミュニケーションスキルの磨きこみ

  • 情報共有の会議が多くて作業時間が確保しづらい
  • 報連相が下手な部下の管理に時間を取られている
  • 上司の指示が曖昧で無駄な作業をすることが多い

などの情報共有に関する非生産的な問題を改善するには、個々のメンバーのコミュニケーションスキルを向上させるアプローチが有効です。

  • 報連相(部下から上司へのコミュニケーションの基礎)
  • 命解援(上司から部下へのコミュニケーションの基礎)
  • 行動や成果を認め、承認するコミュニケーション

などのコミュニケーションの方法論について学び、実践を通じてコミュニケーションスキルを磨きこむことで、組織全体のコミュニケーションコストを下げることが可能になります。

近年では、テレワーク環境下でのコミュニケーションスキルを向上させること(オンラインコミュニケーションスタイルの習熟)もコミュニケーション研修の重要テーマになっています。

心理的安全性の向上

  • チームのパフォーマンスが相対的に低い
  • チームの雰囲気が目に見えて悪い
  • チームメンバーが委縮している

などの問題を改善したい場合は、チームに所属するメンバーの “心理的安全性” を高めることが有効です。心理的安全性とは「対人関係においてリスクある行動を取った際の結果に対する個人の認知の仕方」を意味します。

心理的安全性の高いチームのメンバーは「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられる状態にあり、リスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。

心理的安全性を高めることは、円滑なコミュニケーションの土壌づくりに直結すると言っても過言ではありません。

現場社員の視座を押し上げる

  • 経営と現場の話がすれ違う
  • 現場社員の経営への不平不満が募る
  • 現場の判断が経営の足を引っ張っている

などの問題に対しては、経営と現場の “視座の違い” を現場が理解できるように働きかけることが有効です。視座の違いとは「見えているものの違い」とも言い換えられます。

例えば、視座の高い人(経営者や管理職)は5~10年後の未来を見据えて今打たねばならない手を打つ一方で、視座の低い人(未成熟な現場の社員)は今月なり今期なりの業績を達成するために手を打ちます。

また、視座の高い人は俯瞰的に多くの部門の動きを見据え、全体最適になるような手を打つのに対して、視座の低い人は自部門(あるいは自分の仕事だけ)を見ているため、部分最適な打ち手になりがちです。

これらの立場の違いが生み出す、視座の違いを現場が理解し、自らの視座を押し上げることが重要です。

共創的対話の方法論

  • 部門間・拠点間の利害が衝突し協力関係が築けない
  • 社外との協働が上手くいかない
  • 業務委託社員との連携に苦戦している

などの問題は “コラボレーション” に慣れていないことが原因で起こります。

そんな場合は共創的対話について学ぶことが有効です。利害の対立や相互理解の難しさを認識しつつも、建設的に意見を出し合いながら新たな知恵を産み出すコミュニケーション手法。それが共創的対話です。

また、今の時代は、いかに社会へ貢献していくかが問われる時代です。自社の利益追求の文脈とは別に、社会貢献のための文脈で SDGs やカーボンニュートラルなどに関連するコラボレーションを上手く進めるために、共創的対話の方法論を学ぶことが推奨されます。

尊重し合える関係性づくり

LGBTQ+の社員、子育てをしている社員、親の介護をしている社員、ワークライフバランスを重視したい社員などの組織のマイノリティが働きづらさの問題を抱えている。

そんな場合は組織制度を見直すだけではなく、一人ひとりの社員が “DE&I” の理解を深めて互いに尊重し合える関係性をつくることも大切です。そうすることで、新しく作った組織制度にも血が通うようになります。

そのためにも、まずはダイバーシティ(多様性)の当事者たる組織内のマイノリティの方々の価値観や考え方を理解すること。それが互いに尊重し合える関係性づくりに繋がります。

DE&Iとは

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)とは D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に E(エクイティ)が付加された言葉です。

D&I は「多様性を包含し、誰もが平等な機会を与えられている状態」を意味する言葉ですが、もともと不公平に扱われているマイノリティに機会の平等を与えるだけでは解決できない社会的・構造的不平等が存在することが問題視される中で、公平性を意味する E(エクイティ)の概念を含んだ DE&I が注目を集めています。

ちなみに、D&I について先進的な取り組みを進めている企業群では、実質的に DE&I の概念を含んだ取り組みを進めているケースが多数あります。例えば、メルカリではダイバーシティ&インクルージョンの体現に向けた取り組み施策の中で「構造的不平等を人事データによって可視化し、自浄し続けられる公平な仕組みとカルチャーを構築」と明言しており、E(エクイティ)の概念を含んでいることが分かります。

参考:ダイバーシティ&インクルージョンの体現 | 株式会社メルカリ

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私たちプロジェクトデザインでは、ビジネスゲームを通じて対人関係における情報や感情のやりとりをより良くするコミュニケーションを学ぶことができるコミュニケーション研修をご提供します。

コミュニケーション研修の内容(対象別)​

次に、対象別のコミュニケーション研修の内容をご紹介します。

新規チームやリーダー向けのコミュニケーション研修

新規チームやリーダー向けのコミュニケーション研修では、新たなチームがスタートした際に具体的な業務の話をする前に関係構築が必要なことを学びます。

新しいチームで自分の能力を活かしていくことができるのだろうか、チームとしてのレベル感はこれまでのチームと大きく異なりはしないだろうか。話をする時に「恥」をかいてしまうのではないか、などの様々な不安を抱えながらチームの活動は始まっていきます。

いち早く安全に話し合いができる環境をつくるために、一人ひとりが取り組めることを考え、現場業務における実践に繋げていきます。

新入社員向けのコミュニケーション研修

新入社員向けのコミュニケーション研修では、同期の関係構築と併せて、ビジネスマナーや報連相に代表される先輩・上司との仕事の進め方を重点的に学んでいきます。

新人の仕事は、先輩や上司からの指示や依頼・命令を受け取って業務を覚えることから始まっていきます。

そして、受けた指示を正確に終わらせるためには相手の立場に立って「求められている成果は何か」「いつ、どのようなやり取りを求められているか」を考える視点、つまり、自分の1~2階層上の立場の視点を持つことが重要です。

既存チーム向けのコミュニケーション研修

既存チームに対してコミュニケーション研修が必要になってしまった場合、それは、何らかの構造的課題を抱えていることが多いと言えます。

  • リモートワークが進み、コミュニケーションスタイルが変わってしまったが、従来のスタイルから変えられずに歪みが大きくなっているケース
     
  • チームの雰囲気が悪く、メンバーが言いたいことを言えないような空気が蔓延しており、メンバーの伸び悩みや離職などの問題が顕在化しているケース

などに向き合い、問題の解決・改善に向けた取り組みを進めます(研修時にできることは限られるため、研修後の業務で具体的に何をしていくことができるのかをつかみ取ることを目指します)。

全社員向けのコミュニケーション研修

全社員向けのコミュニケーション研修が必要になるのは、

  • DE&I に関連する組織制度づくりとは別に、社員1人1人のDE&I に対する理解度を高める必要性がある

  • 事業の成長に伴い、会社の規模が大きくなる過程で、今一度、会社のビジョンについて社員1人1人が自分事として捉えられるようにする必要がある

など、組織の考え方や価値観を全社に浸透させる必要性が高まっているタイミングです。研修という普段の業務から切り離されたシチュエーションだからこそ、社員はフレッシュな気持ちで組織に向き合うことができます。

コミュニケーション研修で用いられる研修手法

講義(座学)

講義は学校の授業がそうであるように、知識を伝える上で優れた手法です。

コミュニケーション研修では、この講義と実践(ゲーム・グループワーク・ロールプレイング・ビジネスゲーム)をミックスする形が一般的です。

講義をする際には、講師が一方的に話をする形式になり、研修受講者の集中力の維持が難しい欠点があります。そういった意味では、外部の熟練の研修講師に登壇いただくことが効果的です(腕利きの研修講師には研修受講者を飽きさせない技術があります)。

ゲーム

研修受講者が楽しみながら取り組めるゲームコンテンツは、アイスブレイク(場の緊張をほぐすこと)や関係構築効果を狙う上で有効な研修手法です。

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「3つの効果別」にコミュニケーション研修に使える面白いゲームコンテンツをご紹介します。

グループワーク

研修受講者が数名単位のグループに分かれて課題に取り組むグループワークは、最も代表的な実践型の研修手法です。

講義1→ワーク1→講義2→ワーク2……という具合に、講義で伝えた知識の理解度を試す(知識を定着させる)用途に適しています。

ロールプレイング

ロールプレイングは実務スキルの習得に最適です。

上司に相談するシチュエーション、部下に指示出しをするシチュエーション、営業の商談のシチュエーションなどの実際の業務を想定したトレーニングを行うことで、現場で活きるスキルを身に付けることが可能です。

ビジネスゲーム

ビジネスゲームは、ビジネスのシミュレーション(模擬訓練)ゲームです。

ビジネスゲームでは、現実の世界における経済活動や社会活動のエッセンス(本質的要素)を抽出し、繰り返しトレーニングできるようにゲームとして表現しています。

現実の世界では活動の結果と経験を得るためには多くの時間と労力が必要になりますが、ビジネスゲームでは短時間で活動の結果と経験(成功体験や失敗体験)を得ることができます。

この「高速経験学習」による学習効果が、ビジネスゲームの大きな特長です。

この記事の著者について​

執筆者プロフィール

古野 知晴

富山県滑川市出身。ケーブルTV番組制作会社や雑誌ライター等を経て、2014年にプロジェクトデザインに入社。取材・キャスターの経験で培った「聴く力、伝える力」を活かして「はたらくらすコネクションin上市」事業を立ち上げから担当し、6年間で企業・店舗136社、県外からの移住者18組を取材。そのほか文章編集・校正を中心にビジネスゲーム制作に関わる。2021年6月に育休から復帰以降は、マーケティング部の一員としてWebサイトに掲載するコンテンツ作成に携わる。現在も地元・滑川市のケーブルTVでキャスターを務め、2022年からは個人的に子どもの夢を叶えるイベントを主催するなど、地域に根ざした活動を行っている。

監修者プロフィール

亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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