非常に価値あるビジネスゲームでありながら、使い方が誤解されている「ビールゲーム」について(ビジネスゲーム開発日誌 Vol.18)

現実のビジネスをゲームとして表現し、課題発見や行動変容につなげる手法は古くから存在します。

その中でも有名なものは「ビールゲーム」ではないでしょうか。

「ビールゲーム」は1960年代にデニス・メドウズ氏の手によりマサチューセッツ工科大学に導入されて以降、オープンソースとして提供され、世界中で広く使われています。

<ビールゲームの概要>

「ビールゲーム」は参加者がビールのサプライチェーンの4つの役割・工程(工場、一次卸、二次卸、小売店)に分かれて4~8人でチームを組み、サプライチェーン全体のコスト最適化を競うビジネスゲームです。
消費者から小売店、小売店から二次卸、二次卸から一次卸、一次卸から工場へと週単位でビールを発注する中で、サプライチェーン全体の在庫コストと受注残(欠品)コストの最適化を実現したチームの勝利となります。

制作のきっかけは、冷蔵庫を扱うメーカーに務めるマネジャーの嘆きからだったといいます。

「景気が良くなると設備投資を行い、人を採用して多くの製品を出荷できるようにする。しかし、ようやく生産が落ち着いた頃に景気が悪くなり、人員を削減し、設備を売却する。いったいいつまでこんなことを続けるのか」。

抗いようのない外部環境に翻弄され、苦しむマネジャー。その課題解決に、あるコンサルタントが立ち上がりました。

現実のビジネスをつぶさに観察し、モデル化した結果見えてきたこと。

それは、“在庫・生産・雇用のバラツキの大きさは、外部要因である経済全体の動向や政策よりも、内部要因である会社の戦略や方針の影響のほうが遙かに大きい” ということです。

しかし、それを現場に伝えてもなかなか納得してもらえない。

メンバーひとりひとりの思い込みと行動を変えるために、ゲームを用意して全員に体験してもらうようにした。そんな話が残されています。

オープンソースであるが故に、適切でない使い方をされているビールゲーム

この「ビールゲーム」、日本ではチェンジ・エージェント社によって広められてきました。

チェンジ・エージェント社の代表である小田理一郎氏はデニス・メドウズ氏に直接師事し、ビールゲームの正しい使い方や効果的な振り返りを学ばれています(小田氏は名著『学習する組織』の翻訳者としてご存じの方も多いかもしれません)。

幸運なことに、私たちプロジェクトデザインは、小田さんとともにビールゲームのオンライン版「ビールゲーム Online」を開発する機会をいただきました。

昨年リリースしてから、1年弱。

小田さんと開発していく中で新たな発見がいくつもありましたが、突き詰めると以下の2点に集約されます。

  1. ゲーム画面・ゲームシートで何を見せて、何を見せないか
  2. ビールゲームの振り返りで伝えられることと、伝えられないこと

ビールゲームはオープンソースで、誰もが自由に使えるが故に、使う側(ファシリテーター側)が “適切ではない使い方” をされるケースが少なくありません。その結果、ビールゲームを体験した方が「ビールゲームは、こんなものか…」で学びや気付きが終わってしまうケースが多いこともまた事実です(とても残念なことです)。

ビジネスゲームの作り手としては、「本来と異なる使われ方をされること」に心を痛めます。

「守破離」という言葉があるように、当初想定していた使い方(守)を理解した上で、自分なりのアレンジを加えながら、 破や離に進むことは良いことだと思います。しかし、最初から異なる使い方をしてしまうと、ビジネスゲームの本来の学びを提供できなくなってしまいます。

また、私自身はビールゲームが「学習する組織」などでも紹介されているため、システム思考を学ぶために最適なツールと感じていましたが、それは違っていたようです。

開発の過程に関わる中で、システム思考を学ぶこと以上に「個人のメンタルモデルを見つめ、メンタルモデルが意思決定や結果に及ぼす影響を知ること」に効果的なツールであると学び、感動しました。

ぜひ、この感動を皆さんと一緒に味わいたいと思っています。

ご案内

「ビールゲーム Online」は、コミュニケーション・報連相の不足によるチーム力の低下(テレワーク時代ならではの組織課題)を解決するビジネスゲームです。

自分自身のメンタルモデル・システム思考・対話の必要性について理解を深めることで、組織のコミュニケーションを改善し、チーム力の強化に繋げます。

コロナ禍によるテレワーク環境下では、生産性を高める観点で対話(言語的・非言語的コミュニケーション)が重要であると言われます。「ビールゲーム Online」は、なぜ対話が必要なのか、どんな対話が効果的なのかを考えるきっかけをご提供します。

​​詳細は、こちらのページをご覧ください。

執筆者プロフィール

株式会社プロジェクトデザイン 福井 信英

福井 信英

富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。

Facebookアカウントはこちら

ご案内:PD NewsLetter

私たちプロジェクトデザインでは『PD NewsLetter』というニュースレターにて最新のイベント・セミナー情報やお役立ち情報をお届けしています。

今回お届けしているビジネスゲーム開発日誌も 『PD NewsLetter』 にて連載中です。

是非、お気軽にご覧ください(購読は無料です)。

『PD NewsLetter』の購読はこちら

関連情報

Contact Us

問い合わせ

お問い合わせ

お見積り依頼の他、ちょっと知りたい・聞いてみたいことへの相談にも対応させていただいております。是非、お気軽にお問い合わせください。

<相談内容の例>

  • 数あるビジネスゲームの中から自社に合うビジネスゲームが何かを知りたい
  • 自社が抱える組織課題に対してビジネスゲームでどんなことが出来るのかについて情報交換したい
  • ビジネスゲームの共同開発について興味があるので少し詳しい情報を提供してもらいたい
資料請求

私たちプロジェクトデザインの会社案内やビジネスゲームのサービス紹介資料をダウンロード可能です。興味のある資料をお気軽にご利用ください。

<ダウンロード資料の種類>

  • 会社案内資料(収録内容:ビジネスゲームとは/プロジェクトデザインの強み/ビジネスゲーム一覧/私たちがお応えできるニーズ等)
  • サービス紹介資料(収録内容:ゲーム概要/コンセプト/学習効果/活用例/料金プラン等)