新作カードゲームとフィールドワークで海洋ごみ問題を体感した話(ビジネスゲーム開発日誌 Vol.39)

先日、昨年(2021年)から開発していた「海ごみゲーム(正式名称:CHANGE FOR THE BLUE カードゲーム)」を富山市内のフィールドワークとセットにして実施しました。参加者は、全国からお越しいただいた34名(うち6名は小学生)の方です。

フィールドワークは富山駅周辺のごみ拾いから始まり、バスで岩瀬浜に移動し砂浜でマイクロプラスチック採取。そしてメイン会場となるセミナールームに移動し、海ごみゲームを行います。

富山駅は新しい駅なので、清掃も行き届いていてとてもキレイに見えます。

参加者の方からは「こんなところに、ごみなんてあるかな~」なんて声が聞こえて来ましたし、私もまたイベント関係者として「ごみが集まらないんじゃないの?」みたいな余計な心配をしましたが、すべて杞憂に終わりました。

一見キレイに見える駅であっても、植栽の下生えの陰や、路地を一歩入ったところ、用水路など至るところに、プラスチックのごみやタバコの吸殻、歩道の点字ブロックの一部と思われるゴム製品の切れ端などが落ちていました。

これらのごみが川を伝って海に流れ、やがて海ごみとなる。そしてそれらは、私たちが気づかないところでひっそりと起きているようです。

岩瀬浜に移動してからは、無理に探さなくても、砂浜を網ですくうと山のようにプラスチックの破片が出てきます。

「これは小さな虫の卵かな?」という声が出たものは、農業の肥料カプセル。目立つ緑の切れ端は人工芝。場所によっては釣具も。釣具とタバコの吸殻は驚くほど一致した場所で出てきます。

ごみ拾いを通して、私たちの生活からプラスチックごみが大量に出ていることがよく分かります。それでも富山の海は全国的に見て「ごみの少ないキレイな海」なのですから、驚きです。

ごみが河川を通って、海に流出する。そして、その一連の流れに私たちの生活の営みが関係している。その事実を痛いほど理解したところで、海ごみゲームの開始です。

私自身は小学校4年生の長女とともに参加したのですが、同世代のパパ3人と小学生の娘・息子3人によるチームで、「清そう会社」と「ボランティア」を担当しました(海ごみゲームは全部で12の役割があり、チーム毎に異なる役割を担当します)。

ゲーム開始直後は、親たちが子どもたちに「このカードを使うとどうなるかな?」という具合に語り掛け、子どもに考えさせて華をもたせてあげるつもりで、大人は静観する形で参加していました。

ところが、絶妙なゲームバランスにより、手を抜いていてはごみが溜まっていくばかりで、とても海をキレイにすることなど出来ないことに気づき、大人もゲームに没頭していきます。

一方で、子どもたちも、どんどんゲームにのめり込んでいきました。

「パパ、それ使っちゃダメ!!!」
「パパたちに騙された~」
「ちょっと他のチームがどんなカード使ってるか偵察してくる!!」

といった生々しいリアクションが返されるため、途中からは親も子どもも全力で取り組む必要がありました。

本当に最後の一手まで気が抜けませんでしたが、結果は、みんなの力で「キレイな海」を達成できました!

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フィールドワーク+ゲームは本当に強力なコンテンツです。熱い日だったので、イベント開始前に「スプライト買って~」と言っていた娘ですが、途中で「ジュース買う?」と聞くと、プラスチックごみが気になったのか「水筒のお茶でいい」と言っておねだりしなくなりました。体験を通して学ぶことで、意識と行動が変わったのです。

私自身もそれまで意識していませんでしたが、帰り道にふと川を見るとごみがあり、田んぼを見ると肥料のプラスチックカプセルが山ほど散乱していることに気づくようになりました。

知ることによって、これまで見えなかったものが見えるようになる。そして見えることによって、初めて動こうと思える。

そんなことを体感した一日となりました。

ご案内

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームは、海のごみや汚れを減らす行動のシミュレーションを通して海洋ごみ問題について考えるきっかけとしてもらえるように、「CHANG FOR THE BLUE in富山実行委員会」と株式会社プロジェクトデザインが協業で開発したゲームです。ゲーム型のアクティブラーニング学習教材として、小学生高学年から中学生向けの授業でもご利用いただけます。

海洋ごみ問題は遠い未来の話ではなく、私たちのすぐ身近に迫っています。けれども、このような大きな社会課題を前にすると、自分1人でやれることは小さく感じられ、中々行動に移せないものです。本ゲームを通して、海洋ごみ問題を自分事として理解することで “海洋ごみを減らす行動” の第一歩となれば幸いです。

CHANGE FOR THE BLUE カードゲームの紹介、イベント案内はこちらからご覧ください。当日のレポートも掲載しています。

執筆者プロフィール

福井 信英

富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。

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