【事例】従業員の環境意識を高め、実際の行動変容を促すためのカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を活用した全3回のワークショップ(富士通)

組織名

富士通株式会社

業界業種

電気機器

事業内容

サービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション

組織規模

113,000人(2025年3月31日現在)

私たちプロジェクトデザインは、人と組織、社会の変革をビジネスゲームで支援する会社です。お客様の変革課題に向き合い、変革への挑戦をシミュレーションするビジネスゲームを活用した様々なサービスやソリューションをご提供しています。

本稿では、「サステナビリティ推進」の変革支援の事例として、富士通株式会社(以下、富士通)におけるカードゲーム「2050カーボンニュートラル」の活用事例をご紹介します。

政府が掲げる目標よりも10年早い、「2040年度末ネットゼロ」の達成を目指す富士通。同社では従業員の環境意識を高め、実際の行動変容を促す施策としてカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を活用したワークショップを展開しています。

なぜ、富士通は「2040年度末ネットゼロ」というチャレンジングな目標を掲げているのか? カードゲーム「2050カーボンニュートラル」が選ばれた理由はどこにあるのか? そして、ゲームをどのように活用されているのかについて、インタビュー形式でお届けします。

<お話を伺った方>

富士通株式会社 総務本部 環境統括部 祝 望(いわい のぞみ) 様 

<インタビュアー>

株式会社プロジェクトデザイン 代表取締役 福井信英

左から廣瀬様(環境統括部 シニアマネージャー)、祝様、プロジェクトデザイン福井、宇佐美

<企業プロフィール>

1935年創業の富士通グループは、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスに掲げ、デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーを目指しています。また、異業種間でのデータ活用により、社会課題解決と企業課題解決を両立し、お客様の成長に貢献する新たな事業モデル、「Uvance(ユーバンス)」を軸に、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を加速させ、挑戦・信頼・共感を原動力に、富士通にしかできない価値創造を目指しています。

※Uvanceの事例はこちらからご覧いただけます。

カーボンニュートラルについて誰でも楽しく気軽に学ぶことができ、かつ、「環境」と「ビジネス」をリンクさせて考えることのできるコンテンツを探していた

—はじめに、富士通が「2040年度末ネットゼロ」の目標を掲げている背景について教えてください。

祝様:政府が掲げる「2050年ネットゼロ」よりも10年早くネットゼロを達成することを目指すのは、私たちが環境先進企業としてのリーダーシップを発揮するためです。

なぜなら、気候変動・経済分断などの様々な問題が複雑に絡み合う世界において、富士通がテクノロジーのリーディングカンパニーとして変化を生み出す方針があるからです。それは社会や環境のためであることはもちろん、自分たちのビジネスの機会を拡げるためでもあります。

—「2040年度末ネットゼロ」の達成に向けて、どのような取り組みを進めていらっしゃいますか?

祝様:Scope1、2(自社グループの事業活動)については省エネ・電化に加え、計画的に再エネ電力の利用拡大を進めるとともに、植林などの活動を通じてカーボンニュートラルを目指していきます。

Scope 3(サプライチェーンを含むバリューチェーン全体)については、自社の範囲での取り組みだけではなく、お客様やサプライヤー様などとの広域な協業が必要です。そのため、例えば、GHG削減目標設定や削減活動実施の依頼、GHG削減の必要性や社会動向などの情報、自社の削減活動で得たノウハウ、技術などを提供することで、バリューチェーン全体で目標達成を目指しています。

—「2040年度末ネットゼロ」の達成に向けた取り組みを力強く推進される上での課題はありますか?

祝様:バリューチェーンは、自社の範囲での取り組みだけではなく、お客さまやサプライヤー様などとの広域な協業が必要ですが、社内では従業員一人一人の環境課題意識の向上が課題だと思っています。富士通グループの全従業員が環境を自分ごととして捉える行動変容が不可欠です。

「富士通は環境先進企業」と言っていただくことがありますが、富士通従業員には「環境先進企業のトップであるという自覚」を持ってもらいたいと思いました。

—祝様が所属されている環境統括部が「従業員の環境意識向上のための行動変容の企画」を担っているのには、そのような経緯があったのですね。

祝様:はい。私たち環境統括部では、従業員の環境意識を高め、実際の行動変容を促す企画を推進しています。

当初、まずは「カーボンニュートラルとは何か」を知ってもらう必要があると思ったものの、単にカーボンニュートラルの意味を知るだけではその後の行動に繋がりづらいと考えました。なぜなら、「環境」と「ビジネス=自分の普段の業務」がリンクしていないと、環境について学んだとしても、そのことが「自分の業務に関わりがある」と意識するのは難しいのではないかという懸念がありました。

このような背景を踏まえて、カーボンニュートラルについて誰でも楽しく気軽に学ぶことができ、かつ、環境とビジネスをリンクさせて考えることのできるようなコンテンツがないかを色々と探す中で、プロジェクトデザインさんのカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を見つけました。

―祝様は、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の体験会に参加されていますが、実際に体験されていかがでしたか?

祝様:カーボンニュートラルの本質について楽しみながら学習できると感じました。同じ体験会に参加されていた他社の方々と協力しながら、ゲームの世界の中でカーボンニュートラルの実現に挑戦していく過程が本当に面白かったですし、環境とビジネスが深くリンクしていることを知り、自分たちにできることは何かについて考えることができました。

このゲームであれば、当社の従業員が環境を自分ごと化して、行動変容に向けた小さな一歩を踏み出すきっかけになると確信しました。

—嬉しいお言葉をありがとうございます。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」で使用するカード

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」とは

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。

ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1〜4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。

こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。

このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、私たちは何を考えどう行動するか?」に関する学びや気づきを得ることができます。

環境とビジネスがどのように繋がるのかを段階的に体感する、全3回のテーマ別ワークショップとは

―カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の具体的な活用法についてお聞かせください。

祝様:環境問題を単なる “知識” でなく、自分の業務や会社のビジネスと結び付けて捉え、“社内外の協働が必要だ” と腹落ちしてもらうことを目的に、環境とビジネスがどのように繋がるのかを段階的に体感する全3回のテーマ別ワークショップを企画しました。

1回目のテーマ:自分ごと化(個人の意識変革)
2回目のテーマ:他者の巻き込み/商業的視点(ビジネスへの接続)
3回目のテーマ:顧客との共創(社会価値の創造)

全てのワークショップでカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を活用し、ゲーム体験後には毎回異なるワークを追加しました。

全3回のワークショップの概要

―「自分ごと化(個人の意識変革)」がテーマの1回目のワークショップについて、その内容と参加者の声を教えていただけますか。

祝様:1回目のワークショップは、従業員の意識改革を目的に実施しました。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の体験後に、ゲームで使用したアクションカードを参考にしながら、「自分が組織のアクション・市民のアクションを実行するとしたら?」という観点で行動を書き込み、宣言するワークを行いました。

参加者からは、

  • カーボンニュートラルを自分の言葉で説明できるようになった
  • 自分のビジネスがちゃんと環境とつながるのだと分かった
  • 自分だけがやるのではなく全員で取り組まなければならない
  • 頭をフル回転させて考える貴重な機会となった

などのコメントが寄せられています。そして、参加者の中から「ファシリテーターの養成講座(※)を受けてきました」と連絡をくれた方がいたのは嬉しかったですね。

※カードゲーム「2050カーボンニュートラル」には、ゲームを運営するためのライセンスを取得できる養成講座を提供しています。ライセンスを取得いただくことで組織内で自由にゲームを活用できるようになります。

1回目のワークショップの様子(白紙のアクションカードに自身の行動を書き込むワーク)

―「他者の巻き込み/商業的視点(ビジネスへの接続)」がテーマの2回目のワークショップについて、その内容と参加者の声を教えていただけますか。

祝様:2回目のワークショップは、部署横断の協働を考えることを目的に実施しました。

Scope 1・2 のみならず、Scope 3までを実現する全社的な取り組みには、自社の範囲だけでなくお客様やサプライヤー様といった他者を巻き込んだ広域な協業が必要です。部署横断の共通言語化を図るため、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の体験後に「組織や収益の壁」をどう越えるかを話し合い、社内での論点共有を促進しました。

参加者からは、「クライアントへのSX(サステナブル・トランスフォーメーション)文脈での伴走を検討する際の一助になった」という感想をもらっています。これはまさに行動変容とも言える変化の兆しだと思います。

2回目のワークショップの様子

―「顧客との共創(社会価値の創造)」がテーマの3回目のワークショップについて、その内容と参加者の声を教えていただけますか。

祝様:3回目のワークショップは、お客様と富士通双方のビジネス貢献になるヒントを得ること、そして、サプライチェーン連携の必要性を体感することを目的に実施しました。

富士通の従業員に加えて社外のお客様(ご招待した企業の方々)にもご参加いただき、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の体験後にお客様と富士通のそれぞれの強み・リソースを整理し、その掛け合わせによるアイデアを言語化・共創するワークを行いました。

3回目は社外のお客様と富士通の担当営業をセットでチームを組むようにしていたこともあり、当社の従業員からは「本来のビジネスとは違った、新しい信頼関係が構築できた」という反響があった点が印象的でしたね。

また、社外のお客様からは「富士通さんの取り組みが知れて良かった」、「ゲームを通じて従来のビジネス上の関係性よりも距離感が近くなった」といった声もいただいています。

参加者の声(3回目のワークショップ実施後のアンケートより)

―ここまではカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を活用したワークショップという観点でお話をいただきました。カードゲーム「2050カーボンニュートラル」というゲーム自体への感想はいかがでしょうか。

祝様:ゲーム体験者の感想として多いのは、社会の縮図と言いますか、ゲームの中に「ミニ日本」が上手く再現されている点ですね。ゲーム内では政府や金融機関、農林業やIT事業者などのさまざまな役割のプレーヤーがそれぞれの目標達成に向けて活動することになり、その中で、経済と環境のトレードオフを調整する難しさを体感できる良いツールだと思っています。

また、ゲーム体験を通じて、「一人の消費者」としての行動が変わることで周囲に良い影響を与え、世の中が大きく変わることに気付けるところも、このカードゲーム「2050カーボンニュートラル」が多くの人に共感を持ってもらえるポイントなのだろうと感じています。

あとは、「カーボンマップ(※)」でGHG排出量が可視化される仕組みも良かったです。自分たちの行動の結果がカーボンの変化として定量化されるので、ゲーム体験後に自らの行動をふり返る際に、「あの時、もっとこうすれば良かった」などの気づきが得やすいですね。

※カードゲーム「2050カーボンニュートラル」では “カーボンの見える化” を実現するためにカーボン・マップ(カーボンの循環構造を表現したマップ)を活用しています。詳細はこちら

―今後の展望についてお聞かせください。

祝様:現在はワークショップを「手上げ式」で募集しているため、参加者がサステナビリティへの関心の高い層に偏ってしまっています。現状は日ごろからアンテナを高く張っている Sales や Marketing 職が大勢参加してくれているのですが、それは「富士通のサステナビリティの取り組みをお客様にきちんと話せるようになりたい」という想いがあるからですね。

今後に関しては、「富士通グループの事業への環境意識向上のための施策の一環」としての位置づけで多くの従業員にワークショップに参加いただき、富士通全体のサステナビリティのリテラシーを上げていく活動を進めたいと考えています。

―ありがとうございました! 今後ともよろしくお願いいたします!

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社内外のさまざまなステークホルダーと共に、サステナビリティ推進における壁を乗り越えるためのコミュニケーション(研修やイベント)にご利用いただけます。

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