「新入社員あるある」な課題を乗り越えるために組織として支援できること

新入社員(新人)が組織の中で活躍していく上で、大きな壁となる「新入社員あるある」な課題を乗り越えるために、組織として支援できることを分かりやすく解説します。

Contents(目次)

【新入社員の課題1】社会人マインドの獲得

新入社員の最初の壁は、社会人マインド(社会人としての仕事に向き合う意識や思考、態度)の獲得です。

  • 何事も教えてもらえて当たり前という受け身な意識
  • 失敗の責任は相手側にあるという他責思考
  • 無難にこなしたいという態度

このようなマインドがビジネスの世界では全く通用しないことは明らかであり、いち早く社会人マインドを獲得する必要があります。

社会人マインドの獲得に向けて、組織として支援できること

新入社員研修で社会人マインドの知識を教える​​

何事も知らないことはできないものですが、それは、社会人マインドも同じです。

人生の大部分において、お金を払ってサービスを受け取る側にいた学生にとって、サービスを提供してお金をいただく側が持つべき社会人マインドは未知のものです。だからこそ、社会人のスタートを切ったばかりのタイミングで実施する新入社員研修の中で、社会人マインドの知識を教える機会を持つことには大きな意味があります。

新入社員研修の中で「社会人マインドの何たるか」を伝えたところで、その日から意識が瞬間的に切り替わるわけでもありませんが、日々の業務を通じて社会人マインドの知識を実践することで、社会人マインドは着実に身に付いていきます。

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新入社員研修の内容についてお悩みの方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。

ビジネスマナーの実践をサポートする​

身だしなみ・挨拶・言葉遣い・電話対応・名刺交換・文書作成・報連相などのビジネスマナーについて、新入社員の中にはマナーを軽視する向きが少なからずあります。

ですが、マナーは自分が必要・不要を判断するものではありません。マナーは相手への敬意を示すもの、相手に不快感を与えないようにするためのものです。ビジネス商談がうまく進まなかったときの状況を紐解いていくと、マナーの出来不出来が要因だった、ということが現実にもあります。

相手を基準に物事を考えることはビジネスの基本であり、社会人として持つべきマインドそのものです。ゆえに、新入社員がビジネスマナーを実践するサポートをすることが、そのまま社会人マインドを身に付ける良質なトレーニングになります。

具体的には、日常業務の中で新入社員のビジネスマナーに至らぬ点があれば、上司や先輩社員からのフィードバック(改善指導)を徹底的に行うことが推奨されます。

【新入社員の課題2】組織文化への適応

新入社員の2つ目の壁は、組織文化(組織のルールや価値観)への適応です。

右も左も分からない新入社員は、組織文化に適応することで物事の判断の拠り所を獲得することができます。例えば、新入社員が問題に直目した際に、「組織文化的に、こういった判断をするべきだ」と自己完結的に考えられることは、本人の主体性や行動力を引き出します。

逆に、組織文化に適応できていない状態とは、組織の中での自分の振る舞い方が分からない状態にあると言えます。判断の拠り所がない状況では、誰もが指示待ちになり、自分で考えるよりも正解探しをしてしまうものです。

組織文化への適応に向けて、組織として支援できること​

社内のコミュニケーション量を増やす

組織文化は、一人ひとりの社員の一つひとつの行動に現れます。

よって、新入社員を組織文化に適応させる観点では、上司や先輩社員の姿を見せること、つまりは、社内のコミュニケーション量を増やすことが推奨されます。

もちろん、会社が仕事をする場である以上は、業務中のコミュニケーション量を増やすことを優先すべきです。上司や先輩社員などの組織文化の体現者の振る舞いを間近で観察したり、自らの思考や行動に関するフィードバックを受けることを通じて、組織文化を腹落ちさせる(心から納得する)ことが推奨されます。

その上で、時にはランチに誘ったり、雑談をすることも大切です。非公式の場だからこそ語られる個別具体的な経験談の中に、新入社員が組織文化を腹落ちさせることに役立つ情報が秘められていることも少なくありません。

組織文化を自分事として考える機会を提供する

新入社員にとって、組織文化は実感を持ちづらく、どこか他人事(自分には関係のないもの)のように感じられるものです。ゆえに、新入社員に対して組織文化への適応を加速させる上では、組織文化を自分事として考える機会を提供することが推奨されます。

組織文化は会社のパーパスやMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と繋がっているので、例えば、「会社のビジョンのどのような点に共感し、ワクワクしますか?」という問いを通じて、会社のビジョンと自分のビジョンとをリンクさせるワークショップを新入社員研修プログラムに組み込むと良いでしょう。

【新入社員の課題3】業務知識・スキルの習得

新入社員の3つ目の壁は、業務知識・スキルの習得です。

業務知識やスキルは、OJT(On the Job Training)を通じて習得していくことが一般的であり、新入社員の配属部門の育成方針や計画に委ねられるものですが、習得スピードを加速させる観点で組織として支援できることがあります。

業務知識・スキルの習得に向けて、組織として支援できること

ロジカルシンキングを学ぶ機会の提供

ロジカルシンキング(論理的思考力)とは、あらゆるビジネススキルの土台となる能力であり、メタスキル(スキルを獲得するために必要なスキル)とも言われています。

営業・マーケティング・商品企画・研究開発・システム開発・人事・経理など、組織の中には多種多様な機能(職種)があり、それぞれに異なる専門スキルが存在しますが、それらの専門性を獲得・発揮する上で、ロジカルシンキングが必要とされています。

ロジカルシンキングの巧拙に、先天的な才能は関係ありません。誰もがトレーニングによって磨くことができます。

クリティカルシンキングを学ぶ機会の提供

ロジカルシンキングは、それ自体は優れたスキルではありますが、ビジネスの現場で有効活用するには物足りなさがあります。

論理的に考えることはビジネスの基本動作に過ぎません。大切なことは、合理的な答えに到達することです。そのための思考法としてクリティカルシンキングを学ぶ機会を提供することが推奨されます。

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クリティカルシンキングについてご興味のある方は下記の記事をご覧ください。

【新入社員の課題4】自己効力感の向上

新入社員の4つ目の壁は、自己効力感の向上です。

  1. 困難を前にしても自分ならできると考える
  2. 粘り強く挑戦を重ねる(スキルや経験を積み上げる)
  3. 成功体験を得て、自己効力感を高める

この 1→2→3→1… の好循環(成長スパイラル)の要となるものが、自己効力感です。「自分ならできる」と思えるかどうか? この自己効力感の高さが、粘り強い挑戦を支えます。

新入社員の自己効力感を高める上で最も有効な取り組みは、OJTです。新入社員を甘やかすのではなく、試練(ストレッチ目標)を与え、その達成を支え、成功体験へと導くことが望まれます。

このOJTを軸に、自己効力感の向上に向けて、組織として支援できることを着実に実践していくと良いでしょう。

自己効力感の向上に向けて、組織として支援できること

1on1ミーティングの実施

OJTでは仕事が話題(コミュニケーション)の中心にあり、ともすると、本人のことが置き去りになりがちです。ゆえに、人を話題の中心に置いた1on1ミーティングを実施することに意味があります(OJTで不足しがちな部分を補完することができます)。

1on1で話す内容は、原則、本人の話したいことになりますが、上司側は新入社員の生理的状態のケアや言語的説得(励ましや承認)に気を配ると良いでしょう。それが自己効力感を高めることにも繋がります(※)。

※自己効力感は直接的達成経験(成功体験)・代理経験・言語的説得・生理的状態の4つの情報源をもとに形作られていくものと考えられています。

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1on1ミーティングのポイントついてご興味のある方は下記の記事をご覧ください。

心理的安全性の醸成

心理的安全性という言葉があります。

これは、チーム内において対人関係上のリスクのある行動(無知・無能・ネガティブ・邪魔だと思われるかもしれない行動)を取っても大丈夫だと思える心理状態を意味する言葉です。

心理的安全性が高い状態は、チームメンバーの自律的な行動・挑戦を促します。そして、挑戦は成功体験を導き、自己効力感を高めます。

心理的安全性を醸成する・高める方法としては、上述の1on1ミーティングやピアボーナス制度の運用、チームビルディング研修やコミュニケーション研修など多岐に渡るため、自社に適した内容を検討してみると良いでしょう。

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心理的安全性を高める方法についてご興味のある方は下記の記事をご覧ください。

この記事の著者について​

執筆者プロフィール

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

監修者プロフィール

亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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