- チームビルディングに効果がある研修を探している。
- 自社に適したチームビルディング研修が見つからない。
- ゲーム形式のチームビルディング研修を検討しているが、ゲームで研修効果があるのか気になる。
こんな考えや悩みをお持ちの方に向けてチームビルディングの意味や目標、参加者満足度の高いチームビルディング研修のポイント、ゲーム型研修の効果など、チームビルディング研修の実施検討に必要となる知識をお届けします。
また、ゲーム形式のチームビルディング研修に活用可能な「ビジネスゲーム」というソリューションも併せてご紹介します。
※チームビルディング研修を検討される上では「チームビルディング研修の検討マニュアル」の記事もおすすめです。是非、本記事と併せてご覧ください。
チームビルディングとは?
チームビルディングとはメンバー同士の関係を重視した組織作りです。チームビルディングではメンバー同士が互いに尊重・信頼し合う関係の構築を目指します。
また、組織作りの基礎として、目標が全メンバーに共有されていることも重要視されます。一人一人の業務内容は異なっていても、物事の優先順位や価値観が異なっていても、最終的に達成したい目標は共通のものであることが必要になります。
チームビルディングが注目されるのはなぜでしょうか?
一つの要因としては、成功する組織作りにはチームビルディングによる組織作りが必要であると明らかになったことが挙げられます。成功する組織を研究しているプロジェクトとして挙げられる「re:Work」ではGoogleが自社内のチームの実態を調査し、チームの成功の鍵を調査結果として公表しています。
その「re:Work」での調査結果などに基づき、自らもGoogleのような成功した企業になることを目的にしてチームビルディング研修を行う企業もいます。
参考:「re:Work」の調査の一例。Google社内で成功を収めるチームの5つの秘訣(外部サイト:英語)
チームビルディングの目標
チームビルディングでは、これからご紹介する3つの組織状態を目指します。
1. 安心できる組織
なぜ安心がチームに必要なのか?緊張感のある組織の方が成果を出せるのでは?
このように疑問に思われるかもしれませんが、成功しているチームの実態を調査すると、必ず「安心感」が成功の鍵になります。上記の「re:Work」の調査でも安心感(Psychological safety)をトップに出しています。
安心感が必要になる背景には2つの理由があります。
1つ目の理由は安心感が無い状態では発言も行動も無意識のうちに少なくなってしまうためです。安心感が無いと「自分の言動で他人に馬鹿にされたり悪口を言われたらどうしよう?」と考えてしまうのです。
メンバーの言動が少なくなることは、チームの活力が低下してしまうことに繋がり、組織の成功が遠のいてしまいます。

2つ目の理由は、上記の「re:Work」にも書かれていますが、挑戦的な目標の設定やリスクを取る行動が、安心感無しでは実行できないからです。簡単に言えば、強気になれないのです。
大きな成功を為した人を観察すると、そのプロセスでは驚くほどの危険を冒しています。いくら成功するためとはいえ、そんな危ないことができるのは並大抵のことではありません。それでも挑戦できたのは「きっと自分たちなら大丈夫だ」という自信とメンバーへの信頼感から生まれる安心感があったからです。
安心感を持てるチームはその挑戦の結果として、大きな成功を手に入れることができているのです。

2. 目標が共有されている組織
目標が共有されているのは当たり前では?と思われるかもしれませんが、肝心なことは、目標が明文化されており「常に目標に向かってチームの誰もが頑張っているのだ」という意識を共有していることです。そうすれば、いつでも目標(原点)に立ち帰ることができ、誤った方向に進まずに済みます。
また、仮に、他のメンバーが自分と異なる意見を持っていたとしても、同じ目標を目指しての意見であることが理解できていれば、相互理解に繋げられます。
3. 互いに尊重し合う組織
立場や仕事内容の違いが、意見や見解の違いを生み出します。
そして、その違いを受け入れることができなければ対立が生じ、組織にほころびが目立つようになり、やがて、チームの崩壊に辿り着きます。こういった対立を避けるには、常日頃からお互いに敬意を払う習慣が必要です。相手の長所を認め、相手が自分と違う意見を出すのは「相手が自分の見えていないものを見ているからだ」と理解するのです。
そうすることで互いの違いを受け入れることができ、建設的なコミュニケーションができるようになります。
チームビルディング研修にビジネスゲームがお勧めな3つの理由

ビジネスゲームとは、実際の経済活動・ビジネスを、誰でもどんな業務にでも挑戦できるように『モデル化』したゲーム形式のロールプレイング研修です。普段はリスクを感じて躊躇してしまうようなことにも気軽にチャレンジすることができ、座学研修では得られないリーダーシップや主体性の成長を促すことが可能になります。
このビジネスゲームをチームビルディングという観点から見ると、3つの理由から「チームビルディング研修にビジネスゲームは適している」と結論付けることができます。
それぞれの理由を解説します。
1. 参加者間に連帯感を生み出しやすい
「他者と協力し、お互いの能力を引き出すことが鍵になっていること」
これがビジネスゲームと市販されているエンターテイメントのためのゲームとの大きな違いです。このため、研修の参加者に対しては「他人を倒そう、蹴落とそう」という発想ではなく「お互いがベストを尽くせるようにしよう」とするWin-Winのマインドを伝えることができます。
お互いに協力しあう体験を共有することは参加者間に連帯感を生みだします。連帯感、つまりは「自分たちは同じ目標のために協力し合う仲間なのだ」という認識はチームビルディングの基盤です。
ビジネスゲームはその土壌作りをできる環境を提供します。
2. 同じ条件で平等な立場になれる
ビジネスゲームの参加者は現実社会での役職や立場から開放されます。社長も部長も新入社員もビジネスゲームでは同じ立場の参加者になります。加えて、ビジネスゲームでチームビルディング研修を実施する際には、講師側がクライアントである人事担当者様と相談して参加者のチーム分けを行い、チームに偏りが無いように工夫します。
とあるチームには営業の得意な参加者ばかりが集まり、とあるチームには資産管理が上手い参加者ばかりが集まる状態を避け、チームの人材を平滑化します。
このように、普段の業務とは異なる役職で普段の業務とは異なるビジネスに臨むと、どうなるでしょうか?
上手くチームビルディングを行うことができれば、自分の能力を最大限に発揮できるポジションにつくことができます。始めはビジネスゲームのルールに馴染むことにも難を感じる参加者もいらっしゃいますが、チームビルディング研修が進んでいく中でビジネスゲームにも慣れていきます。
「自分はチームのために何をすべきなのか」を考えられるようになり、自然に(あるいはリーダーシップを取れる人が指示した役割分担により)、各参加者は自分自身の長所を活かした役割・ポジションを発見します。
もちろん、チームビルディングに失敗して、ビジネスゲームでは大敗してしまうチームも出てきます。ですが、それはそれで良いことです。肝心なことは、その失敗から学びを得られるかどうかです。
目標はビジネスゲームの勝利ではなく、研修を通じてチームビルディングについて学ぶことなのです。
3. 実際のビジネスにフィードバックを与えられる
チームビルディング研修で盛り上がり、その場の雰囲気は良かったものの、職場に戻ると元通りになってしまった。これはチームビルディング研修の典型的な失敗例です。いわば「研修をやりっぱなしになっている」状態です。
「研修をやりっぱなしにしない」ためには、研修講師によるチームビルディング研修からの気づきと学びの提供が必要となります。
そのためにビジネスゲームでは、研修後に講師からの問いかけを通じて参加者自身に考えてもらう「振り返りの時間」を用意しています。これはコーチングのような質問と対話を通じて参加者に自発的に考えることを促す技法です。
加えて、研修講師からのチームビルディングについての講義を組み合わせることで、ビジネスゲーム研修での気づきと学びを実際のビジネスへのフィードバックに変え、チームビルディング研修参加者のビジネススタイルを改善します。
チームビルディング研修におすすめのビジネスゲーム
1. ビジネスゲーム「The商社」
ビジネスゲーム「The 商社」は3~6人程のチームを組み、他のチームと様々な交渉を行いながら自社を拡大していくゲームです。
常にビジネスパーソン同士の取引として交渉に臨まなければならないため、参加者はゲームの体感を通じて自発的に “Win-Winの関係を成立させること” の重要性に気付きます。また、チーム共通の体験からチームビルディングに効果的に働き、リーダーシップを自然と身に付けることができます。
ただ講義を受けるだけでは得られない「実感」を伴うことで、研修後にも自分の中に強く残り、研修効果の定着・行動の改善に繋がります。
私たち株式会社プロジェクトデザインでは、このビジネスゲーム「The 商社」を活用したチームビルディング研修をご提供しています。

2. ビジネスゲームで研修内製化
人材育成の一手段である研修。外注するか、内製化するか検討する際、その大きな判断軸は、研修テーマが汎用的なものか、自社特有のものかという部分ではないでしょうか。
理念浸透や現場特有の課題解決など研修テーマの個別性が高くなればなるほど、内製化研修が適しています。
ビジネスゲーム研修は「説明ではなかなか伝わらない」ことをゲームを通じて体感として社員や内定者に学んでいただくことが可能です。だからこそ、内製化に適しているような形式知化されていない研修テーマを得意とします。
もちろん、チームビルディングをテーマとした研修にも適しています。
研修内製化にご興味のある方は、是非下記のページをご覧ください。

・ 研修内製化に最適な公認ファシリテーター養成講座の詳細はこちら
チームビルディング研修に盛り込みたい7つのポイント
最後に、参加者満足度の高いチームビルディング研修を実現する上で、盛り込みたい7つのポイントをご紹介します。
1. 相手を尊重する精神
現代社会では多くの「不足」がありますが、こと人間関係においては「敬意が不足」しています。自分自身に敬意を払ってもらいたいと誰もが思う一方で、誰もが他人に敬意を示しているわけではありません。それ故に「敬意の供給不足、需要過多」が生じています。
チームビルディング研修では、文字通り参加者がチームになる必要があります。そのためにはチームメンバーを尊重するのが絶対条件です。尊重する精神に基づき、相手を決して否定せず肯定的に受け入れし、安心と信頼の場を築くことがチームビルディング研修の成功の秘訣です。
自尊感情や承認欲求は、人としてとても自然で根源的な感情なのですから、まずはそこを満足させることから始めるのが良いのです。
2. 傾聴・聞く力
チームビルディング研修にはグループで共通の課題に挑戦したり、議論する場面が多くあります。
基本的に、人は「誰かの話を聞くこと」よりも「自分の話をすること」の方が好きな生き物であり、自然と自分の意見を押し出したくなるのは仕方ありません。しかし、だからこそ、きちんと相手の話を聞く能力は大切です。
意識的に聞こうとしなくては、相手の話は自分の耳には決して入ってきません。お互いの意見をブラッシュアップし合う議論を成立させるためにも、チームビルディング研修では、傾聴・聞く力が非常に重たい価値を持つのです。
3. 聞き出す力
先ほどの「傾聴・聞く力」から一歩進んだ先にあるのは「聞き出す力」です。
相手が話しやすい場を整えられる能力は議論では重宝されます。話相手からスムーズに言葉を引き出すためには、自分が相手の話題に興味を持ち、理解していることをしっかりと表現、アピールすることが大切です。
具体的な聞き出す力のテクニックには
- 視線を合わせる
- 笑顔
- うなづき
- 適切なタイミングでの相づち
- 相手の意見を明確にするための質問
- 相手の話すペースに合わせた応対
- 聞き直しや言い換えによる確認
などが挙げられます。
4. 分かち合える達成感
チームビルディング研修が終わった時の理想の状態はどういう状態でしょうか?
それは、参加者全員がチームメイトを一人一人尊重し、団結して協力するのことの意味と素晴らしさを実感している状態、参加者が皆「このチームの誰かが欠けていても、課題の達成はできなかっただろうな」と思っている状態です。
その理想の状態に達するためには、課題を達成するためにチーム全員の力が必要になるようにチームビルディング研修の内容や構成が工夫されていなくてはいけません。
能力の高い人が一人いるだけでクリアできるような研修内容では、チームの一体感が薄れてしまいます。
一体感を高めるためには「役割分担」を意識してもらうのが一つの方法です。あらかじめ役割分担を研修講師の方から提供するか、役割分担しなくてはとても処理しきれないような作業量や情報量を与えてしまう研修設計が効果的です。
実際のビジネスでは、営業や開発など部署に所属した時点で役割が決められていますが、その役割の決定を自分たち自身で行ってもらうことで「なぜ、チームは個人の集団より強いのか?」を実感してもらいやすくなります。
5. 長所の発見
チームビルディング研修ではチーム一丸となって一つの課題に取り組むことで人それぞれの長所が見えてきます。その長所を認め合うこと自体が、チームビルディング研修の目的の一つでもあります。
そして、完成度の高いチームビルディング研修は、様々な長所(強み)を発見できる場となります。
リーダーシップや積極性はもちろんのこと、研修課題の内容次第では、人と人との間を取り持つ仲介能力、課題へのアプローチを分析する論理的思考力、数値から今の自分たちが実行すべき施策を見出す計数能力など、様々な長所(強み)を発見することができます。
6. 実際のビジネスに活かすことのできるフィードバック
チームビルディング研修の第一目的は、組織としての一体感を持ってもらうことですが、欲を言えば、研修である以上は、実際のビジネスに活かすことのできるフィードバックが欲しいところです。
おすすめのフィードバックは上述の「長所の発見」です。自分の長所が分かっていれば、その強みを活かした仕事を積極的に引き受けることで組織に貢献しやすくなります。
チームビルディング研修では、参加者自身に振り返りを行ってもらい、その意見や感想をチーム内で共有することで、自分の強みの自覚、他人の長所の承認ができます。
他のフィードバック手法として、研修講師からチームの講評をもらうという方法もあります。
経験豊富な研修講師から、自分たちがチームとしてどのような特徴を持っているかを分析・評価してもらうことで、今後のビジネスの場で、チームワークをどのように発揮すると効果的なのかが見えてきます。
7. 主体性とリーダーシップの定着
チームビルディング研修では、研修のゴール目標が明確に設定してあり、ルールが分かりやすく、チームプレイを重視するものであれば、参加者は意識せずとも主体性とリーダーシップを意識することができます。
しかし、チームビルディング研修は主体性とリーダーシップを発揮してもらうことが目的ではなく、発揮した主体性とリーダーシップを正しく定着させることが目的です。
研修のワークやゲームに取り組む時間よりも、ワークやゲームが終わった後の振り返り時間を活用して、ワークやゲーム中に発揮された主体性やリーダーシップを参加者間で認め合う時間を設けておくことが効果的です。
監修者プロフィール

福井 信英
富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。