【事例インタビュー】「グローバルにビジネスを進めていく難しさ」がビジネスゲームの中に落とし込まれることで、参加者はゲームを楽しみながらビジネスを理解できる(日立製作所)

日立製作所は社会イノベーションが事業の中心であるにも関わらず「家電製品の会社」というイメージを持っている学生が多い状況でした。この状況を踏まえて2018年に弊社と共同で開発したビジネスゲームが「Hitachi Social Innovation」です。
 
今後の就職活動や自分自身のキャリアについて考えている学生に対して「日立製作所のビジネスを正しく理解し働く姿をイメージすることで、自身の今後のキャリアを考えるきっかけを作ってもらう」ことを目的に毎年開催されているキャリアセミナーの中で、ビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」は好評を博しています。
 
そして2020年4月。以前から在宅勤務を行っていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で全社的にオンライン・在宅勤務へと切り替えた日立製作所。
 
キャリアセミナーもオンラインで実施することになり、何か良いコンテンツはないかを検討する中で、ビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」のオンライン化が決定しました。日立製作所様とともにシステムの開発を行い、2020年8月よりキャリアセミナーでご活用いただいています。
 
同社がオンライン・オフラインともに、キャリアセミナーのコンテンツとしてプロジェクトデザインのビジネスゲームを選んだのはなぜなのか。人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部の河野様にお話を伺いました(新型コロナウイルス感染症の状況下のためオンラインでインタビューをさせていただきました)。


 

日立製作所 人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部 河野

河野様

「グローバルにビジネスを進めていく難しさ」がゲームの中に落とし込まれることで、参加者はゲームを楽しみながらビジネスを理解できる

ー はじめに、オフライン版のビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」の開発背景を教えてください。

河野様:弊社では、毎年夏に「学生のキャリア形成のきっかけづくり」を目的としたキャリアセミナーを実施しています。学生が「自分はこれからどういうキャリアを築いていけばいいのか」といったところを少しでもイメージをしてもらいやすくするためのきっかけにしたいと思っています。
 
それを実現するためには、「日立製作所の事業内容を正しく学生の皆さんに理解してもらう」ことも重要です。
 
学生にとって弊社は『家電製品の日立』というイメージが強いのですが、現在の日立製作所は社会イノベーション事業をコアとして、世の中の社会課題を解決していくことが大きなビジネスモデルになっていることを学生に正しく理解してもらいたいと考えています。
 
安定的に電気を供給するためのシステムや、きれいな水を飲むための上下水道の制御システムなど、今の日本の生活の当たり前、世界のいろいろな地域での生活の当たり前を作っているのが私たち日立製作所なのですが、ビジネスが大規模であり、かつ、社会インフラビジネスは日常生活の中では人々の目に直接触れることが少ない領域なので、学生に日立製作所のビジネスを理解してもらうことは簡単ではありません。
 
この非常に複雑で大規模な日立製作所のビジネスを分かってもらうために、どんなやり方が最適かを検討していく中で、「ビジネスゲームで学生にインプットしていく」というやり方が一番いいという結論に達しました。

  ー キャリアセミナーで実際にビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」使ってみて、いかがでしたか?

河野様:弊社が取り組んでいる「社会課題に対してソリューションを提案する」という社会イノベーションビジネスの難しさ、グローバルにビジネスを進めていく難しさをゲームの中に落とし込んでいただけていて、弊社の社員が日々やっているようなことが、ゲーム内でも実現できているなと思います。
 
ゲームは簡単には正解に辿り着けないような非常にレベルが高く難しいものになっているので、学生はゲーム中に色んなことを考えて「じゃあ、このソリューションを提案してみよう」と決めて提案するのですが、なかなか上手くはいきません。そうなった時に「何が違うんだろう」「何が足りないんだろう」ということを「あるべき姿」からもう1回考えて、また新たな違う提案をして正解に辿り着いていく。まさに弊社の社員が日々やっているような動きがゲームの中に再現されています。
 
ビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」をプレイする学生にとっても、座学で説明を聞かされるのではなく、ゲームに参加しながら、ゲームを楽しみながら実際の日立製作所のビジネスを理解することができている様子でした。

ー オンライン版のビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」の参加者の反応はいかがですか? オフラインで実施していた時と比較してよかった部分はありますか?

河野様:ビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」をオフラインで実施していた時と変わらず、参加学生は楽しみながらゲームをプレイしていました。キャリアセミナー開催後に学生にとったアンケートでは97%の学生が「大変満足」「満足」と答えています。
 
オンラインでやってみて一番メリットだなと感じたところは、関東や関西といった比較的大学数・学生数の多い地域以外の学生にも大勢参加いただけたことです。オフラインで実施していた時と比べて参加人数はほぼ倍になりました。
 
学生のアンケート回答でも、「参加しやすくなった」「予定の調整がしやすかった」といった点でのプラスの声がとても多く集まりました。海外から参加する学生もいたので、そういったところはオンラインならではの良い点だなと感じています。

ー 今後のオンラインの研修・セミナーに関する展望や、プロジェクトデザインへのご要望・ご期待をお聞かせください。

河野様:オフラインのビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」を作っていただいた時から、「ビジネスゲームという手法が非常にいいね」という話をしていましたが、今回のオンライン化に関しても、期待を上回ってすごく完成度の高いものを作っていただきました。
 
弊社は、これから会社全体として在宅勤務、オンラインをベースとしてビジネスを進めていく中で、学生への接し方も変える必要があると考えています。
 
ぜひ引き続きご協力をよろしくお願いいたします!

日立製作所のオリジナルオンラインビジネスゲームの概要

日立製作所の仕事理解ビジネスゲーム「Hitachi Social Innovation」は社会イノベーション事業に必要なマインドと思考方法を体感することができるゲームです。
 
プレイヤーは6つのチームに分かれ、社会課題の解決に取り組みます。6チームで一つの会社(架空の日立製作所)です。各部門には達成すべきゴールが3つあり、より多くのゴールを達成したチームの勝利です。
 
プレイヤーは、社会ニーズ・先輩社員からのアドバイス・チームが持つリソース、そして資金を保有しています。基本的なアクションはニーズの解決策を提案すること。プレイヤーは社会ニーズに対して手持ちのテクノロジーやサービスを組み合わせて、解決手法を提案します。
 
高度な案件は自分たちのリソースだけでは対応できないため、他チームとテクノロジーやサービス、アイデアを出し合って課題解決に取り組みます。解決した社会課題は実績として手元に残り、今後の事業発展のヒントになります。
 
また、社会課題は経済、エネルギー、環境、水、交通、医療、福祉の7つの分野に分かれています。参加者は目の前の社会課題の解決を通じて7分野すべての大きな社会課題の解決をめざすことになります。社会課題は互いに結びついており、切り離して考えることはできません。
 
チームに課せられた、所持金とニーズ解決に関するゴールをどれだけ達成できたかによって、チームの勝敗が決定します。
 
プレイヤーはゲームの結果に対して喜びや悔しさを感じつつ、ゲーム中の振る舞い(思考と行動)を振り返ることで、それぞれに必要な学びや気づきを得ることができます。 

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