【事例インタビュー】「The介護」で法人全体の組織力強化も期待できる(埼玉県上尾市・ご福あげお)

介護業界が抱える数々の課題解決の一助となるべく、当社が開発したビジネスゲーム「The 介護」。この度、埼玉県上尾市にある社会福祉法人 永寿荘の特別養護老人ホーム ご福あげお様にて、「The 介護」を使った若手職員研修を実施いただきました。

研修に参加されたのは入職1~2年目の職員9名。カードに書かれたさまざまな利用者の情報を手がかりに、思い悩みながら対応の仕方を決めていく姿があちらこちらで見られました。

終了後、研修の振り返りとともに、介護業界の現状や課題について永寿荘の副理事長 永嶋 正史様・Eijuso研修センターのマネージャー 新海 喜枝子様・弊社代表 福井の3名で対談を行いました。

ビジネスゲーム「The 介護」とは

ビジネスゲーム「The 介護」のカードイメージ

カードイメージ

ビジネスゲーム「The 介護」は、地域や施設で暮らす高齢者の方が「その人らしく穏やかに過ごせる」ように、どのようなサポートができるかを考える介護施設の運営シミュレーションゲームです。

参加者は2~6人のチームを組み、午前シフト組と午後シフト組に分かれて1つの介護施設を運営します(※)。

介護施設の利用者・ご家族からの情報をもとに、介護現場の人手が限られる中でどんな介護サービスを選択・実施するのか。昼から夜、夜から昼のローテーションチームを引き継ぐ際にどのようなコミュニケーションを取るのか。

ゲーム内での一つ一つの行動が、現実同様に、利用者の満足度と介護施設の運営品質に直結します。

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※「The 介護」は、1つの介護施設でのゲーム実施も可能ですが、2~3の介護施設間で競い合う形でのゲーム形式が基本となります。

「The介護」は普段はあまり関わりのないスタッフ同士でも楽しめる

福井:本日はありがとうございました。研修に参加された皆さんはみんな素直で、全体的に明るい雰囲気で研修ができたと思います。お2人はオブザーバーとして参加していただいたのですが、お2人から見てみなさんの様子はいかがでしたか?

永寿荘の副理事長 永嶋 正史(右)・Eijuso研修センター マネージャー 新海 喜枝子(左)

(左:新海様、右:永嶋様)

永嶋:最初のうちはみんな緊張しているように見えたので「大丈夫かな」と心配していました。しかし、説明を1回聞いただけでルールをすんなり把握してみんなで作戦を考え出したので、彼らの吸収力の高さに驚きました。

新海:みんなとっても楽しそうでしたよね。こっそりシフト表を見て「同じフロアで働いているスタッフがペアになっているのかな」と探っていたのですが、そうなっていたのはひとテーブルだけ。それ以外はフロアの異なるメンバー同士でペアになっていたのですが、それでもみんな和気あいあいとゲームに参加していたのが印象に残っています。あまり普段関わりのないスタッフとも円滑にコミュニケーションがとれて、良いツールだなと思いました。

ビジネスゲーム「The 介護」の研修中の様子

研修中の様子(※)

※1チーム4~5人のグループをつくり、さらに午前シフト組と午後シフト組に分かれる。それぞれのテーブルに置かれた利用者カードには利用者のプロフィールが書かれていて、そこからニーズを読み取り、対応(介護)の仕方を決めていく。ゲームとはいえ、みんな真剣だ。

永嶋:実は、参加者には10代の職員もいました。なのに、しっかり自分の意見や想いをみんなの前で発表できていたので感心しました。終わったあと、主任には「先輩たちの前ではなかなか発言したり発信したりすることに憶してしまうかもしれないけど、彼らは本当にいい考えや想いを持っているから、もっと引き出してあげて」と伝えました。

福井:確かに、素敵な意見がたくさん出ましたよね。2年めの方も新人をリードしてあげるような感じで、自分の持つ知識や経験を一生懸命後輩に伝えておられて、たった1年でもぐんぐん成長されているんだなと思いました。

永嶋:あと、みんな素直に結果を受け入れていましたね。僕があのゲームに参加していたら「なぜこの結果になるんですか、どういうロジックになってるんですか」と質問攻めにしてしまいそうですが(笑)。

福井:たしかに、介護の経験が長い方だと違和感をおぼえることがあるようです。しかし、予想もしなかったような結果が出たときに、状況を改善するためにいかに自分の行動を変えられるかがこのゲームのカギになるのだと考えています。

「介護業界のイメージギャップを払拭したい」が「The介護」開発の原点

福井:このカードゲームを作ったのは、僕が近い将来”一億総介護”状態になるだろう」と思ったことがきっかけです。そこで、誰もが介護業界がどういうものなのかを理解をすることが大事ではないかと考えるようになりました。また、「介護業界は離職率が高く、人手不足」と言われていますが、それはなぜだろうと疑問に思ったこともこのゲームを作った理由のひとつです。

プロジェクトデザイン 福井 信英

永嶋:なるほど。

福井:このゲームを開発するにあたり、さまざまな介護施設でお話を伺いました。介護業界には業界特有の問題があるようでいて、実は上司や先輩とのコミュニケーション不足など、実は企業でもありがちな問題が介護業界でも起こっているにすぎないことがだんだんわかってきたんです。なので、介護業界のマイナスイメージを変えたいと思ってこのゲームを作りました。

新海:人手不足の問題に関して言えば、職員が利用者さんの真のニーズをとらえられていないことがあるのも原因かなと思います。たとえば、外出すれば利用者さんが喜ぶから全員で外出する予定を立てようとするケースがあるのですが、利用者さんのご希望は一人ひとり異なります。外出が好きな方ももちろんいるのですが、要介護度の重い方などはとにかく日々のケアを丁寧にしてほしい方もいますよね。

福井:確かに確かに。利用者のニーズはそれぞれ異なりますし、それを汲み取ってあげることが大事ですよね。

新海:そうなんです。利用者全員の真のニーズを“外出をすること”と捉えてしまうと全員で外出しようとするのでマンパワーも足りなくなりますよね。そこをしっかりと見極めることができれば、コミュニケーションの齟齬もなくなりますし、人手不足も問題にならないのではないかという気がしています。

永嶋:処遇のことでいえば、昔からありがちな「きつい・汚い・給料安い」というイメージで面接を受けに来る人もいるんですが、職員の処遇は以前に比べて相当上がっていると思います。実は今、介護業界で働くと10年で社会一般の平均年収レベルまで行けちゃうんですよ。一般企業だと平均年収に到達するのは45歳前後なので、新卒で入職すると30歳前後で同じくらいの年収が得られるようになるんですね。面接に来られた方にその話をすると驚かれます。

福井:データで見ても、介護業界の平均年収って上がり続けていますよね。でも、それは経営的にどうなんでしょう。たとえば、今日の研修後の振り返りで「もっと残業してでも利用者さんに寄り添ったほうが良かったんじゃないか」という方がいましたが、ホスピタリティと経営面の両立はできるものなのでしょうか。

永嶋:創業当初は僕も「長時間働くことが美学」と思っていましたが、働き方改革の波を受けて、3~4年前から定時退勤率を事業所ごとに必ず毎月報告してもらうようにしました。そこで残業に対する意識は相当変わりましたね。経営的にものすごくプラスになったというわけではありませんが、スタッフの定着率がアップしたので、間接的にプラスの効果はあったと思います。

Eijuso研修センター マネージャー 新海 喜枝子

新海:ホスピタリティとは、仕事の中でパフォーマンスとして発揮するものですよね。「相手のためになるから」と自分のお金を出したり、勤務時間外に自分の時間を費やしたりすることで、職員本人は一時的には満たされるのかもしれません。しかし、それはただの自己犠牲にすぎないのではないかなと思います。ホスピタリティと自己犠牲はイコールではないと思っています。

福井:確かにそうですね。

永嶋:昔はよく、利用者さんが欲しがるものを自分のお金で買ってきたスタッフがいました。もちろん、良かれと思ってのことなのですが、経営者の目から見てもそれはよくないですね。

福井:善意の気持ちでついやってしまうんでしょうね。これがマイナスの影響を与えるなんて夢にも思わないで。

「The介護」を使った研修を通じて介護のプロフェッショナルを育成したい

福井:永嶋さまが全く別の業界から介護業界に入られてから、今年で20年と伺っています。どんなお気持ちで参入されて、どんなことを考えて経営されてきたのでしょうか。

永寿荘の副理事長 永嶋 正史(右)・Eijuso研修センター マネージャー 新海 喜枝子(左)

永嶋:この業界に入った直接のきっかけは、理事長が介護施設を立ち上げたことでした。設立準備を手伝っているときに、たまたま「これから特別養護老人ホームは、個別ケア推進の手法として全室個室の大ユニットケアが当たり前の時代になる」という話を聞いて、さらにスイッチが入りましたね。当時僕は30歳くらいだったのですが、「新しいことをやっていくのは俺しかいない」と使命感に燃えていました(笑)。

福井:異分野から参入されたからこそ、違和感をおぼえるところも、いいなと思われるところもあるのではないかと思います。今の介護業界で変えていきたい部分と、逆に残していきたい部分はありますか?

永嶋:介護業界は20年くらい慢性的に人手不足が続いていて、それをなんとかしたいと思っています。一般企業であれば設備投資したり新商品開発したりする方法もありますが、僕らの業界では働く人一人ひとりから生まれるものがサービスであり財産です。なので、そこで働く人たちを育成して、プロフェッショナルな人材を多く輩出することが目標ですね。どの企業でも一緒かもしれないのですが、特に介護業界もその意識が強くなければいけないでしょうね。そのためのツールとして、「The介護」のようなツールが役に立つのではないかと思います。

福井:人材育成に関して、新海さんは今の若手や今後入職される方々をどう育てて、どんな存在になっていただきたいとお考えですか。

新海:介護って、実は職員のほうがすごく利用者の方から得るものが多いお仕事なんです。私も利用者の方から学び、成長させてもらったように、介護のお仕事を通して人間力を高めていただきたいなと思います。今後は地域に暮らす方をどう支援していくかを地域の方々と考えていかなければならない時代になるので、専門知識を持って地域のことも考えられるような人材にもなってほしいですね。

永嶋:管理者クラスや主任クラス層にも、知識やビジネス感覚を養ってもらうために「The介護」を用いた研修を受けてもらいたいですね。そうすれば、法人全体として厚みが増してくると思いますし、逆に新人に近いスタッフがこういったゲームを通して力をつけてくれば、「主任者や管理者を目指して頑張りたい」というスタッフも現れるかもしれません。そうすれば、いろんな意味で相乗効果が出てくると思います。

介護業界にはまだまだ課題も山積していますが、その一方で世間に持たれがちな介護業界特有のイメージを払拭できるようなお話も伺えて、大変有意義な時間となりました。今回、研修実施にご尽力いただきました永嶋様、新海様、ご福あげおのスタッフのみなさま、ありがとうございました。

「The 介護」研修実施のご案内

今回ご紹介したビジネスゲーム「The 介護」は、ご要望に応じて研修の実施が可能です。自社(自組織)で「The 介護」を使って研修を実施したい、という方はぜひお気軽にご相談ください。

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