【事例】「学生同士の横のつながりの創出」と「将来イメージの具体化」を支援する、ビジネスゲームを活用したキャリアリーダーシップ育成プログラム(福岡大学)

組織名

福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科

事業内容

教育学・臨床心理学の総合学習

組織規模

440名

私たちプロジェクトデザインは、人と組織、社会の変革をビジネスゲームで支援する会社です。お客様の変革課題に向き合い、変革への挑戦をシミュレーションするビジネスゲームを活用した様々なサービスやソリューションをご提供しています。

本稿では、「自律型キャリア形成」の支援事例として、福岡大学人文学部 教育・臨床心理学科(LP)の1年生向けにビジネスゲームを活用して実施されたキャリアデザインワークショップ「LPフェスタ」をご紹介します。

※「LP」は人文学部教育・臨床心理学科の呼称です。

この取り組みを推進された、福岡大学人文学部 教育・臨床心理学科の植上教授と、自身の卒業論文の研究テーマとして本イベントの企画・運営に携わった4年生の泉田さんに、ビジネスゲームが学生たちにもたらしたポジティブな変化と今後の展望について、お話を伺いました。

<お話を伺った方>
教育・臨床心理学科 植上 一希教授
教育・臨床心理学科 4年生(プロジェクトデザインのインターン生) 泉田 亜依さん

<インタビュアー>
株式会社プロジェクトデザイン マーケティング部 古野知晴

植上教授(左)と泉田さん(右)

<大学プロフィール>

福岡大学は昭和9年(1934年)創立の歴史を持つ西日本屈指の私立総合大学です。9学部31学科、大学院10研究科34専攻を擁し、約2万人の学生が在籍しています。「人をつくり、時代を拓く。」をスローガンとし、日本および地域社会の産業・経済の発展、福祉の充実、文化の創造を図っています。人文学部 教育・臨床心理学科(LP)は、教育学と臨床心理学の2つの領域を総合的に学び、自分の生涯にわたるキャリア形成について主体的に考え、対人支援の専門性を養います。

「教える側」と「教えられる側」、両者の問題意識によって9年ぶりに開催が決まったLPフェスタ

―はじめに、今回キャリアデザインワークショップ「LPフェスタ」を開催された背景をお聞かせいただけますか。

植上先生:福岡大学人文学部 教育・臨床心理学科(LP)での専門的な学びの第一歩として、1年生が自身の価値観や強みを言語化し、4年間の大学生活を主体的にデザインするための場が「LPフェスタ」です。

LPフェスタはコロナ前の2018年から休止していたものの、私と、私がゼミで指導している4年生の泉田さんの問題意識が合致したことから、9年ぶりに開催することにしました。

―植上先生の問題意識とはどんなものだったのですか。

植上先生:1年生に多く見られるビジョンの曖昧さ(将来イメージの解像度が低い状態)と、チームビルディング(横のつながりをつくること)ができていなかった点です。

教育・臨床心理学科では、心理職や教育職といった特定の職種に対応するカリキュラムを明確に組んでいます。その専門的なキャリア選択を求める学科の学びに対して、入学したばかりの1年生の多くは将来像が固まっておらず、「大学での学び」と「学生の意識」の間にギャップが生じていたのです。

もちろん、明確な将来の目標を持っている学生もいますが、それらの学生たちであっても、「何となく心理学が好きだから」という漠然とした理由で教育・臨床心理学科を選んだ学生が多い状況がありました。だからこそ、卒業後のキャリアに大きく関わる2年生からのトラック(※)選択の前に、将来イメージの解像度を高めておく必要性を感じていました。

※教育・臨床心理学科は、トラック制を導入しています。心理の専門家である公認心理師を目指す「公認心理師トラック」、学校教員や教育支援者を目指す「学校教員トラック」、教育と心理学を学び、一般企業や公務員などのキャリアを目指す「キャリアデザイントラック」があります。自ら選択したトラックを中心にしながら、学科の多彩な専門科目を履修することが可能です。


―なるほどですね。もうひとつのチームビルディングの問題意識についてもお聞かせください。

植上先生:コロナ禍以降、学生の横のつながりが希薄になっています。アカデミックなスキルはあってもコミュニケーションが苦手で、休み時間に話せず孤立してしまう学生が大勢います。学生の孤立を防いで安心できる居場所を作るため、学生同士の横のつながりを1年生の早い段階で意識的に作らなければならないという課題意識を持っていました。

―今お話しいただいた「ビジョン形成」と「チームビルディング」の問題意識が、ゼミ生の泉田さんの問題意識と合致されたのですね。

植上先生:そうですね。私がゼミで指導する泉田さんが「キャリア選択における自律性」をテーマにした卒業論文を書く際に、色々と相談に乗っている中で、互いの問題意識が合致していることに気づきました。教育する側だけではなく、教育を受ける学生の側も同じような問題意識を持っていた事実に事態の深刻さを感じ、LPフェスタとしての開催を決めました。

―泉田さんが問題意識を持ったきっかけは何でしたか。

泉田さん:きっかけは、高校時代の進路指導への疑問でした。私は大学で学びたいことを軸に志望校を考えていたのに、進路指導の先生からは「就活に活かすことを考えると心理学は選ばない方がいい」と強く言われた経験がありました。

それを押し切って福岡大学のLPに入学し、1年次に植上先生のキャリア教育の授業を受けた際、「大学でどんな学びを得たいか考え、しっかりと学びを受け取れる姿勢が必要」といった主旨の話に感銘を受けました。この日を境に、大学の学びと自分自身の意識を接続することができるようになったという意味で、すごく印象的な授業でした。

また、大学の友人などの周囲との関わりの中で、それまでの高校教育への違和感や私が望む生涯にわたるキャリアを自分自身で言語化することができました。

だからこそ、大学に入学すること自体がゴールになっていて、大学での学びを今後の自分にどのようにつなげていくかが不明瞭な人が多いことに疑問を抱くようになり、それが「2年生からのトラック選択を控えた1年生が、早い段階で大学生活の目的や目標をしっかりと言語化するにはどうすれば良いのか」という問題意識へと発展しました。

福岡大学人文学部 教育・臨床心理学科の「LPフェスタ」の様子

ビジネスゲームは、普段の講義とは違う角度から学生たちの関係性を深められる、非常に有効なアプローチ

―当社(プロジェクトデザイン)にご依頼いただいたきっかけは何でしたか。

泉田さん:とあるイベントの中で、プロジェクトデザインのビジネスゲームを体験したことがきっかけです。ビジネスゲームは学び(学習内容)と自分自身の意識をスムーズに接続できる、腹落ちした実感を持って自分ごととして学びを得られることが、大きな利点であり価値だと感じました。

イベントで講師をされていた方に「卒論でキャリア選択における自律性について書きたい」と相談してみたところ、「当社ならそれを叶えられるかもしれません」とお話をいただいて、プロジェクトデザインでインターンをさせていただくことになりました。

植上先生:泉田さんからの紹介で、プロジェクトデザインのカードゲーム「2050カーボンニュートラル」体験会に参加しました。その際にプログラムの質の高さを肌で感じ、これは学生に対する教育ツールとしても有効だと考え、プロジェクトデザインに教育・臨床心理学科のLPフェスタでの実施を依頼することを決めました。

―「ビジネスゲーム」が学生にとって有効だと考えられたのはどんな点からですか?

植上先生:ビジネスゲームは、普段の講義とは違う角度から学生たちの関係性を深められる、非常に有効なアプローチだと感じました。

普段の講義でチームビルディングをしようとしても、学力や性格によってヒエラルキーのようなものが生じて輪に入りづらい学生がいるものですが、ビジネスゲームは違います。

ゲームルールはシンプルで分かりやすく、かつ、全員参加型なので、誰もがゲームを楽しみながら自然な形で自己開示やチームビルディングができる点が魅力ですね。

カードを用いて交渉・交換などを行うビジネスゲーム「The 商社」の様子

ゲームを通じた関係構築から個人のビジョン言語化までを一貫して行う一日プログラム

LPフェスタでは、主体的なキャリア形成の基礎力を養うことを目指し、自分のビジョンを明確にする取り組みを行いました。

最初にビジネスゲーム「The 商社(※)」を実施して参加者同士の関係性を構築した上で、ワークショップ「Find Out!(※)」を実施し、自分のビジョンを言語化します。そして「ビジョンサークル(※)」を実施し、自分のビジョンの共有と教育・臨床心理学科のビジョンについて語り合います。

※それぞれのツールの詳細(どのようなツールなのか?)については、後述の段落でご紹介をしています。

これによって、豊かな大学生活を自分の力で実現していこうとする姿勢を育むとともに、同窓生とのつながりを強化し、互いのビジョンの実現を支援し合える関係性を築く狙いがあります。

LPフェスタのタイムスケジュールと内容

―実際にLPフェスタを開催された感想を教えていただけますか。特に、学生の様子を教えてください。

植上先生:参加した学生たちが非常に盛り上がり、チームビルディングや個人のビジョンの言語化など、狙い通りのことができていました。

帰属意識を得ていた様子からも、本ワークショップは学生の居場所を作る上で極めて優れた内容であったと確信しています。

LPフェスタの終了後に、「楽しかったです」と、私に声をかけてくれる学生が何人もいたことを鑑みると、彼らにとって大きな糧になったのだと思います。

また、今回のプログラムで教育・臨床心理学科への帰属意識や学生同士の横のつながりを作れたと感じ、本当にやって良かったです。素晴らしいワークショップを実施していただき感謝しています。

泉田さん: LP生(教育・臨床心理学科の学生)は自己開示をするのに時間がかかる印象を抱いていたのですが、今回のLPフェスタではビジネスゲームを実施したことでそこがすごく早かったです。

講義の中で「関係の質がとても大切」というお話があり、ビジネスゲームを通したチームビルディングの中で関係の質がすごく高まっていたので、みんながイベントから主体的に学びを掴み取ろうという意識が見えていました。

LP生同士のつながりや、LP生という立場を自分自身でしっかり理解できるようになるというサブ目的にもつながっていたと思います。

参加者同士の関係性を構築する、ビジネスゲーム「The 商社」

―ここまでは、研修全体を通した効果について伺いました。ここからは、当日実施した個々のプログラムについて詳しくお聞きします。まず、ビジネスゲーム「The 商社」を体験した学生の様子はいかがでしたか?

ビジネスゲーム「The 商社」とは

ビジネスゲーム「The 商社」は、他者との交渉や戦略的な意思決定が求められるゲームです。参加者は変化の激しい環境下での「キャリアリーダーシップ」を擬似体験し、与えられた条件の中でどのように自分たちの進むべき道を切り拓くか、その難しさと醍醐味を体感します。

※キャリアリーダーシップとは、セルフリーダーシップにキャリアの視点を加えた概念です。単なる職業選択ではなく、自分の人生の主体者として、理想の未来(ビジョン)に向かって自らを導く力を指します。

植上先生:ビジネスゲーム「The 商社」では学生たちが主体的かつ真剣に取り組む姿勢を引き出せました。また、ゲーム中は学生の間に自然と会話が生まれ、仲が良い雰囲気を感じ取れました。

そして、ゲーム体験後のふり返りでは、良いチームを作る上で「否定や批判はしない」と明確な対話のルールを設定したことで、相手を安易に否定・評価せず受け入れ合い、誰もが安心して自分の想いを話せる心理的安全性が非常に高い状態が生まれていました。

これらの出来事から、学生同士の横のつながりを上手く作れたと評価しています。

普段の1年生向け講義は、100名規模の大人数講義か、20名弱のアカデミックな授業がほとんどであるため、学生同士がフラットに協力し合う機会を作るのは容易ではありません。入学直後のこの時期にこうした場を提供できたことは、学生にとっても学科にとっても非常に有意義でした。

また、普段の大学生活では人数の多い女子学生が主導権を握ることが多いのですが、今回のゲームでは男子学生が積極的にリーダーシップを発揮して活躍する姿が見られたことも、新しい発見として印象に残っています。

自然と会話が生まれ、初対面でも仲良くなれるビジネスゲーム「The 商社」

―今回のワークショップには1年生だけでなく、上級生や大学院生も参加されたそうですが、彼ら・彼女らの様子はいかがでしたか。

植上先生:運営のサポートとして参加した上級生や大学院生にとっても、普段の授業では見られない一面を発揮する素晴らしい機会となりました。

すでに良好な関係性を築いている上級生・大学院生チームは非常に高いチームワークを発揮し、ゲームに熱中していました。彼らの存在が場を盛り上げ、フラットな縦のつながりが生まれたことも望外な収穫です。

ビジョンメイキング「Find Out!」で対話を通して自身の価値観や強みを言語化

―ゲーム体験の後は、学生一人ひとりが自身の価値観や強みを深掘りする「Find Out!」と学科の目指す方向性とのつながりを発見する「ビジョンサークル」を実施しました。学生の反応や手ごたえはどのように感じられましたか?

「Find Out!」とは

「Find Out!」は、自分が心から実現したいと望むビジョンを言語化するためのワークです。ビジョンを羅針盤とし、それを実現するための主体的なキャリア選択と行動を促します。日々の生活の中で、自分のビジョンに照らして何が必要なのかを主体的に判断できるようになり、成長に合わせたビジョンのブラッシュアップもできるようになっていきます。

さらに、個人ビジョンを言語化し、教育・臨床心理学科の目指す方向性とのつながりを発見する「ビジョンサークル」での対話を通じて、 これからの4年間の大学生活をどう過ごすべきか、自律的な学びのスタートラインを定義しました。

植上先生:「Find Out!」で、まずはペアになって互いにインタビューで自己開示をし、フィードバックし合う関係を築きました。その上で、用意された問いに答える形でグループ内に自身のビジョンを共有していったため、段階的に話しやすい環境が作られたと感じています。

そして、言語化した個人のビジョンを教育・臨床心理学科の目指す方向性と重ね合わせて深く内省できたことは、極めて効果的でした。プログラム前半のビジネスゲーム「The 商社」で強固な心理的安全性が構築されていたからこそ、後半のビジョンメイキング「Find Out!」と「ビジョンサークル」でも真面目にじっくりと深い対話を交わすことができたのだと思います。

また、概念や考え方を教える普段の授業と異なり、今回のように仲間と対話しフィードバックし合うプロセスは、学生にとって非常に価値の高い学習機会となりました。

「Find Out!」でビジョンを言語化するための問い(1つを選んで回答)

― ありがとうございます。泉田さんにもお聞きしたいのですが、「Find Out!」と「ビジョンサークル」のワークで特に印象に残っているエピソードはありますか。

泉田さん:同じグループだった女子学生が、自らの学びと今後の人生を重ね合わせ、目の輝きを変えた瞬間が最も印象に残っています。

彼女は将来、親族の仕事を継ぐことが決まっていたため、当初は「大学で専門知識を学びたいけれど、それを将来のキャリアに直接活かすつもりはない」と、学術的な勉強と実生活を切り離して考えていました。

しかし、ワークでの対話を通じて、学んでいる専門知識が日々の生活や自身のあり方にどう繋がっているか、その「接続」の価値に自ら気付いていかれました。自分のやりたいことと生活が一本の軸で結ばれた瞬間に立ち会えたことは、私にとっても非常に大きな手ごたえとなりました。

同様に、将来のイメージを持てていない学生にとっても、学びと今後の人生を重ね合わせるきっかけになったと思います。

「Find Out!」のペアインタビューの様子
グループでビジョンサークルを作成する様子

言語化したビジョンと、創出した横のつながりを糧に自律的な大学生活を送ってほしい

―最後に、お二人に質問です。今回参加した1年生には、LPフェスタでの経験を今後の学校生活でどんな風に活かしていってもらいたいですか?

植上先生:今回のワークショップで経験した「自己のビジョンの言語化による将来イメージの具体化」と「チームビルディングによる横のつながりの創出」を、これからの大学生活を自律的に送るための確かな基盤にしてほしいと考えています。具体的には、次の2つのアクションを期待しています。

1つ目は、卒業後のキャリアを見据えた2年次のトラック選択への準備です。今回自ら描いたビジョンを羅針盤として、今後の専門的な講義やキャリア選択に主体的に活かしてほしいですね。

2つ目は、学生同士の横のつながりの深化です。LPフェスタのプログラムを通じて他者と深く繋がり合えた体験を自信とし、これからの大学生活を送る糧にしてもらいたいです。

泉田さん:大学での学びというものは1人で孤立する状態よりも、周囲の学生とつながり、関係性を深めることによって相互に影響を及ぼし合うことができます。それにより、より良い学びを得られると思います。

今回のLPフェスタでは小さな横のつながりをつくることができたと感じます。そのことに自信を持ち、今後、そのつながりを自らの行動を起点にさらに大きくしていってもらいたいです。

―ありがとうございました。

研修内容

組織の属性 教育
研修の目的 主体的な情報収集に基づくキャリア選択能力および、キャリアリーダーシップの育成
研修受講者 教育・臨床心理学科 1年生 15名、4年生・大学院生5名、計20名
研修実施日 2026年5月9日(土)10:00~18:00

研修プログラム

  • ビジネスゲーム「The 商社」
  • ビジョンメイキング「Find Out!」
  • ビジョンサークル

参加者の感想

ペアワークを通して、過去に生徒会など人が多い場面で自ら行動をしてきた一貫性に気づき、人と関わる状況に楽しさを見出す自分の強みを再認識しました。また、私は結果よりも過程を重んじる人間なのだと改めて気づきました。将来は、生徒のテストの点数だけでなく、そこに至る努力や成長の伸び率を大切にできる教師になりたいと強く思います。変化の激しい今後の社会において、将来教え子たちに教科書以外の時事情報も伝えていけるよう、ニュースや新聞にしっかり目を通し、社会への関心を持ち続けていきたいです。

ビジネスゲーム「The 商社」のふり返りの時間で、自分が率先して動くばかりで、意外と周囲の意見を聞けていなかったことに気づきました。大学生活では楽しいことが多く、プライベートとの境界が曖昧になっていましたが、過去をふり返る中で自分なりにオンオフをつけていた経験を思い出し、今後は意識的に気持ちを切り替えていこうと決意しました。さらに、キャリアリーダーシップは人生の寄り道が大切だと解釈し、一見無駄に思えることにもまずは真面目に取り組み、その経験が将来の目標に少しでも役立てば良いと思いました。

ワークショップを通じて、周囲がやりたいことを明確に表現しているのに対し、私は大学でやりたいことや将来の職業について漠然としているため、これからしっかり考える必要があると実感しました。これまで「4年間が終われば自然と大人になれる」と思っていましたが、自身の積極的な行動が将来につながり、社会に出てからの考え方にも影響すると気づいたので、インターンなどにも積極的に参加したいです。小さな目標を叶えていくうち、必然的に本当にやりたい大きな目標が決まるやり方が自分に合っていると感じました。まずは大学に行くモチベーションとなる友達を作り、就職したい企業を早く見つけて仕事体験に参加してみたいです。

私は普段、どっしり構えて情報を精査する役割になりがちなのですが、今回のビジネスゲームではあちこち動き回って交渉する能力を発揮でき、「報連相がうまくできている」と評価してもらえたことが嬉しかったです。大学生活へのイメージも、楽しい「人生の夏休み」から「社会人の自分を作り上げる大切な期間」へと変わりました。極端に頑張りすぎたり内にこもったりせず、「自分を大切にしつつ頑張れる人になる」というビジョンを掲げました。キャリアリーダーシップとは、社会の変化を捉え、人生も含めたキャリアを自分で作っていくことだと解釈しています。残りの大学院生活では、心身の健康を崩さないよう気をつけつつ、自分がどこまで行けるかより積極的に行動していきたいです。

泉田さんの感想

今回、卒業論文の研究対象として本イベントを企画・運営する中で得られた最大の収穫は、双方向の関係性の中で主体的に学びを掴み取り、周囲の学習も支援し合える「ビジネスゲームの有効性」を、確かな根拠とともに確信できたことでした。

私はもともとキャリア教育に関心がありましたが、大人数での講義が中心の総合大学では、ゼミ以外で他者と深く関わりながら学びを深める機会は多くありません。しかし、ビジネスゲームを導入したことで、学生同士がフラットに関わり合い、主体的に学びを掴み取って互いに支援し合えるようになることを実感しました。

実際に参加した1年生の様子を見ていると、ビジネスゲームを通じたチームビルディングによって、当日の講義内容にもあった「関係の質」が劇的に高まり、全員がイベントから主体的に学びを掴み取ろうとする前向きな姿勢が伝わってきたのも印象的です。

実は以前、社会人向けの「The 商社」を経験したことがありましたが、今回の1年生は先入観にとらわれない柔軟な役割分担や、状況を冷静に分析した的確な交渉戦略など、チームごとに多様で目を見張る動きを見せてくれました。

今回のワークショップは学生同士の深い繋がりを作り、自分たちが教育・臨床心理学科(LP)の学生であるという立場や学びの意義を自ら理解する、非常に大きな契機になったと確信しています。

こうした企画・運営や、これまでの歩みを振り返ると、私の中で「学び」の定義が大きく変わりました。以前は「学び=学校で与えられる教育」と捉えていましたが、キャリア教育の実践を通じて「学びは生涯継続するもの」「キャリアは仕事の選択に留まらない広い概念」なのだと気付きました。もし大学1年生の時に今回のワークショップを体験できていれば、より早い段階から自分の専門分野に当事者意識を持って関われたはずです。

大学での学びは一人だけでは限界があります。後輩の皆さんには、お互いを支え合える豊かなつながりを大切にしながら、これからの大学生活を自律的に切り拓いていってほしいと願っています。

教育・臨床心理学科(キャリアデザイントラック)4年生 泉田 亜依

ファシリテーター所感

今回は多様なフィールドのみなさまにご利用いただいているビジネスゲーム「The 商社」に、個人ビジョンを言語化するビジョンメイキング「Find Out!」を組み合わせたプログラムを設計しました。主体的に自身のキャリアを探究する姿勢を身につけることをテーマとしておりまして、福岡大学の学生のみなさまの受講時の様子を見ると、十分にプログラムが機能したと考えております。

前半の「The 商社」では、学生のみなさんの個性豊かな動きが見られました。自ら営業マンのように他チームとプッシュ型の交渉を行う学生がいたり、しっかりと戦略を立てて段取り良くリーダーシップを発揮するチームもありました。このゲームは非常にシンプルで、高校生でも十分楽しめる内容なのですが、ゆえに「行き当たりばったりな行動」もよく観察されます。しかし、そういった動きはほぼ観察されず、目まぐるしく変化する他チームの状況も観察しつつ、自分たちなりにチームとして活動していました。

後半の「Find Out!」では、LP学生の強みである傾聴力が存分に発揮されました。「思いついたことは素直に伝える」「相手の話をただ受け止める」「言いたくないことは言わない」という対話の約束を提示し、用意していた問いを使ってペアで内省的な対話をしていただきました。それぞれの過去をペアで深掘りする機会というものはそうないと思うのですが、安心安全な対話の場が生まれ、時には苦々しい表情で、時には笑顔で、自身の心の声を伝え合っていました。

その内省的対話から気づいた、自分が大切にしている価値観と強みを踏まえ、用意した9つの問いに答える形で個人ビジョンを言語化し、6人程度のグループで共有していただきました。言葉としてのビジョンをただ伝えるだけでなく、その言葉が生まれた背景や想いを伝えあうことで、互いの関係性が高まっている様子が伺えました。学生の皆さんにやらされ感なくプログラムに参加いただき、自身の個人ビジョンを明確にしていただいたことは、キャリアリーダーシップのある学生生活につながるものだと確信しています。3年後くらいに、皆さんにお会いし、どのようなキャリアプランを考えているのか、お話を聞く機会を持ちたいですね。

プロジェクトデザイン 柿原寿人

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ビジネスゲーム「The 商社」は、参加者が1つの会社のメンバーとしてチームを組み、 他のチームと交渉を行いながら、事業を立ち上げて自分たちの会社を大きくしていくビジネスゲームです。

「1+1を2以上にするチームワーク​」「win-winのコミュニケーション」などについて学ぶことができます。

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