【実施レポート】SDGs推進連携協定で初の合同研修「SDGs de 地方創生」カードゲーム(山梨県都留市役所×富士急行株式会社)

開催背景

都留(つる)市は山梨県東部にある、面積161.6 km²、人口約31,000人の自然環境に恵まれた市です。令和3年4月にSDGs推進本部を立ち上げ、「都留市SDGs宣言事業」をスタートさせました。公立大学をはじめ、3校の大学がある全国でも珍しい地域という点を活かし、何歳になっても学び続け、活躍できる「生涯活躍のまち・つる」を目指しています。また、都留市に暮らす全ての人が安全・安心を享受し、快適に暮らすことのできるように国際認証の「セーフコミュニティ」を取得するなど、暮らしに寄り添った取り組みを推進しています。

富士急行株式会社は、「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、富士急ハイランドをはじめとしたレジャーや交通、不動産など、様々な事業を行っています。創業当時から「富士山の環境と風景を守りながら開発を両立させ、国内外の観光客に『喜び・感動』を提供する」ことを目指し、持続可能な地域の発展に取り組んでいる企業です。

この両者の想いが一致し、2021年6月に「SDGs推進に係る連携協定」を締結。本連携協定をより活かした取り組みを進めるために、今後の事業を担う若手職員・社員を対象に、初めての合同研修が開催されました。

合同研修では、ビジネスゲームでSDGsの理解を深めた上で行政・民間それぞれの立場から都留市の魅力と課題を探り、都留市の未来について具体的に考える研修を行いたいというご要望から、「SDGs de 地方創生」カードゲーム+ワークショップの終日プログラムを実施しました。

組織紹介

  • 組織名 :都留市役所
  • 業界業種:行政
  • 職員数 :511名(2022年4月1日現在)※病院・消防含む
  • 企業名 :富士急行株式会社
  • 業界業種:陸運業
  • 事業内容:レジャー・サービス業、運輸業、不動産業
  • 従業員数:2,744名(2022年3月現在)※グループ全体

研修の目的

  1. SDGsとまちづくりのつながりを知る
  2. 組織を超えた交流を通して、自他への理解を深める
  3. 地域の魅力/課題と自分(自組織)の持つ強みを認識する

研修概要

  • 研修実施日:2022年5月9日9:30~16:30
  • 研修参加者:47名(富士急行23名、都留市24名)入社3年目までの若手を中心とした職員研修

<研修内容>

  • 「SDGs de 地方創生」カードゲームの実施
  • 自分や仲間の地域に対する想いを知るワーク
  • 都留市の未来を考えるアイデア発想ワーク

SDGsの理解と地域・自身への紐づけができるビジネスゲーム

様々な企業や行政などの組織にヒアリングすると、このような声がよく聞かれます。

  • SDGsは「担当部署がやっているもの」と思っている
  • 自分たちの仕事がまちや社会にどう影響しているかイメージが湧きづらい
  • 自分の業務・役割に熱心に取り組んでいるが、自分の仕事と他部署や社外とのつながりに対する意識が弱い
  • 大手企業で全国から採用しているが、地方の拠点になると地域になじめないなどの理由で人材が定着しない
  • まちづくり総合計画やSDGs宣言など、ビジョンは掲げているがそれが職員や住民に浸透していない
  • SDGs連携協定を締結したはいいものの、具体的な取り組みができていない

こうした課題に対して、SDGsを楽しく学びながら自身の仕事や生活に紐づけ、地域に視点を向ける必要性や会社のビジョンを理解できるビジネスゲームが「SDGs de 地方創生」です。

「SDGs de 地方創生」カードゲームとは

「SDGs de 地方創生」は、その場を1つの架空のまちと見なし、参加者が住人として6~48人でチームを組み、12年間の地方創生プロジェクトに取り組むビジネスゲームです。SDGsを基にした自分の志を形にしながら、持続可能なまちをつくることがゴールになります(今回は3人1組でプレイしました)。

「SDGs de 地方創生」のまちの状態は「人口」「経済」「環境」「暮らし」の4つの指標で表されます。何もしなければ徐々に人口が減っていく中で、12年後も持続可能なまち(豊かに過ごせるまち)となるのか、残念ながら消滅可能性が高い都市になるのかは、ゲーム参加者1人1人の行動によって変わります。

お金と人脈の資源を使い、プロジェクト活動を行ってゴールを目指します

参加者は、行政(税収から資金の使い道を決定する役割)と市民(※)に分かれて、それぞれに異なるゴールや思惑で動きます。プロジェクトの実行にはお金と資源・リソースが必要なため、行政と市民が協力することが重要です。

※市民とは地域の人々を指し、一次産業従事者・まち工場の経営者・一市民などの役割があります

また、“保育・教育の無償化” や “ライドシェア事業” など、具体的なプロジェクトを実践したときに生じる効果は参加者には明かされていません。プロジェクトがまちに良い影響をもたらすのか、期待はずれに終わるのか。まちにネガティブな影響をもたらしてしまうのか。自分の行動1つ1つがまちに与える影響を考えながらプレイする必要があります。

組織の特徴が垣間見られる交渉の様子

当日は、都留市職員と富士急行株式会社の社員が混合で3人1組のチームを組みました。ほぼ全員が初対面の中で、研修開始です。

明るい雰囲気の自己紹介の後、「いきなりスタートして大丈夫か?」という研修担当者様からの心配をよそに、ゲームがスタートすると参加者たちは一斉に席を立ち上がり、それぞれ他チームとの交渉をし始めました。

ほぼ初対面の3人でチームを組み、ゲームに挑戦

積極的に行われた交渉の様子

「SDGs de 地方創生」では、ゲーム内の役割に行政と市民があります。チームは富士急行と都留市役所混合にしていましたが、交渉の仕方にそれぞれの特徴が大きく出ていました。

例えば「この事業を行うことで、地域にどんなメリットがあるんですか?」と地域を主体にした声掛けや、「一度1,000万円でこのプロジェクト(カード)を買い取らせてもらって、出た利益を山分けしませんか?」とビジネス的な交渉をするなど、それぞれの組織の特徴が垣間見られる場面がたくさんありました。

ゲームに夢中になればなるほど、自分自身の素や価値観が露わになります。そしてゲーム内で生まれた自分自身の行動や感情への気付きが、終了後に行うふり返りに活かされます。

ゲーム終了時のまちの状況

積極的な交渉によって、特に環境に関する取り組みが促進されました。

ゲーム終了時には環境モデル都市になれそうなほど環境に特化した状況になったものの、まち全体では地域に仕事がなく、暮らしにくさを訴える住人がどんどんまちを離れていく結果となりました。

しかし、ここからがビジネスゲームの醍醐味と言える、ふり返りです。

ゲームの中でどのようなことが起き、それによって自分自身はどのように感じ、どのような行動をとったのか。事実や感情を軸に深掘りをし、感想を共有します。

このふり返りを通してゲームでの出来事を現実に紐づけることで、気づきや学びが得られ、参加者の行動変容に繋がるのです。

「SDGs de 地方創生」を終えた参加者の感想

  • SDGsに関して地球環境や非人道的なことをやらないぐらいに思っていて、ほとんど知らなかったがカードゲームを通じて知ることができた
  • 「SDGsのゴールは全てのゴールを達成するか、全て未達成か、いずれかの結果になる」という内容が一番印象に残った。本日体験したゲームは社会の縮図のようでまさにそれを体感した。一見関係のないことが結果的に自分の目標達成に寄与したり、目標達成しやすい環境をつくることにつながったりすることを学んだ
  • 自身の目標のみならず、他の目標も同時に追求することが大切だと感じた
  • 自分の現在の実力から目標を設定するだけでなく、時には成し遂げたい目標を先に掲げて何をすれば良いかを考える逆算的な思考も重要であるということを学んだ
  • 何か課題を解決するためには、複数の視点から物事を考え総合的に判断することで、解決につながると学んだ
  • 持続可能なまちづくりを行うためには、その地域に関係する全員が対話を重ね、互いの立場を理解しながら協働して進めていくことが大切だと感じた
  • 他者・他事業者とコミュニケーションをとる際には視野を広くして、様々な可能性を考慮することが大切だと感じた
  • 自分の行動が地域にどのような影響を及ぼすのか、視野を広く持つことがSDGsを達成する上で重要であると学びました。今後社外と関わる際には、自分のしたいことをしっかりと伝え、協力してもらえるような説得力を身につけることが大切だと感じた
  • 人口が多くないとできない事業を後回しにしたことで、目標数値を達成できなかった。他のグループも人口が原因で使えないカードを複数持っており、グループ同士の連携があればまた違った結果になったと感じている。都留市役所・富士急行ともに様々な部署で編成されているので、横の繋がりは特に重要ではないかと感じた

ゲームで仮想のまちづくりを体験してもらった後に、研修担当の方から都留市の総合計画や都留市役所と富士急行ですでに取り組まれているSDGsの活動と想いを紹介していただきました。

都留市総合計画を参考に作成したSDGsイシューマップで事業の繋がりや全体性を紹介

2つのワークショップで想いの共有とアイデアの創出

午後からは「自分や仲間の地域に対する想いを知るワーク」と「都留市の未来を考えるアイデア発想ワーク」を行いました。

参加者は、午前の「SDGs de 地方創生」カードゲームを通じて、

  • 官民連携や協働の大切さ
  • 自分の小さな行動が地域に影響を与えること
  • 対話の重要性

についての実感や気付きを得ることで、午後からのワークショップに主体的に参加する意欲が湧いてきます。

自分や仲間の地域に対する想いを知るワーク

午後のワーク1つ目は、「自分や仲間の地域に対する想いを知るワークショップ」を行いました。

ゲームでは、プレイヤー同士が目指すゴールやどんな地域にしたいかの想いを共有することで、まちは動き出します。現実も同じように、都留市の未来を担う1人1人がどんな背景や想いを持っているのかを知り、関係性を築くことが協働の第一歩です。そこで、「自分や仲間の地域に対する想いを知るワークショップ」を行いました。

忙しい日々の中で、地域やふるさとについての自分自身の想いを深める時間は多くないでしょう。また、本研修の受講者は、それぞれ住む場所や仕事・立場・背景が異なります。都留市出身・在住者もいれば、県外出身・在住者もいて、都留市に対する見え方は様々です。そのような中で想いを共有することにより、自分には何ができるのか、仲間はどのような想いを持ち、都留市をどのような地域にしていきたいのか。5~6人のグループに分かれ、インタビューで想いを共有しました。

<テーマ(一部)>

Q. あなたが「ふるさと」や「今住む地域」で、大切にしたいこと・願いは何ですか?

Q. あなた自身がイキイキとし、楽しいと思えることは何ですか?

Q. 制約がなく何でもできるとしたら、地域やふるさとで取り組みたいことは何ですか?

「普段考えないから難しい」と言いつつ楽しそうにインタビューを進める参加者

グループメンバーには初対面の方も同じ職場の同期もいましたが、これまで知らなかった意外な背景を知ることができ、多くの発見があったようでした。

都留市の未来を考えるアイデア発想ワーク

ここからは、本研修の集大成。実際に「都留市の未来を考えるアイデアを出すワークショップ」です。

ここまで、参加者にはゲームを通して対話や協働の楽しさ・大切さを実感していただき、想いを聴くワークで個人の背景や想いを共有し、それぞれがどんな人間なのかを伝えることで関係性を深めていただきました。

その上で、会社や組織として都留市の未来に向けて何ができるのかを考える、デザイン思考を活用したアイデア創出ワークを行います。

参加者には、自分自身が感じる「都留市の魅力と課題」を考える事前課題に取り組んできてもらいました。これを共有した上で自分たちの組織の強みを出し合い、それらをかけ合わせてたくさんのアイデアを出していきました。

事前課題で取り組んだ都留市の魅力や課題を共有

地域の魅力・課題と自社の強みを掛け合わせたアイデアを創出

最終的に出てきたアイデアの数

たくさん出てきたアイデアの中から、「これがイチオシ!」と思うものを1つ決め、全体に共有します。

出てきたアイデアの一部

「遊ぶところが欲しい」という課題と組織の強みを掛け合わせたアイデア

ワークショップを終えた参加者の感想

  • SDGsを学ぶことはもちろんだが、社内だけではなく社外とのコミュニケーションを行うことで、より一層それぞれの強みを生かせるアイディアを作ることができると感じた
  • 私たちの班は、大学の時に東京に出て、地元に戻ってきた人が集まったグループだった。全員に共通したアイデアは、人の繋がり。何かを成し遂げることも繋がりを持った人の協力が必要で、我々が地元に戻ってきた理由も人の温かみであったからだ。これからも人同士の付き合いや繋がりを大切にしていきたい
  • 何が課題か、何を目指しているのか、じっくり話し合うことで解決方法が見えてくるのだと思った
  • 業種や経験を超えた対話によって、1人では生み出せないアイデアが生まれたことがとても良かった。富士急行だけでも、都留市だけでも生み出せないアイデアや実行できないプロジェクトが、ブレインストーミングで多く発案できた
  • SDGsに限らず、1つの施策を実施するには多くの主体が関わっており、それぞれの協力が必要であることを学びました。また、目的もそれぞれであるので、擦り合わせて妥協点を見出すことも必要だと感じた
  • 地域に根差した企業であると再確認した。その上で、そういった側面を最大限活かした事業を展開できるように取り組むべきだと感じている
  • 都留市役所の方々と交流できたことで、いつもと違う考え方や価値観を感じることができた。また、SDGs的な考え方から地方創生に向けて具体的な事業を展開するために必要な考え方を学ぶことができた

研修担当者の声

富士急行株式会社 相澤様(画面右上)、都留市役所 滝口様(画面左下)、同 小宮様(画面右下)

後日、都留市役所と富士急行株式会社の研修の担当者様に、感想をお聞きしました。

都留市役所 小宮様:都留市が民間企業と合同で研修をするのは初めてでした。研修に参加した若手職員のみなさんは、異なる組織で初対面の人との研修に始めの内は戸惑いがあったと思いますが、ゲームが始まると一斉に立ち上がり、次第にチームのまとまりができたと感じました。

午後のプログラムも、みんなで意見を出し合って創り上げていくことは、良い刺激・経験になったと思います。民間と行政は手段が異なるものの最終的な目的は一緒なので、根本的な議論をすることを会得できたように感じています。

研修終了後の彼らの表情がとても良く、この合同研修をやってよかったと感じました。

都留市役所 滝口様:普段関わらない人と同じ目標・目的を持ち、ディスカッションするという新鮮さのある研修でした。

都留市の地域や社会課題についてこれまであまり考えてこなかったという意見も出ていましたが、立場の異なる組織同士が交流することで様々な視点やアイディアを得られたようで、とても刺激になったと感じました。

ゲームもすぐに理解できるのか不安でしたが、交渉する中で「相手の想いを知る」ことを実感できたと思いますし、今後の仕事の中でも活かしてもらいたいです。

富士急行株式会社 相澤様:行政と民間企業の考え方の違いを感じられた研修でした。都留市役所職員と富士急行の社員から見た魅力では、視点が異なります。

ゲームのみで終わらず、ゲームで体感した学びを午後のプログラムで自分の身に落として考える時間を設けたことで、より自身の仕事と結びつけられたと実感しています。

また、富士急行ではこの合同研修の2週間後に、森林整備作業に関する実務研修を静岡で行いました。その時に現地の方からSDGsの説明があり、SDGsの研修が続いたことで、「あのゲームの出来事はそういうことだったのか」と言っていた受講者もおり、研修後にも深い学びに繋がっている実感を得ています。

ありがとうございました!!

SDGs de 地方創生カードゲームのご案内

「SDGs de 地方創生」カードゲームは、ゲームのみの実施も可能ですが、今回ご紹介させていただいた事例のようにワークショップを組み合わせることも可能です。

<ゲーム単体の提供価値>

  • SDGsと地方創生の共通点の理解

「地域の人々の日々の営みがSDGsや地方創生に貢献し得ること」や「自分起点で周囲を巻き込んでいく感覚が大切であること」を学べる

  • 対話を通じた解決策を見出す感覚の習得

自分のこだわりを一旦手放し、周囲の方と対話をすることで、より良い解決策を見出す感覚を身に付けることができる

  • 協働の可能性の体感

異なる組織・チーム間における協働には様々なやり方(ビジョンに共感する・中長期を見据える・時間軸をずらす等)があることを体感でき、チームビルディングや関係構築に役立つ

<ゲーム × ワークショップの提供価値>

  • 実践的な場のデザイン

ゲームでの学びをワークショップで実践することで、より実践的な研修やアウトプットの場を実現できる

  • 組織・部署を超えた協働

ゲームを行うことで打ち解けた状態でワークショップに臨めるため、協働による取り組み内容を具体化しやすくなる

ゲーム単体が良いのか、それとも、ゲーム × ワークショップの組み合わせが良いのかは、お客様の課題次第です。私たちプロジェクトデザインは課題ヒアリングを通じて、最適なご提案をさせていただきます。

  • 「SDGs de 地方創生」の資料請求はこちら

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