【実施レポート】SDGs未来都市に向けてみんなで滑川の未来を考えよう! ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」体験会(富山県滑川市で実施)

2022年4月24日、プロジェクトデザインが主催し、富山県滑川市でビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」を開催しました。その時の様子を実施レポートとしてご紹介いたします。

滑川市の特徴

滑川市のホタルイカ

群遊海面が特別天然記念物に指定されているホタルイカ

滑川市は富山県の中央からやや北東に位置する、面積54.62㎢、人口約33,000人の市です。富山湾に面した田園都市で、富山市と魚津市、上市町に隣接。かつて北陸街道の宿場町として栄え、 近年では大型企業の立地が相次ぐなど、工業都市としても発展を続けています。

株式会社プロジェクトデザインも、代表の「地方から世界で勝負できるような企業モデルとなる」という想いから、この滑川市にオフィスを構えています。

観光面では、富山湾の春の風物詩・ホタルイカの漁を間近で見られる “ほたるいか海上観光(1912年:明治45年頃から開催)” をはじめ、“ふるさと龍宮まつり海上花火大会” “ベトナムランタンまつり” “あかりがナイト” “キラリエ バレンタインイルミネーション” など、光と灯りのイベントが催される街として市内外に認知されています。

滑川市では、2020年度末に2021年度からの10年間の新たな指針として「第5次滑川市総合計画」を策定しました。2022年2月に就任した水野達夫市長のもと、“SDGs未来都市”に向けて動き出したところであり、今後、主要な施策として計画へ盛り込むことを検討しています。

開催の経緯

2021年11月、富山県知事と住民が未来を考える「富山県成長戦略ビジョンセッション」が滑川市で開催されました。ここで意気投合した参加者で住民発信のイベントをしようと立ち上がり、2022年1月に実施したのが「カードゲーム『SDGs de 地方創生』+滑川の未来プロジェクト作成ワークショップ」です。

株式会社プロジェクトデザイン(竹田)が主催し、一般社団法人ばいにゃこ村が共催。市内外の住民約20人が参加してカードゲームを実施した後、滑川で実現したいことを話し合う場が設けられ、大いに盛り上がりました。メンバーはSNSで繋がり、その後灯りのイベントや地元発見イベントが行われるなど、活動を継続しています。

1月に参加出来なかった人から「もう一度開催してほしい」という要望があったことから、第2回「SDGs de 地方創生」イベントとして、今回の「SDGs未来都市に向けてみんなで滑川の未来を考えよう! ビジネスゲーム『SDGs de 地方創生ゲーム』体験会」を行うことになりました。

滑川市の未来をつくるキーパーソンの挨拶

当日は市内外の行政や福祉に携わる方、企業経営者など多彩な職種の方々が参加。一般の参加者に交じって、水野市長をはじめ、大門良輔県議会議員、柿沢昌宏副市長、上田良美教育長ら滑川市の中枢を担う人々も出席しました。

水野市長をはじめ、多彩な面々が参加

市長を中心とした市のキーパーソンが、オブザーバー(傍聴者)ではなく一参加者としてゲームを体験するのは熱意の表れであり、SDGs未来都市に向けての並々ならぬ決意を感じます。

水野市長の挨拶

はじめに、水野市長が挨拶。「こんなに大勢の若い人達が集まり、滑川市の未来について話すのは貴重な機会。意見を吸い上げて今後の滑川市政に生かして行きたい」と話しました。

福井代表による株式会社プロジェクトデザインの会社紹介

続いて、共同主催者である一般社団法人ばいにゃこ村の樋口代表や大門県議の挨拶。その後、株式会社プロジェクトデザインの福井代表が自社で開発したSDGsやカーボンニュートラルをテーマとしたビジネスゲームを紹介し、「滑川から日本を代表する企業として、世界に対してサービスを提供できる企業でありたい」と想いを語りました。

SDGsとまちづくりを考えるビジネスゲーム

ファシリテーターはSDGs未来都市の元・行政職員

さて、挨拶や自己紹介を終えた後はいよいよSDGsとまちづくりを考えるビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」のゲーム体験です。

左から株式会社プロジェクトデザイン 竹田 法信(たけだ のりのぶ)、大槻拓美(おおつき たくみ)、兵庫県高砂市役所 西村直巳(にしむらなおみ)さん

今回ゲームを運営するファシリテーターは、株式会社プロジェクトデザインの竹田法信と大槻拓美。2人とも富山県内外のSDGs未来都市で市役所職員をしていた縁から、今回実施するビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」に惚れ込んで退職し、プロジェクトデザインに入社した経歴の持ち主です。「SDGs de 地方創生」ファシリテーターである兵庫県高砂市役所​の西村直巳さんも、サポートに駆け付けました(写真に写っているラムネは高砂市の名物で、西村さんからの差し入れです)。

講義でゲーム前に共通認識を醸成

ゲームでは同じテーブルに座った2人で1つの役割を担います

今回受講者の方々に体験いただく「SDGs de 地方創生」は、その場を1つの架空のまちと見なし、参加者が住人として6~48人でチームを組み、12年間の地方創生プロジェクトに取り組むビジネスゲームです。SDGsを基にした自分の志を形にしながら、持続可能なまちをつくることがゴールになります(今回は2人1組でプレイしました)。

「SDGs de 地方創生」のまちの状態は「人口」「経済」「環境」「暮らし」の4つの指標で表されます。何もしなければ徐々に人口が減っていく中で、12年後も持続可能なまち(豊かに過ごせるまち)となるのか、残念ながら消滅可能性が高い都市になるのかは、ゲーム参加者1人1人の行動によって変わります。

参加者は、行政(税収から資金の使い道を決定する役割)と市民(※)に分かれて、それぞれに異なるゴールや思惑で動きます。プロジェクトの実行にはお金と資源・リソースが必要なため、行政と市民が協力することが重要です。

※市民とは地域の人々を指し、一次産業従事者・まち工場の経営者・一市民などの役割があります

また、“保育・教育の無償化” や “ライドシェア事業” など、具体的なプロジェクトを実践したときに生じる効果は参加者には明かされていません。プロジェクトがまちに良い影響をもたらすのか、期待はずれに終わるのか、はたまた、まちにネガティブな影響をもたらしてしまうのか。自分の行動1つ1つがまちに与える影響を考えながらプレイする必要があります。

参加者は当日申し込みされた方も多く、急遽4人掛けテーブルを1つ増やすほどの盛況ぶりでした。

今回の場は、ビジネスゲーム実施による学びの習得だけでなく地方創生に関心のある人々が集い、新たなネットワークができるのもメリットの1つ。同じ役割で一緒にプレイしたメンバー同士は、初対面でも自然と心の距離が近くなります。

SDGs(持続可能な開発目標)の説明

参加者によって、認知度・理解度が異なるSDGsと地方創生。ゲームの前に共通認識を作るため、日本と世界の課題解決に繋がるSDGsと地方創生を、国の資料をもとに紹介しました。

ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」の実施

講義を終えた後は、いよいよビジネスゲームの実施です。

ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」のカード

ゲーム中に席を立ち、他チームと交渉する様子

他チームとカードを交換する水野市長(右)

ゲームでは、「自分個人の目標」と「持続可能な地域の実現」のために全員が楽しく走り回り、ゴールを達成しました。「人と繋がって人脈を広げる」「協働する」ことがまちづくりに向けた大切なマインドである以上に、純粋にこれらが「楽しい」ことを全員が実感した場となりました。

持続可能な地域を作るという理念が会場全体で合意され、自分の目標と他人の目標をオープンに情報交換した上でプロジェクトが実行されていたことが印象的でした。

このように、理念が共有されると各プレイヤーがそれぞれの目標達成に向けて自立的に活動することができます。その活動においては、各プレイヤーの強みを活かした「やりたい仕事」が実行されていきます。これがまちづくりにおける真の役割分担です。ゲームでも現実社会でも同じですね。

全チームがゴールを達成して終了

SDGsと地方創生の観点をふり返り

ビジネスゲームはゲームをやって終わりではありません。必ず振り返りを実施します。SDGsの考え方はもちろん、地方創生の観点での捉え方について紹介し、参加者1人1人が自分のあり方や行動をふり返ることで、学びを得ました。

  ふり返りスライドの一部

ゲーム内の行動を振り返る参加者

参加者の感想

参加したみなさんから、たくさんの感想をいただきました。

ゲームについて

  • 前半は何をすればいいのか分からなかった。後半は他のチームが何を目指し何を持っているかを意識できるようになった
  • 目標は前半で達成したがリターンが少なかった
  • 個人事業者として環境や暮らしが落ちようがお金を稼ぐことに集中し、最終的に10億円稼いだ
  • 他の人が教育分野に特化しているのがカッコいい、ストーリー設定を見たらこんな老後を送りたいと思えた
  • 商店主でとても楽しかった、前半は目標達成のためだけにやったが後半はいかに他の皆さんに貢献するかを考えていた
  • 町工場の経営者で、情報は整理できる人のところに集約した。関係性のあるところだと効率的にできる
  • 駅前の地主役だった。役になりきると、お金の目標は達成したものの駅前はどうなったのか心配になった
  • 行政で誰がどのプロジェクトを持っていて方向性をどうしたいかわからないままだった。3ターン目に資金が潤沢な企業に人が集まり、行政に求められなくなって暇だった

現実とのリンク

  • ゲームは4ターンで終わりだが、まちとしてはずっと続いていく
  • 行政からの補助金をうまく使わないとなかなか事業を継続できない、自分達で収益できるようになっていかないといけない
  • まちづくりが目的でお金もないしリターンもない中、どうやってお金を稼ぐか? 後半に周りから情報をもらうなどの助けがあってこそ達成でき、地域の企業の力添えが大切だと改めて実感した
  • ヒト・モノ・カネに集中するとリーダーシップが必要、自然にリーダーが生まれた。コミュニケーションをとりながらやっていくことが大事だと実感
  • こんなに大勢が集まり、盛り上がりのある滑川市は久しぶりだと感じた
  • 民間の中で動き始めたのが良かった。投資から始まり、横の連携と縦の連携がもう少しできれば良かった。経済が上がらないと環境整備に資金を割けず、順番が重要だったとわかった
  • 民間を信用していない行政は自分でどんどんやってしまう、豊かな行政と貧しい民間になることもある。今日は行政と民間の分断があまりなかった
  • 行政は自分達でできることはあまりない、目標は達成したものの自分達で増やしたものが1つしかない、どんどんメーターは下がっていき、資金を配布するのに必死。お金はどんどん入ってきて安定している
  • 実際に動くのは民間、適切な役割分担がある

ゲームはゲームとして楽しみながら、ここからの学びを現実にどう活かせるかの視点で考えていた方がほとんどでした。特に今回は行政を本職とする方々の参加者が多かったことで、行政と民間の視点や立ち位置・動き方の違いについて腹落ちしやすかったように思います。

SDGs未来都市の紹介

振り返りの後、SDGs未来都市に選定されている富山県富山市と長野県伊那市の取り組みについて、竹田・大槻がそれぞれ紹介しました。元・富山市職員(竹田)と元・伊那市職員(大槻)だからこそ、SDGs未来都市についての実情を丁寧に紹介できます。

SDGs未来都市の解説(左)と長野県伊那市の事例

参加者・ファシリテーターの実現したいこと

参加者のみなさんの現在取り組んでいること、今後取り組みたいことも教えていただきました。ファシリテーターも併記します。

当日参加されたみなさん

市役所から一言

SDGs未来都市に向けての第一歩を、素晴らしい形で踏み出すことができました。株式会社プロジェクトデザインをはじめとする企画・運営に携わってくださった方々、そして様々な観点からご意見をくださった参加者の皆さまに、心より感謝申し上げます。今回のイベントで生まれた熱意や人と人との繋がりを好循環させ、持続可能なまちづくりに活かしていきたいと思います。

今後の滑川に向けてアクションを決意

私たちプロジェクトデザインの理念に、「志ある行動者たちを結びつけ、高めあい、社会を取り巻く問題を解決する」というのがあります。今回の場は、まさにこれを実践する場でした。

冒頭の「開催の経緯」で「もう一度開催してほしい」と要望をくださったのは、地元選出の県議会議員の方でした。

実施に向けた打ち合わせをする中で、「やるからには市長や副市長、教育長、市議会議員の方々も含めて多数集まっていただこう!」ということになり、これらの方々が出席できる日時で企画し、その場に企業セクター、市職員などの方々も集結しました。

こうした方々が繋がり合い、将来の滑川に向けて決意を新たにする場となりました。

市長の想いでもある「SDGs未来都市」を民間セクターである私たちも大々的に掲げ、みんなで機運を高めていくキックオフとなりました。「まちづくり」は、行政の専業領域ではありません。企業や個人も含めたみんなが、それぞれの役割を分担しながら強みを発揮して自立的に活動していく必要があります。

今回の体験会という場づくりも、自身の強みを発揮した一つの結果だと思っています。まちづくりのプレイヤーが、それぞれ地域に関心を持ち、自分ごととしてアクションしていくきっかけを作れたと思います。

理念を描いてアクションを決意する。

そのために私たちは、ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」も活用しながら「愚直に地域と繋がって汗をかく」ことを決意しました。更に、この事例を全国各地で水平展開していくことも、私たちの大切な仕事です。

登壇のご依頼につきましては、こちらまでお気軽にご相談ください。

株式会社プロジェクトデザイン 運営事務局
support-team@projectdesign.co.jp

竹田 法信(たけだ のりのぶ)

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。

「SDGs de 地方創生」のご案内

「SDGs de 地方創生」は行政やまちづくりに関わる方・地域理解を深めたい企業にお勧めのビジネスゲームです。SDGsと地方創生の共通点・対話・協働を理解し、SDGsや地方創生に関する具体的なアクションに繋げる機会をご提供します。

日本の各地域が抱える課題も、世界が抱える課題と根本原因や構造が相似形となっています。

「SDGs de 地方創生」を通して、SDGsの考え方を理解することは地方創生にも役立てられることを直観的・体感的に感じていただき、具体的なアクションへつなげていただくことを促進します。

・ビジネスゲーム「SDGs de 地方創生」の詳細はこちら

〈文=古野知晴(chiharu.furuno)〉

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