
【事例インタビュー】ビジネスゲームを活用した、600名規模の新入社員研修(鹿島建設)
組織名 鹿島建設株式会社
業界業種 建設業、ゼネコン(総合建設会社)
事業内容 企画・不動産開発から設計・エンジニアリング、施工、運営・管理、維持・修繕
組織規模 8,219名(2024年2月時点)
私たちプロジェクトデザインは、ビジネスゲームのメーカーとして【ビジネスゲーム制作】を行いつつ、ビジネスゲームソリューションプロバイダーとして【ビジネスゲーム研修】をご提供しています。
ビジネスゲーム研修では、私たちが保有する20種類以上のビジネスゲームの中から、貴社の研修ニーズを満たすビジネスゲームを活用した研修プログラムをご提案します。現実のビジネス活動が再現された実践的な場面の中で、研修受講者は「自身の知識や能力がどの程度通用するのか」を試しながら、学びを深めることができます。
本稿では、ビジネスゲーム研修の事例として、鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設)の600名規模の新入社員研修についての記事をご紹介します。
2025年4月3日・4日に鹿島建設のグループ会社合同で実施された新入社員研修には、621名の新入社員の皆様が参加されました。
今回の新入社員研修のメインテーマは「学生と社会人の違い」です。テーマに基づき、ビジネスゲームやマナーの研修プログラムを体験いただきました。
この新入社員研修の実施背景や研修効果などについての話を伺いました。
<お話を伺った方>
鹿島建設株式会社 人事部 教育グループ課長代理 星野 大樹 様

<企業プロフィール>
鹿島建設株式会社は1840年創業の総合建設会社です。「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する」を企業理念に、日本の建設業を牽引するスーパーゼネコンとして、建築・土木分野で国内外の大規模プロジェクトを手掛けています。高い技術力と革新的な環境・防災ソリューションで、安全で豊かな未来社会の実現に貢献。世界20か国以上のマーケットで100社以上の海外事業会社を展開しています。
ビジョンの言語化によって学生から社会人への意識変容スピードが向上
-プロジェクトデザインに新入社員研修のご依頼をいただいたのは2024年度が初めてでしたが、その時の経緯を教えていただけますか。
星野様:鹿島建設の社員組合とプロジェクトデザインさんが元々お付き合いのあったご縁で、紹介されたのがきっかけです。
従来から鹿島グループ全体での新入社員研修を合同で行っておりましたが、グループ経営の深化を狙って、会社の枠を超えた新入社員同士の関係性構築、連携強化に比重を置いた内容に見直したいと考えていました。
そんな時に社員組合との意見交換の中で、「この研修、参加者同士の交流が生まれて面白いですよ」と紹介されたのがプロジェクトデザインさんでした。
-ありがとうございます。今回、2024年に引き続き、プロジェクトデザインに新入社員研修をご依頼いただいた理由をお聞かせください。
星野様:受講者からアウトプットされた、“会社の将来像” と “自身のビジョン” の解像度・質がそれ以前よりも遥かに高かったため、継続してお願いしたいと思いました。
-「ビジョンメイキング」のプログラムですね。
星野様:はい。プロジェクトデザインさんのビジョンメイキングのプログラムを行う以前も、ビジョンを考えるワークを行っていたのですが、その際には「気合い入れて頑張る」や「一人前になる」といった観念的かつ抽象的なアウトプットが多かったため、もう少し深掘りできた方がスムーズにオンボードできるのではと考えていました。
ところがプロジェクトデザインさんに依頼した2024年度には、
- 「上司と若手の架け橋となり、それぞれが納得できる方向を模索し、チームとして高品質な建物をお客様に提供できるように進んで行動する」
- 「上司からは信用、部下からは信頼を得ることができる人間になりたい。そのために仕事面や人間性を高め、1級建築士の資格を3年以内に取得する」
などのビジョンが出たのです。
新入社員研修後は、受講者の「学生から社会人への意識変容スピード」が速くなったと感じます。具体的な話として、新入社員研修後に実施された部門配属後の研修に前のめりに取り組んでいる様子が見られました。
-研修を通して受講者の方々に起きた変化をお聴きできて嬉しいです。
※ビジョンメイキングのプログラムでは、組織のビジョンとMYビジョンとの重なり・つながりを見つけ、「個人が組織の中で働きがいを持って働くこと」と「組織が個人のパフォーマンスを最大限に引き出すこと」の両立を目指すワーク(Find Out!)を実施しました。下記はワークのアウトプットです(鹿島建設のビジョンを円の中心に置き、それぞれの新入社員が、MYビジョン・自分の思い描く組織のビジョン・自分のアクションを書き出しました)。

※「Find Out!」の詳細にご興味のある方は、ぜひ、オンデマンドで視聴いただける無料動画セミナーの内容をご覧ください。

【無料動画セミナー】個人の存在意義を対話を通じて言語化する「Find Out! MYビジョン」
学生と社会人の違いを感じて、身に付けてほしい
-鹿島建設様の新入社員研修について全体像を教えていただけますか。
星野様:弊社の新入社員研修は、入社直後の1週間(4日間程)は人事部が全体研修を受け持ち、その後は職種・部門ごとに研修を行います。全体研修については前半の2日程は入社式や経営層による講義など座学中心の構成となり、後半の2日程はワークショップに取り組むプログラムになります。
-後半の2日程のワークショップの中で伝えたかったコンセプトはどんなことでしょうか。
星野様:学生からの意識転換のため、「学生と社会人の違い」を感じてもらう・身につけてもらうことです。
社会人として求められる基本的なマインドセットとスキルセットを理解し、実践できるようになることで、お客様感覚ではなく鹿島の社員として主体的に動いていってほしいと考えています。
実は鹿島建設では入社からの13年間を育成期間として設定し、じっくりと腰を据えて育成する方針ではありますが、すべて一から教えてもらえるからと甘えず、能動的な姿勢をもって自分自身を高めてほしいと思っています。
-新入社員のうちから主体的に動けるようになると、その後の動きも変わりますね。

建設業を生業としてさまざまな企業と協業する鹿島建設の業態とのシナジーを強く感じられた「The プロジェクトマネジメント」
-ここからは、研修プログラムの中身に関してお聞きしていきます。今回、新入社員研修の中で、私たちプロジェクトデザインのビジネスゲーム「The プロジェクトマネジメント」を導入いただきました。このゲームのどんなところが良いと思われましたか。
星野様:「The プロジェクトマネジメント」は、現実の会社同様に製造や商談を行いながら事業を推進していく内容であり、建設業を生業としてさまざまな企業と協業する鹿島建設の業態との親和性を強く感じられた点がよかったですね。
また、即席のチームで成果を出すことが求められるのは、ビジネスゲームだからこそ体験できることだと感じました。年齢や立場を超えてさまざまな人と成果に向けたコミュニケーションを進めていくことは、学生と社会人との違いの一つでもあります。今後に活かせる疑似体験ができたと思います。
ビジネスゲームでは頭も体も動かすことが求められるため、新入社員が主体的に楽しそうに取り組んでいた様子が印象的でした。




ビジネスゲーム中の様子(自分の役割に応じて、忙しく会場を動き回る人やチームメンバーの調整を行う人もいらっしゃいました)
-今回実施した「The プロジェクトマネジメント」では、ゲームのゴールとして、通常の「会社のゴール」以外に、「個人ゴール」が書かれたカードを取り入れました。この効果はいかがでしたか?
星野様:前回(2024年度)の新入社員研修で実施した「The プロジェクトマネジメント」では、ゴール達成率が全体的に非常に高かったのですが、現実は上手くいくことばかりではありません。
私たちとしては、新入社員が「頑張ったけれども躓き、失敗から学ぶこと」を期待していました。
そういった反省を踏まえて、今回プロジェクトデザインさんから「難易度を上げるために個人ゴールカードを取り入れる」ご提案をいただいた際には、これは良いアレンジだと思いました。
そして、その狙い通り、今回(2025年度)のゲームでは良い結果が出ないチームが増えることになり、受講者が「もっとこうすべきだった」と学んでいたのがとても良かったです。
その上で、会社のゴールを達成しつつ、個人のゴールも達成するための仕事の進め方・チームで働くことに関して、より効果的に伝えられたと考えています。
-ありがとうございます。失敗から学ぶ経験を大切にされているということですね。


段取りシートと段取りシートについての説明スライド(※)
※仕事の進め方に関して、ゲーム前にタスクブレイクダウンを学ぶための「段取りシート」を作成しました。「段取りシート」を細かく書けるほど、タスクに対する解像度が高いと言えます。


報連相とQCDについて(新入社員研修のスライドより)
鹿島建設の社員として、マナーの本質を捉え、相手へのマナーを大切にしてほしい
-2024年度と2025年度で新入社員研修の内容を大きく変更された部分はありますか。
星野様:最も変更した内容は「マナー」についてです。
実は、マナーを新入社員研修の学習テーマとして取り扱うかどうか、入れるならどんな内容を伝えるかというところで迷いがありました。
そんな中、プロジェクトデザインさんから「マナーの本質が大切ですね。私たちプロジェクトデザインは、“マナーは相手への思いやり” “型は思いやりの気持ちを形にして周囲に示すもの” と考え、マインドを大切にしています」とアドバイスをもらいました。
私自身、名刺交換の所作やお辞儀の角度などのビジネスマナーの型も大切ですが、思いや精神・あり方などのマインド面を大切にしたいという想いがありました。型ばかり気にしてしまうと、ともすると慇懃無礼な言動につながってしまいかねないためです。そのため、マナー研修ではマインドを伝えることに重きを置く内容に変更しました。

-実際にマナーのマインドを伝えた後、受講者の方々の変化はありましたか。
星野様:挨拶の仕方に大きな変化を感じました。マナー研修を受ける前は、気まずいと思っているのか目を合わせずに挨拶をする方が多かったのですが、研修後は相手の目をしっかりと見て挨拶してくれる方が明らかに増えました。
受講後の変容が目に見えてあらわれていたのが印象的です。
-研修を受けてすぐに効果が表れていて、とても素敵ですね。


「メール作成ワーク」の添削済みシートと「メール対応確認シート」(※)
※1日目の研修の終わりに「メール作成ワーク」を実施し、2日目の研修時に添削済みのシートを返却しました。「メール対応確認シート」は学んだことを実際の職場で実践する際に見てすぐ確認できるよう、マナーパートの終わりに配布しています。

自分で考え、自分から動く能動的な人材に
-新入社員の方に、今後どのようになってほしいと思われていますか。
星野様:一言で言えば、「自ら能動的に動く人材」になってほしいです。
社会人は自ら動かなければ情報を得られず、成長もできません。指示待ちで受け身の状態ではなく、自ら考えて行動する人材になってほしいと思います。
弊社では1年目からいわゆる現場監督になることもあります。協力会社に任せっきりでは仕事になりません。
新入社員研修後、受講者に提出してもらったアンケートを見ても、「目標から逆算して考えることの大切さ」や「情報は自分だけが待っていても人に伝わらず、レバレッジやシナジーがないこと」に気づいた人がいて、こちらが伝えたかったことを理解して受け止めてくれているなと感じました。
能動的に動くことが大切だと理解してくれたことも狙い通りでした。
-鹿島建設の顔として、仕事をする上で最も大切にしてほしいマインドを、新入社員の方々がしっかり受け取ってくれたということですね。
星野様:はい。リーダーシップは役職者だけが発揮するものではなく、新入社員が自分でも発揮できるということを理解してくれたと思っています。
また、今回はグループ会社を超えた新入社員同士の関係性構築も目的の一つでした。
業績的にもグループ会社の貢献度は非常に高く、これからずっと仕事をしていく上でも協働する場面が多いため、良い人間関係ができるようになるとその後も進めやすく、良い仕事を行うことができるはずです。グループとしての発展も期待できると思います。
今回得た経験を、配属後にも活かしてほしいですね。
ゲームを通して組んだチームのメンバー同士、写真を撮ったり連絡先を交換したりする場面も見られましたので、今後の人間関係構築も期待したいです。
-リアルな関係性の構築をされていたとのことで、今後が楽しみですね。ありがとうございました。
研修内容
- 組織の属性 総合建設
- 研修の目的 社会人として必要なマインドセットとスキルセット(仕事への向き合い方と進め方)を理解・実践する、ビジョン(未来の姿)を明確にし自分自身を磨く力に変える、グループ同期間の横の繋がりをつくる新入社員研修
- 研修受講者 621名
- 研修実施日 2025年4月3日・4日
研修プログラム
<1日目のワークショップ>
1. 学生と社会人の違い
2. Module1. ビジネスゲーム「The プロジェクトマネジメント」
- ルール説明
- ゲーム実施
- 振り返り1
3. Module2. ビジネスマナーの型と心①
- マナーの本質
- 第一印象
- 言葉遣い
- 電話対応ロープレ
- メール作成ワーク
<2日目のワークショップ>
1.1日目の振り返り
2. Module3. ビジネスマナーの型と心②
- メールへのフィードバック
- 商談ロールプレイ
- マナーの自己チェック
3. Module4. 自己理解・相互理解
- 「Find Out!」を用いたビジョンメイキング
- ビジョンの寄せ書き
研修受講者の声
“これほど深く話ができる関係になれるとは思っていなかった。話をすることが人と仲良くなる一歩だと思ったので、現場でも自分から挨拶や声をかけていきたい”
“会社のビジョンは少し遠い感じだったが、自分のビジョンを考えたことで、会社のビジョンとのリンクがあることがわかった。自分のビジョン実現を頑張り、役立つ人になりたい”
“今までの人生でやったグループワークの中で一番良いものだった。特に、院卒、大卒、高卒、高専卒と年齢を含めさまざまなバックグラウンドを持つ人たちと一つのことについて話し、お互いに学び合えたことが良かった”
“自分は今まで人の価値観は、「ある程度固まっていて変えられないもの、相容れないもの」だと思っていた。しかし、ここでは180度違う価値観を聞くことができた。それにチームメンバーのそれぞれがとても深く考えており、真逆のように違う価値観の、それのどれもがとても面白かった。これからは、いろんな人の意見をもっと聞いてみたいと思うようになった”
ビジネスゲーム「The プロジェクトマネジメント」とは
今回、鹿島建設グループの新入社員の皆様に体験いただいたビジネスゲームは「The プロジェクトマネジメント」です。
ゲームを通してプロジェクトマネージャーとしての疑似体験ができるとともに、自分たちのチームの強み・弱みを把握し、行動変容につなげます。
研修はビジネスゲームの実施とふり返りがセットとなっています。事業推進力、段取り力、リーダーシップ、チームビルディング、共有ビジョンと個人ビジョン、メンタルモデル、報連相、ジョハリの窓など、研修の目的や目標に応じて、ゲーム後のふり返りをカスタマイズできます。
「The プロジェクトマネジメント」について、詳しくはこちら。
ご案内

<ビジネスゲーム研修 for 新入社員>
研修は「何を学ぶか?」という学習内容に焦点が当たるものですが、私たちプロジェクトデザインでは「どのように学ぶか?」も大切であると考えています。新入社員の早期活躍を支える土台を研修の場でどうやってつくるのか? この課題の解決策として私たちが導いた答えは、学び方(どのように学ぶか?)を工夫することでした。その工夫は2つあります。
ひとつは学習環境を整えること。いきなり本題(学習)に入るのではなく、研修受講者の学習意欲を高めるための準備を経て学習へと接続することで研修受講者の主体性を呼び起こし、学習効果を高めることを狙います。もうひとつは学んで終わりにしないこと。研修の学びを試すことで、研修受講者が学んだことに対する分かる(頭で理解している状態)とできる(体が動く状態)の差の自覚を促し、研修後の継続的な学習意欲を育むことを狙います。
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