モチベーションマネジメントとは?(3分でわかる!研修・人材育成用語クイズ)

突然ですが、問題です。「モチベーションマネジメントの取り組みによって期待される効果」として不適切なものは、次の選択肢のどれでしょうか。

<選択肢>

  1. 社員の意欲・能力が向上し、成長につながる
  2. 社員のエンゲージメントが高まり、離職防止につながる
  3. 社員同士の関係性が良くなり、風通しの良い職場になる

※エンゲージメントという言葉は使用する文脈で定義の解釈が分かれますが、本稿では「貢献意欲」という意味で用いています。

<正解>

選択肢3の「社員同士の関係性が良くなり、風通しの良い職場になる」が正解です。社員同士の関係性改善は(モチベーションマネジメントというよりは)チームビルディングの取り組みによって期待される効果です。

モチベーションとは、目的意識・行動喚起力・業務に当たる意欲のこと。

モチベーションの向上は「社員の意欲・能力が向上し、成長につながる(選択肢1)」や「社員のエンゲージメントが高まり、離職防止につながる(選択肢2)」に直結します。

モチベーションマネジメントとは

モチベーションマネジメントの定義

モチベーションマネジメントとは、社員の仕事に対するモチベーション向上のため、動機づけを行うマネジメント手法のことです。

モチベーションアップの起点(何を目的にして働き、どんな方法でモチベーションがアップするか)は、人それぞれ異なります。

内発的動機づけ(本人の関心・成長に基づくやりがい・達成感)が起点となる人もいれば、外発的動機づけ(評価や報酬など外的要因に基づくやりがい・達成感)が起点となる人もいます。

モチベーションマネジメントでは、社員1人1人のモチベーションの起点を把握し、向上させるための適切なアプローチをとることが重要です。

モチベーションマネジメントが注目されている背景

VUCAの時代(未来が予測困難な時代)と言われる今、個人が自分自身の内発的動機づけを行うことが難しくなっています。

  • 「コロナ禍で仕事のやり方が変わり、取り残されているようで先行き不安だ」
  • 「リモートワークで孤立感があり、相談したいことがあってもできない」
  • 「会社の経営不振で何年も昇給しておらず、仕事の意欲が湧かない」

このように、個人の意思や能力とは関係のない要因でモチベーションの向上・維持が難しくなっている。だからこそ、モチベーションマネジメントに注目が集まっています。

また、事業活動を継続する観点においても、モチベーションマネジメントは期待されています。

今後、少子高齢化による労働人口の減少によって人材確保(採用)が難しくなることが明らかである中、既存の人員で生産性を高めていくための取り組みとして、モチベーションマネジメントが注目されています。

モチベーションは自分で管理すべきもの?

ここで、「モチベーションは自分で管理すべきもので、上司が管理することは違うのではないか」と思われた方もいるでしょう。

確かに、本人の内から出るモチベーションが強い推進力となることは間違いなく、自身でモチベーションマネジメントができる人もいます。

しかし、社員のモチベーションを引き出し、維持するために必要となるものが外的要因(評価・報酬・環境など)であり、社員の力が及ばないこの部分を整えることこそ、管理職や上司の仕事と言えます。

経営層や管理職が取り組むべきこと

モチベーションマネジメントで経営層や管理職が取り組むべきことは、社員の内発的動機づけを引き出すための仕組みを作ることです。

ハードアプローチ(設備・環境・制度など目に見えるもの)とソフトアプローチ(コミュニケーションなど目に見えないもの)の両方で外発的動機づけを行うことが、内発的動機づけにつながります。

<ハードアプローチ>

  • 仕事に必要な設備を充実させる
  • 評価制度を作る
  • 福利厚生を整備する
  • 表彰制度を設ける
  • 新規事業提案制度を作る

<ソフト面>

  • 1on1ミーティングを行う
  • 業務内容・業務量・目標設定・働く環境が適正であるか見直す
  • 仕事に対して適切なタイミングでフィードバックする

また、これらのアプローチを行う際は、PDCAサイクル(現状把握・計画立案→実行→検証→改善)を回すことが大切です。

その第一歩となる現状把握にお勧めなのは、アメリカ・ギャラップ社の「Q12(キュートゥエルブ)」です。エンゲージメントを測るための調査方式ですが、現状を知り、モチベーションマネジメントを行う前段階としての分析に役立ちます。

モチベーションと業績の関係

「モチベーションを上げたところで、業績に影響が出なければ意味がない」。
「業績が良いから、モチベーションが高いのではないか?」

そう考える経営者やマネージャーは多いと思われますが、GPTWが行う「働きがいのある会社」調査の中で興味深いデータが示されています。

“2010年の「ベストカンパニー」のうち、上場している10社に、ランキング発表後の2010年3月末に等金額を投資した場合、2017年3月末時点でリターンは172.6%(年率換算前)。同時期の日経平均とTOPIXのリターンはそれぞれ70.5%と54.5%であった”

※ベストカンパニーとは、GPTWの「働きがいのある会社」ランキングに参加された企業のうち、ランクインした企業を指します。

※GPTWの考える働きがいとは、働きやすさ(快適に働き続けるための就労条件や報酬条件など)と、やりがい(仕事に対するやりがいやモチベーションなど)の総和になります。

参考:「働き方改革」で業績は向上するのか? ~ “働きやすさ”、“やりがい” と業績の関係~|働きがいのある会社(Great Place to Work Institute Japan)

この調査結果からは、

「働きがい(働きやすさ・やりがい・モチベーションの総和)」が好業績をもたらしているという因果関係の可能性を見ることができます(もちろん、企業の業績向上に影響する要素・変数は幅広く考えられるため、「働きがいが向上すれば、業績が上がる」という単純な話にはなりません)。

モチベーションマネジメントに取り組む企業の事例

ここまで、「モチベーションマネジメントには外発的動機づけよりも内発的動機づけにつながる取り組みが重要」だとお伝えしてきました。

そこで、実際に内発的動機づけ(本人の関心・成長に基づくやりがい・達成感)につながる取り組みを行い、社員のモチベーションマネジメントに取り組んでいる企業の事例をご紹介します。

リクルート

日本国内のHR・販促事業、グローバル斡旋・販促事業を行うリクルート。1982年にスタートした新規事業提案制度「Ring(旧New RING)」は、これまでに「ゼクシィ」「R25」「スタディサプリ」など多くの事業を生み出しました。全社員のほか内定者も参加でき、モチベーションを高める大きな機会となっています。

“リクルートグループの従業員は誰でも自由に参加することができ、テーマはリクルートの既存領域に限らず、ありとあらゆる領域が対象です。リクルートにとって、Ringとは「新しい価値の創造」というグループ経営理念を体現する場であり、従業員が自分の意思で新規事業を提案・実現できる機会です”

参考:Ring

中里スプリング製作所

群馬県で医療量クリップや新素材ばねなどの開発・製造を行う中里スプリング製作所は、「心はずむ技術」で社会や人々をウキウキとさせる製品作りに取り組んでいます。ポリシーである「社員には好きなことをやってもらう」が、社員のモチベーションの源泉となっています。

“その象徴に「ご褒美制度」があります。1年間で一番頑張った社員に、文字通り「ご褒美」を与える制度です。「ご褒美」は2種類。1つは、会社の設備と材料を作業時間内に好きなだけ使って、好きなものを作っていいというもの。材料が足りなければ私のポケットマネーから100万円まで出します。もう1つは、もともと担当顧客は本人の希望で決めていますが、さらに嫌な顧客との取引をやめても構わない、という権利を与えることです。いずれにしても、とことん好きなことに取り組んでもらうための制度です”

参考:モチベーションマネジメントの限界に挑む

オリエンタルランド

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドでは、モチベーションを高め、意欲的に仕事に取り組めるよう、独自のユニークな施策を導入しています。

キャスト同士が仲間の素晴らしい行動を称える「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」や、上司がキャストの行動を称える「ファイブスター・プログラム」などを実施することで、個々の成長や絆を深めることにつながっています。

“頑張って仕事に取り組むキャストに、「ここが良かったよ」「それでいいんだよ」とその場で認めることで、キャストのモチベーション向上につながっており、1995年から実施しています。カードを手渡した上司からは、「キャストの行動のひとつひとつが、ゲストの笑顔につながっていることをあらためて実感しました」との声もあり、渡す上司にとってもゲストやキャストの笑顔に出会う機会になっています”

参考:企業風土とES活動|従業員|社会|サステナビリティ情報|株式会社オリエンタルランド

LIFULL

不動産・住宅情報サービスをはじめ、社会課題に即して暮らしや人生を豊かにするサービスを展開しているライフルでは、社員の挑戦を引き出す企業文化や人事施策が設計されています。

特別有給休暇を活用して社会貢献活動に参加することを支援するプログラムや社員1人1人の能力開発を目的とした社内大学など、内発的動機づけにつなげる取り組みが行われています。

内発的動機づけ 
内発的動機とは、人の内側から湧き出てくる「自分はこれを実現したい、将来的にこうなりたい」という欲求のこと。LIFULLでは、入社時にビジョン・カルチャーにフィットした方だけを採用しているので、内発的動機づけの実現が会社のビジョン(経営理念)の実現にもつながります。その前提があるからこそ、入社後に社員一人ひとりの挑戦のための機会や、必要な成長を支援する制度や環境づくりを全力で行っています”

参考:VISION & CULTURE|株式会社LIFULL 採用サイト

ピクシブ

クリエイターを支援するインターネットサービスを展開するピクシブでは、社員全員がモチベーション高く、そしてより高い生産性で働けるように、仕事の進め方や働く環境にもこだわっています。

リモートお茶会や新事業立ち上げにもつながるプレゼン大会の実施、普段とは異なる仕事ができる社内留学・社会人交換留学など、様々な制度が整備されています。

“毎週1回、エンジニアたちが自分の技術や調べたことを他の社員と共有する社内勉強会を実施。さらに社外の大規模な勉強会への参加も奨励しているので、新しい知識を吸収するチャンスが豊富です。また、短期間社内の別部署に所属し働く「社内留学」や、別のインターネットサービスの会社などで1週間働くことができる「社会人交換留学」といった制度もあります”

参考:環境を知る|ピクシブ株式会社

セプテーニ・ホールディングス

デジタルマーケティング事業やメディアプラットフォーム事業を行うセプテーニ・ホールディングスは、新規事業プランコンテストや会社を良くするアイデア・提案を役員にプレゼンできる機会を設けることで、能力を発揮する場を作っています。

また、社員の活動を称えるために全社キックオフパーティで年間MVPなどの表彰を行い、モチベーション向上につなげています。

GIB
半期や年間ごとの予算達成状況に応じて、 旅行に行くことができる制度です。個人目標の達成だけではなく、全社目標の達成に向けて、全従業員がモチベーション高く取り組むことが、行動規範でも謳われており、全従業員が経営者意識を持つことにも繋がることを期待されています”

参考:制度一覧|セプテーニグループ新卒採用サイト

GMOインターネット

「お名前.com」や「ムームードメイン」などのインターネット事業を行うGMOインターネットでは、エンジニア・クリエイターがモチベーション高く技術力向上に励み、優れたサービスを開発できる仕組み・環境整備に取り組んでいます。

食事・癒やしなどによる健康支援や新事業発明プロジェクトの実施、学習費用補助など、各種の支援制度・プログラムを展開しています。

“スキルアップ補助制度 学ぼうぜ!
技術関連の書籍や最新ガジェットの購入、開発合宿への参加費など、スキルアップに繋がる事項にかかる費用を、年間10万円まで補助するプログラムです。エンジニア・クリエイターのスキルアップに対するモチベーションの向上を図るとともに、得た成果やスキル・ノウハウを社内で共有し合うことで、GMOインターネットグループ全体の技術力の向上を目的としています”

参考:エンジニア支援|働く仲間とともにCSR・サステナビリティGMOインターネットグループ株式会社

アドウェイズ 

インターネットアフィリエイト広告事業等を行うアドウェイズでは、キャリアアップのための勉強会や働く環境、社内イベントなどが整備されています。

ジョブローテーション
半期に1度、部署異動の希望を出すことができる制度です。複数の部署を経験することによる個人のキャリアアップ、異動先で異動前の経験を活かすことによる組織のスキルアップ、部署間の架け橋となることによる全社的な組織強化を目的としています。アドウェイズでは、社員の志を大切にし、チャレンジできる機会を用意しています”

参考:社内制度|採用情報|株式会社アドウェイズ

ホワイトプラス

ネット宅配クリーニングや四季のルームフレグランス定期便のサービスを運営するホワイトプラスではチームワークを重視し、コミュニケーションサポートやキャリアサポートを行っています。

月に1度の従業員満足度調査で組織課題を発見し、社員のモチベーション向上や働きやすい環境づくりに活用しているほか、仲間の活動に対して賞賛するピアボーナス制度を導入しています。

“ピアボーナス制度「White Thanks」
日頃見えづらい活躍や貢献を仲間同士で称賛し、組織内で可視化できるツール「unipos」を導入しています。称賛メッセージと送られたポイントに合わせて少額ボーナスが毎月支給されます

参考:制度・福利厚生|採用情報|株式会社ホワイトプラス

モチベーションマネジメントにお勧めの研修

コミュニケーション研修

離職の一因にもなり得る、社員同士の関係性・職場の雰囲気の悪さを改善する狙いで、コミュニケーション研修はとてもお勧めです。具体的には、

  • 心理的安全性を高め、円滑なコミュニケーションの土壌をつくる
  • 視座の違いを理解し、現場社員の視座を押し上げる

などの目的のもとにコミュニケーション研修を実施することで、社員のモチベーションを向上させることが可能です。詳細は、こちらのページ(コミュニケーション研修の検討マニュアル)をご覧ください。

コミュニケーション研修の検討マニュアル​

3分でわかる!研修・人材育成用語クイズとは

研修担当者や研修受講者の方々が「そういえば、この用語の意味って何だっけ?」と思った際に、短時間で分かりやすく用語の意味を知ることのできるコンテンツ。

それが「3分でわかる!研修・人材育成用語クイズ」です。

用語の意味を理解するに留まらず、その用語を “活きた知識” へと昇華するためのクイズコンテンツをご提供します。

監修者プロフィール

亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム”2030SDGs”に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。博多駅前”fabbit hakata ekimae”に福岡オフィスを構え、関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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