破壊的イノベーションと持続的イノベーション、どちらを選ぶか(ビジネスゲーム開発日誌 Vol.1)

破壊的イノベーションという考え方があります。故クレイトン・クリステンセン教授が提唱されてから20年以上立ちますが、多くの破壊的イノベーションの事例を社会に出てから見続けてきました。

私の記憶の中に新しいのはスマホゲームです。それまでプレイステーション2に代表されるハイエンド機で多くの人がゲームを楽しんでいましたが、そこに、iモード(懐かしい!)等を活用したゲームが出てきました。それからしばらくして出てきたのがスマホゲームです。専用機に比べると機能も内容も本当にチープなものでした。

しかし、そのチープなゲームが、移動の多いビジネスパーソンや、専用機を買うまでもない家庭の主婦にウケた。ゲーム市場と言えばモバイルゲーム市場と言えるほどに、鮮やかに市場が塗り替わったのを2010年前後に見ました。

(逆に今はスマホゲームは非常に停滞していると感じます。次の破壊的イノベーションに駆逐される日も近いかもしれません)。

ただ、意識して選択的に破壊的イノベーションを行える組織はそんなに多くありません。経営資源に限界がある中で業績をあげていこうとした場合、どうしても『顧客からの要望に応える』『既存の性能を少しあげる』『少しコストダウンする』のような活動がイメージしやすく、取り組みやすいかと思います。

破壊的イノベーションと持続的イノベーション、ふたつのイノベーションが選択できる場合に、組織はしらずしらずの間に『本人や組織が意識せず、良かれと思って』持続的イノベーションを選択し、いつの間にか、組織風土として破壊的なイノベーションを選べなくなる。そんな事例が頻発しているように思います。

持続的イノベーションが悪く、破壊的イノベーションが良いというわけではありません。

組織として攻め(市場を塗り替えるイノベーションを行う)と守り(しっかりと手堅く利益をあげる)を選択的に行うことが出来ているか、ということが重要です。ときには、この3年は私達が守りの部隊、あなたたちは攻めの部隊、と部門単位で役割分担をする。なども必要になってくるかと思います。

さて、実は私達プロジェクトデザインも保守的な企業になりかけていました。

昨年(COVID-19が生じる前)は市場は全体的に好景気で、目の前の要望に取り組んでいれば自然と売上や利益が積み上がる時期でもありました。私たちはビジネスゲームの学びをより広く届けるために、研修のオンライン化の必要性を強く感じ、実際にいくつかの企業に提案していましたが、まだ企業ニーズは明確なものではなかったためオンライン化の優先順位をしらずしらずに下げていました。

そこに、COVID-19です。

2020年3月初旬に会社のすべてのリソースを研修のオンライン化につぎ込むという意思決定をしたものの、タイミングとしてはギリギリだったと思っています。幸いなことに、昨年からオンライン化に向けて専門人材の採用と組織をあげての学習に取り組んでいたので、なんとか方向転換できたと思います。

『研修のほとんどすべてがゲームになる』というビジョンを周囲に語りはじめてから10年が経ちました。私にとって、ビジネスゲームという手法は学びの形を塗り替える破壊的イノベーションでもありました。まだ道半ばではありますが、少しずつ手応えも感じています。

引き続き、皆様からの応援、要望、アイディアをお待ちしています。皆様と一緒にあたらしいプロジェクトをデザインしていきたい。そう願っています。

(ビジネスゲームという手法、オンライン研修でのゲーム活用の可能性を体験してみたい!という方は、ビジネスゲーム体験会に是非ご参加ください)

執筆者プロフィール

福井 信英

富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。

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