
【事例】新渡戸文化小学校の5年生60名が挑戦!カードゲーム「Change The World — powered by 2050 Carbon Neutral」
私たちプロジェクトデザインは、人と組織、社会の変革をビジネスゲームで支援する会社です。お客様の変革課題に向き合い、変革への挑戦をシミュレーションするビジネスゲームを活用した様々なサービスやソリューションをご提供しています。
本稿では、子どもたちが楽しみながらカーボンニュートラルについて学び、「自分たちの行動で世界は変えられる!」と実感できるカードゲーム「Change The World(チェンジ・ザ・ワールド) — powered by 2050 Carbon Neutral」(以下、カードゲーム「Change The World」)の活用事例をご紹介します。
東京都にある新渡戸(にとべ)文化小学校の5年生60名と先生方を対象に開催した体験会の様子を、ゲーム体験の前後で変化した子ども達の意識調査のアンケート結果を交えてお届けします。
<学校プロフィール>
新渡戸文化小学校は1927年に創立、2027年で100周年を迎える私立小学校です。創立者・森本厚吉と初代校長・新渡戸稲造の精神を受け継ぎ、「Happiness Creator」を教育の最上位目標に掲げています。目指すのは、社会をより良くするため、自分自身だけでなく周りの人の幸せも考えて行動できる児童の育成。予測不能で不安な出来事が起こる世界を生き抜く子どもたちに向け、「自分と “何か” が異なる人同士でも抵抗なく、対話を通して交流する力」を育むことを大切にしています。
カードゲーム「Change The World」とは
カードゲーム「Change The World」は、カーボンニュートラルについての理解を深め、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
短期間での急激な気温上昇、異常気象の多発、生態系バランスの崩壊といった環境問題は、私たちの生活基盤や産業の根幹を揺るがしています。これらを背景に、世界中でカーボンニュートラル社会への転換に向けた動きが急加速しています。
しかし、「カーボンニュートラル」という言葉は、まだ多くの人にとって難しく感じられ、身近な問題として捉えにくいのが現状です。2050年の社会の中心を担うのは今の子どもたちですが、地球温暖化や異常気象の実感はあっても、「カーボンニュートラル」の言葉や仕組みは、まだまだ身近なテーマとは言えないかもしれません。
そこで、公益財団法人倉敷青年会議所(岡山県倉敷市)の「未来を担う子どもたちが、カーボンニュートラルを知識として学ぶだけでなく、自分ごととして捉え、社会の行動者になってほしい」という熱い想いから、カードゲーム「Change The World」を協働開発しました。
もともと大人向けに開発したカードゲーム「2050カーボンニュートラル」をベースに、子どもたちにとってより分かりやすく、直感的に学べる内容へとリデザインしています。
「経済成長をしながらカーボンニュートラルを実現するにはどんな行動が必要なのか?」
ゲームを通して疑似体験し、楽しみながら理解を深められるのがカードゲーム「Change The World」の大きな特徴です。

カードゲーム「Change The World」のルール
このゲームでは、会場全体が1つの「日本」に見立てられます。政府や自動車メーカー、電力会社など12のチームに分かれたプレイヤーたちが、各々のチームのゴール達成や2050年のカーボンニュートラルの実現を目指して行動します。
ゲーム内のルールはシンプルで、行動できるのは3ターン。
各チームは、仕事と生活の2つのアクションをターンごとに実行します。すると、資金が増えたり、二酸化炭素の量が増えたり減ったりしていきます。
二酸化炭素の排出量が増えれば温室効果ガスが増え、温暖化により酷暑や大規模災害などが引き起こされ、せっかく稼いだお金も災害対応に充てられなくなってしまいます。
このように、自分たちのアクションが社会情勢に与える変化をゲーム上で体験することで、経済と環境保全のバランスの大切さやカーボンニュートラルの本質を疑似体験できるのが、カードゲーム「Change The World」です。
開催の経緯と当日の様子
新渡戸文化小学校では、以前よりプロジェクトデザインが開発した「2030SDGs」をはじめ、さまざまなカードゲームを学習ツールとして導入いただいています。
今回は、気候変動やカーボンニュートラルについて子どもたちが分かりやすく学べるカードゲーム「Change The World」が完成したことから、自ら学び考える機会をつくろうと開催が決まりました。

ゲームが始まると、さすが柔軟な思考を持つ子どもたち。ルールをあっという間に理解し、あちこちで活発な交渉や選択したアクションの実行が始まります。
時には交渉が決裂し、思い通りにいかない場面もあります。子どもたちは、それを乗り越えて自分たちのゴールを目指して突き進んでいきました。しかし、世の中はそう甘くありません。現実社会と同様に、ゲーム内でも地球温暖化は待ったなしで進行し、各チームは対応を迫られます。
当初は温暖化の被害に苦しむ展開が予想されていましたが、子どもたちの環境意識は非常に高く、なんと半数近くのチームが自発的に温暖化対策へ着手。そのため、毎ターン終了時に発生する温暖化の悪影響も、最小限の被害にとどめることができました。
試行錯誤を繰り返しながら、ゲームは進んでいきます。次第に子どもたちは、自分たちの利益ばかりを優先していては地球環境が守れないことに気づき、経済と環境のどちらも成り立たせる方法を他のチームと相談・協力しながら探し始めました。
「自分たちだけでは解決できない問題を、どうすればみんなで乗り越えられるか?」
この対話と挑戦のプロセスを通じて、教科書だけでは理解しづらい「経済と環境のバランス」や「協働の大切さ」を、身をもって実感していきました。

子どもたちの感想
“とても面白かった。地球温暖化は知っていたが、カーボンニュートラルは知らなかった。ゲームをやった後、カーボンニュートラルについてよく分かるようになった”
“初めてカーボンニュートラルについて知れて良かったし、友だちと協カして遊ぶのが楽しかった”
“すごく楽しかったし、排出量を減らしたり吸収量を増やしたりするのは大変だと思った”
“面白すぎる! また来てください! もう一回やって欲しいです”
“排気ガスや二酸化炭素を出さないためにできるだけガスを使わない、車は電気自動車にする。未来の自分のために、これらのことを覚えておきたいと思いました”
“地球温暖化が起きていることには自分の日頃の行動もつながっているし、自分もカーボンニュートラルの実現に関わっているんだと実感しました”

子どもたちのアンケート結果
ゲーム体験の前後でアンケートをとりました(ゲーム前:56名回答、ゲーム後:49名回答)。
1.「地球温暖化」はどのように起こっているか知っていますか?
これまで小学校で行われてきた環境学習の成果もあり、ゲーム前の時点で地球温暖化について「説明できる」と回答していた子どもたちが70%近くに上っていました。しかしゲーム後には、その割合が80%超に上昇。「よく知らない」と回答した割合は0%となり、地球温暖化の仕組みをしっかり理解する結果となりました。

2.カーボンニュートラルとは何か知っていますか?
「地球温暖化」への認知度とは対照的に、ゲーム前にカーボンニュートラルについて「説明できる」と回答した子どもたちは10%未満にとどまっていました。しかしゲーム後には、その割合が70%近くまで上昇。「よく知らない」という回答は71%からわずか4%まで減少しており、難解なカーボンニュートラルの概念をゲームを通してしっかりと理解できたと言えます。

3.「地球温暖化」や「カーボンニュートラル」は、自分とどのくらい関係があると思いますか?
「とても関係あり」と回答した子どもたちが、ゲーム前後で25%から65%へと大幅に増加しました。また、ゲーム前に「関係ない」と回答していた4名も0名に減少。ゲーム体験を通じて「自分たちの行動が地球環境に直結している」認識が深まり、自分ごととして捉えられる子どもたちが増えたことがうかがえます。

4.「地球温暖化」や「カーボンニュートラル」について、自分で何かできることがあると思いますか?
「地球温暖化」や「カーボンニュートラル」について「自分にもできることがあると思う」と回答した子どもたちが、51%から80%超まで大幅に増加しました。ゲームを通して自分の行動が未来を変えられるという「当事者意識」が大きく高まったと言えます。

先生方のゲーム体験
新渡戸文化小学校の先生方と最初にお打ち合わせをした際、子どもたちの実施にとどまらず、「ぜひ私たちも体験してみたい!」と熱いお声をいただきました。そこで後日、夏休みの時間を活用して、先生方を対象とした体験会を開催しました。
子ども向けに作られたゲームですが、先生たちも純粋にゲームを楽しんでいただき、大盛り上がりとなりました!
ゲーム体験会を経て、先生方にカードゲーム「Change The World」を体験した率直な感想と、教育現場での活用イメージについて伺いました。

―実際にゲームを体験して、いかがでしたか?
西田先生:子どもたちが体験している際に様子を見ていて、「なぜこんなに熱中して動くんだろう」「なぜあんなに楽しそうなんだろう」とずっと不思議に思っていたんです。でも、プレイヤーとして参加して初めて、その理由がよく分かりました。
自分のチームの目標だけでなく、他のチームと交渉や協力を行いながら未来を作っていくプロセスそのものが、面白いからなんですね。

宮下先生:子どもたちを観察している時は、子どもたちが何について何のために話しているのかよく分からなかったのですが、実際にプレイしてみると、どこかのチームと協力しなければ使えないカードがあったり、自分たちだけで解決できないことがあると分かりました。
「次のターンでこの行動をとらないと資金がなくなるから、今のうちに日本政府に相談しておこう」といった戦略的な会話が、チーム間で自然に行われます。
特に「お金を出し合う」仕組みが良いですね。子どもたちなりに「さっきは私たちが多く負担したから、次は多めに払ってほしい」と交渉したり、「自分は政府の立場だから相手に配慮しよう」と役割を意識した判断をしたりと、単なるゲームを超えた高度な対話や思考が生まれていました。これを授業で言葉だけで説明しようとすると長くなってしまいますが、体験を通して一気に学べる点が素晴らしいと感じました。
―教育的効果や意識の変容についてはどう感じましたか?
西田先生:一回のゲームでこれほどまでに意識の変容が起こることに驚きました。
子どもたちが楽しみながらも、「経済と環境のバランス」という難しいテーマを直感的に掴んでいるのを感じます。ただ、この意識をさらに深め、日々の行動変容につなげていくには、一過性ではなく継続的なアプローチが必要だとも感じました。
宮下先生:同感です。教科書や調べ学習で「企業がこんな活動をしています」と習っても、実感が湧きにくいんですよね。でも、このゲームでは、自分が企業や政府の立場になって意思決定を行うため、その仕事の人の気持ちになれますし、カーボンニュートラルの仕組みが驚くほど分かりやすく表現されています。
特に、カーボンニュートラルは「排出量と吸収量がイコールになること」。また、その差によって二酸化炭素濃度と気温が上昇する仕組みが、ゲームのマップ上で視覚的に理解できる点が非常に分かりやすかったと思いました。
子どもたちもこれからは、このマップでカーボンニュートラルという言葉のイメージが持てるのではないかと思います。

―貴校が力を入れている「探究学習」での活用イメージは湧きましたか?
西田先生:授業の導入として、カーボンニュートラルとの出会いの場に最適だと感じました。
理解が深まり、半径5メートル以内でできる自分の行動が変わってきた段階で、さらにレベルアップしたルールでプレイしても面白そうです。
宮下先生:そうですね。例えば、あえて追加の制約条件を入れたり、一部のカードを隠すといった独自ルールを設けるのも面白いかもしれません。
「なぜ上手くいかなかったのか」を話し合い、調べ学習で対策を練り、自分たちで新しいカードを作って試してみる。そうして仮説と検証を繰り返すことで、子どもたち自身の深い学びにつながるはずです。
このカードゲーム「Change The World」を「調べるきっかけ」や「探究の締めくくり」として活用するなど、多様な可能性を感じました。
―ありがとうございました。
ご案内
カードゲーム「Change The World — powered by 2050 Carbon Neutral」は、小中学生が「自分たちの行動で世界は変えられる!」と実感できるカーボンニュートラルゲームです。
■カードゲーム「2050カーボンニュートラル」(数十年間に及ぶカーボンニュートラルの実現への挑戦をシミュレーションできる、難易度の高い大人向けのゲーム)との違い
- 90~120分でできるゲーム時間に短縮
- 小学校5年生~中学校3年生が理解できる内容・難易度に調整
- 二酸化炭素の排出が気温上昇につながることが一目で分かるカーボンマップのビジュアルに変更
- 消費者の立場からカーボンニュートラルが推進できる実感を得られる設計に
ご興味のある方は、ぜひ、お気軽に体験会にお越しください。
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