クライアントのニーズに応えられているかの自信がない悩みの解決法(ファシリテーターのお悩み相談室)

ファシリテーターのお悩み相談室では、ファシリテーターの方々の様々な悩み相談に対して、プロジェクトデザイン社の “中の人” が悩み解決のヒントをお届けします。

ファシリテーターのお悩み相談室

<質問>

ビジネスゲームのファシリテーターとして研修案件をこなしてきた中で、毎回、ゲームでは場が盛り上がって学びが深まっていると思っているのですが、運営にバリエーションがなく、果たしてクライアントのニーズにお応えできているのかについて自信を持てていません。

クライアントが抱えている問題意識に寄り添った研修内容にするためには、どのようなことが必要でしょうか?

<回答1>

こんにちは、竹田です。

ファシリテータ―として安定的に場を運営する「型」が自分の中に既に出来上がっている場合において、場の固有のニーズにお応えしていくためには、ワークショップの内容を個別にカスタマイズする必要があると思います。

クライアント様がいらっしゃる研修を想定した場合に、場の固有のニーズを具体化するためには、ご担当者様に「なぜ研修を実施するのか? 研修によってどのようなアウトプットを求めているのか?」ということを事前に確認しておくことになると思います。

アウトプットが明確になれば、受講者をそのアウトプットに繋げていくことになります。そのために必要なことの一つが「問いの設計」です。

まず前提として、ゲーム体験型の研修であっても、ゲーム実施後の振り返りにおいては「どのような学びや気づきも受容される」というところからスタートしていくことが重要だと思います。

それによって「開かれた心で多様性のある気づき」が場全体で共有される状況を作りやすくなると思います。そこから徐々に、クライアントの問題解決に資するアウトプットを出していただくため「特定の学び」に繋げる流れを作っていくことになると思います。

そこで大切なことの一つが、前述した「問いの設計」です。

ゲーム実施直後に、場に対して「アウトプットを引き出すための問い」を投げたとすると、その問いで具体的で深い対話ができるかどうかを、ありありと想像してみてください。

いきなりその対話が難しそうだと感じるならば、当該問いにハシゴを掛けていくための「繋ぎの問い」を間に挟んで、滑らかに受講者の思考を導いていくことになります。

「問いの設計」については、最近では様々な書籍やセミナーがありますので、深めてみてください。

併せてゲーム実施後の「振り返り」のスライドについても、アウトプットに繋げていくものを作成していきましょう。

<回答2>

こんにちは、亀井です。

クライアントのニーズに応えられているかの自信がない、という問題ですね。

研修の場を作る「クライアント」と「研修受講者」それぞれに、研修の目的と当日の研修で目指す目標(修了時にどのような状態を目指すか)を確認するのが良いと思います。

研修の事前準備でクライアント様へのヒアリングから、当日プログラムを検討されると思いますが、クライアントと研修受講者のニーズがずれている場合もありますので、研修スタート時にそのすり合わせをおこなっておくといいですよね。

研修の場は生ものですから、もしずれていると感じるのであれば、研修を受講される方にお話を聞きながら、目標の調整をしていくことで、最終的な効果が生まれていくと考えます。

ただ、急に変えてしまうことでクライアント様も驚かれる可能性があるので、

  • 冒頭にその日の目的と目標を伝える
  • 目的・目標を変える必要があると感じたら、参加者の意思を尊重して変えることもある

この内容について事前に話しておくとよいと思います。

さて、竹田さんからは当日のアウトプットが示されましたが、私からは運営のバリエーションの話も少し触れておきます。それは「経験学習サイクル(デイビィット・コルブ)に基づいた問いかけ」です。

まず、大前提ですが、ゲーム実施後のふりかえりに十分な時間を確保できていますか? 体験のふりかえりに十分な時間が取れない場合は「アウトプットの物足りなさ」から満足度が下がってしまう傾向があります。少なくとも1時間のふりかえりを確保できるようにクライアント様に働きかけをおこなっていきたいものです。

その上で、ふりかえりの時間を使って、経験→省察→概念化→実践(試行)の経験学習サイクルの学びの過程に合わせて問いかけを行ってみましょう。具体的には以下の通りです。

  1. 経験:具体的な経験をし、自分で気づく
  2. 省察:経験を多様な観点から振り返る
  3. 概念化:現実でも応用できるよう概念化する
  4. 実践(試行):新しい場面で実際に試してみる

ビジネスゲームであれば「1.経験」の具体的な経験=ゲーム体験ですね。「4.実践」については、研修の締めくくりとして、決意表明や行動宣言をするなど、さまざまな終わり方があります。

ちなみに、経験学習サイクルの学びの過程に沿ったふりかえりで使うことも多い、ORIDと呼ばれるフレームワークがありますが、具体的な進め方については、また機会があるときにご紹介したいと思います。

執筆者プロフィール

株式会社プロジェクトデザイン 竹田

竹田 法信

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。

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亀井 直人

鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム”2030SDGs”に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。博多駅前”fabbit hakata ekimae”に福岡オフィスを構え、関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。

  • 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
  • PMP(Project Management Professional)
  • NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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