【事例】個人のビジョンを言語化し、組織のビジョンとの繋がりをつくり、上司として部下のビジョンの実現を支援する!「学習する組織」の考え方にもとづく3年間の組織開発の軌跡(シキノハイテック)

組織名

株式会社シキノハイテック

事業内容

電子システム事業(半導体検査・装置関連)、マイクロエレクトロニクス事業(LSI設計、IPコア)、製品開発事業(組み込みカメラモジュール、画像システム)

組織規模

435名 (2026年3月31日現在)

私たちプロジェクトデザインは、人と組織、社会の変革をビジネスゲームで支援する会社です。お客様の変革課題に向き合い、変革への挑戦をシミュレーションするビジネスゲームを活用した様々なサービスやソリューションをご提供しています。

本稿では、組織開発の支援事例として、株式会社シキノハイテック(以下、シキノハイテック)との3年間の取り組みをご紹介します。

  • 1年目(2023年)
    全社的に意識を同じ方向に向ける研修として、「学習する組織(※1)」をテーマとする研修プログラムを幹部社員向けに実施

  • 2年目(2024年)
    本研修プログラムを内製化する形で従業員全体へと展開(※2)

  • 3年目(2025年)
    マネージャー向けチームパフォーマンス向上研修を全管理職を対象に実施

インタビューでは、当社へ依頼された経緯と3年間の取り組みの成果について触れつつ、その後は、1~2年目の取り組みから見えた課題の解決に向けて実施した「マネージャー向けチームパフォーマンス向上研修」の内容についてお届けします。

※1「学習する組織」は、ピーター・センゲが提唱した組織マネジメントのアプローチです。脆弱・不確実・複雑・曖昧と言われる今日の事業環境の中で、経営と組織のあり方を抜本的に問い直すアプローチとして世界的に注目され、派生した手法を含めてその実践がビジネスや非営利組織、教育セクターで広がっています(詳細はこちら:学習する組織|チェンジ・エージェント)。

※2 私たちプロジェクトデザインでは、研修講師派遣型の研修サービスをご提供するだけでなく、お客様自らが研修プログラムを展開するための内製化支援(社内講師の育成)も行っています。

<お話を伺った方>

株式会社シキノハイテック 管理本部 人事総務部 部長 温井 康雄 様
株式会社シキノハイテック 管理本部 人事総務部 人事課 課長 中田 一郎 様
株式会社シキノハイテック 管理本部 人事総務部 人事課 T 様

<インタビュアー>

株式会社プロジェクトデザイン 代表取締役 福井信英

温井様
中田様
T 様

<企業プロフィール>

シキノハイテックは、1975年設立の半導体・電子機器メーカーです。LSI(大規模集積回路)設計技術を事業基盤に、マイクロエレクトロニクス事業、製品開発事業(カメラ事業・システム開発)、電子システム事業を展開し、設計からものづくりまでの総合力を強みとしています。「テクノロジーで新しい価値を創造し安全・安心・効率的な社会の実現に貢献」というミッションのもと、国内トップシェアの画像圧縮(JPEG)技術とカメラモジュールを融合し、画像処理やAI画像センシングに有用なカスタム開発製品を開発・提供。また、開発から製造までの一貫体制で高い信頼性を誇る半導体検査関連製品や、独自の計測ソリューションサービスも展開し、時代の要求に応える「新しい価値」の創造に挑み続けています。

全社的に意識が同じ方向に向くような研修を企画している中で出会った「学習する組織」の考え方

—御社との出会いは、2023年にまで遡ります。はじめに、当時の状況をふり返りながら、当社へ研修を依頼いただいた経緯をお聞かせください。

中田様:全社的に意識が同じ方向に向くような研修を企画している中で「学習する組織(ピーター・センゲが提唱した組織マネジメントのアプローチ)」の考え方に出会いまして。

会社全体が同じベクトルで成長していく上で、これはとても有効な考え方だと思い、なんとか研修のスタイルにできないかと考えている中で、この学習する組織のメソッドを取り入れた研修を提供する御社と出会ったというのが大まかな経緯ですね。

—ありがとうございます。ちなみに、「学習する組織」のどのような考え方に惹かれたのでしょうか?

中田様:ひとつは、自己マスタリー(個人の成長とビジョンの明確化。個人が本当に実現したいことを明確にし、主体性を持つこと)。もうひとつは、共有ビジョン(共通の目標への共感と統合。トップからの命令ではなく、メンバー全員が共感できる未来像を築くこと)ですね。

人事部門の人間であれば、誰もが感じることだと思いますが、研修は受けてからしばらく経つと学習した内容が霧のように消えていくものです。そうならないためには、会社から与えられた目標ではなく、自分が「こうなりたい」と心から願う目標を持ち、その目標に向けて主体的に学ぶ姿勢が必要になるわけです。

ここがまさに、自己マスタリーや共有ビジョンの考え方と合致します。個人のビジョンを明確にし、組織でビジョンを描き・共有し合うことは、各自の自己実現や仕事への主体性の発揮はもちろん、研修の場における学ぶ姿勢としても活きてくると思います。

—社員一人ひとりの個人のビジョンを明らかにし、それを個人と組織の成長エンジンにして発展させていこうというのは、当時としてはかなり新しい考え方だったと思います。それをよく見つけ出していただきました。

提案書より抜粋

3年間の組織開発の取り組みの成果と、その過程で起きていたこと

—2023年に学習する組織をテーマとする研修プログラムを幹部社員向けに実施。その後、2024年に本研修プログラムを内製化する形で社内全体へと展開。そして、2025年に「マネージャー向けチームパフォーマンス向上研修」を全管理職を対象に実施させていただきました。この3年間の取り組みの成果はいかがでしたか?

中田様:2025年に、御社にお願いして管理職に研修をしてもらったタイミングで人材育成の基本方針を決めました。これは当社の歴史の中では初めてのことです。

そして、その方針の中に「学習する組織」の考え方による組織の成長を盛り込みました。これは、2023年からの組織開発の取り組みの積み重ねがあってこその成果と言えます。

—私もこの3年間を振り返って、人材育成の基本方針として「学習する組織」を中心に置かれたことが非常に大きいと感じています。

方針がまとまっていない会社も多い中で、トップダウンだけでなくボトムアップで一人ひとりの個人のビジョン(志)を大事にしつつ、会社の進む方向とのリンクを見つけ、それを経営にも活かしていくと定められているのは大きな資産です。

ただ、実際に個人のビジョンをつくって会社のビジョンとリンクできたかというと、そう簡単なことでもなく、1~2年目の取り組みで見えてきた課題がありましたね。

中田様:おっしゃる通りです。個人のビジョンという自分の内面的な動機を活かして会社や社会に貢献していくことにはかなり高度なスキルが要求されます。トントン拍子に事が進むことは無かったですね。

当初は「なんでこんなことをやらなきゃいけないの」という感想を持たれた方もいましたし、自分の思い描く個人のビジョンと会社のビジョンとを繋げて考えることがなかなかできない状況が、最初の2年間の取り組みで見えてきました。

T 様:3年目の研修企画の前に実施したアンケートからは、「管理職と部下が1on1の場でお互いに将来のキャリアやビジョンについて話したいと思っているのに、なぜか目の前の仕事の進捗ばかり話して終わってしまう。互いにもっと別のことを話したいのにできていない」という状態が見えてきました。

個人のビジョンはつくって終わりではなく、上司となる管理職が1on1などの対話の場でビジョンの実現を支援する関わりが必要になるからこそ、上司と部下の対話の質を変えることも課題でした。

研修スライドより

個人のビジョンを言語化し、組織のビジョンとの繋がりをつくり、上司として部下のビジョンの実現を支援する。そのための2つのオリジナルツール

—最初の2年間の取り組みで見えてきた「個人のビジョンづくり」と「部下のビジョンの実現を支援する関わり」の難しさ。これらの課題を解決する観点で、3年目の取り組みとして、マネージャー向けチームパフォーマンス向上研修を企画・実施させていただきました。

この研修の中で活用した、2つのオリジナルツールについてお聞きします。はじめに、「ビジョンサークル」はいかがでしたでしょうか?

ビジョンサークルとは

ビジョンサークルは、「どんな人生を送りたいか」「何を大切にして生きているのか」などの個人のビジョン(仕事の枠にとらわれない、ありのままの願い)を言語化し、組織のビジョンとの重なりや繋がりを発見する対話ツールです。

ビジョンサークルを用いた対話を通じて、「日々の自分の仕事が、会社の未来にどのようにリンクしているのか」を主体的に認識できるようになります。

今回の研修では、管理職同士でビジョンサークルのワークを行うことで普段交流のない他部門の管理職との目線合わせや相互理解を深めるほか、研修後に、それぞれの管理職が自らのチームでもビジョンサークルのワークを実施できるようになる状態を目指しました。

温井様:ビジョンサークルでは、仕事やキャリアに限らずにプライベートを含めたパーソナルなビジョンを共有する点が印象的です。

「どんな人生を送りたいか」「何を楽しみにして生きているのか」を聞くことで、自分が認識していた人物像(普段の相手のイメージ)とは違う発見があって、面白いアプローチだと感じました。ビジョンというと高尚な感じがしますが、意外な人間性をあぶり出せますね。

T 様:管理職研修後にもらったフィードバックを見るに、ビジョンの必要性が十分に伝わったと感じています。

<研修受講者の感想(抜粋)>

  • ビジョンの重要性が管理職の間で腹落ちした
  • ビジョンの共有の重要さを理解した
  • 個人と会社のビジョンの接続を考える視点が得られた
  • ビジョンを共有化する意義とやり方を学べた

T 様:ちなみに、管理職研修の実施前に、人事課内でも集まってビジョンサークルのワークを行っていまして、他のメンバーの内面を知るとても良い機会になったと思います。

同じ課内なので当然、業務での関わりは多いのですが、「将来どうなりたいのか」「組織に対してどう思っているのか」を話す機会はほとんどありません。

だからこそ、ビジョンサークルのワークを通じて「業務の改善をしていきたい」「人事課を強くしていこう」などの想いを共有することができたのは、相互理解を深めるきっかけとしても非常に良かったと思います。

—次に、上司(シェルパ)が部下(メンバー)の主体性を尊重しながらビジョンの実現や成長へと導くツール、「グロース・シェルパ」についての感想をお聞かせください。

グロース・シェルパとは

1on1などの対話の場では、マネージャーも部下もキャリアや将来のビジョン、人間関係に関して聞きたい・話をしたいと思っているものの、実際には「最近の仕事はどうだ?」と、実務の話に終始してしまう調査結果があります。

それは、仕事の話をした方が互いに楽であるという理由もありますが、対話をリードする上司の側が、対話のスキルを身に付けていないことにも問題があります。

この問題に対応するツールが、グロース・シェルパです。上司となる管理職が自らの対話の癖に気づき、対話の技術を磨くことに取り組みます。具体的には、一人ひとりのメンバービジョンの実現をサポートするための1on1のスキル向上を目指します。

管理職は部下(クライマー)の成長を導きつつも、クライマー自身の主体性を尊重し、それを損なわないように支援するシェルパの役割を担い、シェルパとして何を大切にすればよいのかを記載した「シェルパ・スタンスカード」を用いて部下との対話を行い、「チェックシート」を用いて自己評価することで、1on1の密度を向上させます。

T 様:グロース・シェルパに取り組んだことで、部下とのコミュニケーションにおいて対話の質の変化に向けた意識の変化が起きたと思います。

研修後の感想としても「仕事の話だけでなく、本人がどういったキャリアを歩んでいきたいか」の話もできるようにならなければという声が多く集まりました。実際に、1on1の頻度が増えた部署もあります。

温井様:管理職の意識と関わり方の変化に、確かな手応えを感じています。

上司がグロース・シェルパとして機能できているかを3段階評価でふり返るセルフチェックを研修の前後で実施したところ、最低評価の「1(できていない)」が減少し、高評価の「3(よくできている)」が増加しました。

自分たちの行動を継続的にふり返り、改善に向けて具体的に動き出せている成果だと捉えています。

中田様:研修参加者からは、「シェルパ・スタンスカード(シェルパが何を大切にすれば良いかを記載したカード)が1on1に使える」「カードを使った1on1で話を引き出せた」「実習形式で理解が深まった」という声が寄せられています。

1on1の対話ツールが手元にあることで、いつでも何をすべきか・どうあるべきかを確認でき、研修後の行動変容につながりやすいと感じました。

4日程のマネージャー向けチームパフォーマンス向上研修プログラムの集大成とも言える「ビジョン共有セッション」で起きたこと

—4日程に渡り実施させていただいたマネージャー向けチームパフォーマンス向上研修。ふり返ると、最終日に開催した「ビジョン共有セッション」が最も印象的でした。社長や全本部長と管理職が一堂に会し、全員で未来のビジョンについて語り合う場はものすごい熱気に包まれていましたね。

中田様:おっしゃる通りですね。事業本部の枠を超えて相互理解を深める、非常に価値ある時間となりました。

当社には3つの事業本部があり、日常業務の中では他部門のビジョンや本部長の思いに深く触れる機会が限られています。加えて、それぞれ主張があり、コミュニケーションも完璧ではない状態でした。

今回、各本部長が一堂に会し、自らの想いを皆さんに熱く語ったことで目指す姿への理解が深まったと感じています。関係性にとても良い変化が生まれ、非常に印象的な機会でしたね。「普段は厳格な印象の強いB本部長だが、その真意や想いを聴いて見え方が変わった」ということもあったと思います。

また、社長の口から直接、会社のビジョンの背景を話してもらったのも初めてだったので、本当に素晴らしい機会でした。一度と言わず、二度三度とやるべきだと思います。総じて、この組織に属している喜びを感じられる時間になりました。

「みんなで同じことを考えて共有している時間は素晴らしい」と、参加した多くの人が思ったはずです。普段の業務に埋没していると業績など厳しい話題が多くなりますが、こういった「組織に属している喜びに触れられる時間」が設けられるなら、会社全体のムードも良くなっていく気がします。

温井様:私も最終日の「ビジョン共有セッション」には驚きました。

役員が自分の事業本部のことを語る場面は今までもありましたが、A本部長が言ったことに対して、B本部長やC本部長が論評を加えるシーンは見たことがありませんでした。しかも業績のことではなく、目指したいビジョンに対して、他の本部の人が明るく陽気に論評を加えている。

互いに牽制しあうのではなく、横のつながりが刺さっているのだと感じて微笑ましく見ていました。

T 様:管理職の皆さんの姿を見て、とても面白い、良い場だったと思いました。本部のビジョンと個人のビジョンが並べられ、内に秘めた思いが可視化されているのが興味深かったです。

また、普段厳しい顔をしている管理職の方々が、会話の中で自然に笑顔で喋っているのを見て、衝撃を受けました。ビジョンを語り合うコミュニケーションは、人を笑顔にするのだと感じました。

―素晴らしいですね。役員の方が「我々はこれまでビジョンを語ることをしてこなかったが、これからはしていかなければならない」とおっしゃっていたのが印象的でした。本日は貴重なお話をありがとうございました!

最終日の「ビジョン共有セッション」の様子

マネージャー向けチームパフォーマンス向上研修の概要

研修目的

  • 個人のビジョンを組織のビジョンにつなげていく
  • トップのビジョンを理解して腹落ちし、行動に移す
  • 1on1などの対話の場で上司が部下のビジョン実現を支援するコミュニケーションを行えるようになる

研修プログラム

Day1
【学習目標】個人のビジョンを活かした能力開発・組織開発の必要性理解
【学習内容】①マインドセット、②ビジョンをつなげるワーク、③ビジョンサークル
【Day1課題】自部署の部下を対象としたビジョンサークルの実施

Day2(Day1の2か月後に実施)
【学習目標】対面での部下の本音と意欲を引き出す手法・ツール理解・活用
【学習内容】①Day1課題結果共有、②ビジョンを育成する方法、③演習
【Day2課題】自部門の部下を対象としたGSカードを用いた1on1の実践

Day3(Day2の2か月後に実施)
【学習目標】対面でのコミュニケーションの変化実感、更なる強化に向けた支援
【学習内容】①Day2課題結果共有、②対話と承認、③ビジョンサークル with アクション
【Day3課題】本部長が掲げる「組織ビジョン」を中心としたビジョンサークルwithアクションの実施

Day4(Day3の2か月後に実施)
【学習目標】経営陣が掲げるビジョンと管理職層が掲げるビジョンの共有・統合
【学習内容】①Day3課題結果共有、②組織のビジョン統合、③個人ビジョンとアクションの再考

4日程のマネージャー向けチームパフォーマンス向上研修の全体像

ご案内

<管理職の3つの役割をゲームで体験!マネジメント研修>

かつてのマネージャーは「優秀なプレイヤーの延長」で務まる部分もありましたが、今のVUCA時代において組織の持続的成長の責任を引き受けるマネージャーには、リーダー・マネージャー・シェルパの「3つの役割」が求められており、それらの役割は、教育によって高める余地が大いにあります。

チームの進む道を示すリーダー。
チームを躍動させるマネージャー。
人を育てるシェルパ。

私たちプロジェクトデザインでは「3つの役割」を学ぶ、ビジネスゲームを活用した体験型プログラムをご提供します。

Contact Us

ご相談・お問い合わせ

お見積り依頼の他、ちょっと知りたい・聞いてみたいことへの相談にも対応させていただいております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

相談内容の例

  • 数あるビジネスゲームの中から、自社に合うビジネスゲームが何かを知りたい
  • 自社の課題に対して、ビジネスゲームでどんなことができるのかを教えてほしい
  • ビジネスゲーム制作について興味があるので、少し詳しい話を聞きたい
お電話での問い合わせ

営業時間:9時~18時(平日)

|東京オフィス:03-6380-9137
|富山オフィス:076-482-4130
|福岡オフィス:076-482-4130

公式サイト

サイトマップ

Copyright © 2016 Project Design Inc. All Rights Reserved.