みなさま、どうもです。桑原です。やっと忙しい時期が終わりました。大学は入学試験日程時の入校制限の張り紙などがしてあり、もう1年が経ってしまったのかとしみじみしております。
 
 さて、今回は「なぜ間違った判断をしてしまうのか」という話題です。熟慮したと思っても、無意識のうちに誤った判断を導き出してしまうのはなぜなのかについて話します。
 
間違った判断を下してしまう背景には、バイアスの罠が存在しています。僕の主張を先取りすれば、バイアスの罠を回避する具体的な成功例はなく、個人の論理的思考力を鍛える他ないと言えます。なかなか不完全燃焼な結論ですが、認識の問題はやはり、個人の努力で解決する他ないのかもしれません。
 
それでは、ぼちぼち、話していきたいと思います。
 
 

以外と身近な「バイアス」の罠

 さて、本題に入る前に、バイアスについて簡単に話します。と言っても、バイアスは偏りを意味する言葉で、今回話題にするバイアスは、所属する組織や経験などによって、意思決定が歪められたりすることであるという程度の認識で大丈夫です。
 
 小見出しにある通り、このバイアスは以外と身近に・・・というよりは、自然とかかってしまうものでもあります。1つ問題を出してみます。僕もまんまと引っかかりました。皆さんも考えてみてください。
 
 
【問題】
 トシオは、子供の頃から数学や理科が得意でした。大学では工学部に進み、情報理論や制御理論、計算機科学などを勉強して、優秀な成績で卒業しました。次の3つの文について、確からしいと思われる順に選んでください。
 
A. 彼は現在、視覚情報処理の研究をしている。
B. 彼は現在、文学部の教授である。
C. 彼は現在、文学部の教授であり、視覚情報処理を研究している。
 
 
 
 
皆さん考えてみましたか?では、一応答え合わせです。ですが、答えがあっているかどうかよりも、「なぜその答えを選んでしまったか」という理由の方が重要です。
 
【答え】
 A → B → C
 
 それでは説明です。この問題の答えでは「A → C → B」を選んだ人がいるのではないでしょうか。しかし、よくよく選択肢を見てみれば、選択肢Cは「文学部の教授」という制約条件があるので、Bよりも不確かなはずです。しかし、多くの人は選択肢Bよりも選択肢Cの方が確からしいと考えてしまいます。
 
組織論備忘録#5_1これは、連限錯誤と呼ばれるものです。つまり選択肢Cの「文学部の教授」と「視覚情報処理を研究している」という記述の間に、何かしらの因果関係を見出しているからです。因果関係が原因となって、より確かな選択肢Bよりも選択肢Cの方がもっともらしいと感じてしまうのです。
 
 この問題はほんの一部です。他にも代表制バイアスやアンカーリング、自己奉仕バイアス、確証バイアスなどのたくさんのバイアスがあります。特に、最後の確証バイアスは、組織の中で仮説検証やデータの分析が重要視されている今、陥りやすい罠と言えるかもしれません。例えば、以下の例を見てみましょう。また考えてみてください。
 
 
【例】
 以下の4つのカードは「片方に母音が書いてあれば、もう一方の面には偶数が書いてある」という規則によって作られています。この規則を確かめるためには、どのようにすればよいでしょうか。
 
 E、K、4、7
 
 
 
 
さて、ここでも「Eと4が書かれたカードを裏返して確かめる」という方法をとる方が多いのではないでしょうか?確かに、Eをめくったら12が書かれてあり、4をめくったらAが書かれていたら、規則を確かめられたと言えそうです。しかし、もし、7をめくってUが書かれていたらどうでしょうか。これが、確証バイアスの罠です。
 
組織論備忘録#5_2 確証バイアスとは、「自分の仮説を支持するような情報しか集めない」ことを指します。ここで言えば、「Eと4が書かれたカードを裏返して確かめる」というのが、確証バイアスによって生じた行動と言えるでしょう。そのため、規則の確からしさを十分に検証することができなかったのです。
 
自分の仮説が正しいことを証明するには「自分の仮説を否定する現象が起こらないか」を確かめる必要があります。例で言えば、7をめくることが正しい確認の仕方の一例です。「奇数であるならば、その裏には母音が書かれていない」という、規則とは真逆の現象を確かめることで、規則が真に確かであると言えるからです。
 
 

バイアスの罠を回避するのは難しい

 さて、ここまでバイアスの怖さを話してきました。しかし、組織の諸問題について興味のある我々にとっての一番の関心ごとは、いかにこのバイアスの罠を回避するかです。
 
 回避の方法はいくつか挙げられます。1つは、不確実かつ当たり前ですが「バイアスの罠にはまらないように気をつける」ことです。バイアスのことについて学び、どのような場面で陥る可能性があるのか注意することです。しかし、バイアスの怖いところは「自然と罠にはまってしまう」ことですので、繰り返しですが不確実な対処ではあるでしょう。
 
組織論備忘録#5_3そこで、よくバイアスを回避するために用いられるのが「複数人で考える」という方法です。様々な視点から物事を考えられるようにすることで、一人で意思決定を行うよりも、バイアスの罠にはまらないようにする方法です。
 
しかし、多人数で考えたとしもても、やはりバイアスの罠にかかってしまうことがあります。全員が同じ成功経験を共有していたり、バックグラウンドを持っていたりすることが原因としてあげられます。「全員が、過去の成功体験にひきずられる」という経験は、皆様の身近にもあるのではないでしょうか。
 
 このように、バイアスの罠を回避するのは非常に難しいです。自分もブログを書く際に具体的な対処法や成功例を調べてみましたが、決定的なものはありませんでした。人の認識に関わることなので、なかなか対処が難しいのだと思います。バイアスの罠を回避するには、私たちが常日頃から「本当にこの考えは正しいのだろうか」と問い続けることしかないのではないかと思います。
 
 今回は、僕もなかなかに不完全燃焼です。僕は、このバイアスを何とか回避できるようになるために、論理や集合、確率の勉強を最近し始めました。気付いた方も多いと思いますが、バイアスの罠にかかる原因多くは、ある意味「論理的思考力の欠如」の問題であるとも思います。
 
今回出た問題と例はそれぞれ、集合(部分集合)と論理(対偶)の話に似ています。物事を正しく認識したり、本当に正しいかどうかを確認したりするために、論理や集合、確率で習う手法は非常に役立つものなのです。私見ですが、本当にもとめられる論理的思考力とは、自分の意見の整合性を持たせることではなく、自分の考えが正しいかどうかを確かめられる力のことを指すのではないかと思います。
 
論理的思考力を身につけ、バイアスの罠を回避するために、皆様も一度、高校数学の教科書や参考書を振り返ってみるのはいかがでしょうか。後から振り返ってみてみると、新しい学びが多かったりしておすすめです。
 
 
それでは今回はここまでです。また次回。次回は「チームの中での相互作用」について話したいと思います。
 
 
 
ライター:【三等兵】桑原健人
富山県立富山中部高等学校卒業
法政大学経営学部市場経営学科修了
現在、一橋大学商学研究科経営学修士過程所属
学期が終了し、少し余裕が出てきた。そろそろ就職活動も始まるなと戦々恐々している。
「僕を雇ってくれる企業は本当に存在するのだろうかと考えると、夜も眠れない・・・じゃけん、教科書読んで現実逃避しましょうね~」が最近の口癖。休みを良いことに昼夜逆転中だったりする。