“カーボンの見える化”とは|カードゲーム「2050カーボンニュートラル」コンセプトストーリー

本稿では、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のコンセプトである “カーボンの見える化” についての内容をご紹介します。

Contents(目次)

なぜ、地球温暖化が進行しているのか?​

猛暑や大規模干ばつ、集中豪雨や大型台風。

今、私たちの地球では、地球温暖化の進行を主因とする自然災害の深刻化が懸念されています。

※地球温暖化の進行を知る上では、以下の動画が参考になります。1880年からの平均気温の変化を時系列で追うことで、気温上昇のペースが徐々に上がっていることに気付かされます(特に、1980年以降の変化が顕著です)。

なぜ、地球温暖化が進行しているのでしょうか?

気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の第6次報告書(AR6:Fifth Assessment Report)によると、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」と、人間活動が及ぼす温暖化への影響を評価しています。

人間活動、つまり、世界の国々が豊かさを求めて経済活動に取り組み続けた結果、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させる化石燃料(石油や石炭)の使用量が増加し続ける一方で、カーボンを吸収する役割を担う森林が森林伐採や森林火災によって破壊される状況が続いています。

私たちは、自らの活動を変えることで、地球温暖化の進行を遅らせる必要があります。

そのための分かりやすい取り組みが、日本を含めた120以上の国と地域が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」です。2050年までに温室効果ガスの「排出を全体としてゼロ(※)」にすることを目指しています。

※二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにします。

温室効果ガスの排出量削減の取り組みは「待ったなし」

カーボンバジェット(炭素予算)という言葉をご存じでしょうか?

これは、人間活動による地球の気温上昇を一定のレベルに抑える場合に想定される温室効果ガスの累積排出量(過去と将来の排出量の合計)の上限値を表す言葉です。

2015年に開催されたCOP21のパリ協定で努力目標として掲げられた「1.5℃目標」。この目標を達成するために私たちに残されたカーボンバジェットは、2020年時点でわずか8%未満(現在の排出量換算で10年未満)です。

カーボンニュートラルが目指すものは2050年までに温室効果ガスの「排出を全体としてゼロ」にすることであり、未来に目を向けることは当然必要なことですが、その一方で、

  • 私たちは圧倒的なスピードで大気中の温室効果ガスを増やしていること
  • カーボンニュートラルを実現できるまで温室効果ガスは増え続けること
  • 温室効果ガスの排出量削減の取り組みは「待ったなし」であること

この足元の現実をしっかりと受け止めること、つまり、腹落ちさせること(実感を伴った理解)によって自分事化すること。それがカーボンニュートラルの実現に向けて「地に足の着いた一歩」を踏み出すための出発点になります。

“カーボンの見える化”とは?

カーボンは人間社会・大気中・森林にストック(貯蔵・蓄積・固定)されています。そして、ストックされているカーボンは排出・吸収・活用されることによって地球上を循環しています。

このカーボンの循環構造(カーボンの量や動きの変化)を目に見えるようにすることで、

  • 私たちは圧倒的なスピードで大気中の温室効果ガスを増やしていること
  • カーボンニュートラルを実現できるまで温室効果ガスは増え続けること
  • 温室効果ガスの排出量削減の取り組みは「待ったなし」であること

などに対して、誰もが腹落ちさせること(実感を伴った理解)ができるようになり、カーボンニュートラルを自分事として捉えやすくなります。

“カーボンの見える化” を実現するカーボン・マップ

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」では “カーボンの見える化” を実現するためにカーボン・マップ(カーボンの循環構造を表現したマップ)を活用しています。

カーボン・マップとは

※スライドでカーボンの循環を確認できます

ゲームに参加するプレイヤーは、自分たちのアクションによってカーボン・マップ上のカーボンの量や動きがダイナミック(動的)に変化する様子を確認することで、厳しい現実を理解するとともに、自分たちに何ができるのかを考える主体性を発揮できるようになります。

参考情報

こちらカードゲーム「2050カーボンニュートラル」のテストプレイを環境省近畿地方環境事務所にて実施させていただいた際の動画です。画面左上のホワイトボード上にカーボン・マップの用紙が貼りつけられています(赤色のマグネットがカーボンのストック、黄色のマグネットがカーボンのフローを表しています)。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のご紹介​

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。

ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。

こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、わたしたちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。

監修者プロフィール

株式会社プロジェクトデザイン 竹田

竹田 法信

富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。

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