太陽光発電の位置づけ(現状と目標)とメリット・デメリット、日本の事例
- 最終更新日:2024-10-02
太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーの普及を進めることは、カーボンニュートラルの達成の観点において必要不可欠なものです。
本稿では再生可能エネルギーのひとつである太陽光をテーマに、太陽光発電の位置付け(現状と目標)とメリット・デメリットを分かりやすく解説しつつ、日本国内の事例をご紹介します。
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カーボンニュートラルについての基本的な知識をインプットしたい方は下記の記事をご覧ください(カーボンニュートラルの意味や背景、企業の取り組み事例をわかりやすく解説します)。
太陽光発電とは
太陽光発電とは、太陽光(太陽の光エネルギー)を利用した発電です。
シリコン半導体等に光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽電池(太陽の光エネルギーを直接的に電力に変える装置)を用いて発電します。
太陽光発電の位置づけ(現状と目標)
再生可能エネルギーの中で、最も効果が期待されている太陽光発電。
太陽光発電の余剰電力買取制度やFIT制度(固定買取制度)、太陽光発電設備の導入補助金など、国を挙げての支援を継続的に行った結果、2022年度の導入量は926億kWhに達しています。
2030年のエネルギーの見通しを示したエネルギーミックスにおいて、2015年の策定時に設定した目標である749億kWhをすでに達成。2030年の野心的水準となる目標(1,290~1,460億kWh)を新たに掲げて、さらなる取り組みを進めています。
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電のメリット
導入が容易
太陽光発電には(他の再生可能エネルギーと比べて)立地条件による制約が少ない・発電設備の導入コストが抑えられる利点があります。一般家庭への導入も容易です。
太陽光発電のデメリット
天候の影響を受ける(発電量が安定しにくい)
自然由来の再生可能エネルギーは発電量が天候に左右されます。
太陽光発電においては日照の影響を大きく受けることになるため、太陽が昇っている昼間の時間帯の発電に限定されます。日射があれば雨や曇りの場合でも発電できますが発電量は大幅に低下します。
大規模になると土地の確保が難しい
メガソーラー(出力1,000kW以上の事業用発電設備)などで大規模な太陽光発電を行う場合、他の再生エネルギー同様に、土地の確保が大きな課題になります。
広大な敷地を保有する事業者であれば敷地内(建物の屋根や土地)にメガソーラーを設置することは可能ですが、そうでない場合は土地を開発することになります。特に、自然豊かな山林を太陽光発電用の土地として利用する場合、開発(森林の大規模伐採)による土砂災害・水害のリスクや景観の問題を地域住民から指摘されるケースが起こり得ます。
日本国内の太陽光発電の事例
三井不動産×東京電力エナジーパートナー
三井不動産は、2024年10月1日より、三井不動産が開発した太陽光発電所における再生可能エネルギー電力を東京電力エナジーパワーによる効率的かつ安定的な需給管理のもと、東京ミッドタウン(六本木)・東京ミッドタウン日比谷の共用部に供給を開始します。
“三井不動産が運営するオフィスビルや商業施設は、2030年度までに関東エリアにおいて、国内最大級となる2億kWh超(一般家庭約6.3万世帯分の年間消費電力量以上)がリアルの再エネ電力となり、年間約8.5万トン以上のCO2排出量の削減が期待できます”
東急不動産×横浜市
再生可能エネルギー事業を展開する東急不動産は、2023年2月3日、横浜市立の小中学校・高等学校・特別支援学校53校を対象としたPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)による太陽光発電設備の導入事業の実施事業者に選定されました。
“東急不動産は、太陽光発電設備および蓄電池の導入により、発電した電力を、昼間は学校で使用するほか、余剰分は蓄電池に充電し、夜間や雨天時等は蓄電池の電力を使用できるようにします。これにより、対象校合計で約1,780,000kg-CO2/年のCO2排出量削減に繋がります。さらに、学校が休みとなる休日には、市内の商業施設やホテルへ発電した電力を供給することで、再エネ電力を最大限地域内で活用し、市内の再エネ電気比率向上に貢献してまいります。
また、災害等の非常時に備え、太陽光発電設備から非常用コンセントに供給できる仕組みを構築し、非常時には蓄電池からの電力も活用することで、職員室等におけるパソコンの利用や携帯電話の充電等を可能にするほか、震災などの非常時には地域防災拠点として使われる学校において、非常電源としても活用できます”
参考:~PPAによる太陽光発電設備の導入実施事業者に選定~横浜市内学校へ再生可能エネルギーを導入 CO2排出量を約26%削減|ニュースリリース|東急不動産
関西エアポート
関西エアポートでは、2014年2月に発電容量11,600kWの「KIXメガソーラー」を設置するなど、太陽光発電の導入を推進し、脱炭素に貢献しています。
“2014年2月より、2期空港島南側の土地と貨物上屋に太陽光パネルを設置した「KIXメガソーラー」、2015年9月より、1期国際貨物地区の上屋屋根、2016年3月より、国内貨物地区の南海バス上屋屋根において太陽光発電の運用が開始されました。さらに、2020年2月には第2ターミナルビルの屋根において、初の自家消費型メガソーラーの運用を開始し、電力の地産地消を行っています。今後は自家消費型を中心とした太陽光発電のさらなる導入を進めていきます”
参考:脱炭素|関西エアポート
カーボンニュートラルの取り組みを前進させるツールのご案内
私たちプロジェクトデザインでは、お客様のカーボンニュートラルの取り組みを前進させるために、社内の他部門やサプライチェーンで関わる取引先企業などの様々なステークホルダーの方々と一緒にプレイできるカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を開発しました。
私たちが過去から現在にかけて行ってきた様々な活動が、地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲーム。それがカードゲーム「2050カーボンニュートラル」です。
一連のゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」「そのために私たちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきをステークホルダーの方々と共有することで、その後の協働をスムーズに進めるための土台(共通認識や良質な関係性)を築くことができます。
カーボンニュートラルの取り組みを進める上で、ステークホルダーとの協働を必要とする組織にお勧めのツールです。ご興味のある方は下記より詳細はご覧ください。
この記事の著者について
執筆者プロフィール
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営を経て2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部門のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
監修者プロフィール
竹田 法信(たけだ のりのぶ)
富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー・株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住。
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