日本全国の探究学習の事例紹介(SDGs編)

探究学習の事例紹介を通じて、探究学習の当事者となる方々の実践をサポートする本企画。

今回は【SDGs編】と題して、SDGs(持続可能な開発目標)に関する探究学習の取り組み事例をご紹介します。それではどうぞ!

Contents(目次)

SDGsに関する探究学習の取り組み事例

明星中学・高等学校

学校種別私立中高一貫校
所在東京都
学科普通科
生徒数中学校444名、高校1255名
学習テーマSDGs

ジェンダー問題に取り組む生徒主体のプロジェクト「制服改革」

「SDGs推進校」を宣言している明星高校では、2年生が総合授業の一環としてSDGsをテーマに環境問題や性の多様性といった課題を取り上げ、自分たちができることを話し合っています。

LGBTQ(性的少数者)をテーマに取り組む生徒チームは、多様性への配慮の取り組みを制服面からアプローチ。「みんなが通いやすい学校にしたい、良い学生生活だったと思ってもらえるようにしたい」との思いからジェンダーフリー化のための行動を起こした結果、2022年4月に女子の制服にスラックスが導入されました。

“文字にすると簡単ですが、制服のスラックス導入は学校側にとっては実はとてもエネルギーが要ること。生徒の発案から1年で導入に至ったそうですが、それは異例のスピードともいえるでしょう。真の意味での、”生徒の自主性を重んじる”、”時代の流れに合わせて柔軟に対応する”という学校の姿勢が見えてきます。

「”正解か不正解か”で考えてしまうと、どうしても答えを出すのに時間がかかって対応が遅れてしまいます。だから私は、”適正か不適正か”で考えるようにしているんです。特に新しいことに取り組む際は、ある程度準備が整ったらまずは走り出すのが大事。そして走りながら作る、考える、あるいは軌道修正するといった姿勢でいるようにしています」(福本校長)”

参考:明星中学校・高等学校2022|中高で取り組むSDGs活動で「高い人間力」を培う|首都圏模試センター

生徒発案!オリジナルマイボトルの製作

社会課題となっているプラスチックごみ。ペットボトルではなく、マイボトルを持つことを学校全体で推奨したいという高校1年生からの発案がきっかけでプロジェクトが始動しました。

生徒が校長先生にプレゼンテーションを行い、製作が決定。「my mizu(日本初の給水アプリサービス)」とコラボをし、明星学苑オリジナルボトルが完成しました。

ボトルのデザインは、生徒からの応募による校内コンテストで決めました(応募数は200を超えたといいます)。最終的に、明星学苑の幼稚園生から高校生まで、みんながマイボトルを持ち、プラスチック消費の削減に取り組んでいる姿をイメージしたデザインに決定されました。持ち運びやすさや飲みやすさ、洗いやすさもよく考えられています。

現在は、高校2年生を対象に無料給水アプリ「mymizu」を使用し、楽しみながらペットボトルの消費本数を削減する「mymizuチャレンジ」を実施しています。

“(「mymizuチャレンジ」とは)マイボトルを使用した給水行動によって削減できたペットボトルの使用本数やCO2排出量の削減を可視化することで、学校全体でカーボンニュートラルを目指す取り組みです。

生徒たちは校内でチームを構成し、一定のチャレンジ期間、ペットボトルやCO2排出削減量を競い合い、楽しみながらマイボトルの利用促進を図ります。この取り組みを通して、チャレンジ終了後も全員がマイボトルを持参する習慣を形成し、継続的なペットボトル消費本数の削減につなげる狙いです。

また、mymizuチャレンジはただチャレンジを行うだけでなく、ワークショップも並行して行います。SDGsや持続可能性への理解を深めていくことで、一人一人の行動変容の必要性を再認識し、チームの一体感を強めるきっかけにもなります”

参考:大学法人明星学苑|脱炭素社会を目指す産学連携SDGs推進事業を展開 – 明星高校2年生がアプリを使ったペットボトルの削減に挑戦 -|大学プレスセンター

聖徳学園高等学校

学校種別私立中高一貫校
所在東京都
学科普通科
生徒数645名
学習テーマSDGs

開発途上国を舞台にした探究学習

聖徳学園高等学校では、2年生の総合学習の時間に開発途上国をテーマにした問題解決型学習(PBL)を行っています。各クラスで異なる発展途上国を担当し、1年かけて、担当国の問題の発見から解決までを行います。

1学期は、発展途上国の現状や問題点を調べて話し合います。2学期には、中間報告会に向けて途上国の問題や自分たちで考案した解決策をグループでまとめます(中間報告会では大学教授やJICA職員、企業家などの識者を招き、フィードバックを受けます)。

そして、3学期には生徒自身が企画した内容を実行に移し、問題の解決を図ります。最終的には生徒の作成した制作物がNPOを通じて現地に届けられることもあり、SDGsに対し主体的に行動する力が身に付く実践授業です。

教科の垣根を超えて、専門家や企業のサポートも受けながら進めるこの取り組みは、毎年決まったシラバスに沿った授業ではなく、世界の状況によって常に変わり続ける「プロジェクト」です。世界で起きている問題を「自分ごと」として捉え、解決しようとする意識を持ち、行動を起こすという、グローバルマインドを形成することができます。

“プログラム設計当初より、課題解決のアイデアを考えるだけでなく、実際に行動に移すことに重点を置いている。授業を担当するグローバル教育部長・山名和樹先生は、同校の生徒について「発表は比較的うまくできるが、行動に移すという点は弱い」と感じていたからだ。「『言ったことはやろう』という単純なことですが、学校現場がその環境をつくることが、問題点を指摘する声ばかりで動かない現代社会の姿を変えるのではないかと思います」(山名先生)

行動を促すため、生徒には1人500円の予算を配布。生徒がやってみたいということには「ダメ」とは言わず、自由に挑戦させる。また、生徒が出した考えは、批判や否定をせず、「それ面白いね」と認める。 「生徒が一生懸命考えたこと、やろうとしていることに、教員がどれだけ言葉として返してあげるかが、もう一歩のがんばりや発想の広がりにつながると思います」(山名先生)”

参考:「STEAM教育導入で加速する、現代社会で他者のために行動する力の育成」|CareerGuidance 2021 JUL. Vol.438

浜松開誠館中学・高等学校

学校種別私立中高一貫校
所在静岡県
学科普通科(スーパー文理コース、グローバルコース、進学コース)
生徒数中学校225名、高校836名
学習テーマSDGs

「気候マーチ」の実施

浜松開誠館中学・高等学校では、探究を通したSDGsの学びの実践として、脱炭素社会や気候危機を訴えて市中心部を練り歩く「気候マーチ」を生徒主体で行っています。

この活動は、たった2人の生徒からはじまりました。

この2人の生徒は、学校の講義で千葉県にある千葉商科大学が日本初のRE100大学(使用電力を100%再エネで賄うこと)を達成したことを知り、「私たちの学校もRE100を目指したい」という声をあげました。

その後、生徒会や部活動を巻き込み、2019年に「気候マーチ」を実施。この活動は現在も継続され、400人規模の気候マーチを複数回行うほか、2000年には浜松市に若者が議論できる場「若者会議」の設置を提言し、第一回若者会議が行われました。

“2人の生徒が中心になって、生徒会や部活動を巻き込んで「気候マーチ」を実施しました。気候危機を訴えるメッセージボードを持ちながら市役所を目指し、最終的には市長に気候危機を周知するための提言書を渡しました。このような取り組みは学校としても初めてのことで、教員の中には「生徒にこんなことをやらせるのか」と疑問に思った者もいました。しかしながら、教員はできる限り手を出さずに、生徒の主体性を信じて進めさせました。

「教育」というと、教員が口を出し、手を貸して、生徒は与えられた課題に取り組むといったイメージがつきものですが、大切なのは「何かを変えたい」と思った時に、自分で考えて自分の意志を持って行動することです。そうすることで、対象に対して興味を持つこともできますし、追求してみたいという主体性にもつながります。自分で考え、自分で動く。これこそが、これからの未来を生き抜く生徒に必要な「学び」です。これからも自分の意思で挑戦する生徒を育てたいと考えています”

参考:浜松開誠館中学校・高等学校(静岡県)|株式会社リクルート

和洋九段女子中学校

学校種別私立女子中学校
所在東京都
学科普通科
生徒数約230名
学習テーマSDGs

「SDGsすごろく」の製作

和洋九段女子中学校では、教育活動の一つとしてSDGsへの取り組みを本格的に進めています。世界規模の社会貢献という目標に生徒たちが主体的に取り組むことで、国際的な諸問題が身近な自分ごととなり、世界を知る上で最適なツールになると考えているからです。

1年生ではSDGsの基本的な知識を学び、2年ではSDGsに取り組む企業やNPO法人に取材し、その成果をその成果を文化祭でプレゼンテーションします。3年生になると、シンガポールへの修学旅行の際に、海外のSDGsの取り組みを調べ、企業訪問や交流体験を通して学びます。

この学びをソーシャルアクションに繋げようと集まったグループがありました。彼女たちは、ゲームを通して多くの人にSDGsについて知ってもらうことを目的とした「SDGsすごろく」を開発し、SDGsの達成に向けた取り組みを審査するコンテストの中高生部門で優秀賞を受賞しました。

「SDGsすごろく」には、世界中の様々な問題を自分ごととして捉えてもらうための工夫が散りばめられています。勝敗や順位などはなく、最後に振り返りの時間が設けられ、「自分の国」がどうなったかを発表します。最後にはプレイヤー自身が自分を見つめ直すような仕掛けを施すなど、生徒たちの想いが詰まったゲームとなっています。

“外部でのワークショップなどに参加する中で、自らの興味関心を広げた生徒たちの一部が「SDGsをもっと世に広めたい!」という思いを抱きできあがったのが「SDGsすごろく」です。 大学や企業にも訪問して体験をしていただき、ご意見をいただきながら今に至っています。 2019年度SDGs探究AWARDでは優秀賞を受賞し、東京FMの取材なども受けました。 今でこそ認知度が上がってきていますが、SDGsの認知が広まっていない時期にこのような取り組みが行えたのは生徒の主体的な思いがあったからこそだと思います”

参考:和洋九段女子中学校 SDGsインタビュー

福岡女学院中学・高等学校

学校種別私立中高一貫校(女子校)
所在福岡県
学科普通科、音楽科
生徒数中学校247名、高校402名
学習テーマSDGs・キャリア教育

女性キャリア教育×SDGs「凛として花一輪プロジェクト」

福岡女学院中学校・高等学校では、社会課題とキャリアを結びつけた6年間にわたる探究学習カリキュラム「凛として花一輪プロジェクト」を設計しています。

生徒自らが、情熱を持って解決したい社会課題(SDGs)を認識し、チームのメンバーと共に、その解決に役立つプロジェクトの実行やソーシャルビジネスの創出体験に取り組みます。

この活動を通して、仕事と社会・SDGsの繋がりを理解し、一人ひとりが自ら考えて動くことを学び、高校3年生で最終的に自分の進みたいキャリア・進路を選択することを目指します。

“「人生100年時代」となった今、社会とのつながりをしっかり構築できるひとが必要とされます。 どんな環境にあっても、つねにビジョンを持って自ら動くことができるよう6年間のキャリアデザインに取り組んでいます”

<カリキュラム例>

カタリバ女学院
“様々な職業人との対話を通して、自らの興味・関心を見つめ、働くことと社会とのつながりについて考え、将来の自分の働き方をイメージする土台をつくります。企業や会社、NPO法人や個人事業主が社会貢献活動(CSR活動やCSV活動)をSDGsの視点でどのように展開しているのかを知り、次年度の活動へつなげていきます”

SDGs起業体験プロジェクト
“2年生までの学びをふまえて、目指す(暫定的に決めた)生き方を実現したり、社会課題を解決したりするために、将来こんな会社をつくりたい、こんなところで働きたいというビジョンを語ります。中間発表会や最終発表会では、実際に起業されている社会人にフィードバック・評価をいただきます”

参考:教育の特徴|福岡女学院中学校・高等学校

新渡戸文化学園

学校種別総合学園(こども園、小学校、中学校、高等学校、アフタースクール、短期大学)
所在東京都
学科
生徒数
学習テーマSDGs

6次産業化を通し、未来の里山を考える「檜原村プロジェクト」

新渡戸文化学園では、東京都檜原村を舞台に、学生と保護者の2世代と自然とをつなぎ、6次産業化を視野に入れた、未来の里山のあり方を考えていくプロジェクトを推進しています。

こども園から短大までの一貫教育を行う学園の教育活動として、幅広い年代の生徒とともに保護者も参加しています。参加者が体験を通じて、自然と「SDGs」に向かう行動を学び、考える貴重な教育の場とするだけでなく、大人にも気付きをもたらす活動となっています。

里山で生徒たちが体験といっても、いわゆる林間学校のような「その日だけ」の活動ではありません。2017年に本格始動してから3つの具体的なプロジェクトが立ち上がっています。

  1. 村内の耕作放棄地を開墾してオーガニックコットンを栽培。収穫、糸紡ぎから加工、染色までを手がけてTシャツなどの製品に仕上げるプロジェクト
     
  2. 檜原村の名物「ヒノジャガ」のジャガイモあんのおやきを作り、地産地消の新商品を開発・販売するプロジェクト
     
  3. 薪や炭、堆肥利用が中心だった里山に、実や枝葉をおいしく楽しむことができる樹種の植樹を進め、それらを食品加工することによる6次産業化を進めるプロジェクト

各活動においては「楽しさ・美味しさ・心地よさ」が重視され、自分たちの消費を支える自然資本の重要性や、かつての里山のあり方などの学びを掛け算させた設計がなされています。

取組の仕掛け人であり中心的な役割を担って指導しているのは、新渡戸文化中学校・高等学校の山藤旅聞(さんとうりょぶん)教諭です。SDGsを、ただの知識として理解するのではなく、持続可能な豊かな未来を築くために自ら行動できる人材を育てるための「手段」として利用しています。

“都心で暮らす生徒と保護者(2世代)と、檜原村の里山を繋ぎ、6次産業化を視野に入れながら持続可能な里山の活用を考える。この取組が目指すのは、現地での実践を通じて生徒や保護者にエシカルな物差しを構築し、消費意識の変容を促すこと。そして、SDGsをただの知識として理解するだけでなく、持続可能で豊かな未来を築くための行動を実践できる人材を育てることです。

新渡戸文化学園に赴任する以前、都立高校で教鞭をとっていた頃から、山藤さんは社会課題解決に向けた教育に取り組んでいましたが、その中で「都会の教室での授業では、気候変動などの社会課題を自分ごととして考え、行動に移すための指導には限界がある」と感じていたそうです。2015年ごろのこと、大学生になって世界旅行から戻ったかつての教え子から「社会課題のすべてがボルネオにありました」と聞き、山藤さん自身がボルネオを訪問。熱帯雨林の伐採や貧困、格差などの課題が混在していることを痛感しました。ちょうど、国連でSDGsが採択されて「これは教育にも活かせる」と感じます。

ただし、詰め込み型の「試験のために学ぶ」といった教育では、自ら気付き行動できる人材の育成にはなかなか結びつきません。SDGsは、社会課題を解決するための「手段」であって、17のゴール(目標)をテスト勉強のように覚えても意味がなく、実際に自分で社会課題解決のための行動を起こせること、そのための発想や行動力を育てることが大切であるということです。

山藤さんは「生徒たち自身が社会課題を体感して考えるための一次情報が必要で、実際に課題を体感して行動を実践するためのフィールドが必要」であると考えました。そんな中、知人からの紹介で、檜原村の村有林を管理しながら自然の中でさまざまな体験ができる場を提供している「NPO法人 フジの森」との出会いがあり、この取組の基礎となる枠組ができあがっていきました”

参考:環境大臣賞 グッドライフアワード受賞者紹介|環境省

村上市立荒川中学校

学校種別公立中学校
所在新潟県
学科普通科
生徒数220名
学習テーマSDGs

SDGs×地域貢献活動で持続可能な地域づくり「あらかわチャレンジ」

村上市荒川中学校では、学校・行政・事業者・地域住民が協働し、SDGsを軸とした持続可能な地域づくりや社会課題の解決を目指して取り組んでいます。

中学校の文化祭では「地域貢献バザー」を開催。生徒が主体となって企画した地域の特産品の開発・販売、地元地域の宣伝やPR活動に取り組み、売り上げの一部を西日本豪雨水害の義援金などに充てています。中学生でも地域貢献活動ができるという大きな自信と達成感を得ることができたようです。

この取り組みは地域に大きな反響を呼び、「あらかわチャレンジ」事業として商工会を巻き込み、地域全体に広がりました。この事業では、生徒は班に分かれ、SDGsのコンセプトを理解した上で、自分たちが住む地域の課題は何かを考えながら自分たちにできることを企画します。

生徒が企画した活動は、地産地消のスイーツの開発、お弁当の販売、SNSによるオンラインツアー、まちの魅力を発信する写真集製作、空き家の活用、つどい場の壁画アートなど、バラエティに富んでいます。

生徒の力だけでは実現不可能な企画も、地域事業者のサポートにより実現できたようです。地域の未来を真剣に考える中学生と、それを支える大人たちの協力があって、地域全体で活動が大きく盛り上がっていきました。

“地域の大人たちの協力体制について、商工会の柏櫓さんは「中学生たちが頑張っている姿を見て、事業所さんも刺激を受けた。最初はなんとなく中学生に協力してあげるスタンスの人が多かったが、2年目以降はみんなで作っていける喜びを事業所さんも感じていた。」と話す。地域の未来を真剣に考える中学生と、それを支える大人たちの協力があって、地域全体で活動が大きく盛り上がっていった。

まちづくり協議会の小田さんは、「ある生徒は、やりたいと言ったアイデアに対し、そんなのできないよとダメ出しをするのではなく、こうしたら良くなるとアドバイスを貰ったことが嬉しかったと話していた。自分を受け止めてもらえたことが嬉しかったのだと思う。」と話す。SDGsをきっかけにして、産官学の横のつながりが広がった上に、生徒が地域の大人と関わることによって、自分たちが住む地域の良さや人々の温かさを感じられているという”

この活動は新潟SDGsアワードで2020年度に大賞、2021年度に審査員特別賞を受賞し、SDGsの取り組みの先進事例として県内外から注目を集めています。

参考:にいがたNPO・地域づくり情報ネット

光ヶ丘女子高等学校

学校種別私立高校
所在愛知県
学科普通科、国際教養科
生徒数
学習テーマSDGs

教育と月経の関係に注目し「竹×SDGs」でジェンダー平等へ

光ヶ丘女子高等学校の生徒有志は、アフリカ女性の教育問題と生理用品の関係に注目し、SDGs の発想で「竹由来のサステナブルな生理用ナプキン」の開発・普及を提案しました。

アフリカ・ウガンダなどの発展途上国には、貧困のため生理用品を買うことのできない女性が多くいます。使い古した布の切れ端や植物の葉を代用する女性が多く、衣類の汚れを気にして学校に行けない生徒も少なくありません。教育を受けられなければ雇用の機会が減り、女性の社会的活躍の場も制限されてしまいます。

この現実を知り、生徒たちがリサーチと議論を重ねて考え出したのが「竹由来のサステナブルな生理用品」の提案です。これによってウガンダをはじめ世界の途上国の女の子たちが月経に関連する問題で学校に行けない状況を改善し、女子の就学率を向上させることを目的としています。

竹は天然素材であり、生育も早く、世界中の温暖な地域に自生しています。そのため現地生産が可能であり、輸送コストや排出ガスの抑制ばかりでなく、現地での産業育成や新たな雇用の創出、さらには女性活躍の機会拡大にも繋がります。

この「竹由来のサステナブルな生理用品」は、寄付や援助などの従来型の途上国支援の枠組みではなく、ジェンダー問題・貧困問題・環境問題の解決と経済成長との両立を目指す、まさにSDGsの発想をフルに活用した画期的なアイデアです。

このアイデアが高く評価され、2019年10月に国連大学の国際会議場でプレゼンテーションを行うほか、「SDGs探究AWARDS2019」では、このジェンダー・プロジェクトの活動が全国中高生のなかで最優秀賞を受賞しました。

現在は、卒業生徒たちが新たに団体(学生団体MWANGA)を立ち上げ、日本の大手生理用品メーカーや竹紙のメーカーにコンタクトを取り、実際の製品開発に向けた活動を進めています。

“昨年夏、国連女性機関などが高校生を対象に募集した「ジェンダー平等に向けたプロジェクト」への参加を考えていた当時2〜3年生の有志17人は、そんなアフリカ・ウガンダの女子高生たちの悩みを知ることになる。日本の女子高生からすると、にわかには信じがたい衝撃の事実だった。何とか手助けする方法はないのか。夏休みの間、連日議論を重ね、支援策を考えた。

まず持ち上がったのは国内で販売されている生理用ナプキンを集めて寄付するアイデア。しかし、日本の生理用品はプラスチック由来のものが多く、リサイクル技術の進んでいない現地では、環境汚染の原因になりかねないことが分かった。

現地で天然由来の材料を調達し、生産できる生理用品があれば、環境に優しく、経済にも貢献できる。そう考えた生徒たちは、現地でも手に入れやすく、繊維の原料として使える植物を絞り込んでいった。そうして行き着いたのが、アフリカにも広く自生している竹を使うアイデア。乾燥に強く、成長が早いと言う特徴も、願ったり叶ったりだった。実際、アメリカやオーストラリア、インドなどでは、竹の繊維で作った生理用品が販売されていることも調べ上げていた”

参考:2020年8月21日(金)付『読売中高生新聞』|ジェンダープロジェクト

ご案内

SDGsに関して興味の有る方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。SDGsが必要とされる背景と歴史、SDGsの原則、私たちにできることを分かりやすくご紹介します。

この記事の著者について​

執筆者プロフィール

氷見 優衣

神戸大学国際人間科学部環境共生学科の4年生(2024年時点)。高校生の時に参加したワークショップで体験型のゲームコンテンツを通した社会課題の解決や参加者全員が主体的に生き生きと議論できる「場づくり」に魅せられる中で、体験型ゲームの開発元であるプロジェクトデザインと出会う。2022年の8月より、同社の長期インターンシップに参加。大学で学んでいる知識を活かし、環境問題や社会課題、SDGsをテーマにした記事の執筆に取り組む。ジブリ映画が大好きで、趣味は絵を描くことと、カフェ巡り。

監修者プロフィール

大槻 拓美(おおつき たくみ)

長野県伊那市出身、2001年4月伊那市役所入庁。徴税業務、結婚支援業務、地方創生担業務などを担当。プライベートでは高校生や大学生が地域と関わる活動の支援や、地区の交通安全協会会長を担うなど幅広く地域活動に参加。また、5,000人以上が参画する公務員限定SNSコミュニティ「オンライン市役所」で、LIVE配信 “庁内放送” のパーソナリティを務めた。カードゲームのファシリテーターとして高校や大学、企業などの研修会にも多数登壇。こうした活動を通じてゲーム開発元の (株)プロジェクトデザインの経営理念に共感し、2022年4月に同社へ転職。カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームなどのファシリテーターを務める。

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