【実施レポート】協働の重要性を学び、考える力がつく「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームを探究学習に活用(大分県日本文理大学附属高等学校)

本稿では、「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームを学校の授業に活用した事例をご紹介します。

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームは、海洋ごみ問題について考えるゲーム型のアクティブラーニング学習教材です。

私たちプロジェクトデザインは、この「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームの体験を全国各地の学校にお届けするため、「学校向け無料出張キャンペーン」を展開しました。

初年度の2024年は20校で実施し、1,200名を超える児童・生徒が体験。好評につき2025年度も10校限定で募集し、順次実施されています(※今年度の募集は締め切りました)。

今回の実施レポートでは、本キャンペーンにご応募された大分県日本文理大学附属高等学校(以下、日本文理大学付属高校)の1年生33人に「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームを体験いただいた際の内容をお届けします。

ゲームを体験した生徒の皆さんにどのような学びが得られ、実施後にどのような変化が生まれたのか、登壇したファシリテーターや担任の先生のインタビューも交えてお伝えします。

開催の経緯

2025年5月、日本文理大学付属高校の安東先生よりお問い合わせいただき、1年生を対象に「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームを実施することとなりました。

お申込みの背景には、「海に親しむ行事が多い学校だからこそ、生徒に学ぶ機会を提供したい」という先生の思いがあり、「生徒が自ら気付き、行動するようになってほしい」と期待を抱き、実施をご相談いただきました。

「カードゲームを探究学習に活用したい」という先生のご要望から、ゲーム開催前の一次体験として、同年6月に開催される近隣地域の海岸清掃を紐づけるプログラムが組まれました。海岸清掃で得た気づきや疑問から、二次体験のカードゲームで学びを深める設計です(海岸清掃の様子はこちら)。

瀬会海水浴場での海岸清掃の様子

ゲーム体験の様子

2025年7月、日本文理大学付属高校の1年生36名がカードゲームを体験しました。

当日のファシリテーターは、「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームの公認ファシリテーターである、株式会社シンク・オブ・アザーズ 代表取締役の難波さんが務められました。

ゲームは全部で4ターン。生徒は「漁師」や「農家」など12の役割に分かれて取り組みます。職業に応じて配られる「仕事」カードと市民として取り組む「生活」カードから、1ターンにつきそれぞれ1枚を選び、ファシリテーターに提出します。

選んだ行動の結果は、「市民意識」「便利さ」「技術」「ごみ・汚れ」の4つのメーターで示されます。「ごみ・汚れ」のメーターは15からと、ごみが多い状態からスタートし、0にすることを目指します。

チームで相談しながらゲームをプレイする様子

ゲームは、1ターン目からごみ・汚れが24に増えてしまい、思うように進まない展開となりました。良かれと思って選んだアクションが逆にごみ・汚れを増やしてしまったことに驚く様子も見られます。

2ターン目以降、チームを横断した活発な情報交換が行われたものの、悩んだ末に選んだカードで期待した成果が得られず、葛藤する姿がうかがえました。

4ターンを終え、最終的にごみ・汚れは42まで増え、かなり多い結果となりました。

それでも、このように「思うようにいかない」現実を模倣した体験は多くの「気づき」を与えます。

生徒の皆さんはこの結果を前向きに捉え、「市民の意識や協力がなければ、ごみは減らせないと気づいた」「まず自分が変わることから始めたい」など、自分ごととしての気づきを深めた感想を述べていました。

また、「海岸清掃をして、海洋ごみ問題は深刻なものだと思った」「自分も海洋ごみ問題の解決に関わっていることが分かった」「カードゲーム体験を通して、自分ごとに捉えて考えることができて良かった」など、海岸清掃での体験を紐づけた感想も見られました。

ゲーム結果は「ごみ・汚れ」が42となった

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームは、体験を通して海洋ごみ問題への理解を深めるだけでなく、「自分たちの行動が未来をつくる」のだと実感することができます。

授業の最後には、ファシリテーターからふり返りの時間が設けられました。

難波さんは「社会の構造や多様な立場にも目を向け、得た学びを将来の選択に活かしてほしい」とキャリア教育の視点も交えて話され、生徒の皆さんは真剣に耳を傾けていました。

ファシリテーターの話に真剣に耳を傾ける生徒の皆さん

現実を変える難しさをゲームで疑似体験する中で、生徒の皆さんは社会課題を自分ごと化し、立場の異なる人と協働して問題解決を図っていく重要性を学びました。

参加した生徒の感想

“ごみ問題を解決するには、自分や周りの人の意識も必要だと分かりました。自分一人だけでは効果が出ないので、周りの人と協力をしないといけないと思いました”

“良かれと思ってやったことが、ごみを増やしたり市民意識を減らしたりと、思いもよらないことが起こりました。現実もこのようになるんだと思いました”

“高度な技術になっても、市民意識を変えなければごみは減らないということが分かりました。今から自分の意識を変えて、できる対策をしていきたいです”

“大分県佐伯市の豊かな川・海・山などの自然を守り後世に残していくために、海のごみや汚れを少しでも減らし、自分ができることをしていきたいです”

“ごみをきれいにしていくには地域全体の意識が必要になり、便利な生活がないと市民の意識が低いことが分かりました。自分で考える力もついたので、とてもいい勉強になりました”

先生のコメント

日本文理大学附属高等学校は「佐伯の殿様、浦で持つ」と言われる、美しく豊かな海に面した大分県佐伯市にある高校です。

本校では毎年、佐伯市瀬会海岸で海に親しむ学校行事「汐風祭」を行っています。事前活動として海岸清掃活動にも毎年取り組んでいます。

これまで海洋ごみ問題学習活動として「出前授業」や「プラごみアートワークショップ」などを行ってきました。

今回、このカードゲーム学習を通じて、清掃活動やごみ問題を学ぶだけでなく、新たな視点で海洋ごみ問題を考える機会になったのではないかと思います。今後もこのような学習機会を設けていきたいと考えています。

大分県日本文理大学附属高等学校 1年5組担任 安東先生

当日のファシリテーターより

私はこれまで、探究学習の現場では「自分は何に違和感を覚え、何を大切にして生きていきたいのか」という問いに向き合うことを大切にしてきました。

その問いに向き合う経験こそが、将来の選択や生き方につながるキャリア教育の土台になると考えているからです。だからこそ、探究学習とキャリア教育が結びつく学びを、短時間で体感できることも、この授業の大きな特徴だと感じています。

今回のカードゲームでは、それぞれが大事にしたいことの違いから意見が分かれ、悔しさや納得のいかなさを感じる場面が多くありました。

結果として、ごみは大きく増え、決して望ましい成果とは言えませんでしたが、生徒の皆さんの感想からは、「良かれと思った行動が逆効果だった」「話し合いが足りなかった」「役割を越えた対話が必要だった」といった多くの気づきが生まれていました。

思い通りにいかなかった経験の中で、自分の考えを伝え、相手の考えに耳を傾け、折り合いを探っていく。そうした合意形成のプロセスを体験できたこと自体が、不確実な社会を生きていくための大切な学びだと感じています。

授業後、安心した表情で生徒の皆さんが声をかけてくれたことがありました。その何気ないやりとりに、この時間が確かに届いていたことを感じ、ファシリテーターとして何よりの喜びでした。

海や山、暮らしが身近にある佐伯市という故郷での体験として、この経験が、故郷を大切に思う気持ちとともに、今後の進路や生き方を考える土台となることを願っています。

株式会社シンク・オブ・アザーズ
難波 裕扶子

※難波さんが代表を務める株式会社シンク・オブ・アザーズのHPでも、体験の様子をご紹介いただきました。

参考:ごみ課題を考えるワークショップ in 佐伯|活動報告 ーREPORTー|株式会社シンク・オブ・アザーズ-THINK of OTHERs

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームとは

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームは、海のごみや汚れを減らす行動のシミュレーションを通して海洋ごみ問題について考えるきっかけとしてもらえるように「CHANG FOR THE BLUE in富山実行委員会」とプロジェクトデザインが協業で開発したゲームです。

ゲームでは、参加者全員が12の役割に分かれ、海洋ごみを減らすためのプロジェクトを実行していきます。

自らが選択した行動によって地域の状況を示すパラメーターが変化することで、「その行動が海の環境にどう影響するのか」「海の環境を良くするための行動はどれか」などを考えます。それにより、日常生活に “海洋ごみ問題を減らす行動” を取り入れるきっかけを生み出します。

また本ゲームは、取るべき行動を自分たちで考え、実行に移していきます。これにより「主体性を持って学習する力」が身に付くだけではなく、仲間と協力して問題を解決する「社会能力」や「課題を発見し、解決する力」も身につくため、小学校高学年から高校生向けのアクティブラーニングに最適です。

「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲーム

ご案内

“総合学習の時間に、SDGsをテーマにした授業を実施しようと考えているものの、どのように授業を設計したら良いか分からない”

“過去にSDGs学習を実施したものの、SDGsはテーマが壮大過ぎて、どこか他人事のように考える生徒が多かった。生徒自身が、自分の身近な問題としてSDGsを捉えることができて、主体的に学びを進められるような学習法が見つからずに困っている”

これらの悩みを解決する一つの手段として、「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームをお勧めします。ご興味を持っていただけたのであれば何より嬉しく思いますし、話を聞いてみたいと思われる場合は、ご遠慮なくお問い合わせください。

なお、私たちが手がけている「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームには、小中学校や高校の「探究」や「アクティブラーニング」の授業の「問い作り」へのふり返り方法、ゲームとフィールドワークをセットにしたワークショップなど、多様な活用方法があります。

探究学習の授業で、より効果的な学びや取り組みを探している先生は、全国の公認ファシリテーターが学校を訪問してゲームを実施する「公認ファシリテーター派遣プロジェクト」の活用もご検討ください。

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