【研修事例】「The Action!~SDGsカードゲーム~」の社内講師を養成し研修を内製化(村田製作所)
企業名 :株式会社村田製作所
業種 :製造業
企業規模:従業員数10,089名/グループ73,164名(2023年3月31日現在)
- 自社の社会課題への取り組みをさらに加速させるべく、一人でも多くの従業員が、取り組みに理解・共感し、「自分ごと」として捉えられるようになること。
- ゲーム型研修を受講することで、事前知識の差に関わらず全従業員がSDGsの本質を楽しく理解し、主体的に取り組もうとするマインドを醸成する。
- 社内で公認ファシリテーターを育成し、時間や場所に縛られず多くの従業員にSDGs研修を提供する。
- 従業員一人ひとりがSDGsを軸に自らに求められる役割を理解し、自己を起点として向き合う姿勢が生まれた。
- 多くの従業員に、より早く社会課題への取り組みに関する理解・共感を進めることが可能となった。
- 「ゲームを通じて組織風土の改革にも繋がるという発見があった」という声をいただいた。
本稿では、「The Action!~SDGsカードゲーム~」を活用した研修・ワークショップ事例をご紹介します。
株式会社村田製作所様(以下、村田製作所)では、全国にある複数拠点で研修内製化を進めるため、2023年3月より「The Action!~SDGsカードゲーム~」の公認ファシリテーターを養成しています(2023年9月現在、14名)。
【課題】
村田製作所は、2022年に「Vision2030 ありたい姿(長期構想)」を策定しました。
「Vision2030 ありたい姿(長期構想)」は、社会の潮流が大きく変動する中で、持続的な企業価値の向上を図るための方向性などを示したものです。 サステナブルな未来の実現に向け、村田製作所の経営陣が大きく舵を切った転換点となりました。
真の Innovator in Electronicsとして主体的に価値創造していくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考え、取り組みを推進しています。
そのような中で、下記のような課題がありました。
【課題①】自社の社会課題に関する取り組みについて、一人でも多くの従業員が「自分ごと」として捉えられるようになること
村田製作所では「Vision2030 ありたい姿(長期構想)」の実現に向けて、まず国内の全従業員を対象に、自社のSDGs等の社会課題に関する理解・共感度のアンケートを2022年10~12月に実施しました。
●SDGs等の社会課題に関する村田製作所の取り組みについて知っていますか?
→「知っている」17%、「何となく知っている」61%
●自身の業務において、SDGs等の社会課題を意識した行動をしていますか?
→「必要性は感じているが、まだ少し他人ごとである」53%、「必要性を感じていない」4%、「興味がない」6%
アンケートからは、自社の社会課題への取り組みを知っている従業員が78%に上る一方で、半数以上の人は行動できておらず、「他人ごと」であると感じていることが浮き彫りになりました。
なぜ「他人ごと」と感じるのか?
その要因の一つとして見えてきたことは、多くの従業員が「社会課題への取り組みは、仕事とは関係がない慈善活動である」と考えていることです。
これまで企業は社会貢献活動として、寄付やボランティアなど本業とは別に、自分自身の空いた時間やお金で貢献してきました。
しかし、いま企業に求められているのは、事業(本業)として社会課題を解決していくことです。
- そもそもなぜ、自社(企業)が社会課題に取り組む必要があるのか
- また、自身の業務や関わる製品は、社会課題とどのような繋がりがあるのか
これらを従業員一人ひとりが理解した上で、トップダウンではなく自分ごととして主体的に取り組める方法を模索していました。
【課題②】主体性を尊重しながらスピード感を持った浸透
2030年まであと数年、時代は目まぐるしい変化の中で進んでいます。
サステナビリティ推進部では、スピード感を大切にしながらも、表面的な取り組みではなく、より理解・共感に繋がるようなツールを探していました。
解決策
【解決策①】ゲーム型研修を受講することで、事前知識の差に関わらず全従業員がSDGsの本質を楽しく理解し、主体的に取り組もうとするマインドを醸成
村田製作所では、座学研修ではなく、体験型研修の一つとしてゲーム型研修に着目しました。ゲーム型研修であれば、SDGsに関する事前の知識やインプットがなくても一人ひとりがSDGsの本質や企業が取り組むべき理由を楽しく理解できるからです。
当初、村田製作所では別のSDGsゲーム型研修を実施していましたが、評判が良く、「さらにスピード感を持って広く全社的に展開する」ことを目的として、複数のSDGsゲーム型研修を比較検討していました。
そこで選ばれたのが、「The Action!~SDGsカードゲーム~」です。
- カードゲーム体験を通して自ら気づきを得るため、座学や動画での研修よりも理解が深まる
- カードに記載されている社会課題の事例が、より身近でイメージしやすい
- ファシリテーター養成講座を受講すれば研修を内製化できるため、外部の研修講師へ依頼するよりスピーディーかつ継続的・全社的に研修を実施できる
これら「The Action!~SDGsカードゲーム~」の利点を感じられたことで、導入に踏み切りました。
そして、実際の研修は、カードゲームによるSDGsの本質理解に留まらず、自身の業務において出来ること、やりたいことを具体的に考える設計としています。それによって、社員一人ひとりがSDGsを軸に自らに求められる役割を理解し、自己を起点として向き合う姿勢が生まれました。
【解決策②】社内で公認ファシリテーターを育成し、時間や場所に縛られず多くの従業員にSDGs研修を提供
「The Action!~SDGsカードゲーム~」は、「公認ファシリテーター養成講座」を受講してライセンスを取得することで、自由にカードゲーム型研修を開催することができます。
村田製作所では、本社のサステナビリティ推進部や全国にある事業所から合計14名(2023年9月現在)が、自ら手を挙げライセンスを取得しました。
これにより、多くの従業員に、より早く社会課題への取り組みに関する理解・共感を進めることが可能となりました。
現在、本社や各拠点のファシリテーターに社内からSDGs研修の依頼が複数あり、研修を実施しています。また、想定していた以上の効果として「ゲームを通じて組織風土の改革にも繋がるという発見があった」という声も上がりました。
受講者の声
- 「とてもためになる研修だった。私たちが世の中に与える影響がSDGs視点で良いものに変えられるよう、小さな行動から変えていきたいと思う」
- 「腹落ち感をもって取り組めるようになった」
- 「SDGsだけでなく、意識・目的共有の必要性について気づかされた」
- 「カードゲームを通じて自身や組織の思考傾向への気づきを得ることもできた」
- 「何かをしたいと思った時に声を上げてみるのが大切だと学んだ。まず、やりたいことを周囲に知らせることから始めたい」
- 「どちらかの意見を正として優先するのではなく、お互いに尊重し合って妥協点や最適解を見つけるべく協議することが大事なのだと思った」
養成講座実施内容
養成講座プログラム
- 「The Action!~SDGsカードゲーム~」制作背景
・チェックイン(自己紹介)
・ビジネスゲームの特徴
・わたしの関心のある社会課題(事前課題・グループ共有) - ゲーム運営の中身を学ぶ
・ゲームの仕組みについて
・ルール説明、当日の運営方法・練習
・振り返りのコツ
- 村田製作所内での養成講座受講者
14名 - 養成講座実施日
2023年3月17日、5月19日、6月26日
養成講座の様子
今回村田製作所から養成講座に参加されたのは、合計14名の社員の方々です。同じく養成講座の受講を希望された他企業の方々と一緒に、それぞれの仕事の予定に合わせて3日程に分かれて受講されました(公認ファシリテーターのライセンスは丸一日の養成講座受講で取得いただけます)。
「The Action!~SDGsカードゲーム~」は、仕事をする上で大切なことに気づき、行動するきっかけを提供してくれるツールとして、サスティナビリティ推進部が他部署とも連携し、活用されています。
今後もさらに養成講座の受講者を募り、本ツールを使った社会課題への取り組みに関する理解・共感を進めていく予定です。
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