カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」で採用した、環境に配慮した紙と県産木材を使用した木製マグネットの話(山梨日日新聞社)

企業名 :山梨日日新聞社
業界業種:情報通信業
事業内容:山梨日日新聞の発行創刊、電子版紙面や山梨を中心とした国内外ニュースの配信、展覧会やスポーツ大会の開催等
従業員数: 約170名(2024年2月時点)

課題
  • 木資源に関する誤解や森林の誤った活用、森に関して無関心な市民の増加など、森に関する問題を解決したい。
  • 山梨発の事業として、持続可能な森林の活用に貢献したい。
解決策
  • 「適切に管理された森林」から採取された木資源で作られた紙と、県内産木材を使用した木製マグネットを導入。
効果
  • 森林資源活用の意義/意味がゲーム体験者へ浸透し、市民の森への関心を高めた。
  • 林業への経済貢献を生み出し、地域経済の循環を促進した。
  • 製造作業を就労継続支援B型事業所に委託し、障がい者雇用に繋げた。

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は、山梨日日新聞社と株式会社プロジェクトデザインが共同で制作した、森林の持続可能性をテーマにしたカードゲームです。

このカードゲームを通して、荒廃が進む森の現状に関する正しい知識を得て、森の問題を解決したい。

そのような想いから、ゲームキットの印刷・製作においても森林資源の活用に貢献するため、環境に配慮した素材を選択しました。

本稿では、素材選択の背景や意義などについてご紹介します。

<お話を伺った方>

山梨日日新聞社 メディア企画局メディアビジネス部 部長 秋山 高男様

秋山 高男様

<企業プロフィール>

“明治5(1872)年7月1日に創刊した、最も歴史のある地方紙です。編集方針に報道を通して山梨の発展に寄与することを掲げ、県内のニュース、話題をきめ細かく取材し、国内外のニュースとともに掲載しています。県民の閲読率は高く、幅広い世代に読まれています”

参考:会社案内|山梨日日新聞インフォメーションサイト

なぜ環境に配慮した紙と木製マグネットを導入しようと思ったか

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」では、2023年3月のリリース当初から「適切に管理されている」と認証された森林の木材を原材料とし、加工・流通に至るまで厳格に審査を受けた紙をカードに、山梨県産のヒノキを木製マグネットに採用しています。

従来、プロジェクトデザインではカードゲームのキットに一般紙とプラスチックマグネットを使用していましたが、カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」ではゲームのコンセプトに合う環境配慮紙と木製マグネットを初めて使用しました。

通常品と比較するとコストは上がるものの、木材活用の意味や意義がゲーム体験者にも理解され、メッセージがダイレクトに伝わります。そしてカードゲームの広まりとともに、林業への経済貢献にも繋がります。これは、山梨日日新聞社との共同事業だからこそ実現できたことです。

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」のカード
ヒノキを素材とした木製マグネット

この素材選定の背景を、山梨日日新聞社 秋山さんは次のように語ります。

“カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は森林と持続可能性をテーマにしているため、どういった木材を使用するかも考えないといけないと思いました。

山梨県は県土に占める森林面積が78%で全国5位。その中でも「適切に管理された森林」が占める面積は全国1位を誇ります。全国1位が取れるということは、森がしっかり管理され活用されているということ。

つまり、そこで作られた製品を選ぶこと自体が、持続可能な森林の活用に貢献していると言えるのです。

「moritomirai」は山梨発のプロジェクトということもあり、適切に管理されている森林から採れた木資源を活用した紙とマグネットを採用しようと考えました”

山梨日日新聞社 秋山 高男さん

近年のSDGsに対する意識の高まりを受け、自然保護活動として森を管理するなど森林保全活動にコミットする企業が増えています。

その一方で、適切に管理された森林面積が全国1位の山梨県でも、林業従事者以外の地域住民の森林に対する意識は決して高くありません。

では、なぜ私たち日本人は、森林への意識がそれほど高くないのでしょうか。

話は昭和初期にまで遡ります。

戦後、外国産材が台頭したことにより、国産木材の需要が低迷します。また人口は都市部へ流出し続け、山村は過疎化。さらに、林業を営む人材も高齢化が進みます。

このように様々な要因が絡み合った結果、人々の関心は森から離れ、林業従事者も減り、「人の手が入らず荒れ果てた森林」が日本全国にできあがってしまったのです。

日本の森を取り巻く現状の図

荒廃した森林を放置することは、土砂災害を始めとする自然災害を引き起こすリスクを高めます。自然災害が全国各地で多発する昨今、対策は急務です。

しかし、具体的にどうしたら良いのでしょうか。

こう問われたとき「森を守るために、木は使わないほうがいい」と答える人が多いかもしれません。ですが、日本においては「森を守るためには、木を使うべき」、つまり適切に木を伐り資源として使用することが必要なのです。

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」の開発目的は、このような日本の森林が抱える問題・課題に関心を持ち、解決のための入り口・きっかけにすること。

「森と暮らす未来を考える」手段としてゲームを用い、ゲーム体験によって得られた “気づき” を、持続可能な森作りに繋げることを目指しています。

参考:カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」とは

そしてまさに、このゲームキットに地元・山梨県産材を使用することが森林資源の有効活用となり、森林の抱える問題の解決に貢献します。

地域の活性化・経済循環を生み出す障がい者雇用

ゲームキット製作のほとんどは、山日YBSグループ(山梨日日新聞社、山梨放送を中核とする総合情報メディアグループ)の一社、株式会社サンニチ印刷が担っています。

そして、その作業の一部は山梨県内の障がい者施設へ依頼しています。

作業内容は、木製マグネットの最終工程である「マグネットの取り付け(木材とマグネットの接着)」。こちらを就労継続支援B型事業所「ジョブスペースかけはし」を運営するNPO法人ジョブクリエーターに委託することで、障がい者雇用に繋げています。

ジョブスペースかけはしの利用者さんには、作業を依頼する際に作業の目的・社会的意味も伝えられています。「自分たちの仕事が持続可能な森林活用を推進する」と知った上で作業することにより、作業者のモチベーションも保たれているそうです。

ジョブスペースかけはしで加工作業に取り組む利用者(月刊moritomirai 02より)

公認ファシリテーターやカードゲーム体験者からの声

実際に活用いただいている公認ファシリテーターや、体験した子ども達からも嬉しい声をいただいています。

“木のマグネットがかわいい”

“ヒノキのいい香りがして、実際に森にいるかのような気持ちになれる”

“一般的なマグネットと比較すると軽量だし、持ち運びしやすい”

“参加者からも「木製なんだ!」と興味関心が得られ、使用後の評判も良く、ゲームの開発背景と共に語ることができる”

ゲームに木製マグネットが使用される様子

プロジェクトデザイン代表 福井からのコメント

プロジェクトデザインには、アロマセレクトという、日本の国産材や間伐材からエッセンシャルオイルを抽出し、様々な商品を創り出す事業部があります。

日本の森への関心が年を経るごとに薄れていく状況を憂い、私たちなりのやり方で日本の森に貢献する方法を模索した結果、生まれた事業です。

アロマセレクトの店舗に並ぶ商品

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」の話を山梨日日新聞社さんからいただいたとき、心から嬉しく、「ぜひとも開発に携わりたい」と胸が高鳴ったことを覚えています。

山梨日日新聞社さんと話をしていく中で、森についての関心を高め、豊かな森を次世代に残すために、自分たちにできることを考えた結果、ゲームに使う様々なツールも、国産の木材を原料として作りたい、と強く感じるようになりました。

しかし、国産の原料に絞ってゲームのツールを作ってくださるところは、簡単には見つかりません。これまで付き合いのあった様々な業者にあたってみましたが、なかなか快い返事がいただけませんでした。これほどまでに国産の木材を原料として使うことが難しいのか、と驚きました。

そんな時、山梨日日新聞社さんからサンニチ印刷さんを紹介されました。ゲームのツールを作ったことなど当然ないわけですが、さすが森が豊かな山梨にある会社。国産木材の原料を調達するところから、障がい者福祉施設を巻き込んで持続可能な生産体制を築くところまで、一気通貫でご対応いただきました。

本当に感謝していますし、このような会社が増え、そして発展していくと良いと感じました。

このカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」のために作成したマグネットは、原料および生産体制の点でSDGsに配慮した作り方をされ、品質も良く、「木っていいな」と思ってもらえる仕上がりになっています。

今では他のゲームにもこちらのマグネットを採用することが決まり、SDGsを意識した原料調達や生産体制を築くことは、多くの方々の共感を得て、取引が自然と広がるものになるのだな、と改めて感じました。

株式会社プロジェクトデザイン
代表取締役 福井 信英

次回記事のご案内「カードキット製作に携わったサンニチ印刷の木材事業参入の経緯」

ここまで、カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」のゲームキットに採用された素材に焦点を当てました。

前述しておりますように、今回ゲームキットである木製マグネットの製作を請け負っていただいたのは、印刷をメイン事業とする株式会社サンニチ印刷です。

では、雑誌や書籍の出版印刷をはじめ、カタログやパンフレットに至るまで幅広い印刷製品を専門分野とする株式会社サンニチ印刷が、なぜ木材事業へ参入することになったのでしょうか。

株式会社サンニチ印刷の木材事業参入の経緯や、そこから生まれた効果と木材事業の発展については、具体的に次の記事でご紹介いたします。是非ご覧ください。

また、カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」の制作背景を追った山梨日日新聞社ご担当者様へのインタビュー記事はこちら。

参考:なぜ新聞社がカードゲームを制作したのか。カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」のゲーム制作に至るまで(山梨日日新聞社)|株式会社プロジェクトデザイン

ご案内

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は、ニーズに応じて様々なシーンで活用することができます。​

森の現状に関しての正確な知識や理解がないために起きている様々な問題(木資源に関する誤解、森林の誤った活用、森に関して無関心な市民の増加)を解決する助けとなるツールです。

体験会も実施しておりますので、ご興味のある方はぜひ一度体験会にお越し下さい。

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