【事例インタビュー】サステナビリティに関して「社員に理解されている」状態から「社員が “自分事化” している」状態へのステップアップを支援(株式会社アミューズ)

企業名 :株式会社アミューズ
業種  :総合エンターテインメント
企業規模:300名~500名

課題
  • 社員ひとり一人のサステナビリティの意識を高める手段を検討する中で、参加者が主体的に考え、心が動く体験ができるコンテンツを探していた。
解決策
  • カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」の実施を通じて、サステナビリティに関する自分事化を進める。 
効果
  • ゲーム体験後のアンケート評価で高い評価(9割以上が満足と回答)
     
  • サステナビリティに関する自分事化が進むと同時に、社内コミュニケーションが促進されていると評価できる。

本稿では、カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」を活用した研修事例をご紹介します。2023年3月21日に株式会社アミューズの社員の方々に向けて実施した内容です。

株式会社アミューズは、2021年度新しい拠点となる新本社「アミューズ ヴィレッジ」を山梨に創設。アミューズ ヴィレッジは同社の事業拠点であると同時に、コミュニケーションの拠点、サステナビリティの拠点と位置づけられています。

同社では、サステナビリティの取り組みを推進するためにサステナビリティ委員会を立ち上げるとともに、社員のサステナビリティ意識を高める目的で「S-Labo」というイベントを継続的に実施しています。

このイベントの一環で実施されたカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」がどのような経緯で導入されたのか、そして、どんな効果が得られたのかについてお話を伺いました。

<お話を伺った方>

経営企画部 IR・サステナビリティ室 原 若菜様
アミューズヴィレッジ 事業開発室 渡邉 広太様

原 若菜様
渡邉 広太様

<企業プロフィール>

1978年に設立した東証プライム市場上場の大手芸能事務所。ミュージシャン、俳優、声優、文化人、タレント、スポーツ選手などの幅広いジャンルの所属者のマネジメントを行っている他、テレビ番組・映画・舞台作品の製作等へも多面的に展開。

2021年7月に本社を山梨県・西湖に移転し、「心身の健康」をキーワードとした新しい “モノづくり” をスタート。

既存事業をこれまで以上に深く検証し、より良いものにしていく「深化」、そして新たな技術やサービスを駆使しながら、新しいエンターテインメントを追求し開拓していく「進化」の両輪で、時代の変化と向かい合い、新たな挑戦を続けている。

サステナビリティに関して参加者が主体的に考える体験、参加者の心が動く体験をできるコンテンツを探していた。

――貴社のサステナビリティへの取り組みについて教えてください。

原様:株式会社アミューズはファンの皆様に支えられている会社であり、目の前のお客様を幸せにすることを使命としています。そのため、以前から、東日本大震災などの災害に対する募金活動や、エイズ啓発活動「Act Against AIDS」など社会課題に対しての取り組みを感度高く行っていました。

SDGsの採択やコロナ禍を経て、ますますサステナビリティの重要性が高まる中、当社は2021年7月に「アミューズ ヴィレッジ」という施設を山梨県・西湖に設立し、そこへ本社を移転しました。

アミューズ ヴィレッジは新たなクリエイティブを生み出すモノづくりの拠点であると同時に、コミュニケーションの拠点、サステナビリティの拠点としても位置づけています。まずは私たち自らが自然環境や地域社会、自分たちの心と体の健康に対する感度を高く持つこと。そしてサステナビリティ視点によって生み出される新しいサービスや事業を通じて、多くの人々や社会に貢献することを目指しています。

アミューズ ヴィレッジ

――素晴らしいですね。本社移転をきっかけに、サステナビリティに対する社員の意識はどのように変わったのでしょうか?

原様:そうですね、社員は、サステナビリティの取り組みが大切なことであると理解してくれていると思います。

ですが、社員に「理解されていること」と「自分事化していること」、さらにはそこから「行動に移せていること」は別の話です。

会社としてサステナビリティの取り組みを推進していく中では、関連する事業部を巻き込み、理解を得なければならない場面が多くありますが、スムーズにいかないことも少なくありません。

通常業務に忙しく、近視眼的になりがちな事業部との協力体制を作っていく上では、一人ひとりの社員のサステナビリティに対する意識をより高めていくことが必要だと感じています。

――社員の間にサステナビリティの考えは理解されているが、自分事化されてないと感じられている訳ですね。一人ひとりの社員の意識を高める上で、社内ではどのような取り組みをされていましたか?

原様:はい。サステナビリティに関する座学研修なども行いましたが、講義を聞くだけでは腹落ちしない・自分事化しづらい部分があるのではないかと強く感じるようになりました。そこで、参加者の心が動き、ハッとするような気づきを得られるアクティビティを取り入れようと考え、「S-Labo」というイベントを企画しました。

――なるほどです。様々なアクティビティを取り入れる中で、カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」を見つけられたのですね。

原様:その通りです。

「S-Labo」では、様々な方をお招きしてのセミナーや勉強会に加え、畑での無農薬野菜の収穫・BBQ体験や、富士の樹海ツアーといったアクティビティを企画・実施してきました。

自然から気づくことは少なくないですし、参加者の満足度も高く、参加者同士の親睦が深まるという効果もありました。一方で、サステナビリティを自分事化していく上では、参加者がより主体的に考える体験をできるようにしたいとの想いがありました。

このような想いを抱える中でカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」に出会い、そして、主体的に考える体験や感情が揺れ動く体験ができる、このゲームを「S-Labo」のイベントコンテンツとして導入したいと考えるようになりました。

――カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」に魅力を感じたポイントは他にもありますか?

渡邉様:2つあります。1つ目は、森への関心を持つきっかけになることです。

山梨県には多くの森がありますが、森への関心を持つ機会があまりありません。だからこそ、「S-Labo」のアクティビティとして、山梨県の魅力を感じることはもちろん、害獣被害や森林管理の問題なども感じ、森への関心を持つきっかけになるようなアクティビティができないかを考えていました。

そういった観点で、豊かな「森の未来」を取り戻す挑戦をするというテーマのもとに取り組むカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は非常に魅力的なコンテンツだと思います。

2つ目は、参加者同士のコミュニケーションによって問題解決に取り組む要素があることです。

当社では「アミューズ ヴィレッジ」という場所を新しいモノづくりの場所にしたいと思っています。「アミューズ ヴィレッジ」という場で起きるコミュニケーションから生まれるアイデアや気づきを増やしていきたい。そういった考えがある中で、現実はコロナ禍の影響を大きく受けていました。

オンラインでのビジネスライク(事務的)な報連相が増える一方で、相対的に、会話ベースのコミュニケーションが減っている状況を問題視している中で、社内に不足するコミュニケーションを補うことができるカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」に大きな魅力を感じました。

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」を通じて、サステナビリティに関する自分事化が進むと同時に、社内コミュニケーションを促進

<研修の満足度>

  • 大変満足:64%(9名)
  • やや満足:36%(5名)
  • 普通:0%
  • やや不満:0%
  • 大変不満:0%

担当者コメント

原様:期待以上に効果を感じました。

今回は頭を動かし、能動的に考え行動しなければゲームが進まなかったので、自分事化が進んだのではないかと思います。また、ゲーム中は通常業務ではあまり接することのない社員同士がコミュニケーション・連携をしていた点が印象的でした。ゲームで失敗することもありましたが、仲間と協力して課題解決を目指す経験は、実際の業務にも活かせると感じました。

カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は森林をテーマにしたゲームではありますが、森林の課題だけでなく、ビジネスの本質を学べた点も良かったと思います。

複雑な課題を解決するためには、目先のことだけではなく、遠回りをしてでも土壌作りが大切だということは、ビジネスにおいても本質的であると思います。また、まさに今、取り組んでいるサステナビリティも、この文脈に置くことで必要性がより伝わったのではないかと感じます(森林のことだけを学ぶものであれば、社員の満足度もここまで高くなかったと思います)。

楽しみながら積極的にゲームに取り組む社員を見て、会社の想いを浸透させていくには、理屈だけではなく心を動かすことが大切だと改めて感じました。弊社は、人の心を動かすことが生業ですので、社内のサステナビリティ促進にあたっても「心の揺さぶり」を通じて良い変化を生み出すような企画を考えていきたいと思います。

渡邉様:受講者の皆さんが楽しみながら学んでいる様子が分かりました。

普段コミュニケーションを取っていない社員同士も連携して、一丸となって取り組めたのが良かったと思います。山梨の新本社は、コミュニケーションから生まれる新しいアイデアとアクションが生まれる場所にしたいと考えていますので、それを円滑に進めるきっかけになったのではないかと思います。

また、この体験から派生し、地元の方とコミュニケーションを取る中で課題をリサーチし、地域と連動した活動に繋げていきたいと考えています。

例えば、間伐材を使用した取り組みをされている方と協力して事業に繋げていくなどの活動ができればと思っております。

研修内容

  • 組織の属性
    総合エンターテインメント(従業員数300名~500名)
     
  • 研修の目的
    ①カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」の体験を通じて、森から学べること、自然から学べることを理解する
    ②山梨本社の意味・意義を自分なりに腹落ちして語れるようになる 
     
  • 研修受講者
    15名(経営企画部、人事部、情報システム部など様々な部署・役職・拠点の社員が参加)
     
  • 研修実施日
    2023年3月21日

研修プログラム

  1. 導入(20分)
    ・研修の目的共有
    ・チェックイン
    ・講義(森について)
      
  2. ゲーム体験(75分)
    ・ルール説明
    ・ゲーム実施 
     
  3. ワーク(75分)
    ・対話(ゲーム体験を振り返る)
    ・対話(ゲーム内での森への関心度合いによる影響を振り返る)
    ・講義(日本の森の現状の説明)
    ・講義(森や自然から学べること。アミューズの方針・取り組みとのつながりの説明)
    ・対話(学びの共有、今後のアクションの言語化)

研修の様子

経営企画部、人事部、情報システム部など様々な部署・役職・拠点の方ら15名が参加
ゲーム中に、テーブル内で情報共有や相談をしている様子
 ゲームの最終結果が発表され、歓喜する様子

研修受講者の声

“アミューズ ヴィレッジは、今回のゲームに沿った活動をしていると思うので、社員をここに連れて来ることが大事だと感じた”

“本などで学ぶより、自然と理解できるのが良かったです”

“アミューズ ヴィレッジという拠点はもちろん、山梨の自然景観の事も考え、自分の立場から出来る事を考えていきたいです。まずは、消費者として国産材を活用した製品を購入することから始めます”

“目の前の問題に進むのではなく、一歩引いて周りを広く見て進むことが大切だと感じた”

ご案内

山の所有者、森林組合、猟師、行政職員、住宅メーカー、学校の先生など様々な仕事やゴールを持った10種類のプレイヤーたちが、仕事や生活のアクションを繰り返し、森と私たちの未来が刻々と変化する中で「森の未来」について考えるゲーム。

それがカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」です。

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