世界一やさしいエコロジカル・フットプリント解説。KPIと比べてみよう
エコロジカル・フットプリントってなに?
エコロジカル・フットプリントとは、簡単に言えば
「自分たちの行動が環境に与えている影響と、その影響を受け入れるのに必要な条件」
ということができます。
多くの場合は、影響を受け入れる土地を基準にして考えます。
最も単純なエコロジカル・フットプリントの例としては
「自分が1年間食事をしていくために、その食品はどれだけの土地があれば生産できるか?」
を数字にしてみることです。
お米や味噌や野菜を育てる農地、家畜を育てる牧草地、魚を取る河や海。
これらの面積を計算することがエコロジカル・フットプリントを計算することになります。
厳密な定義では
「人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値」
となっていますが、これは最後のまとめのときに振り返ります。
なんで必要なの?
「持続可能性を確認する。」
この一言ですべてが詰まっていると言っても過言ではありません。
自分の生活や経済活動は、今のままのスタイルでずっと続けていくことができるのか?
変えるべきところがあるとすれば、それはどこで、どれくらい変えればいいのか?
これを数値にすることで分かりやすくするのが、エコロジカル・フットプリントの考え方です。
どうやって計算するの?
エコロジカル・フットプリントは2つの方向から計算をしていきます。
片方は自分が何を消費していて、どんなゴミを出しているか?
もう一方は、その自分が必要としているものはどうやって生産されていて、どうゴミが処分されるか?
消費と生産の対比をしっかりと調べてから、
ゴミ処理から再生産までの一連のループを考えていきます。
そのループの中で変化している数値を測定します。
いきなり言われても、良く分からないんだけど?
環境問題を数字で考えることに馴染みがある、というのはご高名な研究者の皆様方だけでしょう。
そして、その研究者たちでさえ、正しい数値の算出や適切な数値の取り扱いができている方は、非常に限られています。
その現状を踏まえた上で、一介のビジネスマンである私たちでも、
エコロジカル・フットプリントを正しく、また簡単に使う方法をご紹介したいと思います。
確かに環境問題の数字と聞いただけでは、尻込みしてしまいます。
ですが、これが「自社のビジネスモデルのサイクルを、1度回転させることで変化する数値」だとしたどうでしょうか?
自分が行っている仕事の前後で、どの数字が変化しているのか、その変化によって影響を受ける次の作業者が誰か、
こちらでしたら何となくはご存知だと思います。
基本的にはエコロジカル・フットプリントもこれと同じ考えで進めていくことになります。
自分の作業で、環境面では何が変わったのか、1つずつ、数珠繋ぎやドミノ倒しのように追っていきます。
KPIと比べてみよう
先程の項目で、エコロジカル・フットプリントの測定とビジネス活動について少し考えてみましたよね。
これをもう少し深堀りしてみましょう。
ビジネスで計測する数値と言えば、やはりKPI、KGIが筆頭のひとつです。
自分のKPIとKGIがはどの数値か、どうやって変化させていくかを知らずに仕事はできませんよね。
エコロジカル・フットプリントを計算するときにも、実はKPIで使っているノウハウが活きてくるのです。
まずはKPIの基本的なノウハウを再度確認してみましょう。
- 1)自社ならではの戦略に合わせた、シンプルなものにする
- 2)ルールに縛られず、自由に設定する
- 3)判断基準として、見える化を意識した誰でも分かりやすいものにする
参考:グロービス学び放題「KPI」
https://learn.hodai.globis.co.jp
エコロジカル・フットプリントの設定も、これと同じことです。
国際指標として使われている「グローバルヘクタール」という考え方もありますが、
ほとんどの企業にとって意味のある数字ではないでしょう。
それよりも、自社にとって意識すべき数値があるはずです。
例えば飲食店では原材料となる食品の生産地で起こっている環境汚染であったり、
製造業であれば工業排水に含まれる汚染物質の量であったり、
物流業であれば輸送手段に使っている乗り物のエネルギー消費であったりします。
また、そうした消費量や汚染物が、どのように生産されてくるのか、浄化されるのか、
こちらも調べればまったく不明な数値ではないことが分かります。
これらの数値はいずれも環境に負荷を与えるものであると同時に、
あまりにも周囲への影響が大きくなりすぎると企業としてビジネスが成り立たなくなります。
つまり、企業にとって「環境面でのKPI」となるのです。
まとめ
お疲れ様でした!
エコロジカル・フットプリントを「KPI」として捉え直すことで、
かなり抵抗感は薄れたのではないでしょうか?
最後に厳密な定義に戻りますと、エコロジカル・フットプリントとは
「人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値」
になっています。
KPIとしてまとめた段階では「面積」の概念が抜けていますが、
先述のように「面積」に換算してもビジネス上は意味が薄いですし、
換算するときのレートはその時々で変わってしまいます。
そのため、外部に発表するときなど、どうしても必要なときだけ考えれば、一旦は問題ないでしょう。
エコロジカル・フットプリントを考える第一歩としては、
自分や自社が行っている経済活動の中で発生する部分的な環境負荷をから考えてみるのが、
もっとも実感を持ちやすいので推奨致します。
普段お使いのKPIのノウハウである、「自社にとっての分かりやすさ」を意識することをお忘れなく!