再雇用と転職

 

人生の大きなリミットとして、「定年」と「再雇用」があります。

 

90年代までは中流労働者の当たり前の人生プランとして認識されていた記憶がありますが、近年では年金の財政問題なども絡んでその根底が揺らいでいると感じています。

 

とはいえ、大企業では制度をおいそれと変えるわけにもいかず、早期退職希望制度などを駆使している企業も多いことでしょう。

 

定年について議論が起こる理由

 

「定年」について議論が起こるのは、まず企業の人件費や国の財政など、お金の問題でしょう。

 

高度成長期に比べると経済が停滞している(安定していると考えるべきかもしれませんが)状態では、若い人たちをバンバン採用して従業員数を拡大していくことが難しく、昔ながらのいわゆる「終身雇用」や「年功序列」では、人件費はパンクしてしまいます。

 

かといって、日本の雇用制度では、従業員の権利がしっかりと守られているので、ベテラン社員の給与を減らしたり、辞めてもらったり、ということはなかなかできません。

 

議論が起こる他の理由に、ベテラン社員の能力不足があります。

もちろん、年齢を重ねることによって、経験や知識が蓄積し「結晶性知能」と呼ばれるようなマネジメントに重要な能力を持った人もたくさんいますが、業務経験や個人の特性により獲得できずに体力や判断力が衰えていくだけの人も少なくありません。

業務に必要なスキルや技術も日々進化しており、ついていけなくなる面も否めません。

 

国としても、少子高齢化が進み、労働力の確保と年金の基盤が医事できなくなってきていることから、再雇用を含む、高齢者の継続労働を奨励しています。

実は、そんなまだまだ働ける高齢者を「準高齢者」なるニューエイジとみなそうという動きもあります。

例えば、日本老年学会では、心身の若返りを理由に、65歳以上とされている高齢者の定義を75歳以上に見直し、65~74歳は「准高齢者」という区分を新設するよう提案しています。

 

 

 

身体の衰えに業務集積度がのしかかる

 

「中年や高齢になっても、バリバリ働く」というのは、経済の状態から見ても、人生の充実から見ても、大切なことだと思います。

 

しかし、若い時からやってきた仕事に加えて、マネジメントや経営など、どんどん業務を積み上げていって成果も出す、というのは、なかなか難しい面があります。

「ブラック企業」と言われるような会社でなくても、、40代や50代になって責任の重さや過重労働によって、心身を壊す方も多いのではないでしょうか。

 

 

再雇用にはらむ問題

 

定年後の再雇用にも、問題を含んでいることが多いです。

 

企業から見ると「使いにくい」という点です。

特に定年までは管理職であった人だと、本人がふんぞりかえってるのも、ボンヤリしてしまってるのも、周りへの影響があります。

 

本人から見ると「急激な環境の変化」という点です。

今までと同じような環境なのに、業務や立場、給与が違うというのは、結構なインパクトです。

家庭でも同様で、定時で帰ってきたり土日に家にいたり、老後のために節約など生活の変化についていけず、熟年離婚など家族の崩壊を招くケースもあります。

 

 

老化との相似形が理想

 

ひとつの提案として「転職慣れ」することは、大切なポイントです。

 

「老化」というと寂しい表現ですが、年をとることによる成長や能力の変化ととらえて、ステージを変えるように、違う生き方を選択する。それが転職の醍醐味です。

本来、老化を含む心身の変化に合わせて、ライフスタイルを変化させることが、幸せに生きて行く秘訣なのですが、現代の一般的なビジネスにおける「終身雇用」は、それを阻むものでしかありません。

 

仕事や生活を少しずつ変化させることによって、定年と言われる老後の生活に備える。それはすなわち「終身雇用」でなく「生涯現役」でいる、ということだと思います。

 

 

まとめ

 

企業としても、中途採用を増やすことで、環境変化に対して弾力性のある社員が増え、大きなメリットになります。

定年後の再雇用に対してもうまく馴染むでしょうし、そもそも同じ人を再雇用する必要も無くなります。

 

ますます働き方やライフスタイルが多様化していく中、企業の経営のあり方もより柔軟にしていくこと。これが、時代の変化に強い企業を作り出すポイントとなります。

 

 

ライター:広部 志行
大阪大学卒業後、大手出版会社にて人材リソースや教育のコンテンツ制作を担当。IT企業に転職し、システム開発やデータベース構築を行う。その後、広島に移住し大手商社でソリューション提案、戦略マーケティングを担当する中で、異業種交流研修会も企画運営。その活動の中から、社会貢献事業への目標を見出し、医師らとともに在宅医療クリニックを設立。人事・スタッフ教育・研修企画・広報マーケティングなど広く手がけ、独自開発した地域創生に関する体験型研修が評判となり、全国の医療機関や行政にて実施。現在はプロジェクトデザインのマーケティング責任者として、制作開発も担当。福井県出身。