狂気に踏み込む勇気と、踏み止まる理性のバランス

「ラブクラフト・レター」持ち去られた脳は誰のもの?

「ラブクラフト・レター」持ち去られた脳は誰のもの?

昨日のブログで紹介しました「ロストレガシー」。元々は「ラブレター」というゲームのバリエーションとして作成されており、今回の「ラブクラフト・レター」もそのバリエーションの一つになります。・・・おそらく、どこかのライトノベルのジャンルがラブコメ(ラブクラフト・コメディの略)になっているのと、決して無関係ではないでしょうね。
基本的なロジックは「ロストレガシー」と同じく、カードの位置を推理するゲームになります。すべてのカードはすべて既知の状態からゲームがスタートしますので、公開されていくカードから他者の手札と残りの山札を読み解くゲームとなります。したがって先日のブログと同じようにロジカルシンキングが有効です。
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数多くのクトゥルフアイテム。「ネクロノミコン」は魔を断つ剣なので善のアイテム。

数多くのクトゥルフアイテム。「ネクロノミコン」は魔を断つ剣なので善のアイテム。

「ロストレガシー」や「ラブレター」との最大の違いは正気度システムの導入です。ゲームブック「クトゥルフの呼び声」で導入され脈々と受け継がれてきた正気度システムは、クトゥルフ神話のゲームに馴染んでいる人には嬉しいシステムですね。その他、各種カードにはラブクラフトの小説「銀の鍵」「幻夢境カダスを求めて」「ウルタールの猫」、他の作者の作品である「永劫の探求」「ティンダロスの猟犬」「アーカム計画(原題:Strange Eons)」などの記述が反映されており、ファンを喜ばせます。
 

クトゥルフ神話をご存知ない方に簡単にご説明します。クトゥルフ神話ゲームで相手にするのは見ただけで発狂してしまうような邪神たちです。邪神と戦っていくためには邪神について知らねばなりませんが、知れば知るほど発狂に近づきます。正気度システムとはその「何も知らずに死ぬか、知りすぎて発狂するか」の両端のデッドラインを超えないようにするためのシステムです。ゲームによって正気度システムをどのように表現するかは様々です。「エターナルダークネス」では正気度が下がると幻覚が見えるようになり、「ブラッドボーン」では啓蒙と呼ばれ強力な力を行使できる代償として探検のリスクが増加しました。
 
「ラブクラフト・レター」での正気度はシンプルです。カードセットは大別して、通常カードと狂気カードに2分されます。狂気カードは通常カードより強力な効果を持ちますが、その禁断の知識を一度入手してしまえば、その後は正気度チェック(別名:SAN値チェック)が必須になります。自分のターンの開始前に山札をめくり、狂気カードならばその瞬間に、「知り過ぎた」ために発狂してゲームオーバー。つまり「ロストレガシー」よりも一層自分がゲームオーバーになる確率をロジカルシンキングから推測することが大切になります。
・・・敵は最悪の邪神。それだけにかなり恐ろしく、暴力的なゲームです!
 
 

リスクマネジメントをロジカルシンキングで組み立てるのが生命線

説明書の「プレイアドバイス」にも記述されていますが、『このカードの基本となる戦略は、各数字(強さ)のカードの残り枚数を調べること』です。カードの位置情報を調べることが非常に大事です。
そのために必要となるロジカルシンキングの手法MECEについては「ロストレガシー」のブログにおいても記述しました。
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善のエルダーサインと邪悪なるクトゥルフ教団の紋章。1ゲームごとにこれらを集めることで真の勝利者を決める。

善のエルダーサインと邪悪なるクトゥルフ教団の紋章。1ゲームごとにこれらを集めることで真の勝利者を決める。

「ロストレガシー」と「ラブクラフト・レター」の最大の相違点は狂気カードです。このカードは他者にも自分にも多大な影響を与え、使用には細心の注意が必要です。また、このゲームは「ロストレガシー」と異なり、1ゲームのみで勝利者を決めるのではなく、複数回プレイを通じて勝利者を決めることを推奨しています。
ここから読み解ける製作者の意図は「ラブクラフト・レター」は確率計算でリスクマネジメントができる人間が勝てるように作られているということです。確率は収束しますので、1度や2度の不運が最終的な勝敗に与える影響は少なくなります。
そのためどこのタイミングで狂気カードを使うか(使わずにおくか)というリスクマネジメントをする必要があります。場所の分かったカードの情報から自分が今のターンで狂気カードを使えば、どのくらいの確率で次のターンを生きのこれるか、あるいは何ターン生きのこれる見込みがあるかを計算して行動する必要があります。
 

「Strange Eons」で世界を破滅させた狂気の化身たち

「Strange Eons」で世界を破滅させた狂気の化身たち

最適の戦略は、自分だけが知っているカード+公開されているカード+他者の行動から推測されるカードから割り出します。
実例を上げながら、リスクマネジメントと確率計算をしてみましょう。
山札は合計24枚、そのうち通常カードは16枚、狂気カードは8枚になります。また山札と別に特殊カードが1枚加わります。手札は各参加者ごとに1枚です。仮に4人の参加者がいるとします。
一番最初が自分の番であり、ドローした後、手札が通常カード1枚と狂気カード1枚になったとします。このとき、山札は残り24-4-1=19枚、狂気カードは8-1=7枚となります。仮にここで狂気カードを出したとすると、次のターンで自分が発狂してゲームオーバーになる確率を計算します。まずは最悪のケースを想定します。他3人がプレイを終えて、1枚も狂気カードが出なかった場合。そのとき山札は19-3=16枚、狂気カードは7枚となり、発狂の確率は7÷16=0.4375→43.75%、つまり一度の行動だけで半分近い確率でゲームオーバーになってしまうのです。本来ならば、24枚の山札を4人でプレイするため24÷4=6となり、6回の行動の可能性があります。ですがいきなり狂気カードを出すと、自分の行動の期待値は1+(1-0.4375)=1.565となり、2回も行動できなくなってしまいます。
 
結論としては「最初は通常カードを使い、情報を集め、狂気カードの場所と枚数を探らなくてはならない」ということになります。このような状況を整理して得られた情報から結論を導き出す方法が「So What?/然るが故に(だからどうした?)」とロジカルシンキングでは呼ばれています。逆に結論があって、その論拠を述べていく手法は「Why So?/何故かならば(なんでそう言える?)」と呼ばれます。前回紹介したMECEとともに、ロジカルシンキングの基本的な手法です。
 
前回のロストレガシーでもこの「So What?」「Why So?」は有効です。「ロストレガシー」と「ラブクラフト・レター」、これらを繰り返し遊ぶことで、ロジカルシンキングを身近なものにしていきましょう!
 
 

ライター:【三等兵】竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインに新卒で入社。主に研修コンテンツのロジック開発および、研修用に使用するエクセルのマクロを構築している。またWebマーケティングも担当しており、サイトの管理運営、テキストの製作を行う。大学時代には地球環境問題を積極的に学び、その中で学んだ「俯瞰的視点」「論理的思考」「系をモデル化する思考方法」「情報技術」などを活かして活躍している。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。
 
Q:【三等兵】って?
A:ゲームこそ人生。社内ゲーム研修で決定された社内ランクです。
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