新作ビジネスゲームは、国際社会の将来を考えている

GDGs
 
新しく製作したビジネスゲームは「2030SDGs」といいます。
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された国際社会が協力して目指ゴールです。2030年に向けた17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
「20世紀までの開発」では資源-石油や石炭などの燃料や鉱石はもちろん、水や大気などの環境、何より多くの人の労働力と幸福-を大量に消費していました。その消費は自然の回復力を大きく上回るものでした。そのため「20世紀までの開発」を続けていれば、いつかは地球が人類社会もろとも破滅してしまうことが予想されました。そこで「持続可能な開発」では、地球と人類の将来への負担を減らし、永続的に発展し続けることができる開発を目標としているのです。
 
ビジネスゲーム「2030SDGs」は、この国連採択された「SDGs」に則って作られました。「持続可能な開発とは何か」を知ることができるのはもちろん、ビジネスゲームとして実社会に必要なスキルについても学べます。例えば他者との協力することの重要性や、自分の目標を達成するための主体性、他の参加者をまとめて共にゴールを目指すリーダーシップ、人間を含む環境への配慮などです。
参加人数は最大200人でできるように設計されています。現実社会同様、関わるプレイヤーが多くなればなるほど、ゴールの達成は困難になります。またプレイ時間は1時間、ゲームの振り返り時間が30分~1時間です。短時間でプレイが終わるので1日で2回以上行うこともできます。隠しデータもないので、初めての参加者と経験者で有利不利が生まれることもありません。
今回のテストでは5人で行いました。5人が最もクリアが簡単な人数になります。
 
 
参考サイト:国際連合広報センター、持続可能な開発のための2030アジェンダ
http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/
 

 
 

テストプレイの様子:前半20分は「エゴの世界」

2030SDGs1ビジネスゲーム「2030SDGs」のテストプレイは今回が初めてとなります。期待と不安を持ちながら、講師1人、プレーヤー5人で始めました。
 
まず5人それぞれが、「自分だけのゴール」を選択します。このゴールを時間内に達成していればゲームはクリアです。得点を競うゲームではないので、順位は付かず、自分の決めたゴールをクリアしたかどうかだけで判断されます。
 
その後、「資金」「時間」「プロジェクト」のカードが配られます。「プロジェクト」のカードは開発プロジェクトを表現しています。資金と時間のカードを消費することで、より大きな資金や次の開発プロジェクトを生み出します。また開発プロジェクトを達成すると「意思」のカードがもらえます。「意思」は3色あり、最初に決めたゴール目標を達成するのに必要となります。
そして、開発プロジェクトを行うと、地球環境が変化します。「意思」のカードと同じく3色に分かれています。青が経済環境、緑が自然環境、黄色が人類環境です。「プロジェクト」によってどれが上がるか下がるかは異なっています。
これらのカードは自由に交換、取引することができます。
 
最初の20分は、参加者の5人全員が「自分だけのゴール」を達成するために行動していました。特に普段から「走りながら考える」というスタンスの人は、次々と「プロジェクト」を設立していきました。他の参加者も、動いているか様子見しているかの違いはあれ、「自分のゴール条件を満たすにはどうすべきか?」ばかりを考えて行動していました。
 
その結果、前半20分の内に、5人中3人は「自分だけのゴール」に到達している状態になりました。
 
 

フィードバック:経済進んで、人滅ぶ

2030SDGs2前半が終わったところで、講師から「今の地球環境について」のフィードバックがありました。前半に数々のプロジェクトを進めたことで、地球環境は大きく変化していたのです。
 
青の経済環境:経済は発展し、飢餓と貧困は撲滅された。もちろん、それらを原因とした紛争も消えた。
緑の自然環境:温暖化が進み、内陸部は砂漠化し、沿岸部は海面上昇にさらされている。人類の生存可能範囲は大きく狭まり始めた。
黄の人間環境:経済的な豊かさとは裏腹に、人々の心は絶望が支配している。自死と凶悪犯罪が増え続けている。

 
我々は豊かになった。自分自身の目標も達成した。だが、そのために犠牲にしてきたものは、このまま忘れ去ってしまっていいものなのだろうか?
フィードバックの悲惨な結果は、参加者の心に陰りを落としました。
『幸せは犠牲なしに得ることはできないのか、時代は不幸なしに越えることは出来ないのか』
この疑問に、私たちは毅然として応えなくてはなりません。
『否!断じて否!』
神に乞うたり他者にすがったりせず、自分たち自身の力で望ましい地球環境を作り上げて行かなくてはなりません。
 
 

テストプレイの様子:後半20分は「全員の持つ資源で、全員の幸福」

2030SDGs3後半に入ってすぐ、プロジェクトの実行を全員で止めました。
ここからは、豊かな地球環境のために、プロジェクトの取捨選択をせねばなりません。すべての開発プロジェクトを行えるほど、資源は潤沢ではなく、地球環境は頑丈ではないのですから。
 
まず「自分のゴール」を達成した人から、すべての余剰資源を譲渡し、1人の参加者の元に資源を集中させました。資源を効果的にマネージメントするためです。その集めた資源で他の参加者の「自分だけのゴール」の達成と、地球環境の「緑」と「黄」を増加を目指しました。全員で話し合い、資源をどのように配分すべきかを決定しました。全員の力で、全員が幸せになる方法を探しました。地球環境がダメになってしまえば、「個人のゴール」どころではなくなってしまうのですから。
 
そして最終結果は。
 
青の経済環境:経済の発展が、全人類を飢えと貧しさから救った。
緑の自然環境:森は輝きを取り戻し、海や川には魚が帰ってきた。いたるところに生命が溢れている。
黄の人間環境:人の心は希望に満ち、人間らしく、また自分らしく生きることが出来ている。

 
また無事に全員の「自分だけのゴール」も達成できました。
参加者の人数が5人で、最もクリアが簡単になる条件であったので、辛くも全員でゴールできました。
「持続可能な開発目標」を達成できたのです。
 
 

振り返り:ビジネスゲームで伝えたかったのは「すべては、ひとつに繋がっている」

2030SDGs4ビジネスゲームの振り返りとして、冒頭に紹介した「持続可能な開発目標」とその動画を全員で確認しました。その上で参加者で意見を出し合いました。
・前半は自分のゴールに必要な数字しかみていなかった。
・フィードバックのときに、地球環境が危ういことが分かり、行動方針のパラダイムシフトが起きた。
・前半はバラバラに行動していた参加者が、後半は意思の統一が図られた。
・チームプレーを考えた時、自分のゴールに必要な資源だけ確保し、他は公共に捧げたのが良かった。
・交渉は1対1では中々進まなかった。だが、参加者全員対ゲームの課題という構図になると交渉は速やかに進んだ。
 
こうして振り返ると、前半は「20世紀までの開発」、フィードバックが「サミット」、後半が「持続可能な開発」になっているのが分かります。
ビジネスゲーム「2030SDGs」を通じて、「持続可能な開発目標」には全員が団結して課題に取り組まねばならないと学ぶことができました。そして「何かを犠牲に開発していれば必ず破綻が起きる。すべては、ひとつに繋がっているのだから」とも実感しました。
 
個人的には手塚治虫先生の後期作品、「火の鳥」や「ブッダ」における宇宙生命(コスモゾーン)の思想を思い出しました。
『木や草や山や川がそこにあるように、人間もこの自然の中にあるからにはちゃんと意味があって生きてるのだ。あらゆるものと つながりを持って……そのつながりの中で、おまえは大事な役目をしているのだよ』
またワイルドアームズ2の『ひとりで背負うには重過ぎた十字架も、この星の命すべてで支えればどれほどのものではない』というセリフが想起されました。
 
 
最後に、ビジネスゲーム研修としてのゲームバランスについて。
初めてのテストとは思えないほど、ゲームバランスが取れていました。
・1人では決してクリアできず、全員と協同して初めてクリアできる
・もし後半に2手か3手、間違えていたらクリアできなかった
・仮に難易度を調整するにしても、振り返りの問いかけと合わせて研修目的によって調整すればいい
このような振り返りの声が上がっていました。
 
 

一般社団法人イマココラボ
2030SDGsは当社と一般社団法人イマココラボが共同開発したもので、実施・利用等に関してはイマココラボに直接お問い合わせください。

 
 
 
ライター:【三等兵】竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインに新卒で入社。主に研修コンテンツのロジック開発および、研修用に使用するエクセルのマクロを構築している。またWebマーケティングも担当しており、サイトの管理運営、テキストの製作を行う。大学時代には地球環境問題を積極的に学び、その中で学んだ「俯瞰的視点」「論理的思考」「系をモデル化する思考方法」「情報技術」などを活かして活躍している。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。
 
Q:【三等兵】って?
A:ゲームこそ人生。社内ゲーム研修で決定された社内ランクです。
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