みなさまこんにちは、桑原です。年末年始は無いに等しかったです。期末考査に向けてレポートやら試験勉強やらが溜まって・・・これ以上は話したくないです。現実を受け入れ、無我の境地で取り組みます。
 
 さて、前回は「優位性の源泉」について話しました。まとめだけをいえば「優位性の源泉は、組織に宿る」という話をしました。そして、その優位性を獲得するためには「優位性を生み出す『習慣を根付かせる』必要があり、これを達成するには『制度』が重要になってくる」と言ったところで終わりました。
 
 さて、この「制度」について、ちょっと話をずれますが、いろんな視点から・・・社会学や心理学、経済学・・・などなど、ある意味「人の欲求」というものに関わるものですから、様々な視点から分析されています。組織論で「制度」の話になるときは、様々な分野の話を聞いたりします。
 
 では本題に戻ります。組織を組み立てるとき、一番肝の部分となるのが「制度の設計」です。何故ならば、前述したように、制度は「人の欲求に関わるもの」であるからです。
 
 今回言いたいことは「制度を適切に設計しなければ、習慣を根付かせることはできない」ということです。それでは、詳しく話していきましょう。
 
 

目標と評価の整合性とは?

 さてさて、みなさん「継続的な英語勉強」ってしていたりしますか?英語でなくても構いません・・・ウッっと、ちょっと渋い顔をした人がいるかもしれません。
 組織論備忘録_習慣と制度_1
 なかなか「自主的な学習を続ける」ってことは難しいですよね。一方で、ちゃんとやり遂げちゃう人もいると思います。ところが、普段は「自主的な活動」を継続できない人でも、受験などで「やらなければいけない」という状況に追い込まれたりすると、成し遂げたりすることもあります。この心苦しい現象をから、組織と制度の関係が見えてくると思います。
 
 変わった質問ですが「追い込まれると、なぜ成し遂げられるようになる」のでしょうか?答えは簡単ですね。「やらなければ、何かしらの損(志望校への不合格)を自分が被ると考えている」からです。ですが、一方で「ちゃんと勉強すれば、何かしらの得(志望校への合格)を得られると考えている」ことも事実です。嫌な言い方ですが、損得勘定を元に勉強しているといえるでしょう。
 
 さて、それではここで普通の質問として「どうして、日常生活で勉強を継続的に行えない」のでしょうか?前述の答えを流用すれば、「やってもやらなくても、特に自分に損得が生じないと考えている」からです。ということは、「何かしらの損得が得られると考えていたら、勉強を継続的に行える」ということでもあります。学部時代、普段全く勉強しない友人が、急に英語の学習を始めた時、「綺麗な留学生の女の子と仲良くなりたい!!」といっていたのも、「何かしらの損得感情を持たせたことで、継続的な英語学習を行う誘因を設定した」といえるかもしれません。(彼はその後、TOEICのスコアを400点代から750点代に乗せ、3ヶ月の語学留学に行きました。すごい・・・)
 
 さてさて、本題に戻しましょう。この例を読んで「つまり、継続的に活動を行うためには、賞罰を設けるべきという話だ。そんなことは当たり前だ」と考えた方がいると思います。確かに、その通りなのですが、それは必要ではあっても十分とは言えません。僕がここで言いたいのは「行動と評価方法、そして目標の間に整合性がある必要がある」ということです。
 
 例では、目標と損得が一致していました。例えばこれが「海外留学に行きたいから、毎日英語を最低2時間勉強する。2時間勉強することを守ったら、その日は大好きなチョコレートを食べてもいい」という状況だったらどうでしょうか?同じようなことをした人もいると思います。これで上手くいく人もいるかもしれませんが、大抵はどんなにチョコレートが好きな人でも、途中で断念してしまいます。なぜならば、望ましい結果(海外留学にいく)と報酬(チョコレートを食べられること)に整合性がないからです。
 
 この状況を改善する方法は、目標設定を変えるという選択肢の他にも色々考えられますが、ここでは「報酬を変える」ことにします。おそらく「海外留学に行きたいから、毎日英語を最低2時間以上勉強する。もし学習を続け、仮にTOEIC650点を越えれば、留学費用の半分を免除してもらえる」という設定に変えてみましょう。こちらなら、英語の勉強を続けられそうです。少なくとも、「最低2時間以上、英語の勉強をする」ことの誘因は上がると思います。なぜなら、「英語学習継続的に行うことで、授業料免除の獲得可能性が上がるだけでなく、海外留学という目標も達成可能になる」と、一貫しているからです。
 
 

習慣を根付かせるには、制度が必要

 さて、では、組織の話に戻します。皆様は働く上で何かしらの評価を受けていると思います。このブログを読んでいる方々は、評価制度を考える側の人もいるかと思います。
 
 例では、設定する側とされる側が同じでしたが、組織では設定する側(評価する側ともいえるでしょう)と設定される側が別々であることが普通です。ただでさえ、自分自身をコントロールすることが難しいのですから、他人に「任せる」ということはさらに難しいです。他人に任せるためには、より「行動と評価方法、そして結果との間の整合性」についてしっかりと熟慮しなくてはなりません。
 
 この問題については少し考えれば、皆さん納得できると思います。ほとんどの方は仕事以外の活動もしたいと考えていると思いますし、また仕事の中でも「自身がやりがいを感じる仕事」や「好きな仕事」に携わりたいと思っているでしょう。つまり個人の好き嫌いが存在しています。
 組織論備忘録_習慣と制度_2
 ここで、本来の目的である「習慣を根付かせる」ことを考えてみましょう。組織にはそれぞれ価値を生み出すための源泉としての「習慣(行動特性や思考特性)」が存在します。組織としては、ある程度、安定して成果をあげたいと考えます。そのために各資源のインプットを標準化します。新人研修などは、人的資源における標準化の例ですね。
 
 当たり前のことですが、身につけてもらいたい「習慣」が、組織としての結果(売上や利益)とも結びついていなくてはなりません。その意味では、ここでの習慣とは「経営戦略上の鍵要因(Key Success Factors)を満たしているかをチェックできる活動」といえるかもしれません。
 
 ところが、一度の研修だけでは、身につけさせたい「習慣」は身につくはずもありません。何かしら、普段の活動(OJTなど)を通じて身につけさせようともします。ここで、「行動と報酬、目標との整合性」と「個人の好きなことの違い」の問題がでてきます。会社として身につけさせたい「習慣」を学ぶための活動が、個々人のやりがいや好きな仕事と異なっている可能性があるからです。
 
 この食い違いをなくすために、「評価制度」が重要になってきます。今まで言っていた賞罰のことですね。無機質な発言をすれば、「個人の好みの活動を行うよりも、『習慣を身につけられる』活動を行った時に得られる利益のほうが高くなるように」評価制度を設計することで、習慣を身につけてもらいやすくすることができます。
 
 もし仮に、身につけて欲しい習慣について、何も評価をしなかったらどうなるでしょうか?おそらく、習慣を身につけさせることができないことはおろか、個々人で好き勝手に行動してしまい、「組織として成果を上げる」という目標を達成できなくなってしまいます。だからこそ評価制度を設けることで、「組織として、やって欲しいこと」とへのコミットメントを高める必要があるのです。
(本来ならば、他人に任せることについて深く話す必要があります。興味のある方々は、契約理論という分野を調べてみてください。今回は置いておきます)
 
 

他人の「感情やモラル」に頼ってはいけない

 さて、ここまでの話を聞いて、もやもやする人がいると思います。おそらく「人はそんな利己的ではない。他人との関係も考えて行動を決定する」という反論が出てくると思います。
 
 僕としては、上記の意見に真っ向から反対することはありません。確かに、自分自身も損得勘定抜きで行動を決定したりする瞬間があります。薄々感じている方がいるとは思いますが、僕は今回、経済学などでよく使われる。「利己的な人物」をイメージしながら書きました。
 組織論備忘録_習慣と制度_3
 ですが私は、「利己的な人物像」をイメージしながら組織の制度を考えることはとても重要であると思います。精神的な話になりますが、なぜならば「良心や価値観などは、その場その場で変化する」からです。「他人のことが大事」と考える時もあれば、「自分のことしか考えられない」という状況もあるでしょう。今持っている「気持ち」が、将来も維持される保証はありません。ましてや、自分以外の人の場合なら尚更でしょう。
 
 だからこそ、考えたくないかもしれませんが、「組織のメンバーが全員、『自分の利益しか考えない』人であったとしても、組織としての目標が達成されるような制度」を考える必要があるのです。自分勝手にしか物事を判断しない人だらけでも、組織として結果が残せる仕組みがあることこそが、組織としての安定性を生むのです。
 
 
 ・・・今回は、だいぶドライに書きました。ふだんはこんな人間ではないのですよ?割と、いろんなお話に涙を流したり、感動していたりします。
 
 次回は、組織は組織でも「グループでの意思決定」についてお話したいと思います。「なぜ、あんなに賢い人たちが集まっているのに、間違った判断をしてしまったのだろう」という疑問に、少しでも答えられたらなと思います。
 
 
 それではまた次回、僕が課題に殺されていなければ、お会いしましょう。
 
 
 
ライター:【三等兵】桑原健人
富山県立富山中部高等学校卒業
法政大学経営学部市場経営学科修了
現在、一橋大学商学研究科経営学修士過程所属
現在は学期中のため学生中。学期末に向けての繁忙期に突入。サボれない日が続いている。
最近は「2年次に取りたい講義と春休みに何を勉強するか」を考えることで現実逃避することが多い。就活はどうした。