ブログをご覧になっているみなさま、おひさしぶりです。インターン生の桑原です。前回の初投稿(リンク)から随分と時間を空けてしまいました。
 
 9、10月の間に、僕が何をしていたかというと、自己紹介欄にもあるとおり、学生をやっていました。(もちろん、今も学生をやっていますが)国立の森の中で経営学を、特に僕が所属しているのはMBAコースということもあり、すこし実践的な面に重きを置いた経営学を学んでいます。戦略_経営学備忘録_1
 
 本日からはシリーズとして、僕がMBAの講義で学んだことを、僕自身の復習も兼ねて紹介していきたいと思います。今回のテーマは「戦略とは何を決めることなのか」です。僕は組織論に興味があって勉強をしていますが、戦略は組織論を語る上で外すことができない要素です。このブログを読んでいる方々も、組織論に興味のある方々が多いのではないかと思います。
 
 今回の結論を先に話してしまえば、「戦略とは、ストーリーを決めること」です。ストーリーを決めると言って、しっくりくる方とこない方がいると思います。ストーリーを決めると言っても様々な要素ありますが、今回の記事では2つの重要な要素について話したいと思います。一つ目は「優先順位」を決めること、二つ目は「具体的な評価基準」を決めることです。以下で詳しく話していきましょう。
 
 

優先順位を決めることの重要さ

 さて、話をすると言っていきながら、みなさまに質問を投げかけてみたいと思います。「自分の所属する事業部(自分が想像しやすい範囲で構いません)、その戦略を決めてください」と言われた時、皆様はどのように答えますか?
 
 このとき、「コスト優位性を取る」や「製品の差別化を際立たせる」というだけの回答する方がいると思います。そのような方々は、申し訳ありませんが、戦略を決めているとは言えないのです。なぜ「戦略を決めていない」と言えるのでしょうか?改めて考えてみてください。
 
 では、抽象的ではありますが「差別化戦略を行う」という例を用いて、少し理由を話したいと思います。「差別化戦略」という目標を立てた時、その目標を達成するための手段は複数存在します。差別化の内容などにもよりますが、代表的な方法としては「品質向上を目指して、研究開発を行う」や「自社製品の品質を周知させるために、プロモーション活動を活発に行う」、「バリューチェーンを見直す」などなど・・・ぱっと思いつくだけでも色々な手段が考えられると思います。
 
戦略_経営学備忘録_2 ここで考えて欲しいのは、「誰もが皆、ある制約に縛られている」ことです。例えば、時間や経営資源(ヒト・モノ・カネ)などが代表的な制約条件と言えるかもしれません。ここで言いたいのは、戦略を実現させる手段が無数にある中で、制約条件を考えないまま行動に移すと、戦略を実現させられないまま終わってしまうということです。
 
 様々な制約条件がある中で、どの手段が自社の戦略実現にとって重要なのかを順位づけしないと、あれもこれもとやっているうちに、貴重な資源が枯渇したり、競合他社に先手を打たれて負けてしまうということが起こりかねません。
 
 「製品差別化を進める」や「コスト優位性を築く」と言ったことは、単に向かう目的地を決定しただけにすぎません。目的地にむかって、どの道筋を利用するのかがないと、組織全体としてのまとまりがなくなってしまいます。さらに一歩踏み込んで、どのルートを通るか、つまり、「戦略を実現するための手段のうち、どの手段がより重要なのか」を考えてみてください。
 
 

具体的な評価基準を設けることの重要さ

 では、上記の考えを基に、戦略を決められたとしましょう。ここでまた質問です。もし、仮に人に指示を出す立場にいた場合に、あなたは部下にどんな指示をだしますか?ここでも少し考えてみてください。
 
 ここでは、前に出てきた製品差別化の例を再度使って説明したいと思います。「製品差別化を実現させるために、最重要活動であるプロモーション活動を積極的に行う!皆もこのことに注力して働いてくれ!」といった風な指示を出した方はいませんか?またしても、申し訳ありません。その答えでは戦略を決めていないと言われます。理由は簡単です。「具体的に何をすればいいのかわからないから」、加えて「目標を達成できたか失敗したかの評価ができないから」です。戦略_経営学備忘録_3
 
 上記の二つの理由は、「具体的な評価基準を設定していないから」と言い換えることもできるでしょう。評価基準を設定することのメリットを考えれば、上記のような回答がダメな理由がわかると思います。
 
 身近な評価基準としてわかりやすいのは、「売上高営業利益率」でしょうか。さて、この「売上高営業利益率」は、「営業利益」を「売上高」で割った数値(正しくは100をかけて%で求めますが)で求めることができます。さて、ここで「営業利益」ですが、この値は、「売上高」から「売上原価」と「販売費及び一般管理費(以下、販管費と略します)」を引いた値で求めることができます。つまり、「(売上高ー売上原価ー販管費)/ 売上高」という形になっているということです。したがって、「営業利益率を上げたいなら、売上原価と販管費の値を下げれば、数値が大きくなる」ということがわかると思います。さらに、販管費は「販売手数料」や「役員報酬」、「減価償却費」などにわけられ・・・
 
 さて、僕が何を言いたいか、皆様はもうお気づきなのではないのでしょうか?一言で数値と言っても、様々な要素に分解することができ、さらにそれぞれの要素の変動によって、目標の数値に影響をあたえられることもわかると思います。
 
 つまり、手段の達成状況を客観的に測れる評価基準を設定することで、達成状況を観察できるようになるだけでなく、要素に分解することで、「なぜ成功(失敗)しているのか、どの部分の活動が上手くいっているのか(いっていないのか)」を評価し、修正のための的確な指示を出すことが可能になるのです。組織論でも「いかに部門ごとの活動をコントロールするか」という点に必ず触れます。コントロールの源泉は、客観的な評価基準の存在に依存しているのです。
(ちなみに、今話しているのは、管理会計の分野で主に議論されていると言われています。現代企業の基礎となった、近代企業の誕生と発展とともに、評価手法としての会計制度も発達してきたと言われています)
 
 したがって、単に手段を決めるだけでは、戦略を決めるというには不十分であるということです。もっと踏み込んで、「その手段を達成するために、どんな活動を取るのか、その評価をどのようにして行うのか」まで決定しなければ、戦略を決めたとは言えないのです。
(この話を聞いて「手段の目的化」という話を思い浮かべる方がいるかもしれません。たしかに、手段の目的化は悪影響を及ぼすこともあります。しかし、目標の達成のための手段を適切に設計している限りは、合理的な活動であると、組織論では言われていたりします。このトピックは、機会があればまた触れたいと思います)
 
 

まとめ-「当たり前」が重要

 まとめます、結局は「戦略(ストーリー)を決めるとは、組織の目的達成のための道筋を設定し、その実行のために一貫した評価基準を組織の細部まで設定すること」と言えると思います。優先順位も具体的な評価基準も決められていない戦略は、ダメな戦略の可能性が高いと考えられます。
 
 これまで話してきたことは、ある種「当たり前」のことです。しかし、戦略の実行において、当たり前のことをどこまでできるかが大事なのです(戦略の実行についても、またこれ単一で話題が出来上がりますが)。細部に至るまで目標設計をしようとすれば、非常に労力がかかります。加えて、それを実行するためのスピードや確実性も問題になってきます。「当たり前のことを、素早く確実に形にできる組織を持つ企業」が強い企業なのです。
 
 
 長々と書いてきました。本当は他にも重要な項目があり、今回取り上げた2要素についても、深く議論する必要があります。あくまで、エッセンスということで・・・自分がまだ学んでいる身分であるがゆえに稚拙な文章ではありますが、最後までおつきあいいただきありがとうございました。
 
 次は、戦略を考える上で重要な「優位性」について、少し話したいと思います。それでは、また次回宜しくお願いします。
 
 
 
ライター:【三等兵】桑原健人
富山県立富山中部高等学校卒業
法政大学経営学部市場経営学科修了
現在、一橋大学商学研究科経営学修士過程所属
現在は学期中のため学生中。今学期から、とても楽しみにしていた「契約理論」の講義に出席できて非常に有意義な学生生活を送っています。
キャンパス近くのスパゲティー屋の「うめいかスパゲティー」に惚れ込む。そろそろ、T先輩の紅茶が恋しくなってきた頃合。