企業の求める人物像は、伝わっていない

プレゼン自社の売れ筋製品には、他社にない独自の強みがありますよね?
それに同業他社でも企業理念、規模、資本金、組織風土、製品の全体的な傾向、ブランドイメージ、それらは全く事情が異なりますよね。
でしたら『自社の求める人材は他企業とは異なる』のは当然でしょう。
 
 
でも、それ、就活生に伝わってませんよ。
私が就活生のころに見た求人は、枝葉末端の表現に違いはあれ、どこの企業も「コミュニケーション」だの「人柄」だの「協調性」だのと書かれていて何を企業から求められているのか企業ごとの違いが分からない状態に陥ってしまいました。すると、就活生側もどこの誰でも当たり障りのないことしか言えず、自分自身の持ち味をアピールしていけません。正確にはアピールが受け入れられるか分からなくて怖いからできないのです。
これでは無難な人材を確保はできても企業の未来を担えるような突出した人材が得られないのは当然です。
 

新入社員採用もマーケティング=独自の強みの評価が必要

マーケティングの基本は製品のどこが競合製品と比較して優れていて、顧客の役に立つかをアピールすることです。製品独自の強みが明確で、他と比較できるようになっていないと、企業が買ってほしいと思っているターゲット顧客は情報不足のためにアクションを起こせないのです。
 
同じように、新入社員の採用でも自社の求める人材はどの点が優れていてほしいかを知らしめねばなりません。言い換えれば、どの点が他の就活生より優位にある個性として評価するかを教えてあげなくてはなりません。例えば「自社の商品開発力を強化したい」という欲求があるのであれば、「分析力」「論理的思考」「発想力」のみを重視すると明示しなくてはならないのです。同業他社がどれだけ「コミュニケーション能力」を―あの就活生を最も悩ませ、不明瞭で、忌み嫌われる能力!―重視していたとしても、「我が社では一切評価ポイントに含めない」と伝えなくてはなりません。
 
なぜなら、それこそが会社の成果に貢献できる新入社員をピックアップする唯一の方法だからです。無難でそつのない人材が必要な状況ももちろんあるでしょう、単純に人手不足だけが問題となっているような場合です。ですが大きな成果やブレイクスルーを期待しているのであれば、偏った、尖った人材を採用するある種の冒険が必要です。そして冒険のリスクを避けるためにも、通常の経営施策の取捨選択と同じように、「どの能力は評価しないか、どの長所だけを見るべきか」を考えなくてはなりません。
 

優れた新入社員の採用ができるのは、優れたマネージャー

就活こうした新入社員の採用形態が採れる人こそ、優れたマネージャーと言えるでしょう。『優れたマネージャーはチェスをする』という表現は、優れたマネージャーは『チェスの駒の動きはそれぞれ異なる』ことを知っており、チェスの駒の動きに例えられる『一人ひとりの強み(個性)を見つけること』が最も大切であることを示しています。そして個性を活かせるからこそ成果を上げられる、それが効率的な人材マネジメントではありませんか?
 
マネージャーについては「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」に以下の至言があります。
『卓越したマネジメントについて、すぐれたマネジャーなら誰でも知っている「たったひとつのこと」とは部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用すること。
 
会社に貢献でき人材を新入社員として採用し、育成していくためには、自らが優れたマネージャー足らねばならないのです。
 

ダメなマネジメントの個人的体験談

The 商社最後に個人的な失敗談を。
今にして思えば「あれは失敗だったなあ」と思うマネジメントの体験があります。
入社したての頃、商品理解のために弊社のビジネスゲーム研修「The 商社」にプレーヤーとして参加したときのことです。
 
その時は三人チームで、うち一人の方は既にビジネスゲーム研修を受けたことのある方でした。私自身も当然、自社商品なのでビジネスゲーム「The 商社」のルールは把握しています。ですが、最後の方はビジネスゲーム研修が初体験で、しかも緊張されているのが見て取れました。
この時、知識と経験でその方をリードして、それぞれの強みを活かした役割分担をできれば理想的でしたが、実際には自分のことで手一杯になってしまいました。
自分にできることを探そうとするあまり、自分のことしか眼中になく、却って自分がチームの中で果たせる貢献を見失ってしまったのです。経験者の方とさえ、ろくに戦略の共有ができず、それぞれが行き当たりばったりの行動をしてしまいました。
当然、惨敗でした。
 
優れたマネージャーならば、当然未経験の方の緊張をほぐすところから始め、その方の得手不得手を心得た上で、どんな役割を担ってもらえばチームとして最適化されるかを判断したでしょう。その方の普段の業務に近しい役割を任せられれば理想的でしょうか、もっとも私ともう一人の方との兼ね合いもあるでしょうが。
 
何にせよ、そのビジネスゲーム研修では独善に走って失敗したのです。
いくら切羽詰まっていたとしても、全体を見渡すだけの心の余裕は欲しいものですね。そうすれば、大概の問題は一杯の紅茶を飲んでいる間に片付くはずです。
 
 
 
ライター:竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインに新卒で入社。主に研修コンテンツのロジック開発および、研修用に使用するエクセルのマクロを構築している。またWebマーケティングも担当しており、サイトの管理運営、テキストの製作を行う。大学時代には地球環境問題を積極的に学び、その中で学んだ「俯瞰的視点」「論理的思考」「系をモデル化する思考方法」「情報技術」などを活かして活躍している。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。