リーダーシップを発揮すれば、
険悪にならずに活発な議論を呼べる

険悪さのない議論 会社の業績を大きく改善してくれるような、革新的でクリエイティブな発想を生み出すには、自由に意見を出せる環境が必要です。とはいえ、目新しいアイデアであれば当然議論を呼び起こすことになります。その議論が論理的に行われ、アイデアを出した人も反対した人も納得できるような結論が得られれば理想的ですが、実際には双方が真剣であればあるほど対立は感情的になり、険悪な雰囲気を作ってしまうことがままあります。そうした険悪さは職場全体のダメージなので、誰もが恐れます。もちろん、アイデアの提案者と反対者たち自身もです。こうした恐怖が心の奥底にあると、クリエイティブな意見は決して出てきません。
 誰かが「意見を自由に出し合っても、お互いに仲良しでいられるんだよ」という保証をしてあげないと、クリエイティビティは期待できないでしょう。そして、その役割を担うべきはやはりリーダーなのです。

 元日本LCA代表取締役社長であり、TOEZ インターナショナル株式会社の代表である小林忠嗣氏の著書『社長が自分と自分の会社を診断する本』の中に、そうした険悪さを回避しながら意見を出し合う方法を見つけました。端的に言えば、それは「リーダーがきちんとビジョンを周知させるリーダーシップを発揮すること」だったのです。

ビジョン、経営理念の共有がリーダーシップの第一歩

社長が自分と自分の会社を診断する本『現実の問題として、企業を経営していく過程では、当然役員間の意見の食い違いが発生する。そしてその時、双方の役員が真剣であればあるほど、激論が交わされ、遂には感情的な対立にさえ発展することは十分あり得る。
 (中略)
 それでは対立した役員同士が妥協し、社長の方針に従って一丸となって協力し合うためには、何が必要であろうか』
『それは役員達が彼らにとっての共通の心のよりどころを持つことでなくてはならない。その心のよりどころとは、行動規範としての経営理念以外には存在しないのである。(中略)決して『共通の利益』を目的とした集団であってはならないのである』
(『社長が自分と自分の会社を診断する本』p59,p60より引用)

 社長の在り方を書いた本書で、社長が経営理念を軸として役員をまとめ上げなくてはならないとはっきり書かれています。これを一般化すれば「リーダーはビジョンを軸として組織のメンバーを団結させなくてはならない」と言うことができるでしょう。ただ共通の利益だけで繋がった組織は脆いものです。なにせ利益を目指すだけならば別の企業で獲得しても問題ないのですから。リーダーの求心力、リーダーシップの根源とは、まさしく「どれだけビジョンへの共感を呼び起こせるか」にあります。
 そして『心のよりどころ』としてのビジョンがあれば、例え意見が対立することがあっても、お互いに同じ目標を目指している仲間として認め合えるので、険悪な雰囲気を生み出さずに済みます。つまり職場のクリエイティビティが確保されるというわけです。

 ここでちょっと個人的な話を挟みます。
 本書では「社長と役員」の関係で書かれていますが、ビジョンへ共感してもらうというリーダーシップは、現代ではむしろ新入社員相手にこそ重要ではないかと、私は考えています。
 人事部の皆様を悩ませる問題である内定辞退や新入社員の早期退職を防止する手立ての一つとして、経営理念やビジョンへの共感を促し、その実現への意欲を燃やさせることが考えられます。事実、私自身も、「辞職」の2文字が頭をかすめたことがあります。その時に退職せずに踏み止まれたのは、「会社のビジョンと自分の理想が同じ方向を向いていたから」であり「自分自身の夢を実現するためのスキルアップの環境が同業他社よりも整っていたから」でありました。給与待遇や失業への恐れは辞職へのブレーキとしては機能しませんでした、現代社会はセーフティネットがしっかりしていますからね。
 仕事で辛いことがあっても「これが人生か。ならばもう一度!」と思えたのは、やはりこの会社ならば夢に近づけると思えたからでした。

「ビジョン」を重んじるビジネスゲーム研修「The Shop」

ビジネスゲーム研修 The Shop 「ビジョンを重視したリーダーシップ」を扱う研修教材として、弊社のビジネスゲームでは「The Shop」があります。これまでも商工会議所などの経営者団体での研修、企業での次世代リーダー育成研修に活用されてきました。
 これまでの研修で繰り返し強調してきましたリーダーシップは以下の2点に集約されます。
 一つはビジョンを確立して、メンバーで共有すること。これで組織は一致団結できます。実際のビジネスゲームの研修風景でも、リーダーシップが発揮され全員がビジョンを共有しているチームではメンバーはお互いに信頼し合い、協力することができ、好成績を上げていました。一方、ビジョンが浸透していないチームでは刺々しい言葉が飛び交うことも・・・
 もう一つのリーダーシップは、経営戦略をビジョンに基づいて構築すること。ビジョンと経営戦略に矛盾があるとメンバーの混乱を招き、組織が迷走してしまいます。研修中の実例として、「お客さんの満足」をビジョンとして設定しながらも「技術力を重点的に伸ばす」という戦略を取らずに放漫な経営をしたチームがあり、やはり大敗を喫してしまいました。

本書『社長が自分と自分の会社を診断する本』によって、ビジネスゲーム研修を通じて感じていたリーダーシップにおけるビジョンの大切さを改めて思い知らされました。

リーダーシップを学ぶビジネスゲーム研修「The Shop」の詳細はコチラ

ライター:竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインに新卒で入社。主に研修コンテンツのロジック開発および、研修用に使用するエクセルのマクロを構築している。またWebマーケティングも担当しており、サイトの管理運営、テキストの製作を行う。大学時代には地球環境問題を積極的に学び、その中で学んだ「俯瞰的視点」「論理的思考」「系をモデル化する思考方法」「情報技術」などを活かして活躍している。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。