ビジネスゲームの先駆者、マネジメントゲーム

マネジメントゲーム1マネジメントゲーム(MG研修)は1971年にSONYとCGIで開発されたビジネスゲームです。製造業企業の経営者となり、仕入れから、加工、販売までを行います。また自社が優位に立つために、人員採用、研修、設備投資、研修開発などの社内環境の整備も行います。これらの意思決定を自分一人で行うことで、経営に必要な能力を養える研修です。特に財務諸表も独力で記入するため、財務管理について深い知見が得られます。
2日間に渡り全力で取り組むのでハードな研修ですが、その分学習効果も高くなります。
富山県高岡市にて、私もマネジメントゲーム研修を体験しました。その時に実感した優秀な学びと感想を述べていきます。
 
 

マネジメントゲーム研修を体験してみて

①MQ会計
MQ会計
「売上ではなく粗利に着目する」
「粗利と固定費から来期の売上目標を立てるべき」
というMQ会計の考え方は非常に勉強になりました。
一般に来年度の経営計画を立てる時は「今年度比何パーセントの売上を目指すか」と考えがちです。ですが売上(Price)が上昇しても、そのために多額の販売費用を投資していては利益になりません。業績改善とはならないのです。そこでMQ会計では、売上を粗利(Margin)と原価(Variable Price)に分け、さらに粗利から固定費(Fix)を差し引いて純利益(Gross)を導きます。これにQuantity(販売数)を掛け、MQとすればその年度の正しい粗利が分かり、純利益であるGQが増え、業績改善が行われていることが一目瞭然です。
そのため、来年度の目標も「まずは達成したい純利益を考え、必要となる固定費を予測し、それらを加えた粗利を導き出す」ことが正しい経営方針の設定方法であると学べます。
「ただ売れればいい」のではなく「利益を出す売り方を考える」のが大切と研修を通じて教えられました。
 
②財務諸表、マトリックス会計
マトリックス会計マネジメントゲーム研修では3つの財務諸表を使いました。
1つは入金と出金を示したP/L。
2つに自身の資産と負債を表すB/L。
そして自身の資産がどのように配分されるかを示すマトリックス会計表です。マネジメントゲーム研修ではこれらの財務諸表、特にマトリックス会計表を「精緻に記入できる」ようになることで「経理」への知識を大幅に深められます。自分の資産がどこに存在しているのか、またどの分野に資金が流れてしまっているのかが非常に詳しくしることができるのです。ですが、その計算は煩雑さえも伴い、研修の開始当初から多くの専門用語が飛び交うのでかなりの時間と労力の消耗を強いられたのも事実です。
 
「財務諸表を精密に記入できる≠財務諸表と財務管理を理解している」
ことなので、人力で計算をすることは経理担当の人間でなければ意義は薄いと思いました。そのためかソフトバンクではマネジメントゲーム研修を自動計算できるようにしていると聞きました。とはいえ、完全な自動計算にしてしまうと、それこそ財務諸表の動きが分からなくなってしまうでしょうから注意が必要ですね。
 
③少人数体制では教育の効果が高い
ゲームバランスの調整での意味もあるのかもしれませんが、マネジメントゲーム研修では少人数体制の企業において教育チップの効果が高かったです。逆に人数が多いと教育が無くても人海戦術で押し切れました。これは実社会でも同じではないかと推察します。そのため人件費の安い途上国に「ものづくり」で対抗するために、今後の日本ではますます教育や研修の重要性が高まることでしょう。
我々研修業界の人間は、今こそ教育の効果と必要性を声高に訴え、質の良い研修コンテンツを提供することこそが社会貢献なのだとしみじみと感じ入りました。
 
④業界を見渡す
私はゲーム中には「商品力を強化して他企業に差を付ける」という戦略がありました。ですが当初は上手くいったものの、自社の環境をある程度整えた時点で、他プレイヤーに目を配る注意力が無くなってしまいました。そのために「商品力の差」がいつの間にか埋められていて、終盤では大苦戦しました…
業界の動きに鈍く、自社の現状に満足していれば「赤の女王仮説」により淘汰されると思い知らされました。
※注…「赤の女王仮説」とは生物学の用語です。『鏡の国のアリス』に登場するセリフに基づき、種・個体・遺伝子が生き残るためには進化し続けなければならないことの比喩として用いられます。これは生物学以外でも競争が発生するならば、経済学でも社会学でも通用すると考える人は、私自身を含め少なくありません。私が卒業したときの東京大学農学部の卒業式でも、卒業生代表がこのことに言及していました。
 
⑤経営判断の機動力
弊社のビジネスゲーム研修「The 商社」などでも先手を打つことを強調していますが、やはりマネジメントゲーム研修でも素早い判断が重要になってきました。私はゲーム中にルールの理解不足から誤って多くの人員を採用してしまいましたが、そこで経営モデルを当初想定していた「少人数で高い商品力を持つ企業」から「薄利多売の大企業」へとシフトすることに成功しました。失敗に引きづられず、思考を切り替えられたのは我ながら良いプレイングだったと思います。
こうした経営判断の素早さとそれを企業全体に知らしめる機動力は、実社会でも重要になることはもはや直感的に理解できることです。言葉ではなく心で理解できた!
 
 

全体を通じて

やはり体験型研修なので常に白熱していたのが印象に残っています。多くのリピーターを出しているのも頷ける話です。ゲームバランスもかなり優れており、勝ち筋は幾通りも発見できそうですね。そしてそのいずれからも学びが得られることは言うまでもありません。
 
かなり疲れましたが、それ以上に見返りの大きい、非常に楽しい研修でした!
 
 

ちなみに。ゲーム自体の結果もきちんと1位、しかも自己資本金、企業設備も十分な「資産評価A++」になりました。おかげで表彰されることができました!
ビジネスゲーム研修製作者として面目を施せましたね。
 
 
次回
マネジメントゲームと弊社のビジネスゲームの違い
 
 
ライター:竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインに新卒で入社。主に研修コンテンツのロジック開発および、研修用に使用するエクセルのマクロを構築している。またWebマーケティングも担当しており、サイトの管理運営、テキストの製作を行う。大学時代には地球環境問題を積極的に学び、その中で学んだ「俯瞰的視点」「論理的思考」「系をモデル化する思考方法」「情報技術」などを活かして活躍している。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。