1.マクロはビジネスゲーム研修の潤滑剤

納品先は大手アパレル会社の人事部。インターンシップ中の研修で『商品の製造』と『商品の卸売り』を模擬体験できるビジネスゲームをご所望だ。ビジネスゲームを円滑に進めるために納品したのが今回のエクセルマクロだった。なにせ今回のビジネスゲームでは、プレーヤーが回答しなくてはならない質問の数も、それらの選択肢も多い。質問数は合計21個、選択肢は多いところで12種もあるのだ。マクロでワンボタンでの自動計算が無くてはビジネスゲームが、引いては研修全体が手痛い停滞をしてしまう。
 
そこで、それらの条件分岐を必死で打ち込み、
その上特殊な選択肢の組み合わせで発生するイベントも多数盛り込み、
涙目になりながら独力でマクロを製作した。
選択肢の多さのため、ActiveXのオプションボタン機能を実装したのだが……
これが不味かった。
オプションボタン
 

2.動作確認したマクロが納品先で動かない…?
なにこれ…ふざけてるの?

何度も自分のPCで動作確認を行い、算出された数値が想定通りの値になるかどうか、エラーが発生しないか、テストを繰り返した。何度も何種類も確認したので『これなら自信を持って送り出せる!』
と安心していた。安心していたのに……
 
先方からの返事は『マクロが動かない』
 
ショックだった。震撼した。うな垂れた。憤怒した。どギツネめ!
 

3.まさか、噂のWindowsアップデートが!?

実は2014年12月にWindowsのアップデートが行われ、アップデート以前にAxtiveXを使用していた場合には、再度ActiveXを起動しようとするとWindowsのセキュリティで強制的に立ち上げられなくするシステムが組み込まれていた。なので、まずはこれによる動作不良を疑った。
アップデートが原因の場合は、対処は簡単だ。Cドライブで「*.exd」で検索して「MSForms.exd」と書いてあるファイルを削除する。これだけ。
これだけなんだがなぁ。
なんと社用パソコンなのでそのファイルへのアクセス権がなく、もちろんWindowsをダウンデートすることも、人事部の担当の方にはできない。
 
仕方なく、人事部からシステム担当部へと研修用のマクロを回してもらう。
しかし!システム部でも解決策を施せないと連絡が来た!
 
かなり衝撃的だったが、曰く『Windowsのアップデートは行っていない。ファイルが破損しているのではないか?』とのこと。
zipで送っておいたので、破損しているならばエラーが出るはず。従って、ここに来て『動作不調の原因がまったく分からない』という窮地に陥ってしまったのだ……
 

4.社長判断『もうコッチで動作確認したパソコンごと送っちゃえ!』

ダメだ……
マクロが先方の動作環境でどう動いているのか見当が付かない。ここに到っては、もはやメールや電話でのやり取りもさして効果は上げられまい。
そうした窮状を社長に報告したところ
『これ以上先方に何かしてもらおうと思っても無理だから、研修用マクロが動いてるパソコン送っちゃおうよ!』
 
荒っぽいけど、一番現実的な解決策だと思います。
 

5.最後の試練!手元のパソコンでさえもマクロが動かない。

さっそく研修専用のパソコンを購入。OSはWindows8。自社でエクセル2007をインストールした。
 
だが、ここでまさかの事態が発生。
 
このパソコンでさえ、研修用のマクロが動かない!
【実行時エラー’32809′:】
【アプリケーション定義またはオブジェクト定義のエラーです。】
エラー エラー エラー
 
 
「アイエエエ!?」「エラー!?エラーナンデ!?」「コワイ!」
ここに来てパニックは絶頂。社内で他人の目もあったが悲鳴が上がる。研修用マクロを製作したのは、OSこそWindows7だけど、同じエクセル2007なのに…!?
 
黄色のマーカーされた箇所を再度確認。32809エラーならば、プログラムで指定しているオブジェクトが存在しない、あるいは名前のミスなどで上手く指定できていないという状況のはずなのだが……
何度見ても、きちんとオプションボタンを指定できている。
謎はガブリアス、もといフカマルばかり……
 
そこでこの私は考える。
『新規作成したActiveXのオプションボタンは起動したぞ』
『とにかく、一度別名で保存した上で、色々変更を加えてみよう』
 
すると、
≪動いた≫
 
!?
エクセル、解凍!!
 
 
……でも、どーして?
その後オプションボタンをリネームするなど色々テストしてみた結果、どうやら「研修用マクロのActiveX部分は、外部から取り込んでエクセルファイルとして開いただけでは存在が認識されない」という現象が起こっているらしいことが分かった。
 
理屈は分からないが対処法を記載する。
①「開発」タブからVBAを立ち上げ、どのマクロでもいいから「実行」して、わざとエラー32809を表示させる。あえてだ…『エクセルにエラーを吐かせた』あえて、な
②「名前を付けて保存」する。
③保存したファイルを開くと、きちんと動作する!
(ちなみに手順①をスキップすると、なぜか「オプションボタン」の名前が全て書き換えられた。悲鳴が、上がった)
 
 
かくして、一つの戦いは終わった。
無事に研修用マクロを搭載したパソコン本体まるごとの納品が終わり、『安心できた』
段ボールに詰められ、発送伝票の張られた見た時に『人間は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きる』と、実感したよ……
 
ライター:竹島雄弥
富山県立富山中部高等学校卒業
東京大学農学部環境資源科学過程生物・環境工学専修卒業
大学卒業後、ふるさと富山に帰郷。プロジェクトデザインには新卒で入社し、主に制作するコンテンツのロジック開発および、開発したコンテンツのシステム化、webマーケティング等を中心に担当。
事務所内でのもっとも重要な仕事はおいしい紅茶を淹れることである。