「科学的なテスト」
私が理系だからか、「科学的」と聞くととても安心する。
それまであやふやで正体掴みどころのなかった「広告」というヤツが途端に手の内に転がり込んできたような安心感を覚えた。
そしてその中にはコピーライティングの普遍性を感じさせ、
現代のweb上の広告、PPC広告にも応用が利く技術をいくつも発見した。

ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
ジョン・ケープルズ
ダイヤモンド社
2008-09-20


1.PPC広告の性質上、「科学的テスト」が非常に重要になる

 本書のキモは「科学的テスト」を繰り返すことにある。
換言すると、複数のコピーライティングを市場に放ち、それぞれどれほどの集客効果があったかを数値的に比較できるようにすることがいかに重要であるか書かれている。また、テストを行う上で誤差やバイアスの影響を無くすために心を砕く必要があることも強調されていた。この科学的テストはあらゆる広告媒体で有効で、テストを受けていない広告は極めて危険、つまり広告費を浪費するばかりで集客に繋がらないものに終始することへの警鐘が鳴らされていた。

 さて、今回考えたい広告媒体はPPC広告(Pay Per Click)である。
先にPPC広告の性質に触れておこう。
現在私が使用しているGoogle AdWordsのPPC広告は「見出し」「広告文」「URL」からなる。
設定しておいたキーワードを検索してきた人にこの広告を見せて、その人が興味を持ってクリックするとURLのサイトに飛び、その時に初めて広告料が発生する仕組みだ。興味のない人はクリックしないので、広告料が発生せず、効率よく広告が打ち出せる。
 だが、注意したいのは、この時に発生する広告費の額面だ。額面の上限値は予め広告主である私が設定できるが、その金額が「First Page Bit」を下回る場合、広告の表示率は極めて低下する。なので検索される度に広告が見えるようにしたいならば、広告費は「First Page Bit」以上の金額に設定しなくてはならないが、競合先の多いキーワードでは多くの企業が広告を張り出そうとしているのでこの「First Page Bit」も上昇し、広告費が膨れ上がってしまう。この「競争による広告コスト増大」がPPC広告の恐ろしいところだ。高い金を払っているのに、少数のクライアントにしか見てもらえないという非効率な事態になりかねない。
 では効率よく、つまり安い広告費で多くの顧客を得るにはどうすべきかを考えると、
「競合相手の少ない不人気のキーワードで広告を張る」か
「「First Pge Bit」を下回り、低い割合のクライアントにのみ見てもらえるだけで満足する」
ことになる。(品質スコアを上昇させることでも広告費は低下するが、今回は触れない)

 いずれにせよ、少人数のクライアントを相手に広告を打ち出すため、
【広告を見た人を高確率で引き付けるキャッチコピー】が必要になってくるのだ。

そうなると、我々は「科学的テスト」を行い、思わず見た者がクリックして商品を購入したくなる【魅力的なキャッチコピー】を掘り当てなくてはならない。

2.PPC広告と「科学的テスト」の相性の良さ

 PPC広告と「科学的テスト」は『非常に相性が良い』―小指が赤い糸で結ばれているコンビかチクショオ!と毒づきたくなるほどに―
 なにせ「ザ・コピーライティング」では『チラシに番号の入ったクーポン券を付け、そのクーポン券使用率から顧客の反応率を見る』という間接的で、面倒で、時間のかかる方法でさえも『画期的な発明』と称賛していたのに、PPC広告は、いつ、何人が当該広告に反応したが直接数字で確認できるのだ。さらにチラシが「雨の日にはよく読まれる」「出した順番で反応率が変わる」といった広告主側からは操作できないバイアスが掛かるのに、インターネットでの広告は天候に左右せず読まれ、大多数を相手どるため発表順による反応率の違いも薄れてしまうため、「ザ・コピーライティング」で危惧された誤差やバイアスをほとんど考えなくてよいのだ。唯一商品の季節性にのみ左右される程度だ。テストが簡便に行える、ということは科学史で大きな意義を持つのと同じように、広告の歴史でも画期的な進歩と言える。

 具体的に「科学的テスト」はPPC広告のどの数字に着目すべきかであるか?
 やはり「クリック率」である。クリック率はクーポン券の回収率などよりはるかに直接的で迅速な、その広告にどれだけの割合のクライアントが興味を持ってくれたかを示す指標になる。とりわけ広告費を湯水のように使えるわけではなく、少数の潜在顧客にアプローチを掛けていかねばならないのだから、高いクリック率は、この先生きのこるために不可欠なのだ。

 まずはクライアントが検索を掛けそうな「キーワード」を選定し、それぞれ広告文と広告費を設定しよう。ここで注意すべきは、広告文がきちんとリンク先と関連が高くなるようにしておくことだ。クライアントは広告文を足がかりにしてサイトを探放するのだから、きちんと購入までの道しるべとして広告文は機能していなくてはならない。
 広告を張り出せたら、テストのために一定期間をおく。そして同じキーワードで別の広告文を張り出す。その後再び様子を見る。これを繰り返し、最もクリック率の高い広告文を見つけられたならば、その成功要因を分析してさらに良い広告文を考案し、テストする。時流が間断なく流れていくので、テストも終わりがないのだ。頭をひねらす作業であるが、反応がキッチリ数字に表れるので、モチベーションは案外低下しないことに気づけるだろう。

3.良いPPC広告の「型」

 「ザ・コピーライティング」には多くのコピーの「型」が紹介されていまる。
ゼロから自分でコピーを作るより当然、集客率の高いものが作成できるので、それらの「型」をまとめておく。これらをPPC広告に活かしていきたい。

3-1.コピー全体について

・コピーの基礎
1.広告のあらゆる要素をテストすること【科学的な実験を行うこと】→コスト高な広告は排除して、費用対効果の高いもののみ残す
2.どう言うかより、なにを言うかが大切
3.見出しが一番重要なことがほとんど
4.一番効果的な見出しは、相手の得になるをアピールするか、新情報を提供する
5.中身のない短い見出しより、何かをきちんと伝えている長い見出しの方が効果的
6.一般的な内容より、具体的な内容の方が信用される
7.短いコピーより長いコピーの方が信用される

 本書でどの分野でもその重要性を繰り返し強調されていたのは、広告の中身が「特になる」「新情報」であることだ。これが見るものを引きつける。逆にこの点を押さえていなければ、興味を持ってもらうことは難しいだろう。
また、意外なことに、興味を持たれれば長い広告文の方が効果的に反応を集められる。鮮度、信憑性、量を備えている価値の高い情報は常に求められていることを知っておかねばならない。

3-2.見出しが最も重要

・効果的な見出しの特徴
1.得になる
2.新情報を提供する
3.好奇心を刺激する(これだけではいけない)
4.てっとり早く簡単な方法の紹介
+信頼性(具体的事例、数字)

 やはり見出しでも、いやもっとも人目に付く見出しだからこそ、「得」と「新情報」が改めて強調される。また、その上で人間の心理をくすぐるような味付けである、「好奇心の刺激」や「簡便な方法であることの説明」が加えられることになる。新規広告を打ち出していく中でも、これらの基本を守った見出しであれば一定以上の効果が見込めるはずだ。

3-3.演出

『コピーライターが命を、人間味を吹き込まなくては商品は活き活きとしたものに見えない』

 ただ商品のスペックを書いたカタログだけでは、ほとんどのクライアントは魅了されない。
―私は先日、ノートパソコンの「Let’s note」のカタログスペックだけで非常に購買意欲を刺激されたが、このような事態は世間一般では稀なのだ。その自覚がないと現代背は商品は売り込めなくなってきている―
クライアントを魅了するためには、その商品をクライアントが使用した時に、いかに劇的に彼の世界が変化するのかを演出して見せてやらねば購買意欲に繋がらない。その演出家がコピーライターなのだ。

以上の点を踏まえ、「ザ・コピーライティング」を脇に抱えながらPPC広告を作成していこう。