『人間の感情の中で、何よりも古く、何よりも強烈なのは恐怖である』
(H・P・ラヴクラフト/20世紀の怪奇小説家)
 
『ハイパワー・マーケティング』では、リスク・リバーサルにによりクライアントの「損をしてしまうのではないか」という不安を取り除くことで、購入へのハードルを除くことが推奨された。
一方で、『金持ち父さん貧乏父さん』では、金持ち父さんが幼い著者に無賃労働を体験させることで、「他人にただ働きさせられる」恐怖と闘い、乗り越えることを教えていた。
つまり、他人からは恐怖を取り除いてやることでこちらの意図した行動を起こさせ、自分では恐怖を感じる時にも果断実行して立ち向かっていく、「恐怖のコントロール」がマーケティングを始めとする経済活動には必要となってくる。
 
ビジネスゲームでも「恐怖のコントロール」を実際に必要とした場面があった。
ビジネスゲーム「The 商社」では、利益を上げる最も単純な方法は、
事業の企画「ビジネスカード」、事業に使える資産「資産カード」、そしてキャッシュ「資金カード」の3枚を集め、
「ビジネスカード」に書かれている組み合わせに揃え、事業を「設立」することだ。
 
図1
 
だが、参加人数が少なく、運が悪いと、どこのチームも中々カードが揃わず「設立」に到らない。
しかし、この「場の停滞」は全チームの所有するカードを全て集めても、一つの「設立」もしえないという状況とは同一ではない。
Aチームに「ビジネスカード」があり、Bチームに「資産カード」がありながらも、お互いに相手が魅力を感じ資産や資源を持ちえないために対等な交換ができず、カードが組になれずにいる場合がほとんどだ。
 
このような状況を打開するのに「恐怖をコントロール」する必要がある。
AかBのいずれかが、「自分に損のある、あるいは競合先のメリットが目立つ交換」つまり『利敵行為』をし、新しいカードを場に呼び込まなくてはならない。
この一手のみを独立してみれば損を出す取引であるが、「停滞している場から流れを引き寄せる」には不可欠の過程なのだ。
「損をする」という恐怖を乗り越え、必要な道程を邁進せねばならないのだ。
 
あるいは、賢いCチームが両チームの恐怖を見てとり、一見すると死に札になっているカードを「損のない交換」で付け入り、漁夫の利を得られることもあるだろう。
これを避けるためにも、一度は『利敵行為』で迂回しながらも、数手先の利益を狙わなくてはならない。
 
そうした目前の恐怖を乗り越えた者が、勝利者となれるのだ。